―地方版エンゼルプラン―
北海道エンゼルプランの改訂とその後の動き
北海道保健福祉部 子ども未来づくり推進室長 熱田 洋子
1 北海道エンゼルプランの見直し
北海道では、平成九年二月に「北海道エンゼルプラン」を策定し、安心して子どもを産み育て、また、子どもが健やかに育つことができる環境づくりを目指して、保育対策事業などの子育て支援に関する各種施策を推進しております。
この間、本道では、児童虐待の防止をはじめとして子育て支援が求められていることや、合計特殊出生率が、平成十二年では一・二三(全国平均一・三六)と東京都に次いで下位から二番目と低くなり、全国を上回る早さで少子化が進行していることなどから、少子化対策を喫緊の課題と位置づけ、平成十二年に実施した少子化に関する道民意識等調査の結果も参考にしながら、平成十四年三月に、このプランを新たな視点から見直し、改訂版を策定しています。
2 見直しの視点など
平成十一年度に国の少子化対策推進基本方針が示され、新エンゼルプランが策定されたことや道民意識調査の結果を踏まえ、次のような新たな視点を加えています。
・少子化問題等に関する社会全体の意識の醸成
・家庭や職場における固定的な性別役割分担意識の是正
・子育てと仕事が両立する雇用環境の整備
計画の性格は、このような視点を加えたことにより、「子育て支援の指針」から子育て支援を含め「少子化問題に対応できる環境づくりを進めるための総合的な指針」となっています。
計画期間については、変更せず、平成九年度から十六年度までの八年間とし、国の新エンゼルプランと同じとなっています。
見直し作業は、児童福祉関連団体等の代表者で構成する「北海道エンゼルプラン推進協議会」での議論やパブリックコメントなどを通じ、広く道民の意見をお聞きしながら、庁内組織の「北海道エンゼルプラン推進委員会」でとりまとめたものです。
3 見直しの主な内容
施策の目標は、子育て支援にとどまらず、少子化問題に対応するものとするため、「社会全体での安心して子どもを産み育てることができる環境づくり」としています。
施策の基本方向は、五本の柱立はこれまでと同様ですが、今後は、少子化を社会全体の問題としてとらえ、行政・地域・企業・道民それぞれの取組を進める必要があるため、柱の一つを「子どもや子育てに関する意識啓発」から「道民意識の醸成と子育てしやすい環境づくり」に見直しています。
推進施策には、「少子化問題や子育て支援に関する社会全体の意識の醸成」、「働き方についての固定的な性別役割分業・職場優先の企業風土の見直し」、「農山漁村における子育てや就業・定住環境の整備」、さらに、児童虐待が急増し、大きな社会的問題となっていることから「児童虐待防止対策の推進」を新たに加え、また、それぞれに対応する推進事業を掲げています。
4 目標値設定状況
目標値の設定については、継続六事業のうち地域子育て支援センターと乳幼児健康支援デイサービス事業の二事業については国の新エンゼルプランの目標値設定の考え方を踏まえ拡充するとともに、新たに休日保育など三事業を追加し、また、道独自に育児休業制度や週休二日制の普及率についても目標値を設定するなど合わせて十一事業について設定しています。
なお、これら改訂版における体系と目標値設定状況は下のとおりです。
5 今後の取組
道は、平成九年度から「北海道エンゼルプラン」の推進に努めていますが、本道の合計特殊出生率は、全国平均を大きく下回り、依然として低い水準で推移している状況から、緊急かつ総合的な少子化への対応が求められています。
別紙1 北海道エンゼルプラン[改訂版]目標値設定状況
区分 |
国 |
道 |
摘要 |
設定状況 |
目標値 |
設定状況 |
既存目標値 |
改訂後目標値 |
低年齢児保育 |
◎ |
68万人 |
◎ |
22,000人 |
22,000人 |
変更しない |
延長保育 |
◎ |
10,000か所 |
◎ |
250か所 |
250か所 |
変更しない |
一時保育 |
◎ |
3,000か所 |
◎ |
200か所 |
200か所 |
変更しない |
地域子育て支援センター |
◎ |
3,000か所 |
◎ |
181か所 |
211か所 |
変更する(増設定) |
放課後児童クラブ |
◎ |
11,500か所 |
◎ |
500か所 |
500か所 |
変更しない |
乳幼児健康支援デイサービス |
◎ |
500市町村 |
◎ |
9か所 |
15市町村 |
変更する(増設定) |
休日保育 |
○ |
300か所 |
○ |
- |
16か所 |
|
ファミリーサポートセンター |
○ |
180か所 |
○ |
- |
6か所 |
|
不妊専門相談センターの整備 |
○ |
47か所 |
○ |
- |
1か所 |
|
育児休業制度普及率 |
- |
- |
○ |
- |
68.9% |
独自目標 |
週休2日制普及率 |
- |
- |
○ |
- |
87.2% |
独自目標 |
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◎:既存設定事業(11)
今年六月には、少子化対策や子育て支援に係る保健・医療・福祉などを総合的に進める目的で、組織改正を行い、「児童家庭課」を発展させて「子ども未来づくり推進室」を設置し、全国の中でも核家族化が進んでいるといった本道の地域特性や、道民の意識・ニーズに沿った、もう一段の少子化対策に取り組むこととしております。
6 条例の制定
このような状況の中で、高橋はるみ知事の公約である、道独自の『北海道子育て支援条例(仮称)』を平成十六年度中に制定することとし、検討をスタートしたところです。
この条例には、
(1)子育てと仕事などの両立に対する支援、
(2)いわゆる専業主婦の方々の子育てに対する支援、
(3)不妊に悩むご夫婦への支援 など、
広範な取組について、その基本となる事項を盛り込むことが考えられ、その具体的な内容は、道民の少子化に関する意識調査、関係者からのヒアリング、少子化問題に関するフォーラムの開催など、道民との対話を通じ、また意見をお聞きしながら検討を進めていきます。
7 法定の行動計画について
国において、先頃、少子化関連三法が成立し、そのうち、「次世代育成支援対策推進法」においては、平成十六年度中に都道府県の行動計画を策定することになっています。
道において、今後、策定する行動計画は、平成十六年度で終了する「北海道エンゼルプラン」を引き継ぐ計画として、同時に、『北海道子育て支援条例』に基づく実施計画としても位置づけることとしたいと考えています。
別紙2 北海道エンゼルプラン[改訂版]関連施策の体系
新規登載・修正項目
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