日本太鼓と学校教育―(16)
(財)日本太鼓連盟島根県副支部長、江川(こうがわ)太鼓保存会の樋口忠三氏よりお忙しいなか、学校における短期間での指導方法について寄稿いただきましたのでご紹介します。
「日本太鼓で引き出す子供たちの能力」 江川太鼓保存会 樋口 忠三
江川太鼓では、幼稚園、小・中学校、川本高校での太鼓指導を行っています。
10月には、川本高校吹奏楽部がドイツ公演を行い、日本太鼓を取り入れた演奏をして大好評でした。その時の太鼓はドイツ製。
最近の即席太鼓演奏を一つ紹介します。中学校の総合学習の時間を利用して日本太鼓に取り組み、未経験者に5回の指導で文化祭の舞台に立たせたいとの話。
<最初の不安げな先生の感想>
「女子はやる気満々、男子はやりたいと手は挙げたもののどうなることかと心配」
男子については「恥ずかしがりやで、人前で一生懸命練習する姿を見られたくないと思っている。必死で何かに取り組むような環境が不足している。そういう環境を作ることができにくい状況であり、歯がゆい思いをしている」。また、「外部の人の指導を受けるときの生徒の態度は大変気になる。きちんと指導を受けてくれるだろうかと心配」。
<公演後の生徒達の感想>
「みんなで協力して一つのものを作り上げるのは感動的、達成感も強い」「打楽器をやっていて自信があったが、身体の運動がすごい。飛んだり声を出したり、なかなかタイミングが合わなかった」「太鼓の力強い音にびっくり。初めて練習した日は腕が痛くて、何で太鼓をしたのだろうと思った。文化祭では皆からすごいと言われて嬉しかった。またやってみたい」。「結構難しかったけど、リズムさえ覚えれば、大丈夫と思った」。
<公演後の担当の先生の感想>
「日本太鼓の音が全身に響き、打った者は今までにない感覚を味わうことができたと思う。生徒の様子を見て、打てば打つほど、全身運動によって気持ちと身体が同時に高揚し、何ともいえない感覚にとらわれていくのではないかと感じた。バチさばきと太鼓の音が調和して、お腹のあたりに響き、だんだんとリズムに乗って元気が出てきた。」
<リズムの変化と身体の変化>
ブラスバンドの打楽器担当の生徒は、囃子の基本リズムを正確に叩きます。しっかりと叩かせて、他の生徒にはリズムに乗っての拍手を求め、次は足踏み、そして軽いジャンプ。リズムが身体に入ってくる様子がよくわかり、バチを握らせ、振りを大きくすると手が挙がります。将来の応用と上達を考えれば、自然の動作をそのまま派手にするべきでしょう。慣れると次々にリズムを変化させ、リズム体操を行います。初日でも2時間あればここまで可能です。器用さの度合いで悩む生徒もいますが、総合学習なので、気持ちを大事に考え、「生徒同士で教え合う」時間をとりました。
<生徒自身の曲づくりと興味>
次は、自分たちでの作曲に挑戦。創意工夫を引き出します。基本のリズムをいくつかパターン化してカード形式にし、並べ替えると色々なリズムが生まれてきます。面白い発見に、皆の目が輝き出すと、任せていても大丈夫。自分で工夫する楽しさにつながります。
<興味を持つことは知識の吸収>
太鼓のできる過程、音の違い、バチの木は何、材質の違いでの音の変化。鼓面の動物の皮はなに。音符で音楽の勉強、準備運動や演奏中はスポーツの時間、発表は自己表現の訓練、チームで叩けば仲間意識。すべてが学習の課題です。
<先生の貴重な意見>
全国一律のものより、郷土色のあるものを。「ふるさと教育にはふるさとのリズム」を。
子供たちは言っています。「上手になると中途半端な指導者にあきてくる」。
みんなで太鼓道に精進しましょう。
(中学校での指導風景)
(成果発表)
第18回日本太鼓全国講習会が11月22・23日の両日、福島県支部が主管となり猪苗代町総合体育館カメリーナを中心に行われました。講習会には地元福島県をはじめ、全国24都府県から251名が参加しました。
開講式では当財団の塩見理事長、主管団体である福島県支部から猪越支部長が挨拶、引き続き猪苗代町津金町長より歓迎の言葉がありました。
一流の講師により、2日間にわたって厳しい指導が行われ、受講生たちは、真剣な眼差しで太鼓に向かっていました。
○専門講座
御諏訪太鼓講座 講師 小口 大八氏
秩父屋台囃子講座 講師 高野 右吉氏
締太鼓講座 講師 長谷川 義氏
○基本講座
総合指導 講師 古屋 邦夫氏
3級基本講座 講師 安江 信寿氏
4級基本講座 講師 若山 雷門氏
5級基本講座 講師 松枝 明美氏
講師 渡辺 洋一氏
第2期公認指導員更新研修会を開催(福島)
公認指導員のための更新研修会が第18回日本太鼓全国講習会に併せて行われ、東北地方をはじめ全国から75名の公認指導員が参加しました。
参加した公認指導員の皆さんは、指導者の心構えや指導方法のあり方の重要性について再認識されていました。また、全国から参加した仲間との、交流を深める姿も見受けられました。
