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保育界(平成15年12月号)

 事業名 保育活動の推進
 団体名 日本保育協会 注目度注目度5


☆ほいくの両極☆(75)
逝ってしまった園長先生
太田 象
 
 毎年、この時期になると、喪中はがきが何枚か届き、それがきっかけで初めて知人の訃報に接し、驚くことがある。
 つい先日、一通の喪中はがきが舞い込んだ。例によって、何日かほったらかしていたのだが、週末に目を通して愕然とした。
 それは、みちのくからのはがきだった。
 ある保育所の経営者がお亡くなりになり、年賀の挨拶を遠慮するというものだった。
☆ ☆ ☆
 筆者の保育所観の形成に大きな影響を与えたこの方、Iさんは、風光明媚な三陸海岸の、とある半島で小さな保育所を営んでいた。はじめてその保育所を訪ねたのは、五、六年前の初夏のことだった。
 その日は、「やませ」という冷気を含んだ濃霧が半島の山のいただきを覆っていた。子ども達のにぎやかな声を想像しながら午後の四時半くらいに保育所の門にたどりつくと、なぜか、人の気配がしない。園庭にわけいったのに、誰もいない。「ごめんください」と声を張り上げると、ようやく奥のほうから保育士さんが現れ、次いで、園長先生のIさんが現れたのだった。
 「今日は、園はお休みなんですか?」と訪ねると「もう、みんな帰りました」とのお話。「え、なんでこんなに早く帰っちゃうんですか」と筆者。そう、田舎には、このくらいの時間になると子ども達がみんなかえってしまう場所だってある、と知ったのはこのときだった。
 「延長保育なんてウチでは考えられない」というIさん。そんなIさんの話が心にひっかかって、筆者はその後も陸前から陸中にかけて三陸海岸沿いの保育所を何箇所かまわった。リアス式海岸を形作る半島の集落ごとに、それぞれ小さな保育所が点在しているところもあった。
 過疎が進むこの一帯、共通する悩みは定員割れである。これからの保育所が直面する真の問題は、人口減少なんだ、と気がついたのは、この三陸海岸の保育所を訪ねてまわったときだった。あの辺の私立保育所は、みな熱心な経営者ばかりだった。
 浪板海岸周辺のいくつかの保育所では、国庫補助にさきがけて休日保育をはじめていた。少しでも、需要があれば特別保育をやりたい、目先のやりくりよりも、これからのことを考えると・・・そんなことをいっていた。
 特にIさん達の年代は、保育所の創始者が多く、みんなそれぞれ情熱、信念をもって保育所経営にあたられていたと思う。
☆ ☆ ☆
 筆者にいなかの保育所というものをやさしく諭してくれたIさん。Iさんの言葉には、心の奥底に流れる温かいもの、保育の心を感じさせてくれました。どうもありがとうございました。
 私の知らないうちに逝ってしまわれたのですね。またいつか訪ねよう、突然訪ねてIさんを驚かせてやろうと楽しみにしていたのに、とても寂しいです。船越半島でどうか安らかに眠ってください。さようなら。
 
○「ほいくの両極」についてのご感想、ご意見等がございましたら、
E-mail: hoiku@jobs.co.jpまで。
 
 
 
誌上研修「人材育成」(24)
「保育と人生」を豊かに生きるヒント集 第94回
自分の人生をまとめる表を持とう
人材開発コンサルタント
塩川正人
 
 街にはクリスマスツリーが飾られ、新しい年を迎えようとしています。年賀状の挨拶文や、来年の計画を考える頃になりました。
 今一番提案したいことは、自分の人生の「今までとこれから」を整理することです。変化の激しい時代ですから、変化に合わせていたら変化に飲み込まれてしまいます。変化を予測し変化の先に立たないと、周りの人がついてきません。
 そのためには、自分の生き方を常に「今までとこれから」の両面で整理しておくことを提案します。その意味は次の三つです。(1)自分の人生の歴史を持つ(2)過去を振り返り、反省する謙虚さを持つ(3)来年以降に取り組むことを明確にする。
 下のまとめ様式はたたき台です。喫茶店などでお茶を飲みながらメモをし、後で別にまとめることをお勧めします。人生を成功する人とは「まとめる技術の上手な人」ですから。
 
