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学童クラブの児童の地域活動
 学童クラブ『未来』の子どもたちは、世代間交流及び地域活動の一環として、様々な伝承文化事業メニューの中でも活動しております。その世代間交流の主とした対象者は子どもたちの祖父母はもちろん、地域の敬老会や婦人会、独居老人の方々となっております。
○ゲートボール大会
○地域交流活動
○七夕祭り・十五夜祭り・しめ縄作り・餅つき大会
※それぞれの活動内容については、資料「放課後児童の活動と地域活動事業」をご覧になってください。
 
 これらは、昨今の核家族の増加に伴い、家庭内における世代間交流の希薄化に鑑みたもので、子どもたちは地域の文化に『遊び』ながら触れる機会を獲得し、お年寄りにはそれぞれの得意技を発揮してもらうことで、子どもたちと接する時間を楽しんでもらうことを目的としています。しめ縄作りなどでは、真剣で生き生きとした老人の方々の姿がありますし、その手の動きを興味深く見つめる子どもたちの目は本当にキラキラと輝いております。
 
地域活動の拠点としての保育所
 保育所が担える地域活動を考えるとき、地域の方々が、保育所や児童館という実は身近な社会資源を利用しながら、地域の親交を深め、より活力ある地域活動に結びつかないかということをテーマとしております。
 現在、保育園、児童館ともに公民館代わりとして、はたまた地域行事の開催場所として、施設や園庭を開放することで集会所的な役割を担っています。具体的には町内会や婦人会の定例会の会場、十五夜なども行われます。そうして、幅広く地域の方々に利用してもらうことで、保育所・児童館の活動や役割を同時に理解してもらう。ひいては、子どもの育ちや地域の子育て状況により興味を持ってもらうことに繋がることを期待しています。
 また、現在週に1回、3つの「幼児サークル(母親クラブ)」のグループの方々に施設を利用していただいております。このグループは、地域の在宅で子育てされているご家庭を対象としています。それぞれのグループは、子どもの年齢ごとに分かれた活動をされており、保育士が年齢に応じた親子遊びや、読み聞かせ、お遊戯などを毎回約2時間ほど提供いたします。こうした利用者の方々は、クラブ活動のない日でも親子で園庭に遊びに来られたり、お弁当を持って絵本を読みに来たりされております。幼児サークルで知り合った利用者の方々同士で悩みを相談されたり、自分の育児のあり方を再確認したり、井戸端会議をして息抜きをしたりと、それぞれに輪が広がっているようです。また、グループを利用した後、子どもが小学校に上がるようになると、グループ活動の経験を活かし、育児サポーターとして活動されている方々もいらっしゃいます。
 園として地域を対象に行う行事の1つに、「子どもわくわくフェスティバル」があります。これは、保育園の保護者、幼児サークルの利用者、学生・地域ボランティアの方々、町内会等の地域会が中心となり、バザーや作品展示、創作活動や演舞に演奏、手品やお化け屋敷といった催し物を準備し、園児・学童・地域の子どもたちはもちろん、近隣の養護施設等の子どもたち、地域の方々全てに集まって、楽しんでもらえるような活動をいたしております。
 
放課後児童の保育と今後の展望
 まず、今後の学童クラブの活動として、より一層の子どもたちの主体的な活動の促進のために、『こどもエコクラブ』活動の対外的な交流を目指していきたいと思っています。今までの活動を客観的に振り返ってみると、どうしても学童クラブの子どもたちの中だけで終始してしまっていた感があります。過去に近隣の河川の水質調査等を活動として取り入れたこともありましたが、それを対外的に発表する場をもたせてあげられませんでした。せっかくの活動の成果を発表したり、公開したりする場所や機会を持てれば、子どもたちもより一層主体的に、そして意欲をもって活動していけるのではないかと考えています。エコクラブ活動に取り組んでいる外部の学童クラブを問わず、それぞれのクラブの情報交換や活動発表を行う機会をもつことができないか模索していきたいと思います。ただ現在、近隣にはそうした活動を行っているクラブがないようですので、光ケーブルによるインターネット回線を通じてのTV会議システム等を利用して、遠隔地の学童クラブとの交流も視野に入れていきたいと思っています。
 その他、課題の一つとして障害を持つ子どもたちの受け入れのための準備を進めたいと考えています。当学童クラブにおいても平成15年度において、一名の障害児の受け入れの実績がありますが、十分に地域ニーズに応えているとは言えません。保護者の方々の自主的な活動において保育されておられるのが現状であります。当学童クラブでは、受け入れに際して主として職員の配置の問題が最大のネックとなっております。放課後児童クラブ活動は、障害がある児童を持つ親にとりましても、子育てと就労の両立支援と子どもの健全育成という面から重要なものであることは間違いありません。国による『障害児受入促進試行事業』の内容の一層の充実を願うのは当然として、施設内においても職場内研修の充実や外部研修等への参加、障害児者施設とのより一層の連携を取りながら職員の資質の向上等を図り、受け入れ態勢を整えていきたいと考えております。
 学童クラブの活動におけるもう一つの課題として、小学校の完全週休二日制が実施となり、そのニーズがますます高まっているということです。利用希望の増加はもとより、土曜日の子どもたちの居場所・受け皿として、保護者の方々及び社会的にもその機能に期待が高まってくるものと思われます。子どもたちにとっても、居場所として長時間化する学童クラブでの生活を充実していくことは言うまでもなく、そうした社会的な期待に応えていけるよう、新しい活動メニューや幅広い子どもたちの活動を模索しつつ活動していかなければと感じています。
 
保育所における地域活動と今後の展望
 現在でも保育所は地域の育児支援に努めなければならない旨、児童福祉法に明記されております。過去、当福祉会ではそうした役割は児童館を中心として担ってまいりましたが、今後は保育所と児童館のより一層の連携のもとに、今まで以上に地域に開かれた保育所として、また真の意味で『いつでも誰でも利用できる』ような体制の整備を推進していきたいと考えております。
 また、育児に悩んだり、困窮した末に訪れる利用者の方々を、ただ保育園で待っているだけではなく、こちらから地域に出向いて行くような活動も計画しているところであります。具体的には『保育の出前』です。例えば『「遊び」の出前』とか、『読み聞かせの出前』、『親子遊びの出前』といった内容で、地域の在宅の育児家庭の親子に集まってもらって、そこで保育を展開してみたいと思っています。真に子育てに孤立している方々は、この情報化社会の中にあっても、意外に地域の児童福祉施設などで行われている子育て支援サービスをご存知でなかったりしています。若しくは、情報として入手していても、保育所入所などの社会的に浸透した福祉サービスはともかく、育児クラブや母親クラブといった形での施設利用の第一歩はかなり勇気が必要な場合もあるようです。そうした方々に対して、私たちの方から積極的にアプローチしていくことも必要であると感じています。将来にわたって、子育てサポーターの地域一番店として、地域の方々に信頼を寄せてもらえるよう、邁進していこうと思っております。子どもたちが生き生きと子どもたちの『遊び』の世界の中で輝き、経験し、成長する。そして保育園と保護者が共に子どもたちの育ちを見つめ、保護者にもっと子育ての楽しさを感じてもらい、保育園も親も支え育ち合う場として機能していけたら素晴らしいと考えています。
 最後に、こうした子育て支援活動を通して、子どもたちと保護者、そして地域とともに歩む道程の中で、地域がかつてもっていた育児能力が再生され、再び産み育てやすい地域社会となってくれることを願ってやみません。







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