トンガ王国(Kingdom of Tonga)
(1)一般事情
1. 面積:697km2(対馬とほぼ同じ)
2. 人口:10万人(2002年世銀)
3. 首都:ヌクアロファ(トンガタプ島、2.5万人)
4. 人種:ポリネシア系(若干ミクロネシア系が混合)
5. 言語:英語(公用語)の他、トンガ語を使用
6. 宗教:ほぼ100%キリスト教
7. 略史:
1616年 オランダ人、北方の二島発見
1845年 キリスト教徒のトゥポウ一世がトンガを統一
1900年 英国の保護領となる
1970年 英国より独立
8. 政治体制・内政
1)政体:立憲君主国家
2)元首:国王、タウファアハウ・トゥポウ四世(Taufa'ahau Tupou IV)(65年就任、世襲)
3)議会:
一院制[議員は閣僚(国王が指名、現在11名)、貴族議員9名、平民議員9名より構成]
4)政府:首相ウルカララ第三王子(Prince Ulukalala Lavaka-Ata)
5)内政:実質的に国王の強大な権力の下に国政を行っている。議会は貴族代表及び平民代表で構成されており、現在の体制は保守的。2000年1月にヴァエア前首相が辞任し、国王が自身の三男ウルカララ王子(当時外相)を首相に任命した。2002年3月に行われた総選挙において、首都のあるトンガタプ島で民主化推進派が平民代表全議席を獲得するなど、国民の間に民主化運動への支持が高まってきている。
9. 外交基本方針
1)英連邦諸国特に宗主国たる英国とは緊密な関係維持。国連専門機関への加入に積極的。南太平洋の域内協力の推進。
2)トンガは台湾と外交関係を有していたが、1998年11月2日、台湾との関係を終了し、中国との外交関係を樹立した。
10. 経済
1)主要産業:農業(コプラ、やし油、かぼちゃ)
2)GDP: 150.6百万米ドル(トンガ大蔵省2001年度予算書)
3)一人当りGDP: 1,521米ドル(トンガ大蔵省2001年度予算書)
4)経済成長率:3.1%(2001年、世銀)
5)物価上昇率:7.1%(2000年、トンガ準備銀行)
6)失業率:11.8%(1994年)
7)総貿易額:
輸出:22.1百万パ・アンガ(2000年、トンガ準備銀行)
輸入:115.9百万パ・アンガ(2000年、トンガ準備銀行)
8)主要貿易品目:
輸出:かぼちゃ、魚類、バニラ、カヴァ
輸入:食料、飲料、家畜、機械・機器、燃料、石油製品
9)主要貿易相手国:
輸出:日本、米国、ニュージーランド、豪州、フィジー
輸入:ニュージーランド、豪州、フィジー、米国、日本
10)通貨:パ・アンガ(T$)
11)為替レート:1パ・アンガ=0.67米ドル(1998年6月トンガ準備銀行)
12)経済状況
失業率の増加が慢性的状況。財政状態は恒常的に海外援助及び出稼ぎ者からの送金に大きく依存。政府は新しい輸出商品作物の開発に熱心で、既に成功しているかぼちゃに次ぐ産品の開発に向けて市場調査や相手国への輸出手続きに関する調査を積極的に行うとともに、産品の品質管理にも力を入れている。
11. 我が国との経済関係
対日貿易(2000年、財務省)
1)貿易額:
(1)輸出:1,460百万円
(2)輸入:215百万円
2)主要品目:
(1)輸出:かぼちゃ、魚介類
(2)輸入:自動車、機械機器
12. 我が国の政府開発援助
1)トンガは、1900年に英国の保護領となったが、1970年にこの関係を解消し、現在は、国王トゥポウ四世を元首とする立憲君主国家となっている。
王権の下、三権分立の体制をとっている。国王のカリスマ性は依然根強く、政権は比較的安定している。
