会報 第25号
[財]日本太鼓連盟
NIPPON TAIKO FOUNDATION
発行・編集 2004年1月
〒107-0052 東京都港区赤坂1-2-2 日本財団ビル5階
財団法人日本太鼓連盟 理事長 塩見 和子
Tel. 03-6229-5577 Fax. 03-6229-5580
財団法人日本太鼓連盟
会 長 津田 正
新年明けましておめでとうございます。
当財団は、ご承知のように1979年8月に任意法人として発足された全日本太鼓連盟(笹川良一会長)が太鼓を愛する人たちの熱意により、1997年11月に待望の財団法人日本太鼓連盟として設立されました。任意法人であった24年前から日本財団並びにモーターボート関連団体の支援を得て、日本太鼓の伝統伝承および普及、振興をとおして、わが国文化の発展に寄与するため国内のみならず海外においても各種事業を積極的に推進してきております。昨年は会員の皆様のご理解とご協力により所期の成果を上げることができました。先ず、支部につきましては、北海道道南支部と新潟県支部が開設され39支部(36都道府県)となりました。全国規模の大会は順調に回を重ね、新たに文部科学大臣奨励賞が付された第5回総務大臣杯日本太鼓ジュニアコンクール(3月 山梨県支部主管)、第5回日本太鼓全国障害者大会(9月 関東地区協議会、東京都支部、富岳会主管)、第7回日本太鼓全国フェスティバル(10月 石川県支部主管)は関係者の熱意と努力により円滑に行われ、多くの観客に日本太鼓の素晴らしさを実感していただきました。特に、障害者大会には皇后陛下に行啓賜り、演奏終了後には出演者全員に親しくお声をかけていただきました。皇后陛下の優しいお言葉に出演者の皆様は感動し、一生の思い出になると大変喜んでおりました。日本太鼓チャリティコンサート(5月 東京)とともにこれらの大会は、日本太鼓の普及、振興に着実に結びつくものと期待しております。当財団主催の日本太鼓全国講習会は年3回(2月 宮崎県支部主管、6月 静岡県支部主管、11月 福島県支部主管)の開催が軌道に乗る一方、支部主催の講習会も2支部の地域で開催されました。受講生は年々増加の傾向にあり、公認指導員、技術認定員の資格取得者数はそれぞれ201名、3,037名と着実に増えてきております。国際親善と文化交流を図るための海外公演は、先ず6月に日本から2チーム、アメリカから1チームをアメリカのニューヨーク州・国立ろう工科大学で開催された「聴覚障害者教育に関する国際シンポジウム」並びにワシントンD.C.にあるろう者のための学校(ギャローデット大学)に派遣いたしました。この公演は、太鼓が日本の伝統芸能としてだけではなく、ろう者の方にとって音楽を楽しむ一つの手段として親しまれていることを、より多くの方々に知っていただくために実施したものです。8月にはロシア・モスクワにおいて行われた世界糸東流空手道選手権大会に太鼓チームを派遣し、世界27カ国から参加した人たちに日本太鼓を披露いたしました。
2004年は、当財団が設立7年を迎えるにあたり日本太鼓の普及重点策を明確にしていく必要性があると考えます。それは特に子供に対しては教育の場で、障害者には療育の場でそれぞれ日本太鼓の普及を図っていく機会を多く設けていくことです。既に中学校、高等学校において文部科学省の「学習指導要領」の改訂に伴い、太鼓などの和楽器の音楽学習が行われております。全国の太鼓団体の指導者が教育委員会や学校からの要請を受け、中・高校を問わず多くの学校で日本太鼓を教えております。当財団としても全国の教職員を対象とした「教職員日本太鼓実技研修会」の開催を、ここ2年間の実績をもとに、助成金制度を充実させ、各支部に実施のお願いをしているところです。