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 祝電披露が行われ、小泉純一郎自由民主党総裁をはじめ、国会議員等の名前が読みあげられた。
 式典の最後、日本保育協会会長表彰を受けた合計八六七人を代表して、三重県の岡田茂子さんが謝辞を述べ終了した。
 休憩をはさんで十五時三〇分から記念講演「楽しい食・保育の中心は食にあり」と題して、テレビなどで活躍の脇屋友詞氏(wakiya 一笑美茶樓総料理長)の講演と簡単な食材を使った調理=「子どもたちに喜ばれるおやつ」など、ユーモラスな語りとパフォーマンスに全員が目をこらし壇上をみつめていた。講演終了後もカメラを片手に壇上に飾られている「作品」の前に集まり記念撮影をしている姿もみられた。
〈祝賀会 二十三日十八時から二〇時・総合司会 守田浩樹(栃木県・矢板保育園園長)〉
 場所は赤坂プリンスホテル五色の間に移り、開会に先だってオープニングの御祝儀舞「千代の松」が藤間勘清都(香川県の地域子育てコーディネーターの錦美弥子)さんにより披露された。
 日本保育協会創立四十周年、日本保育推進連盟創立三十周年を記念する祝賀会は十八時に開会。
 最初に日本保育推進連盟の功労者四〇人に対して自由民主党総裁から感謝状が、代表者の兼子肇(神奈川県)さんに清水嘉与子自民党厚生関係団体委員長代理より手渡された。つづいて、村上章公日本保育協会四十周年記念実行委員長の開会のことばにより、祝賀会がスタート。主催者を代表して佐々木典夫日本保育協会理事長が挨拶を行った。
 祝賀会に出席の来賓を代表して、橋本龍太郎全国保育関係議員連盟会長が挨拶した。
 「本当に四十年、いつの間にか大変長い時間が経ったんですね。推進連盟ができて三十周年になった。その間に子どもを取り巻く環境はむしろ悪くなった。そして、『待機児童ゼロ』とか大変器用な言葉が飛び交うようになりましたけれど、その主張の裏側に本当に子どもたちが大事だということを先に考えてくれてるのかどうか、時々心配になることがあります。まさにそういう感じを味わわされた場所がいくつかありました。『私の町は、私の市は待機児童ゼロを目指しています。あと二〇〇人位なんです』。
 その次出てくるのが、『出生率が減ったので学校に空き教室がいっぱいあります。だからその空き教室に保育所という看板をかけて、それで対応します』。小学校の教室の構造は、保育に向いているんでしょうか。お昼寝する場所はどこにあるんでしょうか。子どもの一日の暮らしの場所として、暖かい物を食べさせてあげられるんでしょうか。本当にそれがいいことなのか。悪いとも言えないものですから、『そうですねえ、本当に調理施設を併設して、そうして、本当に子どもたちが昼寝できるように、変なところから光が入ったりしないように、きちんと直してもらえれば、それも一つの案かもしれませんね。けれどもゼロ歳児を預かることは無理じゃないですか』と、そう申しあげたんですけれど、どこまで分かってもらえたのか、本当に悲しい気分でその場所を去りました。私たちは、今までも申しあげてきましたが、子どもたちに一番良い環境を与えることが大事です。そして、その方針で皆さんと一緒に歩いて来れたことを私は本当に幸せに思います。
 四十周年、一つの区切りです。今度は、五十周年に向けて、あるいは六十周年に向けて、本当に子どもたちの為により良い環境を作り守っていくことでお互いに努力していきましょう」。
 斎藤日保協会長、橋本保育議連会長ほか出席した議員が紹介された。
 
シンポジウムのメンバー
 
内田氏(左)と伍藤局長(上段右)
 
〈出席者・本人〉
 有村治子、片山虎之助、真鍋賢二、清水嘉与子、金田勝年、山下英利(参)。尾身幸次(衆)。小野清子(国家公安委員長、内閣府特命担当大臣・参)。
 ここで、阿部正俊外務副大臣(参)の発声で壇上の国会議員とともに乾杯を行った。会場には全国から参加した日本保育協会会員、関係者八〇〇人が集い、あちこちに談笑の輪がひろがった。祝賀会のアトラクションも次々と披露。沖縄県支部会員五人による琉球舞踊、そしてアンデスの音楽の演奏とつづき、瞬く間に予定の時刻となった。大島日本保育協会理事・日本保育推進連盟副会長による挨拶と三本締めによって中締めを行ったあと、上村日本保育協会理事・日本保育推進連盟専務理事が祝賀会を終えるにあたって感謝の言葉を述べて日程を終了した。
〈第二日 二十四日(金)樹九時三〇分〜十六時〉総合司会 若山 望(東京都村山中藤保育園主任保育士) 平成十五年度『保育を高める全国研修大会』は、従来五年ごとの記念式典にともない、毎年の実施されている二つの研修会(「全国保育所理事長・所長研修会」と「保育を高める研究集会」)に代えて第二日に行われている。
 今回は、最初に伍藤忠春厚生労働省雇用均等児童家庭局長が「保育行政の課題と展望」と題して講演を行った。伍藤局長自身の幼少のころの子育て、子守りをした体験や「おぶいひも」の想い出などを折りまぜての話と、最近の児童福祉行政をとりまく状況について解説され、その親しみ深い語り口に参加者は聴き入っていた。
 十時三〇分から基調講演「社会福祉施設経営のあり方」と題して、第一福祉大学教授の秋山智久氏。つづいて午後から秋山氏をコーディネーターとするシンポジウム「保育園経営の明日」について、三人のシンポジストが登壇し提言を行った。「保育所にいかなる専門性が求められているか」について帆足英一ほあし子どものこころクリニック院長。「女性の働き方、家族、地域の変化と保育園」などについて村木厚子厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課長。「地域のネットワークづくりと情報発信」等について広瀬集一山梨県・和泉愛児園長がそれぞれ具体的な事例や資料を示しながら話をした(基調講演とシンポジウムの概要については、本誌平成十六年二月号に掲載する予定)。
 記念行事の最終プログラム「特別講演『相撲に学ぶ』」と題して内田勝男日本相撲協会前時津風理事長が講演を行った。現在、日本プロスポーツ協会会長代行と母校である東京農業大学客員教授の肩書を持つ。初土俵から負け越し知らずで小結に昇進した元大関豊山時代の話や、相撲部屋の実像と力士の生活、勝負の世界におけるきびしさと「美学」について熱弁をふるった。時には愛弟子の病死の話に涙し、仕切りや蹲踞(そんきょ)の姿勢についてなど会場からの質問に対しては、実際にやってみせるなど、気軽に参加者に問いかけながらの講演であり、メモを取りつつ時には笑い、時には目頭を押さえながらの会場風景だった。
 最後に、閉会式では菅原日本保育協会常務理事が挨拶を行い、記念式典を開催するにあたって多くの人にお世話になったことへのお礼を述べた。







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