●ドラッカー財団のパートナーシップ類型
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I
チャリティ型 |
II
トランザクション型 |
III
インテグレーション型 |
A 目的共有度 |
企業がNPOへ主に資金(寄付)による支援を行う。 |
企業とNPOが個々にパートナーシップの目的を持つ。 |
企業とNPOがパートナーシップにおいて共通の目的を持ち、かつ、それが社会に対して一定の役割を果たしている。 |
B 対社会への
働きかけ |
企業側からは「チャリティ」という概念。 |
結果として互いにメリットがある関係を作っている。 |
社会に対してNPOと企業が協働して働きかけていく。プロジェクト開発やサービス提供を行う。 |
C 協働の感覚 |
NPO側は心理的に企業に対して感謝の気持ちを抱く。 |
互いにパートナーという意識が生まれ、相互理解と信用によって成り立っている。 |
「私たち」という意味で一体化した考え方が定着し、戦略的に幅広く活動を共有する関係。 |
D 戦略度 |
互いの事業は独立しており、限られた範囲内での協働。 |
NPOと企業の間にミッションや価値観における類似点が見られ、能力を互いに公館できる関係。リスクの少ない成功を前提としたパートナーシップ。 |
パートナーシップを戦略的ツールとして使用し、使命・価値観を共有。 |
E 関係期待度 |
企業がNPOに求める期待度は低い。 |
組織を通じて個人的な接触がある場合が多く、リーダーのレベルで強いつながりがある。 |
企業では従業員が直接関わる機会が提供され、組織間で深い人間関係が築かれる。相互の組織文化にも影響を与えるような関係。 |
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*James E.Austin, The Collaboration Challenge, Jossey-Bass
Publisher, 2000等を参考にPSCが作成。
このドラッカー財団の3タイプは、それぞれ右ページのように簡潔にまとめて区別することもできます。
さらにドラッカーの分類を先のギドロンらの分類に当てはめて考えてみると、「チャリティ型」は財源とサービスが分離し、裁量権はNPOが持っているという点で、「パートナーシップ型」に位置づけられるでしょう。但し、事業をともに進めるに至っていないという点で、協働のレベルはあまり高いとはいえないかもしれません。「トランザクション型」および「インテグレーション型」は「パートナーシップ型」における両者の影響力の違いというよりは、むしろ両者の関係性そのものの違いを示すものといった方が適切なようです。つまり財源は企業、サービスはNPOが担うことを前提として、プログラム管理はどちらが主導権を持つかで区別されるというよりは、NPOと企業がそれぞれ独自の違った目的を持っていても、互いにメリットがあるから取引をするという場合は「トランザクション型」、NPOと企業両者がともに同じ目的を持ち、プログラム管理についても合意の上に対等に役割を分担し、ともに社会に働きかけていく場合は「インテグレーション型」に分類されると考えることができるでしょう。
NPOと企業の両者間の力関係より、NPOと企業が社会へどんな影響を与えていくのか、NPOと企業の関係性はどのようなものなのかという視点がより大切になるでしょう。
日本におけるNPOと企業のパートナーシップの現状は、数としては圧倒的に「チャリティ型」の段階で、現在はそこからようやく「トランザクション型」に移りつつある、あるいはその比重が増してきている状況ではないかと考えられます。もちろん「チャリティ型」はNPOの独自性を追求できる点で、ある意味NPOがより自由度の高い事業を作り出せる可能性を秘めていることも事実です。しかし、協働関係を発展させるという点では限界があります。「チャリティ型」と「トランザクション型」との違いは、「ともに」という意識の違いといえると思います。
今後は、日本でも「インテグレーション型」をいかに多く実現していくかが大きな課題になります。
●ドラッカー財団の3タイプにおけるNPO・企業の関係
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