障害者による太鼓演奏やその響きは、障害者大会はもとより、前述した海外においても、療育としての効用が評価されております。富岳会では日本財団の支援を得て「機能回復訓練棟」(通称・富岳太鼓パレス)を完成させ、さらに充実した内容で知的に障害を持たれた方の療育等を目的に太鼓による活動を行っております。長野県支部では、小口支部長が率先して多くの障害者施設での指導に当たり、定期的に演奏会を開催し地域で感謝されております。このように障害者の方に一人でも多く日本太鼓の響きを体験してもらいたいものです。海外の拠点づくりについては、ようやく構想が固まり年内に北米のアメリカ太鼓連盟と南米ブラジルの太鼓連盟開設の準備が整ってきております。国内の支部未開設の11府県については、引き続き関係者の協力を得て鋭意開設を目指すこととしております。全国大会等定例の事業につきましては、外部の声を聞き実施内容等を研究し、前年以上の成果を期していくため支部並びに加盟団体との協調連携をさらに強め、前進してまいる所存ですので、会員の皆様の協力を重ねてお願い申し上げます。
終わりに、皆様のますますのご健康、ご繁栄を心からご祈念申し上げ、新しい年を迎えてのご挨拶といたします。
〜第7回日本太鼓全国フェスティバルを開催〜
(開場を待つ観客の列)
2003ビエンナーレいしかわ秋の芸術祭に協力して第7回日本太鼓全国フェステイバルが、10月12日に石川県金沢市石川厚生年金会館にて、1,600人の観客を集めて盛大に開催されました。
今回は、主催・(財)日本太鼓連盟、2003ビエンナーレいしかわ秋の芸術祭実行委員会、石川県、(財)石川県芸術文化協会、主管・石川県支部、(社)石川県太鼓連盟、北國新聞社、後援・文化庁、金沢市、北陸三県太鼓協会等のもと行われました。
当日は天候に恵まれ、観客の出足も好調で、早くから多くの観客で会場は埋まりました。演奏前に観客が見守るなか、主催者側を代表して当財団塩見理事長の挨拶、続いて石川県新宅県民文化局長よりご祝辞をいただき、いよいよ開演となりました。
先ずは、今年8月にロシアにおいて公演を行った宮崎県「橘太鼓響座」による演奏に始まり、愛知県「尾張新次郎太鼓保存会」が、笛の音に合わせバチを回転させたり、飛ばしたりと、見事なさばきを披露しました。第5回日本太鼓ジュニアコンクールにおいて32都道府県38団体のトップに輝いた長野県「信濃国松川響岳太鼓子供会」は優勝チームらしく表現力・芸術性溢れる熱演が好評でした。
続いて、現在までに30数カ国で海外公演を行っている東京都「太鼓集団天邪鬼」の実績に違わぬ見事な演奏、400余年の伝統を誇る東京都「八丈太鼓六人会」の独特なリズムによる個性的な演奏、埼玉県「秩父祭屋台囃子保存会」の県重要無形文化財にも指定されている豪快なリズム、大分県「ゆふいん源流太鼓」の迫力ある大太鼓、と次々に披露される地域の特色と工夫を凝らした個性豊かな演奏に、観客は圧倒された様子でした。出演者たちの白熱したバチさばきに、観客が思わず声援を送る場面もあり、各チームの演奏が終了するたびに感動の拍手が会場を埋め尽くしました。
プログラムも順調に進み、出場8団体のラストを飾ったのは総勢200余名に及ぶ石川県太鼓連盟合同チーム「加能の響き」による演奏でした。加賀の虫送り太鼓、能登のまつり太鼓、能登の名人による太鼓と、バラエティに富んだ石川県伝統のリズムが披露され、クライマックスは全員による勇壮な揃い打ちで締めくくりとなりました。
最後は、財団役員並びに出演者全員が舞台に上がり、池田副会長の手締めでフィナーレを飾りました。公演終了後、観客の方々から「太鼓の響きに改めて感動した」「何となく来てみたけれど、今は太鼓の魅力を知った」等の言葉も聞かれました。
