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厚生労働省広報室・発
 ☆年金制度改正法案が二月十日に国会に提出されました。世間の注目と関心を集めた大法案がまとまって、やっと一段落ついたような感じです。
 これについては前回ご紹介したように月刊「厚生労働」の二月号の特集としたのですが、まとまった最終案を解説記事とする、その時間がなくて大変でした。昨年末の時点で給付と負担の大枠については決まっていたので、日程的に窮屈であることは承知の上で二月号と決めたのでしたが、いざとなると一月末から二月初めにかけて数字も若干変わり、また夫婦の年金分割やパートの適用、在職している高齢者の扱いなどの制度的問題が決まってきたということもあって、結局バタバタとなり、発行日もいつもより数日遅れてしまいました。この点はお詫び申し上げなければなりませんが、何とか、制度改正全体の解説と基礎資料を、早いタイミングで広く提供することができたのではないかと思っています。
 何を、どのタイミングで記事にするか、というのはいつも難しい課題です。これからもその時々の問題を迅速的確にお伝えしていきたいと考えています。
 ☆もう一つ、全く別の話ですが、我々広報室の最近の取り組みの中からご紹介したいと思います。厚生労働省ホームページのことです。
 厚生労働省ホームページではインターネットを通じて各種施策の紹介や報道発表資料の公開などを行っていますが、三月一日から、ここに音声読み上げ、文字拡大のサービス機能を追加することにしました。これを使っていただくと、画面上の矢印を当てた行について音声が読み上げると同時に、その部分が画面の下のほうに拡大されて表示されます。画面の色を変えて見易くすることもできます。操作法についても、画面上の操作ボタンに矢印を当てるだけで音声が教えてくれます。コンピュータの利用に慣れていない方や高齢者の方にとって、厚生労働省ホームページがぐんと使い易くなるだろうと思います。中央官庁では初めての試みですので、広くお使いいただき、ご意見などあれば寄せていただいて、更に使い勝手の良いものとしていきたいと思っています。
 ☆さて、いつものように月刊「厚生労働」三月号のご案内に移りましょう。三月号の特集は、この四月から始まる新しい医師の臨床研修制度です。医師の臨床研修が必修化され、関連の諸制度や所要財源が整えられることによって、我が国の医師の教育研修体制は新たな一ページを加えることになりました。医療提供の現場にも様々な良い影響が出てくることが期待されています。今回の特集ではこの新たな制度の仕組みや背景について解説するとともに、医療従事者以外の方を含めた座談会、寄稿を加えて、新たな動きの全体像をわかり易くご紹介していきたいと考えています。
 このほか単発の記事として、改正職業安定法・労働者派遣法の施行について、また、国民年金保険料のコンビニエンスストアでの収納について、などを取り上げる予定です。
 ☆インタヴューは「男の家事のホームページ」主宰の早瀬鑛一さん。はからずも前回の渥美雅子さんと続いて共働き夫婦の家庭と子育てについて語っていただく形となりました(ですから、これらを比べていただくとまた面白いと思います)。家事なんかやっていては男は仕事ができん、共働きで子供を保育所に預けるのは教育上よくないことだ、と思っている人はまだ沢山いるが、そんなことは全くない。最近むしろ考え方が両極化していることが気になる。というお話が印象に残りました。私も共働きでやって来ましたので同感、というところが沢山あります。皆様はいかがでしょうか。ご期待下さい。
 
(厚生労働省 大臣官房広報室長 樽見 英樹)
 
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お申し込みは、中央法規出版(株)
電話〇三−三三七九−三八六一
 
 
 
