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「痴呆性高齢者グループホーム」の運営をはじめて
高齢者グループホームを運営している面から考えて
◇変遷
施設収容措置から施設入所利用そして地域で暮らすへ変遷、社会福祉の基礎構造改革に沿って、個人へ焦点が当てられ、さらに自立支援という事が取り入れられました。そして、処遇の質の向上が大切にされるようになりました。地域で暮らす、在宅で暮らす方向が打ち出されました。このような、理想に向かい、かつ、利用者にとっての厳しい現実を打開していこうとする福祉の基礎構造改革であり、その最先端を行くのが痴呆性老人のグループホームです。
◇障害者のグループホームの研究を始めるにあたって
過去からの経過と現状を振り返って、今一番大切にしなければならないことは、生まれた時から地域で暮らし続けることが必要だということです。
選別と隔離の結果何がおきているか。障害者が成人し社会生活をしようとすると周囲の健常者がどうしてよいか困ってしまいます。
いっしょに暮らす方法は必ずあります。恐れることはない、恐ろしいのは権力を行使して選別隔離政策を子どものためであると正当化して実施する人たちです。このような社会で困った人を隔離してしまう思想が一般的というのは、今のすさんだ若者たちを育ててきた一要因です。人間に優しくない社会システムです。優しくされなかった人が他人にどうしてやさしくできますか。
是非このシステムを変えることもグループホームづくりと並行していかないと将来にわたって結局グループホームは地域にありながらも地域から隔離されたものになってしまいます。
根底に必要なことはすべての場面において、誰もが特殊でなく当たり前に普通の暮らしが出来る社会です。
◇グループホームの特徴や目指すもの
(1)地域に根ざし親族や地域の人との交流を日常のものにする
(従来の収容施設にしない、地域から孤立した施設にしない)
(2)自立支援を主とする
(利用者の能力の見極めによりできることを、今までに近い生活の中にできる環境設定をすること)
(3)少人数で落ち着いたなじみの人間関係の中で暮らす
(家庭から離れて新しい環境で暮らすことは、一時的にはやむを得ないが、その後は物理的人間関係における環境変化は少ないほどよいとされている)
(4)個人個人の居場所ができやすい
(体と心の居場所が必要、私物を持ち込めることにより個人にあった環境が整いやすい)
(5)痴呆高齢者の意思の尊重
(意志や行動の抑制をしない)
(6)人生の最後までいられる事
(本人の希望がある限り、症状が重くなったり年をとったらよそにいかなければならない不安を解消)
(7)痴呆に関する正しい知識を住民に啓発する事も役割のひとつ
◇グループホームを考える前提
障害を持った人がどんな生活を望んでいるかを捉え、まとめる事が必要です。
今までの考えは管理する側、権限をもった人が決めていました。方向を決める尺度は、人間が生きるということはどういうことなのか、生まれてよかった、生きていてよかったといえる状況をどう作るかを基本にすえることが必要です。人間の自由をどう守るかの一つの選択肢として制度化してほしいと思います。大切なのは建物ではない、一個人としてその人権を生活の場で具体的に尊重するのはケアする人間ですから、そういう人権感覚を持った人を集め、育てるシステムが欠かせません。
このチェック機能として、自己評価の義務付けと第三者評価の義務付けがあります。
そもそも、痴呆性老人グループホーム自体の出発が、民間の集団介護に批判的でもっと人間としての関わりを大切にしたケアをしようと考えた人たちが勝手に個人的に始めたものに、行政が痴呆老人に良いと制度に取り込んだものです。
今このような人たちが取り組んでいるのが、小規模多機能施設です。
小規模多機能施設は、すべて利用する側の要望にこたえていこうとするものです。老人のデイサービスがありショートステイがあり、障害者のデイサービスがありショートステイがあり、児童の放課後預かりがあり、その地域の福祉要望を何でも取り込んでしまおうとしています。さまざまな生活上の障害を持った人を受け入れる制度がこれから求められるのではないかと思います。
制度化するには多くの法律が絡んできますが、知恵と力を集結し、これはよいと判断されたら出来る人が出来る所から始めることが大切です。
◇痴呆性高齢者グループホームのシステムについて
法的裏付け
