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4. 小樽の帰化植物
小樽港に咲く花
 小樽港は海を埋め立てて作られた造成地で、隅から隅までをコンクリートで囲まれた人工的な空間です。トラックやフォークリフトが行き交う港内には、生き物の気配など一切しないように思われます。しかし港内を歩いてみると、道路の隅やちょっとした空き地にたくさんの植物が美しい花を咲かせているのに驚かされます。もちろんこれらの植物はだれかが植えたものではありません。いつのまにかここに運ばれ根付いたものです。
 小樽市博物館では2年前の2001年、港に生息している植物の調査を行い、180種類もの植物を確認しました。このうちおよそ100種類が、いわゆる帰化植物と呼ばれる、外国から日本に入った外来の植物でした。これらの中には、北海道ではここでしか確認されていないものをはじめ、他の地域ではなかなか見られない珍しい植物も含まれます。
 港に見られる植物の多くは、港に集まる荷物や、港の整備のため持ち込まれる客土や砂利、張り芝などに紛れて運ばれてきたものです。こぼれだした飼料や穀物などもそのまま道ばたで育ち、花を咲かせています。また、埋め立てによりできた広大な空間は、帰化植物のような人工的な環境に適応した生き物にとって、まさに絶好の生息地です。あるものは遠くの土地から、あるものは近くの山からさまざまな経路で運ばれ、広々とした邪魔者のいない空間に、無国籍な花畑を作り上げています。
 
勝納埠頭
 
 
港町埠頭
 このような港の空き地にはたくさんの帰化植物が見られます。特にこの二つの埠頭には広々としたスペースがあり、帰化植物だけではなく、どこからともなく運ばれてきた山や森の植物も見られます。彼らの多くもまた何らかの人為的な経路で運ばれてきたはずで、「外来種」と呼ぶことができるでしょう。
 
 
港の植物調査
 
2001年6月23日
 
7月28日
5月から8月まで約20名が参加して小樽港の植物調査を実施しました。約180種の植物を見つけることができました。







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