児童虐待防止対策における適切な対応について
(雇児総発第〇一三〇〇〇一号 平成十六年一月三〇日 各都道府県 指定都市 児童福祉主管部(局)長宛 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 総務課長)
 児童虐待防止対策については、今月二十一日に開催された全国厚生労働関係部局長会議においても、ご説明とその充実についてお願いを申し上げたところである。
 しかしながら、厚生労働省としては、今月二十五日に大阪府において中学三年生の男児に対して虐待を加え、餓死寸前の重傷を負わせた保護者が逮捕される事件が発生したことを重く受け止めており、下記の考え方を踏まえ、虐待の予防や早期発見に遺漏なきを期すよう、改めて対応をお願いする。
 今般の大阪府における事件を始め深刻な虐待事例が頻発していることを踏まえ、児童虐待については、改めて児童相談所における情報の共有を始めとする組織的かつ迅速な対応、子どもの安全確保の優先といった基本に立ち返った取組みをお願いしたい。
 また、児童虐待への対応に際しては、児童の日常の状況を把握している学校、幼稚園あるいは保育所とのより密接な情報交換、立入調査に際しての警察官の必要な援助など、児童相談所と地域の関係者との適切な連携・協力の確保に改めて特に配意頂くようお願いしたい。
 立入調査の要否の判断基準については、「子ども虐待対応の手引き」(別添)に示されているところであり、児童相談所におかれては再度確認頂くとともに、学校等の関係者に対してもその内容の周知が図られるよう配意願いたい。
 厚生労働省においても、児童虐待防止対策の充実・強化等を図るため、今国会に児童福祉法の改正法案を提出すべく準備を進めており、その中でも関係機関の連携の強化を図ることとしている。
 具体的には、地方公共団体に虐待を受けた児童を始めとする要保護児童に関する情報の交換と支援内容の協議を行う協議会を設置できることとし、この協議会において支援内容を一元的に把握する機関を選定するとともに、協議会の参加者に守秘義務を課することにより、情報提供の促進を図り、児童虐待の予防や早期発見の促進を図ることとしている。
 こうした点も踏まえ、関係機関における的確な連携を確保し、虐待防止や早期発見に遺漏なきを期されるよう、重ねてお願いしたい。
 さらに、虐待の発生を予防していくためには、「養育力の不足している家庭」を早期に確実に把握し、その上で子どもの立場に立って必要な支援を必要な時に行うことが重要である。
 そのためには、従来の母子保健事業(新生児訪問・乳児健診等)や、児童相談の窓口のみならず、例えば、保育所の利用やひとり親家庭の相談窓口等、今まで直接的には虐待と関わりの薄かった児童福祉に係る相談窓口においても、虐待に関する理解を深めていただく等積極的な把握のための工夫をお願いしたい。
 
(別添)
子ども虐待対応の手引き(抄)
「子ども虐待対応の手引き(平成十二年十一月改訂版)厚生省児童家庭局企画課」より抜粋
 
立入調査の要否の判断
 ソーシャルワーク的アプローチが効果を発揮しそうなときや、知人・親族・地域関係者等が仲介する形でコンタクトが得られると判断されるときは、その方法を優先する方が相手にとり摩擦が少ないし、より実務的である。
 しかし、それらの方法が困難で保護者等に接近する手立てがなく、かつ子どもの安否が気遣われるようなときには、立入調査権の発動を決断しなければならない。ただ、そのような場合であっても、第三章二で例示されている各種の接近方法とどちらを採用すべきかは、そのときのタイミングや状況、また関係者の協力などを総合的に勘案して決めることになるだろう。
 一般的に立入調査が必要と判断されるのは以下のような場合である。
(1)学校に行かせないなど、子どもの姿が長期にわたって確認できず、また保護者が関係機関の呼び出しや訪問にも応じないため、接近の手がかりを得ることが困難であるとき。
(2)子どもが室内において物理的、強制的に拘束されていると判断されるような事態があるとき。
(3)何らかの団体や組織、あるいは個人が、子どもの福祉に反するような状況下で子どもを生活させたり、働かせたり、管理していると判断されるとき。
(4)過去に虐待歴や援助の経過があるなど、虐待の蓋然性が高いにもかかわらず、保護者が訪問者に子どもを会わせないなど非協力的な態度に終始しているとき。
(5)子どもの不自然な姿、けが、栄養不良、泣き声などが目撃されたり、確認されているにもかかわらず、保護者が他者の関わりに拒否的で接触そのものができないとき。
(6)入院や医療的手立てが必要な子どもを保護者が無理に連れ帰り、屋内に引きこもってしまっているようなとき。
(7)施設や里親、あるいはしかるべき監護者等から子どもが強引に引き取られ、保護者による加害や子どもの安全が懸念されるようなとき。
(8)保護者の言動や精神状態が不安定で、一緒にいる子どもの安否が懸念されるような事態にあるとき。
(9)家族全体が閉鎖的、孤立的な生活状況にあり、子どもの生活実態の把握が必要と判断されるようなとき。
(10)その他、虐待の蓋然性が高いと判断されたり、子どもの権利や、福祉、発達上問題があると推定されるにもかかわらず、保護者が拒否的で実態の把握や子どもの保護が困難であるとき。
 
