II 放課後学童保育の具体的な実践例
のぼり児童館での放課後学童保育事業は、保護者が仕事や病人・お年寄りの介護のために放課後家庭で養育できない学童の健全育成を事業目的としています。現在、1年生から4年生まで100名の登録学童を児童館内で保育しています。また一日(一時)利用も可能ですので、毎日100名を超える学童が来館しています。開設時間は、通常日は下校時から夜7時までで、土曜日および長期休暇中は9時から7時まで保育をしています。土曜日および長期休暇中、朝7時から9時までの早朝保育の希望者については、登り保育園の早朝保育園児と一緒に保育してもらうことが可能です。利用者数は、初年度(平成8年度)1年生から4年生まで6人の受け入れで始まりましたが、その後20名、40名、60名、80名というように年々希望者が増加してきました。その理由として、お母さんが安心して仕事が出来るように保育時間が午後7時までと長時間であること、保育時間中は隣接している登り助育センター(スポーツ・文化の総合センター)にも通えることが出来ること、またサッカー(週1回)、和太鼓(月2回)、体育遊び(毎金曜日)、の専門の講師による無料指導もあり、安心して自由に遊び、交流できる場所であることだと考えられます。
この2、3年前から登録の希望者が100名前後になってきたのを受け、より広い空間を確保するため、遊戯室などの遊び場を平成14年12月に増築しました。遊戯室は従来の2倍の広さになり、新たに室内滑り台やぶら下がって遊ぶ遊具を設置した部屋など、260平方メートルも増設しました。部屋と屋外広場をつなぐ出入り口に、スペースシャトルの形をした扉を設置するなど、子ども達が楽しめるデザインにしました。
学童クラブの方針と基本理念は、『自分で考え行動する』『最後までやりぬく力をつける』『思いやりの気持ちをはぐくむ』です。一日の生活の流れは、学校から帰ってきたらまず宿題をし、それから館内で自由に好きな遊びをして過ごします。また、館内生活だけでなく、登り保育園のチキチキ広場へ遊びに行って、保育園の年長組とボール遊びなどを一緒にしたり、3、4年生の女の子は保育園の乳児組の部屋へ遊びに行ったりもしています。6時までは児童館で過ごし、6時以降も保育の必要な学童は、登り保育園内で園児たちと一緒に7時まで過ごします。
次に、平成14年度ののぼりクラブ行事を述べたいと思います。
4月2日に入館式を行い、92名の出席でした。新入生の自己紹介・職員の紹介・館内でのルールや注意事項などの説明を行いました。
4月17日は、新入生歓迎会を2階体育館で行い、在館生の得意技(空中手乗せのこま回し・縄跳びでの二重跳び・体操の演技・一輪車)を8名が披露し、司会も自分達で行いました。新入生の中から「わー、すごい!」という歓声が上がっていました。
同じく4月17日には、新入生の保護者懇談会を行い、21名の保護者が来られました。自己紹介と子ども達の最近の様子を聞き、また児童館での様子を話し合いました。
6月26日と10月22日には、保育園の年長組と体育遊びを通して交流会を行いました。リレーやゲーム、転がしドッチなどを一緒に行いましたが、リレーでは1年生と年長組で対抗した結果、1年生が負けてしまいました。
7月28・29日に、館内でのぼりっ子合宿を行いました。77名の出席者でした。この行事はのぼりクラブの子ども達の親睦を深めるため、夏休みの一大イベントとして毎年企画しています。また合宿中は全て班(10人程度)で行動することを心がけ、班長・副班長が自分の班をまとめる力を養うことも狙いとしています。初めにオリエンテーションをし、その後みんなで夕食のカレーをお母さん達と一緒に作って食べました。いっぱい作ったカレーもあっという間に無くなり、いつもより食欲が多い事にびっくりしました。そのあとは映画『シュレック』を見たり、広場で打ち上げ花火をしたりしました。花火の手伝いを卒館生と高校生のボランティアがしてくれ、10連発の花火を見た子ども達からは、何度も大きな歓声が上がっていました。それぞれが寝る準備を始めたころ、喘息が出た子どもや寂しくなって帰りたいと言い出す子がいたりしたので、保護者の方に迎えに来てもらいました。また4年生は1年生を寝かしつけてくれました。翌日、朝食(パン・ジュース)後、ラジオ体操や体育遊び(ドッチボールなど)をし、9時からスライム作りをしました。スライム作りでは材料の分量を量ったり、液を入れたりする作業を4年生が全てしてくれました。初めてスライムを作った子もいて大変面白がっていました。解散のとき、お迎えに来られた保護者の方はとても心配そうでしたが、子ども達は「楽しかった!」と口々に言い、お母さん方もほっとした様子で帰られました。
