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厚生労働省広報室・発
 ☆いい気候になってきました。広報室長という仕事をしていると出張の機会なんてない、と皆さんお思いかも知れませんし私自身そう思っていましたが、こんな商売をしていても呼んでくれるところがあるもので、先日機会を得て札幌に行き、あるシンポジウムに出席してきました。
 年金を中心に社会保障全般の改革の動きについて喋る、というのが与えられた役目でしたが、会場に集まって下さっている方々はごく普通の高齢者の方が中心で、ものごとを間違いにならない範囲で単純化してわかり易く話すということの難しさ、しかもそれを限られた時間でやらなければならないということの難しさを改めて思い知らされた感じでした。普段おつき合いしているマスコミの皆さんのご苦労もそこにあることだろうと思います。われわれ公務員も、もっとこういう練習をしておかないといけませんね。
 しかしそれはともかく、札幌というのは大都会であるにもかかわらず自然がすぐそこにある町で、私も開いた時間に、町の中からそのまま歩いて行ける円山というところの山道を一時間ほど歩いてきました。円山原始林として保護されているその名のとおり山道以外は手つかずの森で、紅葉が始まっていることもあって本当にきれいな、気持ちの良いところでした。休日でしたので子供づれの家族やお年寄りもずいぶん歩いていて、こういう自然と触れながら育つ、あるいは年をとってもちょっとこういう山歩きができるというのは、きっと個人にとっても地域社会にとっても、その健康を保つうえで良いことだろうと思った次第です。
 ☆さて、月刊「厚生労働」も衣替えしてからこの十一月号で五号目、今回の特集は「適正な労働条件の確保に向けて――不況から労働者を守る――」と題してみました。わが国の経済情勢が低迷をつづけている中で、サービス残業、賃金不払いなどの問題が広がっています。不当な労働条件を排除し、労働者を守る役割を果たしている労働基準行政について、改めて見直してみようではないか、という特集です。各種制度の紹介のほか、個別企業の取組の紹介、普段外からはなかなかわからない労働基準監督官の仕事の紹介なども盛り込む予定です。
 そのほかの単発の記事としては、十月から完全実施された身体障害者補助犬法や、「診療情報の提供等に関する指針」、地域雇用受皿事業特別奨励金についてなどを取り上げています。
 ☆インタヴューは元F1レーサー・冒険家の片山右京さんです。ヒマラヤ八千メートル峰の一つ、シシャパンマの登頂に成功して帰って来られた数日後のインタヴューということで、日焼けした精悍な感じのお顔、しかしお話をうかがってみると、実はむしろ優しい、サービス精神旺盛な方とお見受けしました。お話の内容も(ここで余り書いてしまってはいけませんが)自動車レース関係で一生懸命かせいでそれでヒマラヤに行く。こういうことをやっているので一年のうちに何度も外国を含めて行ったり来たりしないといけない。といった具合で本当に気どりのない方で、私は実はF1の世界などほとんど知らず、こわい人だったらどうしようと思っていたのですが、話をうかがっている間にいつもの調子になってきて、楽しくインタヴューを終えることができました。
 いつも思うのですが、一芸に秀でた人というのは共通する雰囲気をお持ちです。その一つの要素は物事をおもしろがる精神なのではないかと、今回のインタヴューをしていて気がつきました。誌面からもそれを読みとっていただくことができるのではないかと考えています。
(厚生労働省 大臣官房広報室長 樽見英樹)
 
雑誌「厚生労働」年間購読料・八、二〇八円(送料込)
お申し込みは、中央法規出版(株)
電話〇三−三三七九−三八六一
 
 
 
児童福祉法に基づく市町村保育計画等について
 (雇児発第〇八二二〇〇八号平成十五年八月二二日 各都道府県知事 指定都市市長 中核市市長宛 厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)
