〜型式から見た船の呼び名〜
保津船(ボツブネ)
北海道西海岸のニシン漁に使用された和船。明治前半には小型であったが後に大型化し、当地方で使用される船の中では最も大きな船。起こし船・枠船・汲み船として使用された。
三半船(サンパセン)
日本海沿岸でニシン漁に使用された和船。大型の船で、特徴として舳(みよし:船の先端)が船べりより30〜60cm程突き出ている。この舳がニシン漁操業の邪魔になるとして、当地方では大正末期以降作られなくなった。起こし船・枠船・汲み船として使用された。
川崎船(カワサキセン)
東北・北陸地方から導入された和船。あまり大型ではないものの帆走が可能で、他船の曳航や刺網に使用された。
図4 沖揚げ作業の時の船の位置
図5 ニシン汲み上げの時の船の位置
磯舟(イソブネ)
使用される船の中で最も小型の船。沖合の船と陸との連絡や定置網の維持管理、刺網などに使用された。
〜使用用途から見た船の呼び名〜
起こし船(オコシブネ)
定置網の網を手繰ってニシンを網の片側に追い込んでいく作業をする船。製作時に網を手繰る作業をしやすくするため「起こし立場板」が取り付けられている事が多い。
枠船(ワクブネ)
枠網と呼ばれる網を船体下部海中に吊り下げて、この中にニシンを入れ運搬する船。このため大きな浮力が必要で大型の船が多い。船べりの内側に枠網を吊すための「枠桁」が取り付けてある。
汲み船(クミブネ)
枠網からニシンを大タモで汲み上げ船上に積み込み、陸に運搬する船。
通い船(カヨイブネ)
沖にいる起こし船や枠船などに食料や足りなくなったものなどを運搬する。また陸との連絡役も兼ねる。
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