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――速 報――
――日保協速報15・6・13――
五三〇万人雇用創出プログラム(子育て関連サービス)について
 内閣府に設置されている「五三〇万人雇用促進チーム」(座長:島田晴雄・慶応大学教授)では、雇用創出が期待される分野に関する検討を行い、「五三〇万人雇用創出プログラム」をまとめました。
 六月十日には小泉首相、十二日には経済財政諮問会議に報告し、今月末に諮問会議がまとめる「骨太の方針」に盛り込まれる予定です。
 保育に関しては、(1)規制改革の継続的実施〜国基準の周知徹底、(2)利用者にとって利用しやすいサービス〜特区における特例措置の活用による子育て関連サービスの総合的な提供、(3)少子化の流れを変える対策〜事業所内保育施設の設置の促進などの取り組みによって、二〇〇七年までに一〇・四万人の雇用創出を見込んでいます。保育関連の内容については以下のとおりです。
 
五三〇万人雇用創出プログラム概要(保育関連抜粋)
[(5)子育て関連サービス]
 大都市においては、保育・子育てサービスのニーズが極めて高く、特に費用負担の安い認可保育所の待機児童が多い。働く女性の増加に伴い、こうしたニーズは今後とも益々増大することが予想されるところであり、認可保育所の受け入れ児童数の増加に加えて、認可外保育所の質の向上や放課後児童クラブの整備を図り、多様なニーズに対応した子育て関連サービスの供給を増加させることが必要である。
〈政策プログラム例〉
○規制改革の継続的実施及び国の基準の徹底
○地方公共団体等による子育て・保育サービスに関する情報提供の強化(一人当たり保育費用などの情報開示)
○ネットワーク型保育施設(複数企業間の共同設置)を含め、事業所内保育施設を設置することを促進
○残業の縮減、育児休業の取得の促進など男性を含めた働き方の見直し
 
五三〇万人雇用創出プログラム(保育関連抜粋)
[(5)子育て関連サービス]
1、当該分野の現状と今後の展望(望まれる姿)
(1)現状
(1)大都市部において、保育・子育てサービスのニーズが極めて高い。特に、費用負担の安い認可保育所の待機児童が、平成十四年四月で、二万五千人。
(2)平成十四年度から待機児童ゼロ作戦を推進し、毎年五万人、三か年で計十五万人の、認可保育所の受け入れ児童数を増加させる取組みが進行中。
(3)認可外保育施設の質の向上をはかり、様々な保育・子育てサービスを安心して利用できるようにするため、平成十四年十月より、すべての認可外保育施設の届出が義務づけられ、認可外保育施設に対する行政的監督が及ぶようになった。
(4)一方、保育サービスの質が低下しない範囲で、意義の乏しくなった各種規制について改革が行われ、認可保育所・認可外保育施設ともに、設置・運営が行いやすくなってきている。(別紙1)
(5)認可保育所・認可外保育施設以外の保育・子育てサービス、すなわち、三歳未満児を対象とする保育ママの事業や幼稚園の預かり保育の事業、ベビーシッターなども行われている。
(6)早朝・夜間などの延長保育や休日保育、短時間保育など、様々な保育・子育てサービスのニーズが高まっている。(延長保育は一〇六〇〇箇所、休日保育は三五四箇所、一時保育は四一七八箇所で実施(平成十四年度))
(7)学齢期に達している児童については、放課後児童クラブの整備を推進中(平成十三年に比べ平成十四年は、九七九か所増加。)
(2)今後の展望
 働く女性の増加にともなって、上記のような保育・子育てサービスに対するニーズは、今後ますます増大。あわせて、このようなサービスの供給を増大させることは、少子化対策の側面からも、少子化の流れを変えるという政策課題に合致。
 