 平成十五年七月十六日に公布された児童福祉法の一部を改正する法律(平成十五年法律第一二一号)による改正後の児童福祉法第五六条の八に基づく市町村保育計画及び第五六条の九に基づく都道府県保育計画については、本日、児童福祉法施行規則等の一部を改正する省令(平成十五年厚生労働省令第一三〇号)及び児童福祉法第二一条の二七、第五六条の八第一項及び第五六条の九第一項に規定する主務省令で定める事業等のうち文部科学大臣の所管するものを定める省令(平成十五年文部科学省・厚生労働省令第三号。以下「共同省令」という。)が別添(略)のとおり公布されたところである。今般、市町村保育計画及び都道府県保育計画に関し、下記のとおり留意事項を取りまとめたので、その運用に遺憾なきを期されたい。
 なお、この通知は、地方自治法(昭和二二年法律第六七号)第二四五条の四第一項の規定に基づく技術的助言である。
1 待機児童について
 児童福祉法施行規則(昭和二三年厚生省令第十一号。以下「規則」という。)第四〇条に規定する「保育の実施の申込みを行った保護者の当該申込みに係る児童であって保育の実施が行われていないもの」(以下「待機児童」という。)とは、各年四月一日において、児童福祉法第二四条第一項に規定する児童について、保育所における保育を行うことを希望する保護者が同条第二項の規定に基づき申込書を市町村(特別区を含む。以下同じ。)に提出したにもかかわらず、保育所に入所していない児童のうち、規則第四〇条各号のいずれにも該当しない者をいう。なお、待機児童であるか否かを判断するに当たっては、下記の点に留意すること。
(1)規則第四〇条第一号イの「その他児童の保育に関する事業であって当該市町村が必要と認めるものを利用している児童」とは、地域の保育需要に対応するために地方公共団体が実施している単独施策を利用している児童であり、当該児童は待機児童数には含めないこと。
(2)規則第四〇条第一号ロに規定するとおり、保護者が入所を希望する保育所以外の保育所に入所することができる児童は、待機児童に算入しないこと。この場合、「保護者が入所を希望する保育所以外の保育所」とは、例えば、
(1)開所時間が保護者の希望に応えている保育所
(2)保育所の立地条件が登園に無理のない保育所
をいうものであること。
(3)保護者が求職中の場合については、一般に、児童福祉法施行令(昭和二三年政令第七四号)第九条の五第六号に該当するものと考えられるところであるが、求職活動には様々な形態が想定されることから、保護者の求職活動の状況把握に努め、適切に対処すること(「保護者求職中の取扱い等保育所の入所要件等について」(平成十二年二月九日児保第二号))。
(4)保育に欠ける児童を居住地の市町村以外の市町村にある保育所に入所させること(広域入所)についての希望があるが入所できない場合には、入所申込者が居住する市町村において待機児童として算入すること。
(5)一定期間待機児童の状態である児童については、保護者の保育所への入所希望を確認した上で、希望がない場合には待機児童に算入しないことができること。
(6)保育所に入所しているが、第一希望の保育所でない等の理由により転園希望が出ている場合には、当該児童は待機児童には算入しないこと。
(7)産後休業及び育児休業明けの入所希望として事前に入所申込が提出されている場合等(入所予約)であって入所希望日が四月二日以後である場合については、当該児童は四月一日時点の待機児童には算入しないこと。
2 特定市町村について(児童福祉法第五六条の八第一項)
(1)要件
 児童福祉法第五六条の八第一項に規定する厚生労働省令で定める要件は、次のいずれかに該当することとする。
(1)当該年度の前年度(児童福祉法第五六条の八第二項及び第五項の規定を適用する場合にあっては、前年度又は当該年度)の四月一日における待機児童の数が五〇人以上いること
(2)当該年度の四月一日において、当該年度前に定められた児童福祉法第五六条の八第二項の市町村保育計画の計画期間が終了していないこと
 このため、当該年度の前年度の四月一日に新たに待機児童の数が五〇人以上となったことにより特定市町村に該当することとなった市町村は、当該年度を始期とする市町村保育計画を策定することとなる。