 
 
 
レポート
幼稚園の窓から(41)
五歳児義務化と幼保一元化その背景と必然性を探る 
片岡 進
「月刊・私立幼稚園」編集長
 
私幼組織統一の目的を再確認
 「五歳児の義務教育化」と「幼保一元化」がいよいよ動き出したのか?これが最近の私立幼稚園関係者の関心事です。そこで、その動向のひとつのカギを握る中央教育審議会の委員を招いた研修会が、先頃、東京世田谷区の昭和女子大学で開かれました。これは、三回忌を迎えた同学園の人見楠郎前理事長が「将来の五歳児義務化や幼保一元化に備えて、私立幼稚園が的確な動きをとれるように」と、三つに分裂していた全国組織を現在の全日本私立幼稚園連合会に一本化した中心人物だったからです。招かれた中教審委員は、人見氏の後を受けて私学界のリーダー役を務める田村哲夫氏(渋谷幕張高校理事長&校長)です。「中教審の結論がどうなるかはわからないが、現段階でのひとつの見解として聞いてほしい」と変革の必然性を説きました。
 五歳児義務化についてはまず、今の子ども達が中学生時代の第二次自立期にアイデンティティの確立がうまくいかないのは、幼稚園時代(三〜五歳)の第一次自立期の問題を引きずっているからだと指摘します。その兆候が小学校の学級崩壊です。小学校は、次の段階に進むためのファンクショナル・リテラシー(基礎的総合能力)を養う教育機関ですが、その導入準備が五歳児にできていないことに問題があるとのことです。そしてこれはもう、保育園でも幼稚園と同じ幼児教育を行うというような対処では解決しないと言います。なぜなら、幼・保間はもちろん、幼稚園同士あるいは保育園同士でも五歳児の教育内容の差が著しく、もはや現行制度の中で足並み調整を図るのは絶望的と見られているからです。
 そこで五歳児を義務教育にして、強制的にレベル合わせをしようという訳です。「幼稚園は小学校の準備教育」と言われた時代に逆行するものでもあり、幼稚園関係者には納得しがたいものですが、そうしないと小学校教育は完全に崩壊すると思われるほど、小学校側の危機感が強いそうです。ただ義務化といっても、五歳児がそっくり小学校に移行することを意味するのではなく、現在の幼稚園、保育園、小学校、あるいは検討中の新・幼保統合施設のそれぞれで、ルールを明確に定めた五歳児教育を行う形が想定されているとのことです。これが「小学校入学始期の弾力的運用」に通ずるものと思われます。
 幼保一元化についても、こうした学校制度上の課題があること、一般の人たちにわかりづらく、財政措置の格差など矛盾を抱えた制度であること、そして二元制度のために日本の幼児教育が諸外国に比べて明らかに遅れてしまったこと、などの事情から「もはや一元化は避けられない」と言います。諸外国との比較では、日本の大学もほとんど役に立たない状態に陥っており、大学と幼児教育が教育改革の緊急課題とのことです。
 しかし田村氏は「今は変革の動きを止めることができない時代です」と言う一方で、「だからといって、国が決めたことに右へならえする時代ではない。あなた任せではひどい目に会います」とも言いました。つまり自分たちの意見、メッセージをどんどん発信すべしということです。五歳児義務化にしても幼保一元化にしても、当事者である自分達ならどういう方法がいいか、という建設的メッセージを幼稚園、保育園の団体が社会に投げかけていくことこそ肝要ということです。
 「中教審はいろいろなメッセージを受け止めて動くところです。団体がどれだけ説得力のあるメッセージを投げてくれるかで、改革の方向が決まってくるのです」とボールを投げ返してくれました。
 
 
 