2、政策課題
○規制改革の継続的実施により、保育・子育てサービスの参入を容易にする。
○様々な保育・子育てサービスについての情報提供の充実や利用料の助成などによって、利用しやすくする。
○少子化の流れを変えるため、次世代育成支援対策の一層の充実により、子どもを産み育てようと考える人が増加していくようにする。
3、今後の取組み
(1)規制改革の継続的実施
(1)認可保育所については、認可保育所へ参入した民間企業に対する会計基準の円滑な適用などを行う。
(2)認可外保育施設については、効率的、効果的な指導について検討し、措置する。
(3)認可保育所・認可外保育施設について既に規制緩和された事項について、自治体への周知を図るとともに、自治体の取組み状況を個別に把握し、国の基準の徹底を図る。
(2)利用者にとって利用しやすいサービス
(1)地方公共団体等による子育て・保育サービスに関する情報提供の強化。この中で、一人当たり保育費用などの情報開示を徹底する。
(2)「規制改革三か年計画」に沿って、保育所の運営費補助の余剰金に係る会計処理の柔軟化、認可保育所に対する施設の賃借料の負担のあり方について検討する。
(3)認可保育所・認可外保育施設に対する低利融資・債務保証の仕組みについて検討する。
(4)ネットワーク型保育施設(複数企業間の共同設置)を含め、事業所内保育施設の設置を支援する。
(5)「規制改革推進三か年計画」に沿って、利用者の選択によって、一定の基準を満たす保育・子育てサービスの利用に対する支援のあり方について検討する。
(6)放課後児童クラブの整備を引き続き進めるとともに、地域の実情に応じた多様な取組みを支援するなど利用者のニーズにあったサービス提供を推進する。
(7)「幼児教育振興プログラム」に基づき、幼稚園教育の条件整備や子育て支援の充実などの施策を総合的に推進する。
(8)構造改革特区における幼稚園児と保育所児の合同活動を可能とする特例措置の活用等により、子育て関連サービスの総合的な提供を推進する。
(3)少子化の流れを変える対策
(1)ネットワーク型保育施設(複数企業間の共同設置)を含め、事業所内保育施設を設置することを促進する。(次世代育成支援対策推進法に基づく「行動計画策定指針」に事業主が取り組むべき次世代育成支援対策として明記するなど)
(2)事業者が、労働者に対して保育・子育てに関する支援策についての情報提供を行うことを徹底する。(次世代育成支援対策推進法に基づく「行動計画策定指針」に事業主が次世代育成支援対策の実施に関する事項として明記するなど)
(3)残業の縮減、育児休業の取得の促進などの男性を含めた働き方を見直していく。
4、施策の効果
 これらの施策の推進により、二〇〇〇年の時点から二〇〇五年までに概ね七・六万人の雇用が創出されることが見込まれる(参考:二〇〇七年までに一〇・四万人)。(算定根拠)
(1)「新エンゼルプラン」・「待機児童ゼロ作戦」の計画年次が修了する二〇〇四年以降もこれらと同様の施策が実施されるものと仮定すると、保育・子育てサービスの増大に伴い、二〇〇五年に六万人、二〇〇七年に八万人の雇用が創出されることが見込まれる。また、事業所内保育施設については、二〇〇五年に○・四万人、二〇〇七年に○・六万人の雇用が創出されることが見込まれる。
(2)「幼稚園教育振興プログラム」の実施に伴い、二〇〇五年に○・七万人、二〇〇七年に○・九万人の雇用が創出されることが見込まれる。
(3)育児休業の推進により、二〇〇五年に○・五万人、二〇〇七年に○・八万人の雇用が創出されることが見込まれる。
(参考)女性の就労希望などを踏まえ、民間の保育・子育てサービスの需要増を見込むと、将来的にさらに三万人の雇用増となる。
 
――日保協速報15・6・18――
幼保問題と一般財源化について(報告)
 幼保一元化問題と保育所運営費一般財源化について、本日、経済財政諮問会議において方針が示されました。その内容については次のとおりです。
(1)幼保一元化については、「地域のニーズに応じた就学前の教育・保育を一体としてとらえた一貫した総合施設の設置を可能とする」とされ、平成十八年度までに検討されることとなりました。現行保育制度はそのまま存続されることになりました。
(2)保育所運営費負担金については、「国と地方の負担のあり方について、地方自治体の意見を踏まえ、検討を進め、必要な措置を講ずる」とされ、一般財源化は見送りとなりました。
 詳細については決定され次第お知らせいたしますが、この間の協会の活動は大きな成果を挙げることができました。地元の議員の方々や各方面への一般財源化反対の要請活動等、各支部役員をはじめ会員の皆様方のご支援とご協力、たいへんありがとうございました。
 