(2)二か年度以上にわたり特定市町村に該当する市町村について
 (1)(1)の要件に該当することにより二か年度以上にわたり特定市町村に該当する市町村が、既に策定している市町村保育計画期間中に、再び特定市町村の要件に該当した場合は、改めて新たな市町村保育計画を策定することを要しないものとする。なお、この場合においては、既に策定している市町村保育計画の内容が待機児童の解消に資するものであるか否かについて検討を行うとともに、必要に応じて市町村保育計画の見直しを行うことが望ましい。
(3)市町村保育計画の計画期間中の取扱いについて
 当該年度の四月一日において、当該年度前に定められた市町村保育計画の計画期間が終了していない市町村は特定市町村となる。この場合、当該年度前に定められた市町村保育計画の計画期間中であることから、当該特定市町村において新たに市町村保育計画を策定することは要しないものとする。
3 特定都道府県について(児童福祉法第五六条の九第一項)
(1)要件
 児童福祉法第五六条の九第一項に規定する厚生労働省令で定める要件は、次のいずれかに該当することとする。
(1)当該年度の前年度(児童福祉法第五六条の九第二項及び第六項の規定を適用する場合にあっては、前年度又は当該年度)の四月一日において、当該都道府県の区域内に、特定市町村となるべき市町村があること
(2)当該年度の四月一日において、当該年度前に定められた児童福祉法第五六条の九第二項の都道府県保育計画の計画期間が終了していないことこのため、当該年度の前年度の四月一日に新たに当該都道府県の区域内に特定市町村となるべき市町村が生じたことにより特定都道府県に該当することとなった都道府県は、当該年度を始期とする都道府県保育計画を策定することとなる。
(2)二か年度以上にわたり特定都道府県に該当する都道府県について
 (1)(1)の要件に該当することにより二か年度以上にわたり特定都道府県に該当する都道府県が、既に策定している都道府県保育計画期間中に、再び特定都道府県の要件に該当した場合は、改めて新たな都道府県保育計画を策定することを要しないものとする。なお、この場合においては、既に策定している都道府県保育計画の内容が待機児童の解消に資するものであるか否かについて検討を行うとともに、必要に応じて都道府県保育計画の見直しを行うことが望ましい。
(3)都道府県保育計画の計画期間中の取扱いについて
 当該年度の四月一日において、当該年度前に定められた都道府県保育計画の計画期間が終了していない都道府県は特定都道府県となる。この場合、当該年度前に定められた都道府県保育計画の計画期間中であることから、当該特定都道府県において新たに都道府県保育計画を策定することは要しないものとする。
4 市町村保育計画及び都道府県保育計画並びに次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画との関係について
 特定市町村及び特定都道府県(以下「特定市町村等」という。)においては、次世代育成支援対策推進法(平成十五年法律第一二〇号)に基づく市町村行動計画又は都道府県行動計画(以下「市町村行動計画等」という。)とは別の計画として市町村保育計画又は都道府県保育計画(以下「市町村保育計画等」という。)を策定する必要はなく、市町村行動計画等と一体のものとして策定することが可能である。ただし、この場合、市町村行動計画等の保育サービスに係る部分は、当該自治体における待機児童の数を踏まえた保育サービスの供給が確保された内容であることが必要である。
5 計画策定手続について
(1)現状の分析
 次世代育成支援対策推進法第七条に基づく行動計画策定指針(平成十五年国家公委員会、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省告示第※号。以下「行動計画策定指針」という。)中「三 市町村行動計画及び都道府県行動計画の策定に関する基本的な事項」の「2市町村行動計画及び都道府県行動計画の策定に当たって必要とされる手続」中「(1)現状の分析」を参考とすることとする。
