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保育界(平成15年10月号)

 事業名 保育活動の推進
 団体名 日本保育協会 注目度注目度5


―保育所における子育て相談(10)―
保育所における子育て相談を実施する場合の関係機関との連携のあり方
敦賀児童相談所心理判定員 安井弘二
保育所での子育て支援には大きな期待がもたれていますが、子どもを育てていく中で保育所の役割とはなんでしょうか
 多くのお母さんがそれぞれ悩みを抱えていますが、悩みには(1)身体障害・精神発達面の問題、(2)心理面・行動上の問題、(4)保護者の特性や子育て環境の問題などさまざまです。昔と違って少子化・核家族の時代の中で、家族規模が小さくなり、地域住民の横のつながりが少なくなって、お互いのコミュニケーションが稀薄になってきています。また、母親自身も幼児期から子どもと接する機会や経験がないまま育ち、近くに相談できる祖父母や親戚といった支援者もおらず、孤独感や閉塞感を感じているのではないでしょうか。共働きをしている家庭には育児と仕事が両立できるようなサポート体制が必要ですし、専業主婦の家庭においても適切な子育てについてのサポートが必要な時代となってきています。
 子育てについて困った問題にぶつかった保護者が相談できる機関として、児童相談所、医療機関、電話相談、インターネットなど様々です。しかし一番相談しやすく、最初に相談を受ける機会が多いのは保育所ではないでしょうか。実際、保育所保育指針の中でも通常業務に加えて地域における保育所の役割として、保護者の子育て負担や不安・孤立感の増加などの軽減を図るため、養育機能の変化に伴う子育て支援を位置づけています。
 
子育て相談を受けた保育所はどうしたら良いでしょうか
 まずそれらの相談が、保育所で受けることの出来るものかどうかを判断することが必要です。例えば、授乳や離乳の方法、トイレットトレーニング、発達に適した遊具や絵本の選択についての助言等は、保育士にとっては専門家として最も得意とする分野ですので相談は受けやすくなります。また、保育所で相談を受ける場合、メリットとしてある程度対象が限定されていることや、毎日の子どもの姿を把握していることで具体的な相談にのることが出来る点です。
 次に、相談者の心理的動揺が大きく、一回の面接だけではとても充分な相談活動にならない場合などは、相談者の声に真摯に耳を傾け、複雑な家族関係の調整や育児不安の解消のため継続的に相談に応じることも大切です。相談員との間で信頼関係(ラポール)を形成する中、相談内容を深めることで悩みを軽減させることができます。ただし、あまりに複雑な問題を抱えていることが分かれば、専門のカウンセラー等を紹介することも必要です。また、日常生活の中で地域住民の横のつながりが薄いため、子育ての悩みや体験を共有できる仲間を求めている場合などは、育児サークルや見守りをしてくれる人を紹介する方が適していますし、他機関を紹介し連携して取り組む方がよいケースも沢山あります。
 身近な保育所では相談が受けにくいという人もありますが、ちょっとした時間を利用しながら、金銭的な問題や家庭内のトラブル、身体の障害や保健に関する相談等を希望する方もよくみられます。とても複雑な金銭トラブルなどでは、無料法律相談などを紹介するとか、身体の障害に関する相談などは専門の医療機関を紹介することもありますが、気軽に相談できる場所として認知していただけるよう、地域での広報活動も大切なことです。
 
虐待等が疑われるような場合はどうすれば良いでしょうか
 保護者の方から相談などのアクションがある場合はよいのですが、いつも保護者から相談があるとは限りません。サポートが必要であっても保護者が問題視していなかったり、コミュニケーションを取ることが難しい家庭や虐待が疑われる場合などは、保護者から相談がなくても支援の必要な場合もあります。その時には、保育所だけで相談を受ける必要はなく、上手に他機関を利用することが大切です。保護者が直接相談しなくても、保育士が児童相談所などの専門機関にこれらの難しい問題への対応について相談することで、方向性を見つけることができます。また、保育士から直接問題点を指摘されることによって保護者が責められていると感じてしまい、保育所との関係が悪くなりそうな場合には、保育士自身が対応の仕方を教えてほしいので専門機関に相談してみないかと勧めることもできます。精神的に不安定な保護者であればレスパイトケアとしての延長保育、ショートステイ利用等で保護者の負担軽減を図ることや、しかるべき関係機関への紹介(カウンセリング等)も必要です。
 
保育所が連携できる相談機関としてはどんなところがあるのでしょうか
 ここに挙げる相談機関としては保健所・保健センター、医療機関、療育機関、児童相談所、家庭相談員、児童委員、子育て支援センター等のことです。他機関を紹介し連携をとることによってお互いの足りない部分を補うことが出来るため、結果として包括的に子育てを支援することが出来ます。
 
