―総合規制改革会議―
第16回アクションプラン実行
ワーキンググループ
(平成15年11月18日)
文部科学省・厚生労働省との意見交換
幼稚園・保育所の一元化について
(議事概要・抜粋)
宮内主査 六月の「基本方針2003」において、平成十八年度までに就学前の教育・保育を一体としてとらえた一貫した総合施設の設置を可能とすることを検討とされていたが、その後、小泉総理は、十八年度を待たずに前倒し実施する旨の発言があった。
文部科学省(玉井審議官) 厚生労働省とも相談をしながら進めている。特区において、保育の共用化の特例措置の一つの例で出している職員資格の併有の問題についても、保育士資格所有者の幼稚園免許取得を容易化する方策を検討している。
一つは、発達段階に応じた一貫した教育保育の実現、二つ目に保護者にとって利用しやすい柔軟な利用形態、児童の発達や負担に配慮した環境をどのように考えるべきか、施設の基準やあるいはその経費の問題をどのように考えていったらいいのか事務的な検討を急いでいる。
厚生労働省(伍藤雇用均等・児童家庭局長) 施設の共用化という観点から、平成十六年からは、特区制度を活用していままでいろんな施設の共用を進めている。総合施設の論点だが、地域の子育てニーズに幅広く応えるということを念頭に置きながら検討していく。総合施設を考えるにあたって主要検討項目は幼稚園と保育所でいろいろ利用の形態が違う。利用者が簡便に利用しやすい仕組みをどう考えるか、人員配置とか施設基準の弾力化、一方ではサービスの質の確保が必要だ。
幼稚園と保育所は、全く違う体系のその財政負担の仕組みになっている。新しい施設に適用し調整をしていくか、国や地方自治体が負担する割合とその対象者を広げて利用しやすい施設の利用者の負担をどう考えていくか、費用の問題が大きな論点と考えている。特区で、合同して保育をやるということも来年からスタートする。実施状況もみて幅広い観点からさらに検討を進めて行きたい。費用負担の問題は大変な課題だと思うが、出来れば基本的な考え方を十六年度中にまとめられないかと考えている。法律改正も必要だ。モデル事業を十七年度あたりにできればやりたい。
宮内主査 ただ今から意見交換をさせていただきたい。
八代委員 総理答弁と比べると一番大きな違いというのは、「幼稚園と保育園の問題については、もっと地方に裁量権を渡して幼稚園・保育園のお子さんの立場、親御さんの立場に立って柔軟に考える。十八年度を待たなくても実施していくようにいたします。」と総理は言っている。地方にもっと裁量権を渡すという点について具体的にどういうふうに検討しているのか。もう一つは、どういう形で制度を一元化するか。保育所と幼稚園というのはそれぞれ規制が違うが、両方の規制のより高い方で一体化するのか、それともより低い方で一体化するのか、考えを聞きたい。
文部科学省(義本幼児教育課長) 地方により裁量権を渡す方向で検討している。また総合施設の制度改正も、出来るだけ地方の取り組みがしやすいような仕組みづくりについて研究している。サービスの多様化と質の確保、利用者が利用しやすい形態なり仕組み、その中で基準あるいは仕組みを考えていく基本方針で検討している。
厚生労働省(伍藤局長) 地方に裁量権を渡す一般財源化の議論も進められている。総合施設をどういう財政負担の方向にするのか、利用者と公がどう負担を分かち合うのか、公が負担する部分を国と地方がどういう役割を分担した方がいいかは当然検討課題になる。規制が高いのか低いのかというのは、具体的に定められるものではないと思うが、出来るだけ簡便で、コストのかからない方法にすることが一つの観点と思う。同時に質を確保し、安全で安心をして使えるという施設にしていく必要がある。
八代委員 少なくとも規制は、低い方で十分ではないだろうか。
佐々木委員 文部科学省と厚生労働省に分けて考えるのではなく、新たな考え方で取り組むということまで検討の中には入れていただけるのか。結局、どうしても両方の立場があり、どこを整合性を取ろうかというようなディスカッションにしか聞こえない。子どもにとって最善が何かということから考えれば、そもそも二つの省に分かれていることがおかしいと思う。
厚生労働省(唐澤保育課長) 一つは、二万六千人の待機児童のうち一万七千人というのは三歳未満だ。女性の就業率が非常に上がっているので、小さいお子さんのニーズが非常に増えている。もう一つは、専業主婦で家庭にいるお母さんも子育てに悩んでいる。出来るだけ利用者のニーズに応えられるような分かり易い仕組みを考えていく必要がある。
稲葉専門委員 親と子どものニーズに応える魅力ある仕組み、利用しやすい仕組みを作りたい。地域によって全部違うのだから、地方にほとんど任せるということがまず前提でないと、これからの時代の方向に合わない。三位一体改革などもその方向でないと進まない。
