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諫言・苦言(100)
大きく動き出した保育所改革
 小泉内閣発足以来、総合規制改革会議等で強く言われていた保育制度改革が、二つの方向で大きく動き出した。
 一つは総合施設構想である。幼保一元化の施設を新たに制度としてつくるのである。
 これで我国には就学前の幼児教育施設として三類型が出来ることになった。
 体系づけられた一つの制度の中に三種類の施設があるのではなく、監督官庁も財源も利用方法等も違う三つの制度が出来るのである。
 今年の六月頃にはその内容が明らかになると思われるが、現行保育制度への影響はさけられないと思われる。
 保育関係者の対応として、現在果している保育に欠ける子どもの健全育成・就労と育児の両立支援・地域の子育て支援等の機能の充実を図ることが肝要である。
 子どもをとりまく将来を考えた時、女性の社会参加は更に進み、男女共同参画型社会は加速していくものと思われる。
 その結果は家庭における育児機能は更に低下し、子育てへの社会的支援は、国として益々重要な政策課題となる。
 保育所としては悲観するばかりではないが、そこには制度間における競合や、多様な供給体による激しい競争も予想される。
 競争の下においては、各々の園が保育理念を明確に示し、特色を出し、利用者の満足度を高めるマネジメント能力が求められる。
 もう一つは地方分権という名のもとで行われる三位一体策である。その内容は、補助金や地方交付税を削減し、市町村の独自財源に切り変えていくというのである。
 補助金は資金使途が決められているが、独自財源になれば使途の拘束はなく、市町村毎で全く自由に判断出来るお金である。
 不幸にして公立保育所の運営費が、平成十六年度予算で一般財源化されることになった。
 これで都市部における公立保育所の民営化、地方における幼保一元化が大きく進むものと思われる。
 民間保育所については、当分手をつけないことにはなっているが、地方分権が大きな政治の潮流になっているので、補助金の見直しは避けられないと覚悟しなければならない。
 一般財源化されることの不安は、保育所運営費が国の補助金制度によって、構築されてきたので、財源の見直しがあっても制度がそのまま維持されるのかということと、地方自治体の財政事情も国と同様大変厳しいので、保育所への運営費の削減がされないかである。
 これからの我々の対応は次世代育成支援事業の一環として、地域への子育て支援活動に積極的に参画し、更には地域福祉にも貢献し、地域住民にとってなくてはならない保育所として、評価されその存在価値を高めることである。
 その上に立って、地方自治体との信頼関係を高めていければ、保育所への支援は市町村行政における優先政策課題となるであろう。
 これまでのように行政による「オンブにダッコにカタグルマ」はとても期待できない。
(夢井 仁・フリーライター)T
 
―切り抜き情報―
(16・2・7読売、毎日)
 小さな子供がテレビやビデオを見過ぎると対人関係に悪影響を及ぼすことが、全国の開業小児科医らでつくる日本小児科医会は六日「子どもとメディアの問題に対する提言」を発表した。
 二歳未満の乳幼児がテレビやビデオを見る機会が多いことから、できるだけ視聴は控えるよう呼びかけたもの。
 最近は、乳幼児向け育児ビデオの普及などで、ビデオやゲームを含むテレビの視聴が増加傾向にある。NPO法人「子どもメディア」が、同会と協力して二〇〇二年九〜十月に福岡市の乳幼児千百人を調査したところ、一日十時間以上テレビがついている家庭では、目を合わせようとしても目をそらす子どもの割合が九六・六%に達した。〇〜三時間の家庭の三七・五%に比べ圧倒的に多く、対人関係の遅れを示していた。
 言葉の遅れも目立ち、同会は「テレビの視聴で、親子で遊ぶ時間が削られているのが問題」と指摘する。提言ではほかに、(1)授乳、食事中の視聴はやめる(2)テレビに触れる時間は一日二時間まで(3)子ども部屋にテレビ・パソコンを置かない−などを挙げている。
 
 
 
楽しみながら環境活動・学習を
―平成十五年度こどもエコクラブ事業について―
環境省総合環境政策局 環境教育推進室 田中 正司
1 こどもエコクラブ事業とは
 こどもエコクラブは、小・中学生なら誰でも参加できる環境活動のクラブです。次代を担う子どもたちに、環境への関心と理解を深めるための経験を積み重ねる中で、環境を大切にする心と行動力を育むことを目的として、環境省(当時は環境庁)が平成七年度から事業を開始しました。「子どもたちの、子どもたちによる、子どもたちのための環境活動」をスローガンとして、子どもたちが自らの興味や関心に基づいて、自主的に楽しみながら環境活動・学習を行えるよう支援しています。
 クラブは、数人から三十人程度の仲間に、活動を支える一人以上の大人(サポーターがメンバーとなって、市区町村の窓口に申し込めば、いつでも登録でき、会費等は無料です。平成十四年度は、全国で約四、〇〇〇クラブ、約七万七、五〇〇人が登録し、地域で元気いっぱいに環境活動・学習に取り組んでくれました。今年度も既に一月末現在で、約四、三〇〇クラブ、約八万二、〇〇〇人が登録をしてくれています。こどもエコクラブ事業が始まって、初めて八万人を超えました。
 そして会員の構成についてですが、学校のクラスやクラブ、近所の友達同士、兄弟姉妹など様々で、会員数も数人単位から数十人のクラブまであります。
 
