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保育界(平成15年9月号)

 事業名 保育活動の推進
 団体名 日本保育協会 注目度注目度5


諫言・苦言(97)
園長の資質向上
(第三者評価、危機管理から思うこと)
 ここ数年における保育を取り巻く状況の変化は、あまりにも速く実に目まぐるしい。
 顧みると平成十年度に「措置」から「利用」になったが入園の仕組みの変化を保護者はいち早く知ってか、すぐに利用者としての権利意識が広まってきた。さらに高齢者福祉法の影響を受けて、保育所にも利用者への情報提供が努力義務として課せられた。「i子育てネット」をはじめ、保育所自身による内部の情報の提供や公開は、「保護者の知る権利」が一段と明瞭になったことを示す。
 平成十二年には「苦情解決制度」が誕生して、保護者の声が保育所運営に反映される利用者中心主義が全面的に強調されたのである。そして保育所の自己点検が明示され、その自己点検を客観的に評価する「第三者評価制度」が翌年の十三年に誕生したのである。さらには、国のすばやい対応で保育士の国家資格化と保育所が「子育て支援施設」としての法的位置づけも明確にされたのである。第三者評価については評価機関が今のところ全国的に複数立ち上がっていないのが、物足りない感もあるが、これらの急激な流れはわずか四、五年の間で起きている。
 つまり、保育所の運営で生じる自身の問題は、俯瞰的には行政による指導と併せて個々の園で自己解決を目指し、自立を促している。
 特に、リスクマネージメント(危機管理)は保育所自身が主体的に自己解決しなければならない問題である。仮に行政の指導監査によって受身的にやっている園があるとすれば、なんと「おめでたい」園かと思う。
 話は少し横道に逸れるが、「危機管理」という表現はきわめて政治的、国家的、行政的な動きを連想しやすい。たとえば、有事や地震、風雨災害、金融危機の際の政策や体制を想定してしまうので、ここではあえて、「リスクマネージメント」という表現を用い、園で起きる小さなけがや感染症、病気に対する職員の対応として捉えたほうが適切だと思う。
 ところで「リスクマネージメント」の表裏一体に「ハインリッヒの法則」というのがある。一つの事故の陰には二十九の軽症事故があり、さらにその奥には三百の「ニアミス、危険」があるというのである。
 その事故を防ぐには、その奥にある「ニアミスや危険を感じた」に対する対策が必要ということになる。
 園長の耳には届かないニアミスをどのように捕捉するのか、その対応がまさに施設長の資質というものである。『認可外保育所は危険で、認可は安全』という神話的な話をよく聞くが、認可保育所でも死亡事故は起きている。ただその事故が世間に出ないよう地方自治体等も力を入れて表に出ないように取り組んでいるのである。
 先に述べたように、社会福祉法の改正によって、利用者の知る権利と施設からの情報提供の履行はすでに整った。第三者評価でも、五十二の評価項目が仔細にわたってインターネットで公表されることになった。
 苦情解決にいたっても保護者の声を無視したり、放置することは許されなくなった。そのようななかで、巷では苦情の内容を積極的に公開し、保護者と共に運営に資するため知恵をもらう施設も出てきた。
 今、企業参入や認証保育所、横浜型保育室、幼稚園との一体化等々、保育の供給拡大のために大幅な規制緩和が行われたが、保育の質をただす不安な声が認可保育所を中心として大きくなっているのも事実である。
 しかし、縷々のべてきたように保育を取り巻く環境の時代変化は、猛烈な勢いで進んでおり、社会から確実に保育所の質を高めることと、その質には厳しい規制が敷かれることとなった。重複するがその質を誰もが目に見える形で要求されることになったのである。
 だがこのことは、園の最高責任者としての資質と器量が求められている同義語であることに間違いないのである。
(夢井仁・フリーライター)F
 
