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第II章
研修会
「グループホーム制度を考察する」
知的障害者グループホームを運営する面から考えて
1. 「あなたは、どこで暮らしたいですか?」
現在、秋田県心身障害者コロニーにて行っている事業として、グループホームの運営(現在4ヶ所)、自活訓練事業(国の補助)がある。自活訓練事業はこれまで施設内で行っていましたが、これが撤廃され、地域で行っていくこととなりました。
また、独自の地域生活の体験をする場所を設けています。これは「体験ハウス」として、グループホームとまったく同じ形式をとっています。一軒家を借り、そこで生活をし、コロニーにて日中活動おこなう体系となっています。
なぜ、このようなことをおこなっているのか。これは、現状のグループホーム制度の中でグループホームを立ち上げる場合、国の予算から県単位で年間立ち上げるグループホームの件数が決定されます。しかし、立ち上げたいグループホームの件数が国との決定数と一致しないため、独自の中でグループホームと同じ形式をとっているわけです。
このように、コロニーから地域へ移行し、地域生活を推進しています。
利用者の声として、施設では大勢の人と食事をとるため騒々しく感じ、静かに落ち着いて食事が取れないことや多くの料理を提供するため数の問題で料理が冷めてしまい、温かい料理が食べられないなど悩みが多く、このような悩みを解消する為に、このような悩みを持つ方々には、グループホームではない自分独自の生活の場所を提供し、そこで過ごしてもらうサービスをおこなっています。
また、自分の部屋でひとりでゆっくりと静かに過ごしたいという希望があります。これについては、今、制度が変わり以前までは2人について一部屋となっていましたが、現在は1人一部屋が原則となりました。やむを得ない場合は、2人一部屋という場合もあります。また、食事をとる場所を一箇所設けることになっています。
そのようなこともあり、地域で生活していくといろいろな面で自由があるので、「家に帰りたくない」と言う方がいます。
また、「近隣の方が声をかけてくれるので嬉しい」と言う方もいます。これは、地域で暮らしているという事は、隣近所、声をかけあうということであり、地域であたりまえに生活している姿ではないでしょうか。このようなことに施設に入所している方は関心があるのではないかと思います。
表現に変化もみられ、職員から見て表情が豊かになり、自分の行動に自信が持てるようになったり、共同生活はお互い助け合っていくという協調性が出てきました。
このように、グループホームや地域生活をおこなってみて、良い意味での変化がでてきていることを感じています。
現在、全国にグループホームは3100ヶ所(平成14年度まで)あり、平成15年度に600ケ所認可になる予定になっています。
「グループホームとはどういったものか?」、正式名は「知的障害者地域生活援助事業」です。「地域」で「生活」することを「援助」する事業と理解していただくと解かりやすいと思います。
入居者の人数は4人から7人まで、一つのグループホームに入居する人数により、支援費の金額が違い、例えば4人より7人の方が支援費が低くなってきます。
世話人が1人に一人つき、障害の重い方にはもう一人世話人を雇ってもよいこととなっています。入居者は15歳以上から入居が可能となります。
現在、約15000人の方々が知的障害者グループホームを利用しています。
今後、グループホームは地域福祉の主流になると思われます。
2. グループホーム制度の課題(地域移行の阻害要因)
(1)利用者の所得保障
(2)働く場所の確保
(3)住宅の確保
(4)家賃補助
(5)住宅整備資金補助
(6)地域支援サービスの充足(日中活動の場の確保)
(7)地域に生活訓練の場を設け、段階的に移行システムを充実
(8)就労やグループホームへ移行した人への支援活動の拠点として地域生活支援センターの設置
(9)家族の反対
利用者の所得保障について、生活費をどうするか。グループホームはすべて支援費制度でまかなうということではありません。支援費で施設に支払われるお金はほとんどが、世話人の人件費となり、食費や家賃、小遣いなど日常生活にかかる費用はグループホームに入居する利用者の負担となります。日常生活にかかる費用については地域により、地方と都市部では負担額に差があり、地域によっては生活するのに厳しいのが現状となっています。