2)外交面では、英連邦加盟国として英連邦諸国、特に旧宗主国である英国との緊密な関係の保持、南太平洋の域内協力の推進、国連専門機関等の諸機関へのオブザーバーとしての積極的参加等をその基調としている。アジアとの交流も盛んであるが、我が国以外では韓国等と良好な関係を保ち、特に王室のある国に親近感を有している。トンガはこれまで台湾と国交を有してきたが、1998年11月にこれを断絶し、中国と国交を結んでいる。また、1999年9月、国連に加盟。
3)経済面では、伝統的な食糧作物生産及びカボチャ、バナナ、コプラ(乾燥したやしの実)、ココナツ、バニラ、インゲン豆等主要輸出作物生産を中心とする第一次産業依存型である。トンガ経済はカボチャ輸出に頼るところが大きいが、近年はカボチャの生産高及び輸出額は不作や他国との競争等により減少傾向にある。単一生産物(カボチャ)への過度の依存を回避し、新たな輸出産品を開発することが緊急の課題となっている。最近では、水産資源として海草(もずく)、農産品ではスイカ等が新たな輸出産品として検討されている。観光分野では、トンガ国営航空と海外航空会社との共同運行や新航空路開設・飛行場の整備等に力を入れているほか、ホエール・ウォッチング等を活用し振興に努めている。さらに、2000年を最初に迎える国のひとつとして、キリバスやフィジーと並んで活発なプロモーションを行った、また、政府は歳出抑制のために政府組織及び公共部門の合理化を進めるとともに、世界貿易機構(WTO)の加盟に向けて準備中である。
4)我が国との関係は、国王が度々来訪し、非常に親日的であること等極めて良好な関係を保っている。トンガ産カボチャの対日輸出は生産高及び価格の変動に左右される面はあるものの、トンガ経済に大きく貢献しており、経済関係も徐々に進展しつつある。1996年には、わが国の大学で経済博士号を取得した親日家のマサソ・パウンガが労働・商工・観光大臣に任命され、我が国との経済交流を図るべく、頻繁に訪日している。また、1997年10月に東京で開催された日・SPF首脳会議にはヴァエア首相が参加している。更に、1998年7月、我が国は両国間の対話を促進するため、堀元駐フィジー大使を団長とする政策対話ミッションをトンガに派遣した。2000年4月には、太平洋・島サミットに参加するため、ウルカララ首相が訪日した。
ナウル共和国(Republic of Nauru)
(1)一般事情
1. 面積:21.1km2(伊豆大島の約1/4)
2. 人口:約1.6万人(98年PC資料)
3. 首都:ヤレン
4. 人種:ミクロネシア系(ポリネシア、メラネシアの影響あり)
5. 言語:英語(公用語)の他ナウル語を使用
6. 宗教:多くがキリスト教徒
7. 略史:
1798年 英国の捕鯨船ナウル島発見
1920年 豪州・ニュージーランド・英国の3国を施政国とする国際連盟の委任統治領
1942年 日本軍による占領
1947年 豪州・ニュージーランド・英国の3国を施政国とする国連信託統治地域
1968年 独立
8. 政治体制・内政
1)政体:共和国
2)元首:デログ・ギオウラ(Derog Gioura)大統領(2003年3月就任)
3)議会:一院制、18議席、任期3年
4)政府:(1)首相ポストなし(2)外相大統領が兼任
5)内政:1995年11月の総選挙後の議会における大統領選でハリス氏がドウィヨゴ氏(1976年〜1978年大統領、1989年8月より大統領)を破り、大統領に就任したが、1996年11月から政情が流動化し、次々と大統領が交代する状況となった。その後1997年2月に総選挙が実施され、クロドゥマール政権が成立したものの、1998年6月、不信任案可決の後ドウィヨゴが大統領に返り咲いた。1999年4月、不信任案可決によりドウィヨゴ大統領は辞任、レネ・ハリス議員が大統領に就任した。2000年4月、総選挙後、ハリス大統領が議会で大統領として選出されたが、直後に辞任し、改めて選挙が行われた結果、ドウィヨゴ氏が再選された。2001年3月、不信任案可決により、レネ・ハリスが再び大統領に就任。2003年1月、ハリス大統領に対する不信任案が可決され、ドウィヨゴ大統領が再び就任するも3月に急死。ギオウラ大統領が後継に選出された。2003年5月に総選挙が行われる予定。国家財政の健全化、燐鉱石枯渇後の代替産業の育成、燐鉱石採掘により荒廃した国土の回復が政府の緊急課題となっている。