老人福祉法により1997年「痴呆対応型老人共同生活援助事業」として位置づけられ、福祉施設として認定介護保険法により2000年「痴呆対応型共同生活介護サービス」と位置づけられ、実際の事業開始には県知事認可が必要
設置主体
介護保険の適用事業所として運営するためには、県知事認可を必要とし、そのため法人であることが必要(法人とは、社会福祉法人、医療法人、NPO法人、公益法人、営利法人=株式会社、有限会社)
◇課題
(1)人の手による介護を行うために、多くのスタッフが必要となる。
(2)人手を確保するためには、近隣住民の協力やボランティアを多く確保する事が重要
(3)小規模ゆえにリスクへの対応を十分にする必要がある。(大きな事故があると倒産)
(4)利用者負担額が高額である
(5)看護師・栄養士などの配置義務がなく医療関連の対応ができないため利用者制限が必要
(6)痴呆・老人単独型より、障害者等との混合型にはそれなりのメリットがある。今、模索されている、地域の福祉課題を総合的に担う小規模多機能施設の検討もあわせて必要
(7)グループホームもあくまでも集団生活であり施設としての一面も残る。もっと良いシステムはないか模索が必要、自宅ではない在宅、自分の身の置き所がある、心安らかに居られる場所の模索
私たちの生活の場は地域の中にあるわけですが、各家庭の生活スタイルは、あたり前のことですが、それぞれ異なっています。
地域とはまったく関わりのない方、普段から関心はあるけれどという方、或いは実際に地域で多様な活動を通して参加している方もいるかと思います。
障害を持つ子どもの親は、子どもの障害の程度によって、或いは家庭の事情等によって、家庭の中でも関心度は違いますが、いま、子どものこれからの生活について、身の周りの様々な問題に直面しているのは確かではないかと思います。
障害のある方々は、地域の限定された範囲のなかで、或いは入所施設のなかでの生活を余儀なくされていたといってもいいかと思います。
社会福祉基礎構造改革の名の下「支援費制度」のスタートにより、障害のある方々の生活が地域で自立しての生活が色濃く出てまいりました。
中央からではなく、地方自治体から「脱施設化」に向けてすでに動き出しているところもあります。
施設生活から地域生活へと方策が唱えられましたが、重度の障害を持つ人たち、常時の医療を必要とする人たちが施設から地域に戻って、また親から自立して生活していける十分な生活の場があるかというと非常に厳しいものがあります。
常時の医療が必要とする人たちは、これからも療護施設の生活は変わらないのかと思います。また、「重度身体障害者のグループホームて何?」、福祉ホームや知的障害者グループホーム等の制度は知っている方が多いと思われます。しかし、これからは身体障害者のグループホームが障害を持つ人たちの生活の場として、重要な存在になるのかと思います。
重度重複の障害を持つ肢体不自由の障害者が、例えば親の高齢化、子どもの加齢化、親と障害を持つ子どもが共に安心して暮らし続けていく地域の生活の場として重度身体障害者グループホームが必要となります。
○東京都重度身体障害者グループホーム制度について
◆施設整備緊急3ヶ年計画(平成13年から15年)
身体障害者グループホーム制度は現在ないため、国の制度でもある身体障害者福祉ホームを活用して、東京都が単独事業として計画した。
平成11年新宿区の福祉法人が事業計画を推進、その後の事業のきっかけとなる。
平成13年10月オープン、制度の出来上がる前にスタートしたため、制度は利用できなかった。
現在、都内に7ヶ所でき上がっている。
その中の一つの
「あじさいホーム」は(東京都重度身体障害者グループホーム事業A型)
従来の身体障害者福祉ホームとは形態が異なっています。従来の形態は、中軽度の障害者を対象にして、授産所などとの併設型が多いのですが、あじさいホームのように重度障害者を対象とした身体障害者福祉ホームは前例がなく、東京都のモデル事業として位置付けられました。そのため天井走行リフトやスプリンクラーなども東京都の重度加算として東京都の建設費補助に上乗せされました。
あじさいホームは運営を2つの補助金でまかなっています。一つは、国と東京都が1/2ずつ補助している身体障害者福祉ホーム運営費補助(年額約400万円)です。これは、本来身体障害者福祉ホームを運営するための管理人の人件費として活用されます。
2つめは、東京都と区が1/2ずつ負担する重度身体障害者グループホーム運営費補助(年額約1200万円)です。この補助金は、現状の身体障害者福祉ホームの補助金では、重度障害者の24時間介助支援ができないため、東京都が単独に重度加算したものです。あじさいホームは、常勤職員2名のほか、非常勤のアルバイトなどを雇用する資金に使われています。