自治体単位に広がる保育所の第三者評価事業
 認可保育所に対する第三者評価事業としては、全国規模の評価機関である全国保育士養成協議会が、平成十四年度から本格的な取り組みを進めている。最近になって自治体単位で第三者評価事業を進めようという動きが広がっている。地方自治体が第三者評価事業に取り組む場合、高齢者サービスに重点を置くケースが多かったが、保育事業も視野に入れて評価システムを構築しようとしている。幾つかの自治体の動きを追ってみた。
 取り組みが最も進んでいるのは東京都。都が構築する福祉サービス第三者評価システムの中には、当初から認可保育所・認証保育所も取り込んでいた。今年度から本格実施に移っており、都の外郭団体、東京都福祉サービス評価推進機構によって評価機関として認証を受けた六十二の評価機関が、受審を申し込んだ認可保育所の評価事業を行っている。今年度中に五十か所程度の保育施設が第三者評価を受ける予定となっている。当面、民間保育所の受審については、三十万円を上限に都が補助を行う。
 都の仕組みでは、システムの推進役として前述の評価推進機構がある。ここで、(1)評価機関を認証(2)評価者の研修(3)共通的な評価項目の設定(4)評価手法の研究(5)評価結果情報の集約・公表――を行っている。同機構が実施する講習を修了した評価者を三人以上擁し、法人格を持ち、守秘義務規定や評価手順などの規定を整備し、福祉サービスを提供していない組織が評価機関として認証される。評価者養成講習を受講できるのは、福祉や医療などの業務を三年以上経験したり、組織運営管理などの業務を三年以上経験するなど必要な資格や経験を持つ者とされている。
 実際の評価は、利用者評価と事業評価の二本立て。事業評価は経営方針や保育内容などについて、保育所の経営者や職員一人一人の自己評価なども踏まえて、二人以上の評価者が訪問調査した上で、三人以上の評価者の合議で決定する。評価結果については、同機構のホームページ上で総合的な講評とともに、良い点や改善すべき点などが公表され、利用者評価についてはそのままの結果が明らかにされる。すでに、昨年度試行事業を受けた認可保育所や、今年度評価事業を受審した認可保育所などの結果は公表されている。
 評価事業を推進するために、同機構は、年間を通じて評価者養成講習を開催。今年度中に六百人以上もの評価者が誕生する見込みとなっている。こうした都の動きに民間事業者なども敏感に反応し、評価機関として数多くの株式会社が参入している。その一方で、保育内容をよく知る者が認可保育所の第三者評価に取り組もうと、保育所経営者などで組織するNPO法人も評価機関としての認証を受け、評価事業に取り組んでいる。
 大阪府では、行政とは別組織で第三者評価事業を支援・推進する組織を設け、事業者や評価機関の自主的な取り組みで第三者評価事業を推進する方向を打ち出している。十月から試行事業に乗り出した。
 府は、平成十二年七月に「福祉サービス第三者評価に関する調査検討会」を設け、評価基準や府としての評価システムのあり方を検討してきた。十四年三月にまとめた報告では、第三者評価システムの基本的考え方として、(1)事業者が自己評価等によりサービスの質の向上を図ることを前提に、その取り組みを第三者の目で確認し評価することで質の高いサービスに誘導する(2)利用者の選択が可能なサービスについては、結果を公表することにより福祉サービスの選択にも資する――ことを提示。認可保育所も含め十種類の福祉サービスについて、評価基準を作成するためのガイドラインを示し、第三者評価システムを推進するための組織として「第三者評価事業推進支援会議」の設置を提言した。
 これを受け、府は十四年六月に「福祉サービス第三者評価システム推進支援会議・大阪」を設置。福祉サービスの利用者、事業者、評価機関、有識者といった関係者が会員となって集い、自主的な取り組みとして第三者評価事業の普及・推進する体制としている。
 各評価機関は、同会議に参画することで、評価機関の独自性を保ちつつ、評価事項や評価調査者、評価手法などで一定の標準化を図ることになる。東京都では、公的な組織の認証機関が、要件を満たす評価機関を認証し、都の評価事業に適合しているというお墨付きを与えるが、府の場合は、評価機関も会議に参画し、ある意味では業界団体を組織しながら、評価基準や手法などの共通化、質の向上を図ることになる。行政の押し付けではない評価システムとするため、同会議は敢えて任意団体としている。
