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II 放課後児童の保育
児童クラブの概要
保育時間 下校後〜22時
対象 小学校1年生から3年生
 
児童クラブ沿革
平成2年10月 「石川県留守家庭児童保育試行事業」の実施指定園となる
平成3年4月 小丸山保育園で学童保育開始
 保育児童10名
平成11年3月 小丸山保育園一時預かり
  地域子育て支援センター
  コミュニティー児童館完成
平成11年6月 名称をチャイルドケアハウス小丸山とする。
  小丸山児童クラブをチャイルドケアハウスで始める。
 
[児童クラブ基本方針]
 小学校に通う児童の放課後と学校休業日の生活を守るのが、児童クラブです。子ども達が安心して充実した生活が送れるよう、小丸山放課後児童クラブでは、小丸山保育園との連携のもと子ども達の成長発達を助けていきます。
 異年齢の仲間といろいろな遊び・行事・課外活動に参加し、自信・思いやりを育み、心豊かな子どもに育てていきます。
 
1. はきものを揃える
2. 「はい」としっかり返事をする
3. 姿勢を正しくする
4. 好き嫌いをしない
5. 仲良く遊ぶ
 
[事業活動内容]
1. 学校就業日(月〜金)は、放課後保護者の勤務に応じた時間まで希望保育ができます。
2. 学校休業日(土、日、祝日)は、必要に応じ受け入れます。
3. 学校長期休業日(夏休み・冬休み・春休み)は、午前8時30分〜午後5時30分までです。
 
(1)小丸山保育園、児童クラブの始まり
 ある雨の日、小丸山保育園の卒園児が、首から家の鍵をぶらさげて保育園の玄関から中をのぞいています。気付いた園長先生が「今から帰るの・・・」「うん、家に誰も居らん」と寂しい表情。園長先生は、「気を付けて帰ってね、よそ見しないで帰るんやよ。お家でお母さん待っとれんよ」とその子を見送りながら、心の中に家でひとり留守番をする鍵っ子の様子が浮かび、「お帰りを言って迎える場所があったらいいのにな」と思いながら、放課後に保育園の前を通る子どもに励ましの言葉を掛けていました。
 平成2年、以前より延長保育を受けていた子どもの保護者から「卒園してからの保育をして欲しい」というの要望もあり、保育園で留守家庭児童預かり保育が始まります。
 
(2)児童クラブの生活
 児童クラブに入所する以前は、子どもは放課後、家に帰っても子どもだけで過ごしています。
 核家族、両親共働きの環境では仕方のない事と誰もがそう思っていました。保育園では安心して過ごしていた子どもが、小学校に入学するとその生活リズムは大きく変化し、親子は緊張感、不安感をかかえて過ごさなければならない日々を送っています。
 保育園の一室で、数名の子どもが下校後集まり、保育士に見守られながら放課後を過ごす事になり、親の安心感は増し、利用者も少しずつ増えました。
 保育園で園児との共同生活は、子どもにとっては満足できる環境とは言えず不満も感じます。しかし、集団生活は子どもに温かい環境であり家庭的な雰囲気を感じさせてくれる場であり、1人の寂しさを感じない場にもなっています。
 保育園での生活は、誕生会、課外活動、室内遊びのどれも家庭的な雰囲気です。おやつ作り誕生会、雛祭り会、室内での共同製作、活動は、安全性・健康管理・情緒の安定・社会性を養うことを基本としています。
 平成7年には七尾市に児童クラブは2ヶ所での実施でしたが、平成12年には9ヶ所になり、クラブ員数も13人から115人と七尾市の統計に記載されています。その後、児童クラブとしての施設は増えていませんが、児童入所数は増えています。小丸山児童クラブでは、平成13年は36名、14年は32名です。学校の長期休暇の一時的入所、学校区域が違う子どもの入所も可能です。
 
(3)児童クラブの活動内容
 平成11年に、保育園から100m程離れた高台に「チャイルドケアハウス小丸山」が完成。児童クラブは移転して、保育園からは独立した環境の中、新たな活動が始まったのです。
 建物は木造鉄筋で、外観はログハウスのようです。中に入ると木の香りがして心を和ませてくれます。人数が増えても対応ができ、児童クラブ独自の活動が確保できる事は、新しいクラブの雰囲気を活気あるものにしていきました。
 保育園での共同生活の良さを引き継ぎ、保育園の行事参加、保育活動(太鼓・漢字教育・地域ふれ合い活動・伝承文化を習う)などを共通の活動として取り入れています。
 食育、栄養は乳幼児期から大切にするという考えから、児童も保育園に移動して保育園児と同じ給食を食べています。就労家庭にとっては、栄養面で偏りが少なくなり何を食べているのかという心配がなく、子どもの健康を考えると安心できる環境だと好評です。
 
(4)児童クラブの子どもの姿
 児童クラブは集団行動が多く、移動も自分勝手な行動は危険につながることを強く指導します。一人の勝手な行動が命に関わる出来事になる事も知らせています。
 チャイルドケアハウスを開設した1年目、子どもは近くの川の側に行く、館外に勝手に出ていく。壁や戸を蹴る。「バカー」「むかつく」荒っぽい言葉使いも聞かれました。どうして言葉も行動も乱暴なのと悩んだ時、園長先生は穏やかに、子どもに接して「どうしたの」と聞き、「何もないー」と言い逃げ出す子どもの姿を見て、「必ず何か原因があるはず。それが分かってもらえない事で反抗的になっているのではないのかしら・・・心から子ども自身の気持ちになって考えてみて」。この言葉は、職員の意識を変えるきっかけとなりました。
 子どもと話し合いの場を持つ。活動を見守る。子どもの側にいて、子どもと同じ立場で考える。私達の児童に対する保育の基本姿勢を見直すことにしました。
 指導員、保育士は『子どもに大人の価値観を押し付けず、否定的な捉え方はしないで子ども個人を受け入れよう』という姿勢を持ち、保育する事を決め、実践しています。
 理屈では解っていても子どもの態度には我慢が必要な事も多く、大声で叱り「どうして解ってくれないの」と思う事もあります。それ以上に自分の態度を反省した事も多かったです。
 そんな日々が過ぎて、3年目の夏休み「ねぇー何か子どもが静かじゃない?去年と違ってない?」と思うほど、子どもが少しずつ変わったことに気付きました。子どもに落ち着きが出てきて、行動や言葉使いが穏やかで、わがままな態度を見せず、友だちや保育士の話に耳を傾け、集団を意識して活動に参加するようになってきたのです。
 クラブの生活は個人の家庭とは違い、集団生活における社会性を養う場でもあります。
 挨拶、片付け、身だしなみ、食事の態度、話の聞き方、集団活動など、生活の殆どが自分勝手にはならない事も多いのです。お互いに我慢をしながら、協調し合い、少しでも日常の生活を認め合う事が必要です。そして職員自身の子どもに対しての意識が変わったのだと思います。
 「子どもにとって、家で過ごしているような雰囲気を大切に、家族で協力し合うことの喜びと命の大切さ知らせ、感性豊かな子どもに育って欲しい。共同生活の中で社会道徳としての善悪を教え、基本生活の躾は大切に。」いう園長先生の言葉は、児童クラブの基本理念となっています。
 このように、児童クラブでは子どもの健全育成を行ない、家庭との連携を図り、生活、遊びを通して自主性・社会性・協調性・創造性の向上を目標としています。







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