 この場合、具体的には、市町村保育計画等については、地域の人口構造や産業構造等の地域特性、保育サービス利用者のニーズの実情、保育サービス提供の現状や保育サービス資源の状況、更には子どもと家庭を取り巻く環境等の現状を分析して、それらを踏まえ策定することが必要である。
 このため、保育施策に関連する各種の資料を収集・分析し、その結果を計画の策定に活かしていくことが望ましい。
 また、既に児童育成計画(地方版エンゼルプラン)を策定している市町村及び都道府県においては、児童育成計画の進捗状況の評価や推進に係る課題の分析を行い、その結果を活用していくことが必要である。
(2)ニーズ調査の実施等
 行動計画策定指針中「三 市町村行動計画及び都道府県行動計画の策定に関する基本的な事項」の「2市町村行動計画及び都道府県行動計画の策定に当たって必要とされる手続」中「(2)ニーズ調査の実施」を参考とすることとする。
 この場合、具体的には、特定市町村は、保育サービス利用者の意向及び生活実態を把握し、保育サービスの量的及び質的なニーズを把握した上で市町村保育計画を策定するため、保育サービス対象者に対するニーズ調査を適切に行うとともに、調査結果をもとに保育サービスのニーズ量を推計・把握し、当該市町村の財政状況や民間の活用を含めた供給基盤等を勘案し、待機児童の解消に向けて、具体的な目標設定を行うことが望ましい。
 また、特定都道府県は、ニーズ調査が円滑に行われるよう、特定市町村に対する技術的助言やニーズ調査の共同実施をする場合の特定市町村間の調整等に努めることが望ましい。
 なお、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定後に市町村保育計画を策定する特定市町村は、新たなニーズ調査を実施することなく行動計画策定時に実施したニーズ調査結果を適宜活用して、市町村保育計画を策定することとして差し支えないものとする。この場合、ニーズ調査実施後の当該市町村における保育ニーズの動向に変化が見られる場合には、改めてニーズ調査を実施した上で市町村保育計画を策定することが望ましい。この場合、新たに策定される市町村保育計画は、行動計画との間の調和が保たれたものとすることが必要であり、行動計画の変更を伴う場合もあることが考えられる。
 その他の調査方法としては、人口規模等の地域の事情を勘案し、ヒアリングや懇談会等の方法をとることも考えられる。
(3)住民の意見反映のための手続について(児童福祉法第五六条の八第二項及び第五六条の九第二項)
 行動計画策定指針中「三 市町村行動計画及び都道府県行動計画の策定に関する基本的な事項」の「2市町村行動計画及び都道府県行動計画の策定に当たって必要とされる手続」中「(3)住民参加と情報公開」を参考とすることとする。
 この場合、具体的には、児童福祉法第五六条の八第二項及び第五六条の九第二項では、特定市町村等は、市町村保育計画等を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、住民の意見を反映させるための必要な措置を講ずるものとされていることから、計画の策定段階において、公聴会、懇談会又は説明会の開催等を通じて市町村保育計画等策定に係る情報を提供するとともに、意見を幅広く聴取し、反映させることが必要である。
 また、児童福祉法第五六条の八第三項及び第五六条の九第三項では、特定市町村等は、市町村保育計画等を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表することとされており、広報誌やホームページへの掲載等により適時かつ適切に広く住民に周知を図ることが必要である。
6 市町村保育計画等策定の時期等について
(1)計画策定の時期について
 市町村保育計画等に係る規定は平成十七年四月一日から施行されることから、平成十六年四月一日の時点で特定市町村等の要件に該当する市町村等は、平成十六年度中に平成十七年度を始期とする市町村保育計画等を策定することが必要である。