 同会議への参画に当たっては、(1)「共通・重要事項(評価基準)」を用いること(2)推進支援会議の評価調査者養成研修修了者が三人以上所属(3)研修修了者一人以上を含む複数での訪問調査の実施――といった要件を課している。さらに、評価機関には、(1)評価機関の組織及び運営(2)評価手順(3)評価基準(4)守秘義務に関する内容を含む倫理規定(5)料金表(6)所属する評価調査者の一覧――などの規則を整備し、公表することも求められている。
 厚生労働省社会・援護局も、都道府県単位で認証機関を設け、複数の評価機関を認証していく仕組みを検討しているが、推進支援会議へ「参画」するという府のあり方は、厚労省が検討する評価機関の「認証等」の仕組みに当たると判断されている。九月には、NPO法人や株式会社、社会福祉法人など十評価機関を参画決定した。
 具体的な第三者評価の流れとしては、「契約→事前調査→訪問調査(ヒアリング・書類点検・観察等)→評価結果→調整→結果公表」となる。評価の際には、「事業所プロフィール」「第三者評価チェックリスト」「利用者チェックリスト」といった調査票を必要とする。第三者評価チェックリストには、同会議が策定した共通・重要事項を含んでいる。認可保育所では三十項目。大きな柱として、(1)運営管理(2)子どもの発達・生活援助(3)子育て支援(4)地域住民や関係機関との連携――を据え、その下に「子どもの人権に根ざした保育理念や基本方針が明示され、職員や利用者に周知されているか」といった共通事項を掲げている。共通事項については、評価機関が評価を実施した際に、同会議が評価結果を集約し、利用者へ情報提供する予定にしている。
 同会議は、既に昨年度、評価調査者養成研修を実施し、今年度も一回目の研修を実施し、約二百人の修了生が誕生した。
 このほか、北九州市でも、今年度から保育所における第三者評価事業を本格的にスタートした。今年度中に十五施設の第三者事業を実施する予定にしており、既に評価結果の出た五施設についてはホームページ上で結果を公表している。
 同市は、平成十二年度末に策定した新北九州市保育五か年プランの中に、「保育の質に関する自己評価・第三者評価制度の導入」を盛り込み、十四年三月に「北九州市児童福祉施設等第三者評価委員会」(会長=甲斐章・福岡県立大学人間形成学科教授)を設置し、第三者評価事業のあり方について検討してきた。十四年度には、認可保育所三施設での第三者評価事業の試行も実施し、十五年四月第三者評価事業の実施指針を取りまとめ、本格実施に至っている。
 第三者評価委員会の委員は、学識経験者や実務経験者など十三人。国が示した「児童福祉施設における福祉サービスの第三者評価事業の指針」をベースに評価基準を検討し、似た内容の評価項目についてはまとめた。「子どもの発達援助」「子育て支援」「地域の住民や関係機関等との連携」「運営管理」の大項目は国と同じだが、全体の評価項目数は三十八項目に整理されている。その分、判断基準については、チェックするポイントをよりきめ細かく例示し、四段階で判断するなどの工夫をしている。
 第三者評価を実施する機関は、同委員会。今年度の実地調査員は、評価項目などの検討を通じて理解を深めた委員会委員が担当している。実地調査には、実務経験者と学識経験者の二人がペアになって実施する。受審料は無料。平成十五年度は、第三者評価事業として三百万円を計上している。
 第三者評価の具体的な手順としては、受審を希望する認可保育所が市に申込み、第三者評価と同じ評価基準を用いて、まず自己評価を実施する。評価の参考とするため、保護者アンケートも行う。保護者アンケートでは、保育所職員の応対や保育内容の適否について三段階で回答するほか、自由記述式で保育所の特徴などを答える。アンケート結果は、実地調査前に保育所に報告される。自己評価結果と保護者アンケートを踏まえ、実地調査員二人が一日をかけて保育所を訪問調査。保育士の対応や子どもの様子を観察し、評価する。最終的な評価は、委員会内の「評価決定部会」で決定する。評価結果については認可保育所に報告するとともに、市のホームページ上で公開する。
 同市では、市内百五十七か所の認可保育所に五年に一度は第三者評価を受けるよう期待している。それには、毎年三十か所は実地調査できるだけの調査員を確保する必要があるため、年明け早々に調査員養成のための研修会を実施する予定にしている。また、現在は行政に属する評価委員会も十八年度をめどに独立させ、民間の評価機関も受け入れいてく予定にしている。
(山田)







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