○研修内容
指導者としての心構え(講師 小口 大八氏)
基本打法の指導法(講師 古屋 邦夫氏)
(講師 景山 道隆氏)
太鼓界の現状と今後(講師 小野巽常務理事)
太鼓について(講師 茂木 仁史氏)
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技術認定員検定の結果は次の通りです。
1級検定 35名受検 28名合格 (6名認定)
2級検定 45名受検 35名合格 (12名認定)
3級検定 23名受検 21名認定
4級検定 42名受検 42名認定
5級検定 65名受検 64名認定
2004年1月現在の公認指導員・技術認定員数は以下の通りです。
<公認指導員>
特別2名、1級24名、2級61名、3級114名、総数201名
<技術認定員>
1級24名、2級76名、3級353名、4級595名、5級1,989名 総数3,037名
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期日:2004年2月14日(土)・15日(日)
主催:財団法人日本太鼓連盟
主管:全九州太鼓連合
財団法人日本太鼓連盟長崎県支部
会場:シーハットおおむら(長崎県大村市)
専門講座
御諏訪太鼓講座・・・小口 大八氏(財団副会長・長野県)
大太鼓講座・・・渡辺 洋一氏(東京都)
締太鼓講座・・・長谷川 義氏(大分県)
基本講座
総合指導・・・古屋 邦夫氏(財団技術委員会委員長・長野県)
3級基本講座・・・安江 信寿氏(石川県)
4級基本講座・・・若山 雷門氏(岐阜県)
5級基本講座・・・松枝 明美氏(長野県)
・・・松元 和敏氏(鹿児島県)
受講料:大人10,000円(会員9,000円)
小人5,000円(会員4,500円)
参加費:宿泊する場合 一律14,000円
宿泊・食事4食・記念写真等
宿泊しない場合 一律3,000円
食事2食・記念写真等
申込先:(財)日本太鼓連盟長崎県支部事務局
〒856-0027 長崎県大村市植松3-686-6
Tel/Fax. 0957-53-8803
振込先:西大村郵便局
口座番号 17690 23800011
口座名義 財団法人日本太鼓連盟
長崎県支部
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大和の響き「京」(京都府)代表であり、当財団評議員、京都府支部長でもある富治林浩氏について、技術委員会で検討した結果、同氏は指導力も高く、1級公認指導員に相応しいと判断し昇級が認められました。
これで28人目の1級公認指導員が誕生したことになります。おめでとうございます。
期日:2004年3月27日(土)・28日(日)
主催:財団法人日本太鼓連盟島根県支部
会場:国立三瓶青年の家(島根県大田市)
基本講座:
4級基本講座・・・古屋 邦夫氏(財団技術委員会委員長・長野県)
5級基本講座・・・松枝 明美氏(長野県)
景山 道隆氏(島根県)
申込先:
(財)日本太鼓連盟島根県支部事務局 祝原 志郎
〒690-2701飯石郡掛合町大字掛合1262-1
掛合町役場 総務課内
Tel. 0854-62-0300 Fax. 0854-62-0310
社会貢献者表彰式典
11月4日東京都全日空ホテルにおいて社会貢献支援財団主催の社会貢献者表彰式典が開催されました。この式典は、社会のために尽くされている方たちの功績に感謝し、労をねぎらうとともに、その活動を支援すること、またその功績を広く社会に発信することを目的とするものです。
式典後の懇親会席上で東京都の助六太鼓保存会(代表:今泉豊氏)による演奏が行われ、受賞者、関係者が大変熱心に見入る姿が見受けられました。
(助六太鼓保存会)
2005年冬季スペシャルオリンピックス・キックオフパーティ(長野・東京)
10月14日長野県ホテル国際21、10月22日東京都新高輪プリンスホテルにおいてそれぞれスペシャルオリンピックス冬季世界大会支援者の会主催によるキックオフパーティが開催されました。スペシャルオリンピックスとは知的発達障害のある人たちに、日常的なスポーツ・トレーニングとその成果の発表の場である競技会を年間通じて提供し、社会参加を応援する国際的なスポーツ組織です。この式典は、アジアで初めて開催される2005年冬季世界大会(長野県)に向けてのキックオフパーティとして開催されたもので、長野県では地元のすみれ太鼓(代表:村上八洲氏)、東京都では静岡県の富岳太鼓(代表:山内強嗣氏)がそれぞれ演奏を披露し、出席者から多くの拍手が送られていました。
すみれ太鼓(長野会場)
富岳太鼓(東京会場)
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