(2)計画の期間について
 市町村保育計画等の計画期間については、特定市町村等における保育需要の動向等の実情を踏まえ、当該特定市町村等が自由に設定することを可能とする。なお、この場合、当該特定市町村等における保育需要の動向の変動にも十分対応することができるよう、必要に応じて市町村保育計画等の見直しを行うことが望ましい。
7 市町村保育計画等の実施状況の点検及び推進体制について
 行動計画策定指針中「三 市町村行動計画及び都道府県行動計画の策定に関する基本的な事項」中「4市町村行動計画及び都道府県行動計画の実施状況の点検及び推進体制」を参考とすることとする。
 この場合、具体的には、市町村保育計画等の推進に当たっては、各年度においてその実施状況を一括して把握・点検しつつ、その後の対策を実施することが必要である。
 また、児童福祉法第五六条の八第四項及び第五六条の九第五項では、特定市町村及び特定都道府県は、毎年少なくとも一回、市町村保育計画等に定められた事業の実施の状況を公表しなければならないこととされており、この計画の実施状況等に係る情報を広報誌やホームページへの掲載等により、住民に分かりやすく周知を図るとともに、住民の意見等を聴取しつつ、その後の対策の実施や計画の見直し等に反映させることが必要である。
8 市町村保育計画等の内容に関する事項
(1)市町村保育計画
 特定市町村は、保育の実施責任を有する自治体としての役割を踏まえ、保育施策を総合的、かつ、きめ細かく行うことにより待機児童を解消するよう、保育に関する事業を市町村保育計画に体系的に盛り込むことが必要である。
 市町村保育計画に盛り込む事項としては、児童福祉法第五六条の八第一項において、保育の実施の事業、主務省令で定める子育て支援事業その他児童の保育に関する事業であって特定市町村が必要と認めるものの供給体制の確保に関する事項が掲げられており、これを踏まえ、計画策定に当たることが必要である。
 計画の策定に当たっては、次に掲げる事項を踏まえつつ、各特定市町村の実情に応じた事業をその内容に盛り込むことが必要である。
 各事業の目標設定に当たっては、保育サービス利用者等のニーズを踏まえて、待機児童の解消に向けて可能な限り定量的な目標を設定することが望ましい。
 また、特定市町村において設定された定量的な目標については、後日、国の参考資料としてその数値の提供を依頼することとしている。
 なお、定量的な目標の設定に当たっては、都道府県保育計画との整合性を図る観点から、特定市町村は都道府県との協議・調整を行うことが求められる。一方、特定都道府県においては、特定市町村から報告を受けた定量的な目標をもとに、都道府県全体としての定量的な目標を設定することが求められる。
 指定都市及び中核市にあっては、この通知において都道府県保育計画に盛り込まれている内容のうち、指定都市及び中核市が処理することとされているものについては、適切に保育計画に盛り込むことが必要である。
(1)保育の実施の事業
 児童福祉法第二四条第二項に規定する保育の実施の事業とする。
(2)主務省令で定める子育て支援事業であって特定市町村が必要と認めるもの
 児童福祉法第五六条の八第一項に規定する主務省令で定める子育て支援事業は、児童福祉法施行規則第二一条の十九第五号に規定する事業(保育ママ事業)及び共同省令第二条第一号に規定する事業(幼稚園における預かり保育)とする。
(3)その他児童の保育に関する事業であって特定市町村が必要と認めるもの
 自治体における様々な単独施策を始めとする(1)及び(2)以外の児童福祉法第二四条第一項ただし書に規定するその他の適切な保護に該当する事業等児童の保育に関する事業であって特定市町村が必要と認めるものとする。なお、保育サービスについては、その安定的な供給や質の確保の観点から、今後とも認可保育所が保育サービス提供の基本であることに留意するとともに、(3)の事業により待機児童の解消を図る場合であっても、子どものしあわせの観点から、当該事業について一定の質を担保することが必要である。
(4)その他の事項