厚生労働省(唐澤課長) 過疎地とか、子どもの数が減っているところと、郊外の非常に増えているところとか、それぞれの地域の子どもさんと親御さんの両方になるが、それに応えられるような仕組みを考えていく。全国一律でなく地域のニーズに応えられるということを出発点に全体を考える。
稲葉専門委員 過疎地だとか、都心だとか、あるいは人口急増地域だとか、で違いがあると言っているのではなくて、こういう問題に地域が、どう取り組むか、任せるべきだ。
厚生労働省(中村総務課長) 子育てについて市町村が考えていくという基本方針で、待機児童の多いところについてはその解消計画を市町村レベルで考える、子育てについても市町村を中心にという一貫した考え方で進めている。
森委員 もっと早くから知育、体育、あるいはいろいろ語学教育と音感教育しなきゃいけない。保育所というのは健康管理の方に主力があって、教育、しつけとかも含むが、そういうことに遅い。幼稚園に行ってからでは遅すぎるという井深さんの本もある。健康・保健的な知識も非常に普及をしたし、または少子化時代を迎えてお母様方や家庭のレベルが上がっているので、どちらかといえば、厚生省レベルの話題から文部省レベルの方にウエイトを移すべき時代だ。
文部科学省(玉井審議官) 幼児教育が重要になってきているということは世界的な一つの方向で、しっかり考えていかなくてはいけない。発達課題というのはなかなか難しいところがあり、いろんな専門家の間で議論がある。どの辺りから集団教育が本当に適当なのか、親御さんとしても預かってほしいというニーズもある。幼児教育を大切にしようというご指摘は、そのとおりだ。
厚生労働省(伍藤局長) 保育指針は、幼稚園と整合性をもった形で定めている。保育所においても、遜色ない内容になっている。
宮内主査 この問題は、縦割り行政の弊害。国民の目で見ると非常に動きが遅い。明確に国会答弁で総理が十八年度を待たずに実施していくということを言っている。
厚生労働省(伍藤局長) 十八年度までに検討ということではなく、それまでに必要な法改正、モデル事業、事業実施しながら反応とか不十分な点を検討していくには若干の時間はかかる。総理の発言も受けて、出来るだけ早く少なくとも十八年度から実施していくことで、前倒しでやりたい。
宮内主査 総理は十八年度を待たなくても実施すると言っている。
厚生労働省(伍藤局長) 十六年度中くらいには、骨格を固めて基本的な考え方を取りまとめた上で、モデル事業。何らかの形で実施にこぎつけ、本格的に制度としてスタートするのは、法律改正等を含めていろいろ考えると、十八年度からが手いっぱいと思っている。
宮内主査 議事録を見ても、総理はそういうふうに言っていない。
厚生労働省(伍藤局長) 少しでも前倒しするという主旨でないかと思う。
宮内主査 それでは、国会答弁と違う。
厚生労働省(唐澤課長) 私どもは国会答弁と違っているとは受け止めていない。事業として具体的に現場で行なってみるということが重要だと思う。
文部科学省(玉井審議官) 骨太方針をふまえてできるだけ急いでいこうということで、厚生労働省とも事務的な検討を急いでいる。
宮内主査 引き続き、この問題については、文部科学省、厚生労働省とも意見交換会をさせていただけると思う。国民から見ると、なぜこんなに時間がかかるのかなかなか理解が得られないと思う。
(文責・編集係)
ぐんぐんぐんま子育てプラン
―子どもを育てるなら群馬県―
群馬県保健福祉部青少年こども課長 大崎 茂樹
1 群馬県の少子化の現状
本県は、日本列島のほぼ中央にあり、県西・県北の県境には山々が連なり、南東部は関東平野が開ける内陸県で、東京から約一〇〇kmの距離に位置しています。
県の形は上毛かるたに「つる舞う形の群馬県」とうたわれるように空に舞う「つる」の形によく似ています。
平成十五年十一月一日現在の本県の人口は、二〇三万四、〇八五人、世帯数は七二万四、三三五世帯(移動人口調査)で、出生数については、第一次ベビーブームの世代が生まれた昭和二十二年には、五万四、六〇五人の子どもが生まれています。その後、急激に減少し、昭和三十年頃から昭和五十年頃までは三万人前後でしたが、昭和四十八年からは、ほぼ一貫して低下し、平成二年以降は一万九千人前後で推移しています。平成十四年の出生数は一万八、七六三人で、昭和二十二年に比べて、三分の一程度になっています。
また、合計特殊出生率については、本県は全国平均を上回っていますが、昭和四十年の二・二一から、平成十四年には一・四一まで低下しています。
2 計画策定の状況