児童虐待防止に向けた学校における適切な対応について(通知)
(十五初児生第十八号 平成十六年一月二〇日 各都道府県教育委員会担当課長 各指定都市教育委員会担当課長 各都道府県私立学校主管課長 附属学校を置く各国立大学事務局長 国立久里浜養護学校長宛 文部科学省初等中等教育局児童生徒課長)
 児童虐待防止に向けた対応については、これまでも「児童虐待の防止等に関する法律」の施行について」(平成十二年十一月二〇日付け文生参第三五二号)等により、「児童虐待の防止等に関する法律」(平成十二年法律第八二号)の周知及び児童虐待の早期発見・対応、被害を受けた児童の適切な保護が行われるようお願いしているところです。
 しかしながら、大阪府岸和田市における事件を始め深刻な虐待事例が続発していることから、文部科学省としては、児童虐待防止に向けた学校における対応は、緊急かつ徹底して取り組むべき課題であると考えております。
 ついては、都道府県教育委員会にあっては所管の学校及び域内の市区町村教育委員会に対して、都道府県私立学校主管課にあっては所轄の私立学校に対して、下記の事項に留意のうえ、児童虐待防止に向けてより一層適切な対応がなされるよう御指導をお願いします。
 なお、本件については、厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課長からも各都道府県及び各指定都市の児童福祉主管部(局)長に対し、別添のとおり通知されておりますので申し添えます。
1 学校の教職員は、職務上、児童虐待を発見しやすい立場にあることを再確認し、学校生活のみならず、幼児児童生徒の日常生活面について十分な観察、注意を払いながら教育活動をする中で、児童虐待の早期発見・対応に努める必要があること。
 そのために、学級担任、生徒指導担当教員、養護教諭、スクールカウンセラーなど教職員等が協力して、日頃から幼児児童生徒の状況の把握に努めるとともに、幼児児童生徒がいつでも相談できる雰囲気を醸成すること。
 不登校児童生徒が家庭等にいる場合についても、学級担任等の教職員が児童生徒の状況に応じて家庭への訪問を行うことなどを通じて、その状況の把握に努めること。
2 虐待を受けた幼児児童生徒を発見した場合は、速やかに児童相談所又は児童福祉事務所へ通告すること。
 児童虐待の疑いがある場合には、確証がないときであっても、早期発見の観点から、児童相談所等の関係機関へ連絡、相談をするなど、日頃からの連携を十分に行うこと。
 関係機関への通告又は相談を行った後においても、当該機関と連携して当該幼児児童生徒への必要な支援を行うこと。
3 上記の対応に当たっては、管理職への報告、連絡及び相談を徹底するなど、学校として組織的に取り組むとともに、教育委員会への連絡、又は必要に応じて相談を行うこと。
 
―通知―
社会福祉施設等設備整備費の社会福祉施設等施設整備費への統合について
(事務連絡 平成十六年一月十六日各都道府県 指定都市 中核市社会福祉施設整備費担当者宛 厚生労働省社会・援護局福祉基盤課予算係)
 平素より社会福祉施設整備の推進につきまして、ご尽力賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、平成十六年度予算においては、内容改善事項として、補助金審査の適正化と施設設置者の国庫補助協議申請の効率化等を図る観点から、別添のとおり、社会福祉施設等設備整備費の社会福祉施設等施設整備費への統合を行うこととしております。
 つきましては、今後の国庫補助協議等においてご留意いただくとともに、関係各部局等への周知方よろしくお願いします。
(別添)
 