相談担当者が他機関との効果的な連携を行うためにはどうしたら良いでしょうか
 相談を担当する人にとって効果的に他の機関との連携を行うためには、お互いの組織をよく理解することです。それぞれの機関の特徴や機能の限界について理解しておくことで、互いに役割分担をすることができ、足りない点について補完することが出来ます。また、親子・環境等の問題について、どのような方向性を持って支援するのか共通の認識をもっておくことも重要です。それぞれの機関が、自分たちだけの目標に向かって取り組むようだと充分な効果が上がらなくなってしまいます。そのため、ケース連絡会議を持つことや、こまめに連絡を取り合いながらケース全体の状況把握をしておくことも大切です。
 
まとめ
 保育所が子育て相談を受ける目的は、それぞれの地域で子どもやその保護者が協力しながら楽しい生活が送れるように助言や指導をしたり、家族の心が安定するようサポートしていくことです。そのためには、相談担当者は積極的に援助技術を磨き、悩みをかかえる保護者に対して、適切で有効な子育て支援サービスを提供することが大事です。また、関係機関との連携は、問題を抱えている親子や家族のためだと思いがちですが、連携することによって保育所だけで親子や家族を抱え込むことがなくなることや、問題を抱える人たちに対して、関係機関からの専門家助言や指導を受けることができ、相談活動がより幅広くなるのです。
 子どもにとって保育所は人生最初の小集団です。規則正しい生活習慣を身につけてもらい、楽しい経験をしていただきながら、自分がすごく尊重されているといった感覚を味わってもらうためにも、保育士自身が余裕をもって保育できる環境づくりを心がけることが大切です。
 最後に、最近虐待をうけて死亡する乳幼児のことが社会問題になっていますが、今後保育所に地域の方からこれに類する情報が頻繁に寄せられる可能性があります。このような場合、児童相談所等の関係機関と連携を取りながら、緊急の事態にも対応できるようにしたいものです。相談員の機敏な判断によって、幼子の尊い命が救われることもあるので、緊急時の対応に関するマニュアル整備が急務です。
※この原稿を執筆するにあたり、福井県総合福祉相談所の中井由美子さんに御協力をいただきましたことに感謝いたします。
 
前局長・審議官・課長を囲んで
 去る九月四日、日本保育協会女性部有志による懇談会が開催され、岩田前局長、渡邊審議官、高井課長を囲み、在任中のお話などを伺った。
 
 
 
 
夫婦出生力の変化(3)
―結婚と出産に関する全国調査(平成12年)―
国立社会保障・人口問題研究所
高橋重郷・金子隆一・福田亘孝・釜野さおり・大石亜希子・佐々井司・池ノ上正子・三田房美・岩澤美帆・守泉理恵
 
2、子育て支援制度・施設の利用
(1)若い世代の正規雇用者で育児休業取得が増加、ただし勤め先の従業員規模で格差
 一歳以上の子どもを持つ出産経験者に、利用した子育て支援制度・施設をたずねたところ、「どれも利用しなかった」という人が半数以上を占めた(表V-2-1)。しかし、出産前後に正規雇用を継続している妻に限ると、ほとんどの場合で何らかの制度・施設を利用しており、とくに産休制度(八八%)、認可保育所(五一%)、育児休業制度(四五%)の利用が多かった。なかでも三〇代前半より若い世代では、約七割が育児休業を取得している。さらに勤め先の従業員規模別に見ると、大企業や官公庁勤務で育児休業を取得した者の割合が高く、認可保育所は官公庁で利用率が高い。従業員数一、〇〇〇人以上の大企業の正規雇用者は他に比べ無認可保育施設等の利用率が高い。また、育児休業制度の利用率の推移を、利用した子ども(第一子)の出生年によって見ると(図V-2-1)、とくに妻が正規雇用者として就業している場合に高まっていることがわかる。
 
表V-2-1 最初の子どもを出産したときに利用した制度や施設
(1歳以上の子どもを持つ夫婦について)
注:1歳以上の子を持つ初婚どうしの夫婦について。ここでの「正規雇用継続者」とは、「第1子の妊娠がわかったとき」「第1子が1歳になったとき」の2時点で正規雇用者であった者。正規雇用には「派遣・嘱託」を含む。勤め先の従業員数不詳については掲載を省略。ただし、総数にはこれを含む。
 
図V-2-1 子どもの出生年別にみた、育児休業制度の利用者割合の推移







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