2 クラブの活動内容
 登録された会員には、まず環境省からイメージキャラクター「エコまる」がプリントされたメンバーズバッジや、環境活動・学習のヒントやプログラム等がわかりやすく記載された会員手帳、また定期的にニュースレターなども送られます。
 活動内容は、子どもたちの興味や関心に基づいて自ら企画し活動を行ってもらいます。具体的には、自然観察やリサイクル活動、水質や生き物調査、清掃活動など多種多様です。
 一方、どのような活動をしていいか悩んでいるクラブのために、こどもエコクラブ全国事務局で作成した環境活動・学習プログラム(「エコロジカルとれーにんぐ」)を紹介しています。
 また、クラブ間の交流を図るため、他のクラブと手紙のやり取りをしたり、お互いのクラブを訪問しあうといった「エコロジカルこみゅにけーしょん」という制度を設け、また、年一回全国フェスティバルを開催するなどして、子どもたちに環境活動・学習をとおして全国の子どもたちとつながりができるよう支援しています。
 
「平成14年度全国フェスティバルで
エコ宣言を読み上げる子どもたち」
 
 さらに今年度から環境省の「こどもエコクラブホームページ」において、子どもたち自身で作った自分たちのクラブのホームページを紹介し、情報交換や交流の促進を図っています。
 
3 「全国フェスティバルinせんだい」
 毎年、全国のこどもエコクラブ会員や関係者が一堂に会する「全国フェスティバル」を開催しています。このフェスティバルは、子どもたちによる活動発表や展示等をとおして、互いの活動成果を称え合い、全国の仲間と交流を深めるとともに、こどもエコクラブ事業への理解と参加を広く呼びかけるものです。
 今年は、三月二十七日(土)と二十八日(日)、宮城県仙台市において、「こどもエコクラブ全国フェスティバルinせんだい」が開催されます。
 三月二十七日(土)は、招待クラブを対象とした行事が「宮城県スポーツセンター」で行われます。招待クラブとは、一年間の活動をまとめた「壁新聞選考会」において選ばれた各都道府県のクラブで、互いの壁新聞を取材しながら交流を深める「壁新聞セッション」などが行われる予定です。
 
「活動の前に講師の説明を聞く子どもたち」
 
 二日目の三月二十八日(日)には、広く一般の方にもご参加いただける公開プログラムが、一日目と同じ「宮城県スポーツセンター」と、そこに隣接する「仙台国際センター」、「青葉山公園」において開催されます。全国から応募された壁新聞の展示、仙台フィルの有志の方々によるコンサートや「循環」をキーワードにした各種体験コーナー、協力企業によるコーナーの設置など、様々な催しが繰り広げられる予定です。
 ぜひ多くの方々が来場され、子どもたちの活動の様子をご覧いただき、また、こどもエコクラブ活動の雰囲気を味わっていただければ幸いです。
 
4 こどもエコクラブを支える人々
 こどもエコクラブ事業は、あくまでも子どもたちが自主的に環境活動・環境学習を行うことを支援するものであり、活動を強制するものではありません。しかし、子どもたちだけで活動の企画から実行まですべてを行うことは困難であり、また活動をより効果的に実施するために、必ず一人以上の大人の方にサポーターとして加わってもらうことを条件としてしています。サポーターの方には、子どもたちが行う活動に対するアドバイスや地方自治体のこどもエコクラブ担当者(コーディネーター)との連絡・調整を始め、子どもたちがよりスムーズに活動を行えるようお世話をしていただきます。
 また、地方自治体のコーディネーターには、広報活動や登録手続きはもとより、地域独自でこどもエコクラブを対象にした行事を開催するなど必要な支援をお願いしています。
 さらに、平成十三年からは、「こどもエコクラブ応援団」制度を発足させ、サポーターやコーディネーター以外の方で、子どもたちを応援してくださる方を登録し、クラブからの要請に応じて活動を支援してもらっています。応援団には環境カウンセラーや環境ボランティア、元サポーターだった方など約三百名の方が現在登録されていて、例えば子どもたちとともに自然観察を行ったり、ごみ問題等についてわかりやすく解説していただくなどしています。
 一方、企業等からも支援をいただいております。「こどもエコクラブパートナーシッププログラム」という制度を設け、全国フェスティバルに対する協力・協賛、こどもエコクラブ会員を対象とした独自事業の実施、企業の施設や設備の提供等のご協力を得ています。今年度は約五十の企業・団体にご参加いただいています。
 このように、こどもエコクラブ事業はサポーターを始めとして、地域の民間団体や企業、地方自治体など多くの方々のご理解・ご協力のもとに成り立っています。
 