また、この補助金合わせた金額だけでは24時間介助体制の確立は難しく、東京都はあじさいホームを在宅と施設の中間と位置づけ、本来住宅でないと受けられないホームヘルパー制度の活用を認めています。
さらに、ヘルパーは一人に一人の派遣ですが、共同生活のメリットを活かして共有して活用する(例えば、時間平均3名いるヘルパーを10名で共有する)ことも認められています。これにより、入居者の生活ニーズに即した介助が出来上がりました。
その他にも、自立プログラムの実践、日常的な健康管理のため訪問医療の活用を行なっています。
◆障害者地域生活支援緊急3ヶ年プラン(平成15年〜17年)
1. グループホームの拡充
2. 設置者負担の軽減
3. 入所施設待機者の早期解消
4. 日中活動の場の拡充を重点的に進める目的がある。
東京都独自のモデル事業に取り組み、グループホーム方式を地域のニーズに合わせより効果的に展開するための方策が盛り込まれています。
新しく立ち上げるグループホームは、医療的ケアの必要な方のために、訪問医療の活用を考えています。
◇各地の研修会での討議
●私たちの地域でも地域の中で自立して親や兄弟・友達の近くで暮らしていきたいと願う障害者が増えてきました。障害者自身の希望も、一人暮らしを望む人やグループホームでの暮らしを希望する人などさまざまですが、その思いを実現させようと願ったとき、障害者の生活を支えてくれる入所更生施設が地域によっては不足している状況です。
グループホームを作ろうとしても身体障害者グループホームは制度化されておらず、なかなか前に進むことができない状態です。すでに、独自でグループホームを立ち上げ、障害者の方々も自立し生活している地域の活動について、情報収集を行い、私どもも一日も早く身体障害者グループホーム制度化を実現したいと思います。
●在宅で生活していくにもグループホームでの生活を可能にしていくためにも、ホームヘルパーとの関わりは重要なポイントになると思います。ヘルパーの質が問われ、もっと勉強してほしいと要望するだけではなく、利用する障害者側もヘルパーの待遇(地位)向上させてもらえるよう行政への働きかけが必要だと思います。
●重い障害を持つ人でも施設ではなく、地域で自立生活をしていることは同じような障害者にとってもその家族にとっても勇気を与えてくれる。障害が重いから施設しかないと思わないで、グループホームや一人暮らしなどにも選択肢を広げてチャレンジしていくことがこれから大切であると感じます。
●地域によりグループホームの整備が進んでいる地域とまだ整備が進んでいない地域との地域格差を感じる。既に取り組みが進んでいる地域の情報を取り合う方法があれば、これから整備を進めていく地域には参考になりよいのではないか。
●現在、グループホームは知的障害者の制度で行われているが、身体障害者の手帳だけを持つ方々のグループホームも必要とされてきている。制度が変わり身体障害者の手帳のみ持つ方々が利用できるグループホーム制度ができれば良いし、制度があればなおよいが、知的障害者の制度が中心となり、身体障害者グループホームが出来ないとなると、知的障害も身体障害も両方もつ方々だけしか利用出来ないのではないか。身体障害者グループホームをつくるにはバリアフリーの問題や車いす利用のスペース的なことなど居宅を確保する事や高額な費用がかかるなどの面から難しい問題が多々ある。今後どのようになっていくのか。
●重度でも例えば(身障手帳1級・療育手帳Aの場合)独歩ができ意志の疎通、コミュニケーションがとれる場合もあれば、寝たきりで意志の疎通が出来ない方などが、このグループホームの中で本当に生活できていけるのか。実際にはどうなのだろう。
●常時医療が必要な人は、療護施設での生活が余儀なくされている。
●いつまでも親のもとに置くのではなく、他人に委ねる事も必要ではないか。
●自立の難しい重度の障害を持つ方も他人のケアにより、道が開かれたケースもある。
●グループホームというのは職住分離というものがないとなかなか成り立っていかないように思う。地域によっては、通う場所も少なく、グループホームからの送迎の手段がどうしたらよいか考えている。
●重度のため医療的ケアが切り離されない状況の方には、どのように対処しているのか。
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