 市町村保育計画の策定に当たっては、子どものしあわせを第一に考えるとともに、利用者の生活実態及び意向を十分に踏まえて保育サービスの提供体制を整備することが必要である。特定市町村は、市町村保育計画に基づき保育所受入れ児童数の計画的な拡充を図り、待機児童の解消に努めることが重要である。
 上記(1)から(2)までの保育サービスの充実に当たっては、様々な規制緩和措置や民間活力を活用して量的な充足を図るとともに、延長保育、休日保育及び夜間保育などの多様な保育需要に応じて、広く住民が利用しやすい保育サービスの提供が行われることが必要である。
 また、保育サービスの質を担保する観点から、第三者評価を始めとするサービス評価の仕組みの導入、実施等について取組を進めることが望ましい。
(2)都道府県保育計画
 特定都道府県は、都道府県が実施する事業と併せて、特定市町村の計画的な事業の実施を支援するための措置を含めて、保育に関する事業を都道府県保育計画に体系的に盛り込むことが必要である。
 都道府県保育計画に盛り込むべき事項としては、児童福祉法第五六条の九第一項において、市町村保育計画の達成その他の市町村における保育の実施の事業及び主務省令で定める子育て支援事業その他児童の保育に関する事業であって特定都道府県が必要と認めるものの供給体制の確保に関する事項が掲げられており、これを踏まえ、計画策定に当たることが必要である。
 計画の策定に当たっては、次に掲げる事項を踏まえつつ、各特定都道府県の実情に応じた事業をその内容に盛り込むことが必要である。
 各事業の目標設定に当たっては、市町村保育計画を踏まえて、待機児童の解消に向けて可能な限り定量的な目標を設定することが望ましい。
(1)市町村保育計画の達成に関する事項
 特定市町村に対する必要な支援等特定市町村の市町村保育計画の達成に資する事項とする。
(2)その他の市町村における保育の実施の事業及び主務省令で定める子育て支援事業その他児童の保育に関する事業であって特定都道府県が必要と認めるものの供給体制の確保に関する事項
 特定都道府県における待機児童の解消に資するため、当該特定都道府県の区域内の市町村における保育の実施の事業等に係る具体的な目標を規定するものとする。
 なお、「その他児童の保育に関する事業であって特定都道府県が必要と認めるもの」については、自治体における様々な単独施策を始めとする(1)(1)及び(2)以外の児童福祉法第二四条第一項ただし書に規定するその他の適切な保護に該当する事業等児童の保育に関する事業であって特定都道府県が必要と認めるものとする。なお、保育サービスについては、その安定的な供給や質の確保の観点から、今後とも認可保育所が保育サービス提供の基本であることに留意するとともに、(1)(3)の児童の保育に関する事業により待機児童の解消を図る場合であっても、子どものしあわせの観点から、当該事業について一定の質を担保することが必要である。
(3)その他の事項
 より質の高い保育サービスの提供や多様なニーズに合わせた保育サービスの提供を図る観点から、人材の確保や養成に努めることが必要である。
 また、特定都道府県は、市町村と連携を図りつつ、保育計画に基づき保育所受け入れ児童数の計画的な拡充を図り、待機児童の解消に努めることが必要である。
9 市町村保育計画等の推進に当たっての関係者の連携
(1)市町村内及び都道府県内の首長部局及び教育委員会の連携
 市町村保育計画等に盛り込まれる内容には市町村教育委員会及び都道府県教育委員会の所管に属する事項も含まれることから、特定市町村内及び特定都道府県内の首長部局及び教育委員会は、市町村保育計画等の総合的かつ効果的な推進を図るため、市町村保育計画等の策定やこれに基づく措置の実施について緊密な連携を図る必要がある。
(2)市町村及び都道府県の連携
 特定市町村及び特定都道府県は、市町村保育計画等の策定に当たって、相互にその整合性を図ることが重要であり、市町村保育計画等の策定過程において緊密な連携を図る必要がある。