5 次世代を担う子どもたちに期待
 今日、地球温暖化やゴミ問題など様々な環境問題が急激にその規模を拡大し、私達の生活そのものを脅かしつつあります。これらの環境問題に対応し、子々孫々まで自然の恩恵を享受しながら暮らしていくためには、国民一人一人が環境問題を自らの問題として真剣に考え、積極的に環境に配慮した行動を取ることが求められています。このため、幼児から高齢者に至るまであらゆる年齢層に対し、家庭や学校、地域、職場、野外活動の場など多様な場において環境教育・環境学習を推進する重要性がますます高まっています。
 
水辺の活動
「川で水生生物の調査活動を行う子どもたち」
 
 このような背景のもと、こどもエコクラブ事業は、次世代を担う子どもたちが楽しみながら自主的に環境活動・学習を行うことを通して、環境に優しい行動をごく当たり前のこととして実行できる大人へと成長してくれることを目指しています。
 最近では、学校においても「総合的な学習の時間」等を活用して環境教育・環境学習が積極的に取り上げられるようになり、学級単位で登録しているクラブも少なくありません。また、地域の子ども会や児童館での活動の一つとしての本事業の活用が、家庭や学校、地域へと浸透し、住民や民間団体、企業等の各主体の連携へ橋渡しになれば、環境保全活動の原動力となるばかりでなく、希薄になりがちな今日の人間関係にも潤いを与えてくれるのではないでしょうか。
 このように、地域の環境保全活動の基盤として、これからもこどもエコクラブ事業を展開してまいりたいと思いますので、皆様のご理解・ご協力をよろしくお願いします。
 
こどもエコクラブについての問合せ先
こどもエコクラブ全国事務局
(財団法人日本環境協会)
〒105-0003 東京都港区西新橋一の七の二 虎の門高木ビル七階
電話 03-3508-2651
 
 
 
−請願−
国会請願の実施(平成十五年度)報告
衆・参あわせて一、六四二、八二一人の署名
 日本保育協会全国支部長会及び保育を高める運動推進本部は、平成十五年十一月請願署名を国会に提出した。
 今回の国会請願は、安心して子どもを産み育てられる保育環境の充実及び安定した保育所運営のため、保育関係予算の確保を目的とするもので、各支部より、衆議院議長あて八二一、一四二人、参議院議長あて八二一、六七九人の署名があった。
紹介議員は次のとおり、
保育制度の改善と充実に関する請願
(紹介議員 橋本龍太郎・衆)
保育制度の改善と充実に関する請願
(紹介議員 南野智恵子・参)
 
国会へ提出のため全国からの署名を整理
 
 
「保育制度の改善と充実に関する請願」支部別署名一覧
  衆議院 参議院
支部名 人数 人数
北海道 6,651 6,592
札幌市 4,314 4,353
青森県 14,855 14,801
岩手県 6,511 6,532
秋田県 8,939 8,965
山形県 4,010 4,010
福島県 10,967 10,949
茨城県 11,829 11,917
栃木県 5,566 5,584
群馬県 14,061 14,135
埼玉県 10,411 10,487
千葉県 実施せず
東京区 実施せず
東京多 11,757 11,666
神奈川県 24,207 24,254
横浜市 2,714 2,679
山梨県 13,449 13,934
長野県 6,398 6,354
新潟県 39,134 38,916
富山県 21,425 21,858
石川県 10,244 10,287
福井県 15,841 15,712
岐阜県 16,184 16,271
静岡県 実施せず
愛知県 15,375 15,335
三河 14,888 14,586
名古屋市 10,166 10,552
三重県 16,579 16,609
滋賀県 4,659 4,467
京都府 6,475 6,505
京都市 29,870 29,951
大阪府 52,023 51,937
兵庫県 35,573 35,353
神戸市 2,092 2,099
姫路市 4,080 3,767
奈良県 13,907 13,851
和歌山県 17,548 17,647
鳥取県 8,773 8,795
島根県 8,497 8,488
岡山県 30,324 30,699
広島県 5,924 5,908
5,475 5,487
広島市 1,148 1,146
山口県 6,143 6,192
徳島県 1,870 1,868
香川県 15,130 15,108
愛媛県 12,058 11,962
福岡県 50,956 50,957
福岡市 31,109 31,213
佐賀県 31,267 31,277
長崎県 27,364 27,436
熊本県 27,881 27,809
熊本市 16,744 16,776
大分県 12,121 12,138
宮崎県 14,799 14,645
鹿児島県 15,340 15,389
沖縄県 15,517 15,471
総計 821,142 821,679







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