――お知らせ:全国フォーラム――
第3回少子化対応推進全国フォーラムinたかはま
テーマ 「みんなで子育て!楽しく子育て! 子どもを生み、育てたいと思える社会とは」
日時 平成15年11月1日(土)13:00〜18:30
平成15年11月2日(日)9:15〜12:30
会場 (1)高浜市中央公民館(市民センター)
(2)豊田自動織機高浜工場ホール
(3)高浜市立女性文化センター
内容 第1日 基調講演「こどもと一緒に見つけたもの」平松愛理(シンガーソングライター)、「子育てをみんなで応援する社会づくり」大日向雅美(恵泉女学園大学教授)
シンポジウム(1)「楽しく子育てするために」山縣文治(大阪市立大学教授)、平松愛理ほか。シンポジウム(2)「生み・育ち・支え合い、次世代を育む社会の役割」好本恵(アナウンサー)、大日向雅美、河合和之(トヨタ自動車人事部長)ほか。
第2日 第1分科会「手を取り合って みんなで子育て」。第2分科会「仕事と家族 会社とパパの子育て改革」。第3分科会「これからの地域・企業・行政はどうするの」。全体会。
主催 第3回少子化対応推進全国フォーラムinたかはま実行委員会 少子化への対応を推進する国民会議(内閣総理大臣主宰)(財)児童健全育成推進財団
主管 愛知県、高浜市
参加費 無料(事前に参加申込みを)
定員 一、○○○人
募集期間 平成15年8月中旬〜9月15日
申込方法 (1)開催要項・募集チラシの参加申込書で申込む。
(2)ホームページから申込書をプリントアウトして申込む。(詳細は事務局へ)
申込・問合せ先
高浜市役所幼育センターこども課内
第3回少子化対応推進全国フォーラムinたかはま実行委員会事務局
愛知県高浜市青木町四丁目一番地二
TEL 0566・52・7368
0566・52・1111
(内線353)
FAX 0566・52・1110
E-mail forum@city.takahama.aichi.jp
ホームページ
 
 
 
求められる食の安全・安心
――成立した食品安全基本法――
武蔵丘短期大学学長
実践女子大学名誉教授
藤沢良知
はじめに
 最近の私達の食生活は、飽食時代を反映して食事内容も毎日がご馳走、テレビの料理番組も人気を呼び、雑誌をみてもグルメ店の紹介が目立つようになった。
 これはこれで結構と思われるが、一方これに便乗した食品の偽装表示とか、原産地を偽り外国産のものを国産としたり、魚沼産のコシヒカリの中に他品種の米を混入したりして、高級感をあおり、売り上げを伸ばしたいとの企業の思わくが目立ち、企業倫理のあり方が問われている。
 また、輸入野菜の残留農薬、無登録農薬や指定外添加物の使用といった安全面の問題も後をたたない。
 国では、このような食の安全性や食品表示の適正化をめぐる諸問題に適切に対応して、食の安全・安心を確保するため、食品安全基本法を制定し、リスク分析の手法を導入し、リスク評価機関である食品安全委員会を、内閣府に設置し対応することとなり七月一日発足した。
 食品安全基本法は、本年の通常国会に提出され、平成一五年五月二三日、法律第四八号として可決成立した。そこで、これらを含めて最近の食に対する安全・安心をめぐる動きなどを探ってみたい。
 
一、食品流通の広域化と食品衛生
 一九九六年に堺市などで起きたO-157による学校給食を中心とする集団食中毒では、八千人に近い患者を出したが、原因食品の解明に手間どり混乱を招いた。
 食中毒事件は、欧米でも一九八○年代から大規模な事件が相次ぎ、例えば一九九二年フランスで豚の冷凍タン(舌)を食べた六三人が死亡、一九九八年には米国でホットドックなどにより二一人が死亡するなどの事件が起こっている。
 最近は食品の流通が広域化し、色々な食品が世界中から入ってくる時代となり、食中毒事件が起きても、その地域だけで原因をつきとめることがむずかしくなってきている。
 また、食品の流通システムが発達し、魚、肉、野菜といった生鮮食品から、加工食品まで、食卓には様々な食材が並ぶが、思わぬところで食中毒事故にむすびつく可能性・危険性が指摘されている。
 消費者としても、どこから来た食品か、安全性はどうか、賞味期限はなど食品の表示をよくみて自衛策を講じることが大切と思われる。
 また、最近の食中毒の中には、抗菌薬にも耐性を持つ、新しいタイプの食中毒菌が出てくるなどの問題も指摘されている。
 
二、食の安全と安心の確保
 食生活様式が益々多様化し、また、食品の流通が広域化した現在、食の安全を確保していくためには、食品のもつリスク(危険・危害)に着目して、科学的知見に基づいて健康への悪影響を防止・抑制していく必要がある。
 従来、食品による健康リスクヘの認識が甘く、一〇〇%安全が確保できると考えられていたが、絶対に安全な食品はないのである。
 そもそも、食品には常に潜在的に危害因子が含まれており、常にリスクが内在するので、それを社会的に許容できる水準にまで、いかに抑えるかが、リスク管理の目標であるということが、漸くわかって来たのである。
 十六世紀にスイスのパラケルサスは「すべてのものは毒である。なぜなら、毒性のないものはないからである。それが有害か、無害であるかは量で決まる」と述べている。この考え方は、リスク評価によるし、食品の安全性の判断の基本的な考え方になってきたように思われる。
 身近な例をあげると、食塩は調味料の基本として食生活上有用な働きをしているものの、とりすぎは高血圧をはじめ、循環器の疾患等の誘因となるし、砂糖にしても、とりすぎれば、肥満をはじめ健康被害を招くことになる。
 