現在、障害者基礎年金1級(月額83000円)、2級(月額66000円)となっています。生活費を切り詰めていくこともありますが、制度の中で(交通費、JR運賃など)何か、国に訴えていくことはないのかと考えています。
例えば、在宅でグループホームで生活している方も施設入所の方と同じ位に、障害を持つ方すべて施設サービスと同じサービスをしていくべきではないか。
家賃補助について、公的な制度を利用した雇用促進事業団のアパートをグループホームとして活用していく制度もありますが、実際、地方の都市にはこのような公的な雇用促進事業団のアパートがないのが現状となっています。
年金だけでは苦しいため、自分で生活費を稼がなくてはならない。そのような状況の中、家賃など国の制度の中から援助が必要であると考えます。
住宅整備資金補助について、階段や浴槽、階段の手すりなどについては住宅改造費の補助、修繕費の補助が制度にありません。
地域支援サービスの充足について、出来るだけ家庭に近い環境で地域に移行していくという働きがあります。そこで「体験ハウス」の必要性がでてきます。
また、手厚いケアを必要とする人に入所施設の同額の支援費の支給が必要となります。
世話人の人件費についても世話人の身分保障と待遇改善の問題が今後必要となります。
24時間支援型のグループホームが重い障害を持つ方には必要で、サービスのコーディネイトをおこなうも必要がでてきます。
就労やグループホームヘ移行した人への支援活動の拠点として地域生活支援センターの設置があり、アフターケアをする制度として総合的に相談を受けることのできる制度が必要となります。
3. これからのグループホーム運営
(1)日中活動の場「一般就労」で、主に障害の軽い方が利用するグループホーム
(2)日中活動の場が「福祉的就労」で、主に障害の重い方が利用するグループホーム
(3)日中活動の場が「デイサービスセンター」または「就労以外の活動の場」で主に高齢の知的障害者が利用するグループホーム
4. グループホームの事例
◇重度の障害のある人が利用するグループホーム
利用条件が緩和されたことで、障害の重い方や自閉症の方の利用が増加する事が予想されます。ホームヘルプサービスを含む居宅支援サービスの充実とさらなる社会資源の開拓が必要となります。
5. 「グループホームにおけるホームヘルプサービス活用について」の調査結果
(中間報告平成15年9月18日現在)※日本知的障害者福祉協会福祉ホーム・グループホーム等分科会調べ)
平成12年度よりグループホーム入居者もホームヘルプサービスを利用できるようになりましたが、その利用状況は低調であり平成13年に実施した全国実態調査では3.2%の利用率でした。
今回の調査で、ホームヘルプサービスを活用しているグループホームは427ヵ所で、回答数の23.4%になります。平成13年の実態調査では3.2%であったのが7.3倍に伸びています。支援費制度が実施されたことにより、従来より利用しやすくなってきたことによるものと思われます。
また、ホームヘルプサービスを必要とする利用者と障害程度区分との関係を把握することを目的とした調査では、障害区分1の比率は全国平均46.1%となり、半数以上の方が重度加算をおこなっています。ということで障害の重い方もグループホームを利用していることがわかります。
◇福祉サービスの充実として
グループホームを利用したいがグループホームが地域にないという現実もあります。このようにサービスは全般的にわたっていくと良い方向になっていきますが、なかなかサービスが行き渡っていないこともあります。サービスを求めていくこととサービスを自分達で作って行く、工夫していく必要があります。そうしないと地域生活は出来ないと思います。例えば、「体験ハウス」や「生活支援センター」等、制度にはないが工夫し、自分達でつくる必要があります。
障害の重い方も、グループホームがないという考え方ではなく、障害の重い方も地域にあるサービスを利用すれば、自分達がつくれば活用できるということです。
◇グループホームを立ち上げる際の苦労として
住宅の確保が難しい
地域の理解(隣近所の理解)
(バックアップ施設の人たちにより解消していくことが必要)
父母の理解
(どのような生活をしているか、グループホームの現場を見てもらうことが必要)
世話人の確保
就労ができるための確保と支援
(年金では難しい、働かなくてはならない)
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