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オオモンシロチョウ
 オオモンシロチョウは1995年頃に共和町など後志地方で見つかって以来、わずか5年ほどで全道一円と青森県に広がった蝶です。今では、小樽で最もありふれた蝶になり、白い蝶を見かけたら8割はこの種類だと思ってもいいくらいです。
 もともとはヨーロッパからヒマラヤにかけて分布していた蝶で、長距離を移動することと、キャベツの害虫になることで世界的に有名な蝶です。ユーラシア大陸の東北部には分布していませんでしたが、近年、沿海州にまで急に分布を広げ、さらに日本にまで入ってきました。非常に飛翔力の強い蝶で、400キロメートルくらい移動できるといわれています。
 沿海州から日本へは、日本海を越えて自力で飛んできたという説が有力で、この展示のテーマである「外来種」とは厳密には異なる生き物です。しかし、ヨーロッパから急に分布を広げた経緯には、食草であるキャベツなどの野菜の栽培が深く関わっていると考えられます。
 食草は、キャベツやケールなどの、栽培されるアブラナの仲間が中心で、特に家庭菜園や自給のための小さな畑で幼虫がたくさん見られます。このような畑が増えたことで、定着に必要な環境が用意されたのかもしれません。また、ハルザキヤマガラシやキレハイヌガラシなどの帰化植物でも幼虫が見つかります。
 
オオモンシロチョウのたどった道のり
本来はヨーロッパから南アジアに分布していましたが、突然、極東ロシアに現れ、日本海を渡って日本に定着しました。
 
 
オオモンシロチョウ♂
 
オオモンシロチョウ♀
 
モンシロチョウ
モンシロチョウとははねの先端の黒い模様が違うことで区別できます。モンシロチョウが三角形なのに対し、オオモンシロチョウは三日月形です。
また、オオモンシロチョウのオスは前ばねの中央に丸い紋がないので、すぐにモンシロチョウと区別できます。
いずれも小樽市産
[小樽市博物館所蔵]
 
 
オオモンシロチョウの幼虫
モンシロチョウの幼虫はおなじみの青虫ですが、オオモンシロチョウはこのような毛虫です。卵も塊で産み付けられるので、大きな集団になります。
2003年6月 港町埠頭







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