社会福祉施設等設備整備費の社会福祉施設等施設整備費への統合について(案)
 
1 概要
 社会福祉施設等設備整備費については、施設整備費と設備整備費の国庫補助申請事務の一本化により施設設置者等の事務負担の軽減等を図るため、設備整備費の一部を施設整備費に統合することとした。
 統合にあたっては、初度的な設備であって、施設と一体的に整備され、かつ、施設に固定されるもの、及び、設備を整備することにより施設の設計等に影響を及ぼすものを、施設整備費に統合し、その他施設整備に統合できないものについては措置費の弾力的運用による対応を検討している。
 また、初度的な設備以外の施設整備へ統合できない業務省力化設備等一部の設備については、従来どおり設備整備費での対応となる。
2 各種設備整備の取扱い(別紙1参照)
(1)施設整備費に統合するもの
 次のうち、施設と一体的に整備され、かつ固定されるもの及び整備するに当たり施設の設計等に影響を及ぼすもの。
(1)「初度設備相当加算」として、施設整備費における加算化をするもの
・一般設備(改築については、基準単価を1/2以内とする)
・非常通報装置、応急仮設設備、感染症予防設備
(2)上記(1)とは別に、施設整備費における加算化をするもの
・点字印刷機器(既存施設含む。)
・情報機器(近代化含む。)
・小規模通所授産設備(既存施設含む。)
・環境改善設備(既存施設を含む。)
・大型遊具及び遊具
(3)上記(1)及び(2)とは別に、施設整備費に新たなメニューとして追加するもの
・授産設備
・特殊介護設備(既存施設含む。)
・リハビリテーション設備
・室内移動設備
・職業訓練設備
・職業補導設備
・難聴幼児訓練設備
(4)施設整備費(授産施設近代化設備)に統合するもの
・授産設備近代化
(5)施設整備費(スプリンクラー設備)に統合するもの
・屋内消火栓設備
(2)設備整備費として残るもの
・原材料運搬車
・送迎・通園バス
・業務省力化等設備
(注1)公立施設にあっては補助対象外。
(注2)民間立施設の場合にあっては、現行と同様、設備整備費で対応するが、施設整備の当初協議とは別に協議を行う予定(協議等の取扱いは別途、当課より通知予定)。
(3)初度設備であって、施設整備費の対象に統合できないもの
 上記(1)及び(2)以外については、補助対象外となるため、施設整備費補助金の算定に当たり、対象経費には含めない。
3 国庫負担(補助)額の算定方法
(1)上記2の(1)の(1)
 施設整備費に統合可能な初度設備を整備する場合には、「初度設備相当加算」を加算できるものとする。
 なお、施設整備費に統合する初度設備の整備に要する経費と初度設備相当加算額を個々に比較しないものとする。
(2)上記2の(1)の(2)
 (1)と同様。
(3)上記2の(1)の(3)
 各整備の対象経費と国庫補助基準単価を比較し、国庫補助基本額を算定する方向で検討。詳細は、別途、社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課より通知する予定。
4 その他の取扱い
(1)各種加算制度の摘要
 今般、施設整備費へ統合する設備整備については、国庫補助基本額への各種加算制度の適用は行わない。
(2)継続事業における取扱い
 施設整備費(本体)の出来高に併せて調整することとし、各年度ごとに計上する。
(3)平成十五年度以前からの継続事業等であって、平成十六年度に設備整備を協議する予定であったものの取扱い。
 施設整備費(本体)については、事業開始年度の基準単価を適用することとなるが、設備整備費相当分については、平成十六年度において新設する初度設備相当加算等により、施設整備費として補助するものとする。
(4)今回の平成十五年度追加協議に係る協議書作成
 平成十五年度協議様式により作成するものとする。ただし、設備整備相当分の取扱いについては、上記(3)と同様とする。
 
(別紙1)
 
《設備整備費の施設整備費への統合イメージ図》
(拡大画面:152KB)







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