キリ 北前船に乗って
小樽の街なかには、いたるところにキリの樹が見られます。もともとは北海道には自生しない植物ですが、江差や伊達など、北海道では古くから街として栄えた場所で野生化しているようです。
美しい紫色の花を咲かせる大木も目立ちますが、電柱の根元や民家の庭先に突然幼木が生えてきたりもします。完全に小樽に定着し、世代を繰り返しているようです。
小樽のキリのルーツは不明です。しかし、江差では江戸末期からニシン漁の浮子などをつくるために本州から持ち込まれ、植えられたということです。北前船の寄港地である小樽のキリも、こうした時代に本州から持ち込まれた可能性が高いと考えられます。
2002年5月15日 堺町
2002年5月15日 色内1丁目 小樽市分庁舎の前に現れたキリの稚樹 |
セイヨウオニアザミ・トゲチシャ
小樽在住の植物研究家、松木光治先生(元・潮綾高校教諭・故人)は小樽に帰化植物が多く見られることにいち早く気づき、1960年に小樽の帰化植物55種を記録しています。この中で、アメリカヒレアザミ(現在セイヨウオニアザミと呼ばれる)、トゲハニガナ(現在マルバトゲチシャ)を日本新発見の帰化植物として報告していますが、これらの植物は現在では各地に分布を広げており、全国でふつうに見られる植物になっています。小樽から広がり一番繁栄している外来種のひとつです。
日本で発見された当時のセイヨウオニアザミ(アメリカヒレアザミ)の標本 小樽市富岡町 昭和22年採集
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同じくマルバトゲチシャ (トゲハニガナ)の標本 小樽市富岡町 昭和24年採集 |
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