――日保協速報15・6・26――
経済財政運営と構造改革に関する基本方針が決定される
 経済財政諮問会議では、本日、標記の基本方針を決定しました。(要約版は別添のとおりです)焦点となっていました一般財源化、幼保一元化に関する主な内容と留意点は、次のとおりです。
新しい児童育成のための体制の整備
(1)地域のニーズに応じ、就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設の設置を可能とする。
(2)児童の教育・保育に従事する者は、当分の間、それぞれの資格を認めることとしつつ、将来的に幼稚園教諭と保育士の双方の資格を併せ持つことを要することとし、当面、双方の資格が取得しやすいような方策を講ずる。
(3)(1)及び(2)の実現に向けて、関係省庁において平成十八年度までに検討するとともに、関連する負担金の一般財源化など国と地方の負担の在り方について、地方公共団体の意見を踏まえ、上の検討と並行して検討を進め、必要な措置を講ずる。
(留意点)
(1)既存の保育園・幼稚園とは別に、新たに総合施設の設置を検討するとされ、制度の一元化は回避されました。
(2)一般財源化については、「関連する負担金の・・・上の検討と並行して検討」とされており、当面は回避されたものの、注意すべき内容となっています。今後も子育て支援の国の責任と関与、国庫負担補助制度の必要性を訴え続けていかなければなりません。
(3)保育所の調理室に関しては改革案には示されておらず、昨年十二月の閣議決定どおりとなりました。
 会員各位のご協力による「こどもを守る総決起大会」、自民党全国保育関係議員の署名活動、同世話人会での活発な議論などにより、当初の審議会提言から大幅に変わる結果となり、一定の成果を収めたことをご報告いたします。
 しかし、「国庫補助負担金の改革」の中で、国庫補助金全体を四兆円縮減する計画があり、保育所運営費縮減も例外では有りません。予算対策活動等、引き続きご協力をお願いいたします。
(別添)
 
経済財政運営と構成改革に関する基本方針2003
(保育に関する要約版)―抜粋―
 
「3つの宣言」と「7つの改革」
 
 構造改革が目指す目標は、「経済活性化」、「国民の『安心』の確保」、「持続可能な財政」の3つを実現することである。大胆な規制改革などにより民間の持てる力を最大限引き出さなければ、元気な日本経済は実現しない。国民が老後や医療に不安をかかえていては、元気な日本経済は実現できない。財政が破綻する恐れがあっては、元気な日本経済は実現できない。
 構造改革の勢いを維持するには、これまで以上に国民の生活に密着した分野での改革を行い、「日本が変わった」と国民が実感できるようにすることが必要である。このためには、「官から民へ」を明確に制度・規制改革として実現し、「国から地方へ」を、地域の視点・現場重視の発想により積極的に推進し、予算分配を抜本的に見直しながら新しい予算編成プロセスの導入を実現しなければならない。
 政府は、以下の「3つの宣言」・「7つの改革」に基づき、今まで以上に強力に構造改革を推進する。あわせて、経済情勢によっては、大胆かつ柔軟な政策対応を行うこととする。
3つの宣言
1 民間の活力を阻む規制・制度や政府の介入を排し、民間需要を創造する。
2 持続可能な社会保障制度を構築し、若者が将来を展望でき、高齢者も安心できる社会をつくる。
3 財政の信認を確保し、成果を重視する。
7つの改革
1 規制改革・構造改革特区
2 資金の流れと金融・産業再生
3 税制改革
4 雇用・人間力の強化
5 社会保障制度改革
6 「国と地方」の改革
7 予算編成プロセスの改革
 
1、規制改革・構造改革特区
 
【改革のポイント】
 医療・福祉・教育・農業など、官の関与の強いサービス分野の民間開放を促進することにより、消費者・利用者の選択肢の拡大を通じた多様なサービス提供を可能とするとともに、新規需要と雇用の創出を加速化する。
【具体的手段】
(1)「規制改革のためのアクションプラン」の十二の重点検討事項については、今回のアクションプランでの取組を改革の一里塚として、引き続き規制改革に取り組み、その成果を本年末にまとめる総合規制改革会議の答申に盛り込む。
(2)最終年度となった総合規制改革会議は、経済財政諮問会議との連携を強化しつつ、規制改革をさらに加速させる。なお、来年四月以降の規制改革の推進のあり方について、今後、引き続き検討する。
(4)本年六月以降も引き続き「規制改革集中受付月間」を設け、地方や民間から定期的に全国規模の要望及び構造改革特区の提案を受け付け、「実現するためにはどうすればよいか」という観点から検討を行い、可能な限り多くの規制改革を全国又は構造改革特区において実現する。
 
