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回転食の意義
・1934年Rinkelにより提唱
・除去食以外の食物が新たにアレルゲンとならないため
・アレルゲンの発見を容易にする
・アレルギーの症状を軽減するため
・耐性獲得された食物が再度アレルゲンにならないため
 
例:主食や動物性蛋白の回転食
白米、小麦、オート麦、粟、ヒエ、キビ、たかきび、サツマイモなど
豚、鹿、馬、兎、鯨、カンガルーなどのほ乳類、鳥類、魚類
 
除去の解除はいつから
1歳半から2歳にかけて考慮
 
[食物アレルギーの予後]
*6ヶ月で診断した食物アレルギーの予後(馬場、Host)
3歳 50-60%
6歳 70%以上
9歳 80%以上
 
*初診からみた予後(伊藤、Bock,Hourihane)
3歳以下と以上では有意差あり−71%、31%
 
*原因別予後(Eggleston)
卵 41%
牛乳 68%
魚 16%
ピーナッツ 3%
大豆 100%
 
[除去食の解除のための誘発試験]
I. 乳幼児の場合
鶏卵 加熱したものを1/8殻から1個/日
牛乳 10-200ml/日
大豆 豆腐10-150g/日
小麦、米 主食として2-3食
II 年長時の場合
鶏卵 加熱または半熟で1-2個/日
牛乳 100-400ml/日
大豆 豆腐200-400g/日、大豆、納豆/日
小麦、米 主食として2-3食
注意:3-5日連続投与、症状が出ればそこで中止
医師の観察下で、症状に応じ投与は減ずる
 
Oral allergy syndrome
・多くは食事15分以内に、口腔、口唇、咽頭部にかゆみ、ひりひり感、腫脹、喉頭閉塞感が起こり、一般にすみやかに症状は消退する。
・接触性蕁麻疹
・ラテックスアレルギーや花粉症に合併
・リンゴ・さくらんぼ・キウイ・モモ・メロン・トマ卜・バナナ・プラム、イチゴ、セロリ、レタス、パセリなど(ピンクはシラカバ花粉症に多い)
 
食物依存性運動誘発性アナフィラキシー
・ある食品を摂取して数分から数時間で蕁麻疹、咳、喘鳴、呼血困難、意識消失など呈することある。これを食物依存性運動誘発性アナフィラキシーという。
・原因には小麦、甲殻類が多い。
・幼稚園や学校で多い。
 
症例3 男児 2歳7ヶ月
・家族歴にアトピー性皮膚炎を持つ2歳の男児。平成12年7月に同年代の子供の家に遊びに行っていて、おやつにでたメロンを食べたとき、口唇を痒がり、その後数分後から喘鳴共に意識が低下してきたため、緊急受診。メロンによるアナフィラキシーショックと考えられた。
・これまで、メロンは食べていたが、このような症状はなかった。検査でメロンに対する特異IlgE抗体が陽性であった。
 
アナフィラキシーとは
・主にI型アレルギー反応
・多くが抗原摂取から数分から数時間以内
・症状は多彩で、重症では蒼白で冷たく湿った皮膚、不安、意識障害、乏尿、痙攣、呼吸困難などを呈する(ショック)。
・ショック時の観察:脈拍(除脈、頻脈、微弱)、血圧、瞳孔(散大)、呼吸(減弱、坤吟、下顎呼吸、陥没呼吸)、意識減弱、消失など
 
アナフィラキシーショックの対策
・仰臥位、下肢を挙上
・バイタルサインの確認
・各種薬物療法(抗ヒスタミシ剤をはじめ)
・エピネフリンの自己注射
・原因の確認と除去
 
園や学校での対応
 
 
 
集団給食への配慮
・医療と園・学校の連絡をはかる
・食器への配慮する
・原因食と症状とその対応をしる
・教育現場での理解−好き嫌いと勘違いしない、強制しない
・合宿や修学旅行への注意−宿舎との連絡
・他児への説明と理解
 
皮膚症状と注意事項
・園・学校では手を中心とした皮膚症状の強い子は砂場遊び、お絵かきなどのあとの処置−手洗い、衣服をはたく、砂場の処置
・塗布剤への協力−特に手洗いなどのあとの処置
・園で症状が増強したときの状況を知る−食事、遊び、運動などの関連
 
ペットの飼育とアレルギー
・最近、小動物に対するアレルギーが増加している
・小動物のアレルギーのもとは毛のみならず、唾液・排泄物なども原因となる
・飼育係は予防着、マスクをつけるか、さわった後の手洗い、衣服を取り替えるなど
・室内飼育はなるべく避ける
・周辺地域の動物−夜間は砂場のカバー
・その他
 
園・学校の環境
・園内の清掃
・絨毯、カーペットの除去
・冷暖房の清掃
・湿度、気温調節
・園内禁煙
・お泊まり会の寝具、枕などへの配慮
・その他







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