三、食品の安全性確保とリスク分析
 食品のリスクとは、食品中に危害が存在する結果として生じる健康への悪影響の起こる確率と程度の大きさのことである。
 食品には絶対安心はあり得ないことを前提に食品のリスクに着目し、科学的知見に基づき健康への悪影響を防止・抑制することが必要で、この方法はリスク分析といわれている。
 リスク分析は、リスク評価・リスク管理・リスクコミュニケーションという三つの要素からなる手法で、金融や環境等多くの分野でも用いられている方法である。
 リスク分析に当たっては、リスク(危険・危害)と、ベネフィット(利益)を比較し、食品の品質保護や食生活の向上に役立つベネフィットがある場合は、副在するリスクが許容可能か否かを判断し(リスク評価)、管理し(リスク管理)、更にリスクに関する情報を一般に提供する(リスクコミュニケーション)というもので、米国で始められたものである。
 要するに、リスク評価に当たっては、まず健康障害・危害についての関連性を推定し、どのくらいの量の曝露で、どの位の健康被害が生ずるかを推定し、また、日常人の危害にどれくらい曝露され、どの程度のリスクを及ぼすのかを予測することになる。
 リスク管理では、人の健康保護を最優先しながら、リスク評価の結果を踏まえて、対応策を協議し改善策を講ずるものである。
 リスクコミュニケーションでは、リスク評価やリスク管理の過程で、積極的に情報を公開・提供して、消費者や生産者等と意見交換を図り、実施すべき対応策を検討するものである。
 また、施策・対応策の有効性を評価したり、危害に対する新たな科学的知見等に対しても、再度リスク評価を行い改善に努めることとされている。
 
図 牛肉の履歴情報システム
 
四、大切な食品の履歴情報(トレーサビリティ)
 近年、大量生産、大量流通といった社会システムのため、一つの生産工程で危害が発生すると被害が拡大する。
 特に交通機関の発達、貿易の障壁が減ったことで、食品の国際流通、広域流通が行われることになったことや、消費者の目からみても食品の加工・流通システムが多様化し、消費者の目に映らないことから、食品がどのように生産され、流通してきたかという食品の履歴情報は大切である。
 また、食中毒事故などが発生した場合に原因究明や対象食品の回収を容易にするためにも、食品の履歴情報をさかのぼって確認できるトレーサビリティ・システムの導入が重要となってきている。
 トレーサビリティでは、生産者と消費者の顔の見える関係の構築、IT技術を活用した食品の履歴情報を明らかにし、消費者が求めている、その食品が、いつ、どこで、誰がどのようにして作ったか、流通過程はどうかなどの追跡が可能になるシステムである。
 農林水産省では、まず牛肉で検証(飼育履歴の個別記帳等)が進んでいるが(図参照)青果物、米、豚肉、水産物等に拡大されることとなっている。
 
五、食品安全基本法
 前にもふれたとおり本年五月十六日、食品安全基本法が可決成立した。同法の目的は、食品の安全性を確保し、国民の健康の保護を図るため、その基本理念を定め、国・地方公共団体・食品関連事業者の責務と消費者の役割を明確にするとともに、「食品安全委員会」の設置、同委員会による「食品健康影響評価」(リスク評価)の実施及びそれに基づく施策の策定(リスク管理)、消費者等への情報の提供・意見交換(リスク・コミュニケーション)の促進・緊急事態への対処・発生防止の体制整備など、総合的施策の実施を図るものである。
 また、第三条に「食品の安全性の確保は、国民の健康の最も重要であるという、基本的認識で行わなければならない」と規定している。これは今まではとかく、生産者本位といわれていた施策を消費者保護を前面に打ち出した点が特色ある点である。
 食品安全基本法では、内閣府に食品安全委員会を設け、食品の安全性、危険性について評価するとともに、厚生労働省や農林水産省に対して必要な勧告を行ったり、対応が十分かどうかチェックする役割を担うことになっている。
 各省庁に設置されている審議会とは異なり、独自の監視・評価機能を発揮して、食の安全・安心を科学的に立証することにある。
 
まとめ
 今回、食品安全基本法の制定をはじめ、食の安全・安心の確保に向けた対策が強化されつつあることはすばらしいことである。
 しかし食の安全と安心は、消費者の信頼の上にたって、支持を受けて成り立つ問題であり、消費者としてもその責任は大きい。
 最近、若い世代を中心に、食や農について知識の不足・無関心が目立っている。私達、給食関係者は、給食(食事)という立派な教育媒体を通じて、食育運動を推進していきたいものである。
参考資料
(一)平成十四年度図説食料・農業・農村白書。
農林統計協会 平成十五・六・十三
(二)食品安全基本法(平成十五・五・二三、法律第四八号)
(三)安全な食生活のために 林敏夫お菓子フォーラム NO77、平成十四・一〇・十五







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