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6. 石川県・小丸山保育園チャイルドケアハウス小丸山
主任 原 範子
〈保育園の概要〉
 七尾市は、人口4万8千人、港町七尾として開港100年を終えたばかりです。子育ての施設は保育園23か所、幼稚園4か所、他に子育て支援センター、児童館と恵まれた保育環境が整っています。
 当園は、七尾市西部地区、NHK大河ドラマ「利家とまつ」で知られた景勝優美な小丸山公園も近く桜川の清流を前に、周辺には小学校、美術館、体育施設、公民館、図書館などがあり恵まれた環境に所在しています。昭和50年4月開園、今日に至っています。
 
小丸山保育園の沿革
昭和49年12月7日 社会福祉法人(御祓福祉会)設立認可
50年4月1日 乳幼児保育園定員90名
54年4月1日 0歳児保育10ヶ月〜 長時間保育午後6時
58年4月1日 0歳児保育4ヶ月〜 延長保育午後7時まで
59年4月1日 産休明け保育
62年4月1日 日曜保育実施
平成元年2月8日 園舎増築
4月1日 地域独居老人と園児のふれ合い保育の開始
平成3年4月1日 学童保育実施
6年4月1日 延長保育午後8時まで
10年3月20日
 小丸山保育園一時預かり
 地域子育て支援センター
 コミュニティー児童館完成
6月16日 名称をチャイルドケアハウス小丸山とする。
 
保育園概要
園長 島崎 智代子
定員 150名
保育時間
平常 月〜金 7:00〜16:30 土 7:00〜12:30
長時間保育 月〜金 7:00〜18:00 土 7:00〜18:00
延長保育 18:00〜22:00
休日保育・祝日・祭日保育 7:00〜22:00
保育活動
1. 園目標 元気な子
2. 保育方針 心身豊かに丈夫な体をつくる。
☆マラソン☆裸足☆乾布摩擦
感性豊かな明るい子を目指す。
☆ふれあい活動
3. 保育の方法
(1)野外遊びを重視し、裸保育や薄着の励行を図ることにより、明るく元気な子を育てる。
(2)保育者に親しみ、安定した中で生活習慣の自立を助け、友達とのかかわりを広げていく。
(3)1人1人の成長発達の実情を把握し、子どもが自発的に意欲をもって行動する気持ち態度を大切にする。
4. 保育の展開
 新保育指針による保育計画を作成し、この計画に基づいて、指導計画を年、月、それに関連しながら、より具体的に週、日案を作成し、日々の保育が適切に展開されるよう留意します。保育は、具体的には、子どもの活動を通して展開されるものであり、環境とのかかわりによって創り出される子どもの活動は多様で、予測とは異なる場合も多いので、子どもの状況に柔軟な対応ができるような計画にしておくことが大切です。指導計画に基づいて行われた保育の過程を反省、評価、考察し、よりよき明日の保育ができるよう配慮します。
 
I 保育所地域活動事業の取り組みについて
動機・目的
 近年、核家族化が進み家庭の状況も大きく変化してきています。女性の社会進出に伴い、子育てと就労の両立による多様な保育ニーズ、家庭の子育て機能の低下、孤立化による地域社会との連携が失われ、さらに少子化が進み、子ども同士のふれ合いが少なくなり、社会性が育ちにくいといった、子育てにおける様々な社会的問題が起こっています。
 この様な背景のもと、保育園は子育て支援の拠点となり、地域に果たす役割はとても大きいものがあると考えます。
 保育園でも、いろいろなふれ合い事業を取り入れることにより、地域に開かれた保育園となり、少しでも地域の活性化に繋がる活動ができればと、平成7年より事業として取り入れています。
 地域の高齢者を招待し、ふれ合うことは、高齢者へのいたわりの気持ちを持ち感謝する。日頃、高齢者との関わりの少ない子どもにとって、とても嬉しいひと時となっています。この体験は、子どもにとって心身共に健やかに成長し、心豊かに育つためにも非常に重要な活動であると考え、いろいろの機会を通して実践しています。
 
1. ボランティアの受入れ
 中高校生に福祉体験の場を提供することにより、青少年に福祉の心が育ち、乳幼児に対して興味、関心を深めてもらっています。
 近年、少子化が進む中で兄弟の少ない家庭が増え、自分が親になるまで乳幼児とふれ合った事がないという現実は、育児に対して不安感を持つ要因のひとつではないかと考えます。
 中学生の体験学習や、高校生の職場体験の場として、積極的にボランティア活動を受け入れる事は、青少年の健全育成ともなると考えています。子どもが、成長し親となった時、現代社会の問題である少子化、育児放棄、育児ノイローゼ、虐待の問題解決につながると思います。
 その他に、同じ福祉分野で医療にかかわる看護学生の実習も受け入れています。保育活動をしている保育士の負担はありますが、子どもの総合理解の場として、いろいろの専門知識を持つ人と関わる事は、保育の資質向上になると考えています。
 
2. 郷土文化の伝承
(1)日本一のでか山
 七尾市に古くから伝わるでか祭り、地元の祭りを子どもに知らせ、でか山に関心を持ってもらうことを十数年続けてきました。でか山のきやり唄は独特の唄です。難しい節回しを教え、子どもに郷土文化の大切さを伝えています。子どもと共にテーマを決め、製作したでか山を園庭で引き、木遣りを唄い、本物を引いているような子どもの姿が印象的です。また、石川県は昔から太鼓が祭りで叩かれる事が多いことから、太鼓を保育園で取り入れる事になりました。遊びの中で太鼓を叩く事は、子どもの精神、心身発達に良い刺激を与えてくれます。太鼓は卒園記念品、バサーの収益で購入した物など、保護者の協力も得て年々増えていきました。平成13年には、小丸山御祓太鼓として旗も作り、それを掲げて、園行事や地域の行事のアトラクションに参加しています。
 
(2)重要無形民族芸能文化財「七尾まだら」
 年長児を中心に地域の方に踊り習い、発表会で昔ながらの踊りと新しくアレンジした踊りの二つを保護者に披露しています。
 保育活動の中で郷土文化を大切に捉え、保護者にも、情操教育の一環として保育活動に取り入れている事を理解してもらっています。
 
3. 地域の高齢者とのふれ合い事業
 地域の一人暮らしの高齢者を保育園の誕生会に招待し、一緒にゲームをしたり、会食をしたり、運動会に招待し、年長児と競技に参加してもらい交流を図っています。一人暮らしの人は、楽しいひと時を過ごすことができたと喜んでくれます。
 また、保育園では、園児が毎年老人福祉施設を慰問しています。園児の演技が終わると、両手を合わせて「ありがとう。ありがとう。可愛いいなあー」と言って、笑顔と涙の入り混じった表情で拍手をしてくれます。
 この交流は、老人ホームやディサービスに通う高齢者の癒しとなっていることを感じます。核家族化が進む現代では、この交流は子どもにとっても心に深く刻まれる活動のひとつだと思います。
 地域活動事業で地域の人々と交流を持つことは、保育園と地域の連携を深めていく事にもつながります。
 地域活動事業を展開しながら、地域に開かれた保育園となるよう、今後も、子育て支援の場として地域の人達と共に歩み、信頼され、期待される保育園を目指していきたいと思います。







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