8月27日には、お楽しみ遠足として京都市青少年科学センターに83名が電車に乗っていきました。館内は広く、大型の恐竜を見て驚いたり、普段はできない科学の実験をあちらこちらでしていたりしましたし、地震の震度の揺れの体験ができるコーナーには、のぼりクラブの子ども達で行列ができていました。子ども達は、みんな目を輝かせて館内を自由に遊びまわっていました。昼食は館内に場所を取っていただいていましたので、全員一斉に食べることができました。午後からプラネタリウムを見ましたが、1年生にとっては暗くなった室内が物珍しかったのか、星を鑑賞する意味が理解できず少し騒がしかったので、職員は注意して回りました。またこの日は全員のぼりクラブの名前入りTシャツ着用を徹底していたので、電車内でも科学センター内でも目印になり、とても良かったです。
9月15日の敬老の日に、おじいちゃんおばあちゃんにはがきでお便りを書き、送りました。
10月13日には、保育園の運動会に参加し、つなひきと玉入れをしました。
12月14日には保護者10名と一緒に館内の大掃除をしました。保護者の方には、日頃手の届かない窓や蛍光灯などをきれいにしてもらい、子ども達は床を磨いたり、外回りの溝をきれいにしたりしてくれました。限られた時間での作業だったので、次回からはもう少し人手を増やしたほうが良いと思いました。
12月24日には、クリスマス会を行い、お昼にみんなでカレー作りをし、昼からはゲームを行いクリスマスプレゼントを渡しました。クリスマスプレゼントの費用は、のぼりフェスタで保護者の方にヨーヨー釣りをしてもらった売上金を充てました。
平成15年1月6日は、近くの氏神様の許波多神社へ歩いて初詣に行きました。
2月3日に館内の遊戯室で豆まきをしました。
3月3日はひなまつりとして折り紙でお雛様などを作りました。
3月6日は平成15年度のぼりクラブ入館生の保護者説明会を行いました。保護者29名が出席され、新入館生の保護者がほとんどでした。のぼりクラブの内容を説明し、質問等を受けました。御蔵山小学校の保護者の方からは、帰り道(小学校から児童館)が長いので一人で帰らせるのが心配だという方がおられました。児童館では2人以上で帰ってくるように指導しています。
3月16日には、お別れ会としてアクトパル宇治(宇治市西笠取)へ行きました。昼食準備に火床にマキを入れて火をおこす時、火のおこし方を知らない保護者が多く、「木なら何でも良いかと思っていたのですが、乾燥した枯れた木や廃材が良いのですね」と驚かれていました。みんなで出来たてのカレーや豚汁を一緒に食べ、あいにくの雨だったので、午後からは体育館でドッチボールやリレーや大縄跳びをして遊びました。
3月20日に、卒館生10名にみんなで書いたメッセージを渡し、卒館式を行いました。
体験学習として、2月4日に、宇治市立東宇治中学校2年生女子10名を受け入れました。午前中は赤ちゃん広場の乳児と遊んだり、またサークルで使用する教材(買い物ごっこの品物)を製作してもらったり、午後からはのぼりクラブ生と一緒に遊んだりして、一日児童館を体験してもらいました。中学生達は、赤ちゃんのあやし方がわからずどうしていいか分からない子がいましたが、クラブの子とはよく遊んでいました。今後も、福祉体験学習は受け入れたいと思っています。
育児相談や問い合わせは、登り助育センターでのお稽古事について・忘れ物が多い・帰宅時間が遅い・子どもが反抗的でいうことを聞かない・いじめ・登校拒否の問題・児童館へ行くのを嫌がるなどの相談がありました。昨年度の評価として、人数が増えてきたので安全面での目配り・帰宅時間の手落ちがないように工夫しました。御蔵山小学校の場合、学校からの帰り道での買い食い、いたずら(植木を割る・玄関チャイムを押すなど)、いじめがあり指導しました。
昨年度ののぼりクラブ登録者数は94名(内、3分の2が1・2年生)でした。週休2日制になり、土曜日の出席者数は平均25名くらいになりました。それから、午後6時から7時の延長保育利用者の一ヶ月の平均利用者数は10名で、一ヶ月延べ回数は32回です。のぼりクラブでは一日(一時)利用者も受け入れており、1・2・3年生の利用が多く、利用者数は一年間を通して32名あり、利用延べ日数は327日でした。
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