このような声が聞かれたのも、石川県支部の役職員並びに会員の皆様、そして出演団体をはじめとする関係各位のご協力のお陰と感謝いたしております。
「息を合わす」
手取亢龍太鼓保存会・フェスティバル舞台監督
安江 信寿
第7回日本太鼓全国フェステイバルが石川県で開催されることとなりました。石川県太鼓連盟ではフィナーレに合同演奏「加能の響き」を220名で演奏することが決まり、直ちに出場チームを募集。初回打ち合わせを行い、各チームに譜面と練習スケジュールを配布しました。1月から3月までは初参加の方々の特訓、9月の合同練習を目指して、各チームでの自主練習がスタートしました・・・。
石川県では、昔から「能登の雨乞い、加賀は虫送り」と言われ太鼓が盛んでした。曲中の能登の響きでは、無形文化財に指定され、太鼓打ち競技会で大関位の打ち手が口能登伝統のリズムを、また、加賀の響きでは加賀平野に伝わる虫送り太鼓を、客席上手より金沢百萬石太鼓、下手から松任出城虫送り太鼓保存会が、それぞれ大桶胴太鼓を担いで登場、ステージ上でぶつかり合います。
いよいよ1回目の合同練習。
「わしの場所どこや?私は?今日は太鼓持って来てないけど」等々・・・。とにかく自主練習の成果を、と思ったが、まず皆の心を一つにと、自己紹介から。年齢も5歳〜70歳と幅広い。全員体育館に座って膝を叩いて掛け声、リズムの確認、いよいよ太鼓に向かって打つ。右側のチームが速くなる、今度は締太鼓が遅い、声が小さい。約4時間の練習、皆ぐったり。次回は来週の日曜日1時から。帰りはニッコリ。
2回目の合同練習。前回来ていなかったチームが、「わしの場所は?私はどこ?」からスタート・・・。
大太鼓、締太鼓、長胴太鼓担当をとりあえず決める。一生懸命、大きい声出せ、周りの音を聞け、身体でリズムを取れ、笑顔で、息を合わせ。心ひとつ、無事終了。次回も来週の日曜日です。・・・返事が重い。
3回目終了。4回目、いよいよ最後の合同練習。
今日は皆の顔が今までと違う。多分自主練習して自信を付けてきたみたい。練習終了。いよいよ来週本番です。20分間のステージ楽しみましょう。
(石川県太鼓連盟揃い打ち)
「加能の響きのスタートです」緞帳が上がる。大太鼓スタート・・・。皆良い顔している。息を吸うところ一緒、息を合わせている。全員身体中で打っている、心ひとつ、笑顔、笑顔、全員、目が潤んでいる。今はステージから降りたくない、ずっとこのまま。
演奏終了、御陣乗太鼓の名手、財団の池田副会長が挨拶。「わしゃ、うれしい・・・」と感涙。この一言でみなもらい泣き。
(フィナーレ)
・橘太鼓 響座 (宮崎県)
・尾張新次郎太鼓保存会 (愛知県)
・信濃国松川響岳太鼓子供会 (長野県)
・太鼓集団天邪鬼 (東京都)
・八丈太鼓六人会 (東京都)
・秩父屋台祭囃子保存会 (埼玉県)
・ゆふいん源流太鼓 (大分県)
・石川県太鼓連盟合同チーム 「加能の響き」(石川県)
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ビデオ購入希望の方は(財)日本太鼓連盟石川県支部事務局までお問合せ下さい。
・石川県支部事務局 得能 力知
Tel/Fax. 076-229-1433 携帯090-3297-6012
金額 3,500円(送料・税込み)
第8回日本太鼓全国フェスティバルは2004年9月19日(日)天童市市民文化会館(収容人数1,100名)において山形県支部主管により開催を予定しています。なお、本フェスティバルは東北地方で初めての開催となります。
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