アクションプラン十二項目(保育のみ)
○新しい児童育成のための体制整備
 近年の社会構造・就業構造の著しい変化等を踏まえ、地域において児童を総合的に育み、児童の視点に立って新しい児童育成のための体制を整備する観点から、地域のニーズに応じ、就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設の設置を可能とする(平成十八年度までに検討)。併せて、幼稚園と保育所に関し、職員資格の併有や施設設備の共用をさらに進める。
 
4、雇用・人間力の強化
 
 サービス分野における規制改革や公的部門の外部委託の推進、情報提供、人材の育成支援、観光立国の実現等により、「五三〇万人雇用創出プログラム」を着実に推進する。特に、サービスの生産を担う人材の質的強化は、サービスの品質や生産性を高め、競争力や付加価値の高いサービス業の発展、創業を促進する上で重要である。
 
(別紙)
「五三〇万人雇用創出プログラム」の具体的な施策
 ネットワーク型保育を含む事業所内保育施設の設置促進、地方自治体等による子育て・保育サービスに関する情報提供の強化
 
6、「国と地方」の改革
 
(国庫補助負担金の改革)
 地方の権限と責任を大幅に拡大するとともに、国・地方を通じた行政のスリム化を図る観点から、「自助と自律」にふさわしい国と地方の役割分担に応じた事務事業及び国庫補助負担金のあり方の抜本的な見直しを行う。
 このため、「改革と展望」の期間(当初策定時の期間で平成十八年度までをいう)において、別紙2の「国庫補助負担金等整理合理化方針」に掲げる措置及びスケジュールに基づき、事務事業の徹底的な見直しを行いつつ、国庫補助負担金については、広範な検討を更に進め、概ね四兆円程度を目途に廃止、縮減等の改革を行う。その際、国・地方を通じた行財政の効率化・合理化を強力に進めることにより、公共事業関係の国庫補助負担金等についても改革する。
 
(別紙2)
 
国庫補助負担金等整理合理化方針
 
 事務事業及び国庫補助負担金の在り方については、「改革と展望」の期間中において、1の基本方針に沿って見直しを行う。重点項目の改革工程は、2に掲げるとおりである。
1 「改革と展望」の期間中における基本方針
 事務事業及び国庫補助負担金の在り方の見直しに関する「改革と展望」の期間中における基本方針は、以下のとおりである。
(1)国庫補助金の廃止・縮減
(1)国庫補助金については、原則として廃止・縮減を図っていく。
(2)国庫補助金のうち、補助率が低いもの(三分の一未満)又は創設後一定期間経過したものについては、廃止又は一般財源化などの見直しを行う。
(2)国庫負担金の廃止・縮減
(1)国が一定水準を確保することに責任を持つべき行政分野に関して負担する経常的国庫負担金については、国と地方公共団体の役割分担の見直しに伴い、国の関与の整理合理化等とあわせて見直し、社会経済情勢等の変化をも踏まえ、その対象を真に国が義務的に負担を行うべきと考えられる分野に限定していく。
(中略)
(4)以上の基本方針に基づき、対象となる全ての国庫補助負担金について平成十六年度予算から厳しく見直しを実施するとともに、予算編成後に実施状況のフォローアップを行う。(以下略)
2 重点項目の改革工程
 事務事業及び国庫補助負担金の在り方の見直しに関する「改革と展望」の期間中における重点項目の改革工程は、以下のとおりである。
【社会保障】
○新しい児童育成のための体制の整備
(1)近年の社会構造・就業構造の著しい変化等を踏まえ、地域において児童を総合的に育み、児童の視点に立って新しい児童育成のための体制を整備する観点から、地域のニーズに応じ、就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設の設置を可能とする。
(2)児童の教育・保育に従事する者は、当分の間、それぞれの資格を認めることとしつつ、将来的に幼稚園教諭と保育士の双方の資格を併せ持つことを要することとし、当面、双方の資格が取得しやすいような方策を講ずる。
(3)(1)及び(2)の実現に向けて、関係省庁において平成十八年度までに検討するとともに、関連する負担金の一般財源化など国と地方の負担の在り方について、地方公共団体の意見を踏まえ、上の検討と並行して検討を進め、必要な措置を講ずる。
 
(要約:社会福祉法人 日本保育協会)







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