 特に特定都道府県は、児童福祉法第五六条の十第一項の規定に基づき、特定市町村に対して、例えば次に掲げる事項について、必要な助言その他の援助を行うなど、適切に配慮することが必要である。
(1)国及び都道府県の施策や補助制度の内容についての情報提供
(2)保育に関する各種の統計資料の提供
(3)共同調査の支援等のニーズ調査の円滑な実施方法
(4)ニーズ量の推計方法及び目標の設定方法
 
 
 
平成十六年度日本保育協会予算対策常任委員会が開催
 日本保育協会予算対策常任委員会(中塚委員長)が、去る十月一日、千代田区のルポール麹町で開かれた。この会議は平成十六年度保育関係予算について九月一日、厚生労働省から財務省に概算要求書が提出されたことに関連して、要望事項について協議を行い別紙のとおり決定した。
 この常任委員会に、厚生労働省から唐沢剛保育課長と中村寛課長補佐が出席した。唐沢課長から「次世代育成支援施策の基本的方向」等について、中村課長補佐からは「平成十六年度保育関係予算の概算要求」等についてそれぞれ説明があった。
 常任委員からは、補助金の減額の現状等について発言があり、活発な意見交換が行われた。
 
自由民主党厚生労働部会・厚生団体協議会合同会議で日本保育協会が陳情
 去る十月九日、自民党本部において厚生関係団体の代表が集まり、平成十六年度予算及び税制改正等について要望を行った。
 清水嘉与子厚生関係団体委員長代理の進行で、杉山憲夫組織本部長代理の挨拶の後、出席議員〈津島雄二、鈴木俊一、北村誠吾、奥山茂彦、佐藤章、森岡正宏、竹下亘(以上衆議院)。山東昭子、藤井基之、宮崎秀樹、真鍋賢二、南野知恵子(以上参議院)〉らを紹介し、各団体からの要望を聴取した。保育関係については、上村日本保育推進連盟専務理事が別紙の要望書により陳情した。〈日本保育協会出席者=菅原常務理事、野口事務局長。日本保育推進連盟=上村専務理事ほか。〉
 
別紙
平成十六年度保育関係予算要望事項
 
平成十五年十月
社会福祉法人日本保育協会
日本保育推進連盟
 急速な少子化の進行は、我が国の将来に重大な影響を及ぼすものであり、次代を担う子どもが心身ともに健全に発達するための環境を整備することが急務であります。
 いうまでもなく、子育て支援は国が取り組むべき重要な基本施策であり、国の責任と関与の下で推進されるべきものであります。
 子育て支援を推進するため、その中核を担う認可保育所が、未来にむけて子どものしあわせを第一に考えながら、地域の保育ニーズに対応した質の高い保育水準を保ちつづけることができるよう、特に次の施策の推進を要望いたします。
1 安定した保育所運営のための国庫財産の確保(注1)
2 職員の配置基準等の改善(注2)
3 保育所における子育て支援事業の充実
(1)民間保育所併設児童館の拡充
(2)保育士養成研修対策の充実
(3)過疎地域保育所対策の充実
(4)老朽施設等施設整備の推進
4 新エンゼルプラン事業の推進(最終年度)
5 公立保育所の民営化(社会福祉法人化)の推進(注3)
 
平成十六年度税制改正要望事項
 
平成十五年十月
社会福祉法人日本保育協会
日本保育推進連盟
1 保育所の用に供する有料で借り受けた土地について固定資産税を免除すること
 固定資産税が高いため、保育所が有料で借りている土地の地代にはねかえってきているので、施設運営上困難をきたしている。この固定資産税を免除してください。
2 保育所の土地について相続税の課税を免除すること
 保育所に貸与している土地にかかる相続税については、健全な保育所の存続を図るため、免除又は猶予し負担を軽減してください。
3 保育所に対する寄付金控除の限度額を大幅に引き上げること。
 

(注1)保育所運営費・施設整備費等は、安定した保育所運営のため一般財源化はしないでもらいたい
(注2)(1)一〜二歳児は自力歩行ができるようになると手がかかる
  (2)保育所における食育の重要性を考慮されたい
  (3)事務職員を全保育所に配置
(注3)民営化の場合は、永年にわたり実績のある社会福祉法人に







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