本県では、子どもが健やかに成長し、安心して子どもを産み育てられる社会を目指し、平成八年三月、『子どもを育てるなら群馬県』を基本理念に、群馬県エンゼルプラン「ぐんぐんぐんま子育てプラン」(計画期間・・・平成八〜十七年度)を策定し、総合的な子育て支援の取組を進めています。
『子どもを育てるなら群馬県』とは、単に子育て支援を行うだけでなく、子どもを育てるのに適した社会環境づくりを行うことは、ひいてはすべての県民にとり住みやすい環境になるという考え方です。
このような目標の推進のため、計画では六つの施策の柱により、総合的な環境整備に取り組んでいます。その中で、特に緊急に整備を進める必要のある保育対策等事業については、目標事業量(数値目標)を設定し計画的に整備を進めていますが、平成十二年度は計画中間年度に当たるため、計画の見直しを行いました。
見直しに当たっては、これまでの事業の整備状況や需要動向を踏まえ、既に目標数値を超えている事業については、目標値の再検討を行うとともに、計画策定時(平成八年度)以降の子どもたちや子育て家庭を取り巻く社会情勢等の変化に伴い、新たに取り組むべき課題が生じていることから、次のような視点により計画の見直しを行っています。
【中間年度見直しの視点(要点)】
(1)緊急に整備を進める事業(緊急保育対策等事業)の見直しと一層の整備推進
(1)数値目標の見直し(拡大)を行う事業(低年齢児保育、延長保育、一時保育、乳幼児健康支援一時預かり事業、地域子育て支援センター、多機能保育所の整備)
(2)新たに加える事業〈新たに目標を設定〉(休日保育、育児ファミリー・サポート・センター)
(2)計画策定時以降、新たに取り組むべき課題への対応
(1)乳幼児から青年期までの一貫した児童・青少年の健全育成施策の推進(児童福祉行政部門と青少年行政部門の組織統合、青少年の心の問題への支援体制の整備)
(2)少子化対策への取組の強化(少子化に関する県民意識調査の実施、各界各分野の有識者による「子どもを育てるなら群馬県推進会議」の設置)
(3)児童虐待防止のための一層の体制整備〔ストップ・ザ虐待大作戦の展開〕(児童虐待防止ネットワークの推進、児童相談所等の相談体制強化、児童虐待の早期発見・対応・防止に関する啓発活動)
3 平成十五年度における取組
(1)子育て支援緊急プロジェクト(新規)
子どもをめぐる事件の続発に伴う子育てへの不安を軽減し自信回復を図るとともに、次世代育成支援対策推進法への理解を深め、社会全体で子育て支援を考えるための特別講座(講演会、シンポジウム)を開催。
(2)地域子育て総合推進事業(新規)
「安心して子どもを産み育てられる社会の構築」と「子どもの社会力の向上」を目標に、子育てを地域社会全体で支援する体制を整えるため、新たに地域の実情を踏まえた地域子育て支援のきめ細かな取組を総合的に推進しています。(子育て環境づくり推進、社会力向上推進、青少年健全育成、非行防止活動等)
(3)エンゼルプラン推進
プランに掲げる目標達成に向け、保育対策等事業の一層の拡充を図り、仕事と子育ての両立支援や子育て家庭への支援を推進しています。また、今年度からは保育所のくみ編成が円滑に行われるよう運営費を試行的に補助しています。(保育所施設整備費補助、特別保育対策、保育充実促進費補助、三歳未満児保育料軽減費補助、学童保育運営費・施設整備費補助等)
(4)青少年国際活動支援(新規)
国際活動に意欲のある青少年を支援し、人材を活かした地域づくりや青少年リーダーの育成と、国際活動への理解を深めるための基礎づくりを推進しています。(青少年国際交流支援、国際寺子屋二〇〇三等)
(5)ストップ・ザ虐待大作戦
県内三か所の保健福祉事務所児童相談部に「虐待防止活動サポートチーム」を設置し、児童虐待防止のための地域での活動を支援しています。
(図)「ぐんぐんぐんま子育てプラン」概要
I 計画の基本理念
『子どもを育てるなら群馬県』
II 計画期間
平成8年度〜平成17年度(10か年)
III 施策の体系
1 子どもの遊びと文化の創造
2 個性と創造性をはぐくむ学校教育の推進
3 子どもの健やかな成長支援
4 子どもにやさしい環境づくり
5 子育てと仕事の両立支援
6 子育ての相談・支援の充実
4 今後の取組について
子どもは私たち大人が、次にバトンを渡す未来の社会の主役です。今の私たち大人が子どもたちが育つより良い環境を整えていかなくてはなりません。
次世代育成支援対策推進法や児童福祉法の一部改正により、今後ますます地域における子育て支援を担う市町村の役割が重要になってきますので、各地域のニーズに応じた子育て支援への県の施策の充実を図りながら、本県の基本理念である『子どもを育てるなら群馬県』といわれるような社会環境づくりに向け、鋭意取り組んでいきたいと考えています。
|