おかし工房パンドラのお菓子販売
NPO: パンドラの会
企業: デンソー
デンソーが本社売店の一角に、NPO「パンドラの会」の障害者たちによる手づくりのパウンドケーキ、クッキーなど豊富な種類のお菓子コーナーを設けるというもの。甘さは控えめ、素材にこだわった本格的な洋菓子は、新製品が出るたびに、デンソーの担当者が若い人の味覚に合うかどうかを厳しくチェックし、企業紹介で地元生協にも販売ルートを開拓している。
だれもが一度食べたらそのファンになるという愛情こもった技術の高い製品。NPOはそこを最大限大切にし、企業からの信頼を勝ち得ている。また、企業によって販路を拡大してもらったことにより、安定した収入を得ることができるようになった。事業の成長も顕著で、NPOの従業員の数も増え続けている。一方、企業はお菓子の購入を通じて気軽な福祉活動への参加が可能となった。
しかし、技術向上、品質保持、事業継続のために費やさなければならない陰の苦労を、NPOの抱える経営上の課題として、企業の担当者だけでなく、幅広い社員にどう伝え、支えていくかが今後の大きな課題となっている。
だれもが楽しめる『街』づくり
NPO: 自立支援センター フィフティ
企業: 下田イオンショッピングセンター
イオン下田がショッピングセンターづくりの当初から、NPOの自立支援センター「フィフティ」とともに、バリアフリー化を考え、全国的にも珍しいショッピングセンター内のデイケアセンター設立に至ったという事業。しかもそのショッピングセンターの規模が、まさに「街」と呼ぶにふさわしいスケールの大きさ。各種イベント、映画館、ボーリング場などの娯楽施設が揃う中、デイケアサービス部屋の確保や車いす利用者のための案内人の配置がしっかりと施され、街づくりのアイデアやさまざまな変化を楽しむことが可能だ。
今後の課題としては、当初のセンターづくりにNPOを巻き込んでいった企業担当者の転勤によって、その情熱をどこまで維持できるか、あるいは発展させていけるかが挙げられる。その意味で、ショッピングセンター内に変わらず情熱を持ち続けるNPOが常駐していることの意義は極めて大きい。「老後に自分が何をしたいか」というNPO責任者の発想が、バリアフリー以上のものを生み出した好事例だ。
●総評 審査委員長 跡田直澄氏
「名古屋という地でこの事業を行い、第1回目に、35件の応募があったことにまずは感謝したい。
優れた事業が多く、第1次審査、第2次審査ともに接戦であった。特に第1次審査は書類選考のみであり、応募書類に自分たちの思いを書き切れなかった事業は残念な結果であったかもしれない。本日の審査もかなり苦労した。
今、日本は変わらなければならない状況にあり、日本を変えるためにNPOは不可欠な存在である。このNPOを育てるために、
1. 最初は企業が「お助け役」になってNPOを育て、
2. NPOの活動を支援し、
3. 今度は、提案型NPOが企業を育て、
最終的に、
4. 双方向に企業とNPOが発展する(それぞれの組織がよい方両に変わっていく)
という段階まで進むのが理想的である。
本日の受賞企業は、企業のNPOのパートナーシップのよいモデル事業である。お互いのことを考えながら協働事業を進め、ぜひ継続的にがんばっていただきたい。
今回は残念な結果であったところは、受賞企業も参考にしながら、次回、再応募していただければ非常にうれしい。
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第1回「パートナーシップ大賞」および「賞」の表彰式が、2002年6月15日名古屋市千種区にて行われました。最終審査のための各事例のプレゼンテーションは熱のこもったもので、NPO・企業担当者の晴れ晴れとした表情が印象的でした。
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*なお、「パートナーシップ大賞」ならびに「パートナーシップ賞」を受賞したNPO・企業のそれぞれに記念盾が贈られたほか、副賞としてNPOに賞金(「大賞」は30万円、「賞」は各10万円)が贈呈されました。
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