9. 外交基本方針
親西側を基本としつつも独自の自主外交を推進。87年12月ソ連との外交関係開設。また、1995年に仏が南太平洋(仏領ポリネシア)において核実験を再開したことに抗議し、仏との外交関係を停止した。
ナウルは台湾と外交関係を有し、ナウルには台湾大使館が設置されていたが、2002年7月、台湾との外交関係を断交し、中国と国交を樹立した。
10. 経済
1)主要産業:燐鉱石の採掘
2)GNP: 約50百万米ドル(1998年)
3)一人当たりGNP: 4,640米ドル(1998年)
4)経済成長率:不詳
5)物価上昇率:6.7%(1999年、ADB)
6)総貿易額:
輸出:93.67百万豪ドル(1988年SPC資料)
輸入:45百万豪ドル(1994年ナウル統計局資料)
7)主要貿易品目:
輸出:燐鉱石
輸入:機械類、車両、建築材料、雑貨、食料品
8)主要貿易相手国:
輸出:豪州、ニュージーランド
輸入:豪州
9)通貨:豪州ドル
10)為替レート:1豪ドル=65.46円(2002年7月現在)
11)経済概況:ナウル経済を支えてきた唯一の産業たる燐鉱石が枯渇寸前であり、ポスト燐鉱石対策が当面の最大の課題。
11. 我が国との経済関係
対日貿易(2002年、財務省統計)
貿易額:
輸出:19百万円
輸入:26百万円
12. 我が国の政府開発援助
1)1968年、豪州、ニュージーランド、英国の三国を施政権者とする国連信託統治下より独立した。人口(約1万6千人)、面積(21.1km2)ともに域内で最も小規模な国家である。1997年2月政情安定化を目指した総選挙により、クロドゥマール議員が大統領に選出されたが、1998年7月にはドウィヨゴ元大統領が大統領に返り咲いた。1999年4月には同大統領に対する不信任案が可決され、ハリス議員が大統領に選出されたが、2000年5月の大統領選ではドウィヨゴが三たび大統領に返り咲いた。こうした内政の不安定さにより財政再建策の実施が停滞し、また、償還期限切れのナウル国債の返済が滞る等、財政再建への道は困難を極めている。
2)外交面では、独立以来豪州と緊密な関係を維持しており、また英連邦の加盟国で、地域協力機関(SPF、PC)にも加盟している。また、1999年9月に国連に加盟した。
3)経済面は、燐鉱石輸出に完全に依存しているが、燐鉱石は今世紀末に枯渇する見込みであるため、その後の対策はナウル経済における最大の課題である。現在、海運、航空業、海外におけるホテル経営等に投資し、更にフィリピン、インドとの間に合弁燐酸肥料プラント建設の取極を結ぶ等、多角的資金運用を通じて枯渇後に備えているが、現在のところ必ずしも芳しい成果をあげていない。
4)我が国との関係では、二国間漁業協定が1994年7月に発効している、1997年10月の日本・SPF首脳会議(東京開催)、同年12月の気候変動枠組条約第三回締約国会議(COP3、京都開催)には、クロドゥマール大統領が出席し、地球温暖化問題についての島嶼国の立場を訴えた。また、1998年8月、両国間の対話を促進するため、我が国は長谷川前駐豪大使を団長とする政策対話ミッションをナウルに派遣した。
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