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保育界(平成15年7月号)

 事業名 保育活動の推進
 団体名 日本保育協会 注目度注目度5


――子ども総研から――
文献情報(17)
日本子ども家庭
総合研究所
小児保健研究第六十二巻一号 八一〜八七頁 二〇〇三「幼児用疲労症状調査」からみた幼児の疲労と日常生活状況との関連――著者:光岡攝子(島根医科大学医学部看護学科)他
 
 子どもは元来「元気で疲れなど知らないもの。昼間は元気に跳ね回り、夜は早々に熟睡する・・・」。そのような子ども像は、もはや存在しなくなってしまうのだろうか。しかし、それは大人社会の反映でもあり、時代の変化、環境や生活様式の変化などの様々な要因が考えられる。本研究は「子ども達がすぐ『疲れた』というようになった」という指摘から、子どもの疲労の問題を取り上げ、疲労に影響を及ぼす生活要因を特定することを目的に調査を行った。使用された尺度は著者らが独自に作成した「幼児用疲労症状調査」で、三つのサブスケールを含む十項目の質問を五段階尺度で保護者に回答してもらっている。また併せて食事、睡眠、遊びなど基本的生活習慣を中心とした質問紙も作成、回答してもらい両者の関係を検討した。対象は、青森県、島根県、山口県の計五五七人の幼稚園児(四、五歳児)である。
 結果として、全体的に得点の高い項目は「じっとしていられない」「眠そうにしている」「落ちつかない」であった。I群「一般的・身体的症状(眠気とだるさ)」、II群「精神的症状(注意集中の困難さ)」、III群「局所的身体症状」の三つの下位尺度ごとに分析すると、II群で女児にくらべ男児が有意に高く、III群で四歳児よりも五歳児が有意に高い結果となった。疲労症状の合計点には年齢差や性差は認められなかった。
 日常生活状況との関連では、疲労得点が高いもの(高疲労群)では、朝食摂取の有無、偏食の有無、食欲、食事量、寝起きのよさ、就寝時刻、遊びへの集中、テレビ視聴時間、夜更かし、登園時の様子、活気、くせの有無、心配事の有無等との間に有意な関連が認められ、朝食の欠食があること、偏食が多く食事量が少ないこと、就寝時刻が遅く、目覚めのすっきりしない子どもが多いこと、三時間以上テレビをみており、大人を主に遊び相手とし、友達や兄弟と遊ぶ子どもの割合が少ないことなどが高疲労群の特徴と考えられた。このため、著者らは子どもの疲労を軽減、予防するものとして以下の三点を挙げている。
(1)食事では、偏食をしない規則正しい食生活を送ること、
(2)睡眠は、登園の一時間以上前に起床し、なおかつ十時間以上の睡眠時間を保てるよう、前日の就寝時間を二一時までの時間帯に設定すること、
(3)遊びでは、テレビ視聴時間を二時間以内とし、子ども同士で集中できる遊びを工夫すること。
 「子どもがすぐに疲れたというようになった」という指摘は以前からあったが、近年その傾向は高まっているという。しかしながら、それが本当に身体的疲労を感じて言っているのか、言葉だけの面倒くさいというものなのか評価は難しいが、基本的生活習慣がなっていないものに疲労得点が高いという結果は興味深く、成長発達段階にある子どもにとって健康的な生活習慣を身につけさせることの重要性を再認識させられた。しかし子どもの生活は大人(親)の生活に影響されるものであり、まず親自身の生活習慣を改善する必要もあること、また親が子どもをなるべく疲れさせないように育ててしまっていたり、逆に精神的にはストレスをかけてしまっているという養育態度との関連もあり、子どもだけでなく大人も含めて今後検討が必要な課題であると思われた。(門脇睦美)
 
保育における「気になる子どもたち」−多数園の実態の共有とその対処−児童育成研究第二〇巻 三−一一、二〇〇二 矢野由佳子(東京成徳短期大学)、青木紀久代
 
 保育者の感じる「気になる子どもたち」にどのような関わりをもてばよいのか、他の園ではどのような対処を行っているのか。保育実践において生じるこうした問いや悩みを改善することを目指し、研修会を継続的に実施し、「気になる子どもたち」の実態とその対処について検討した。
 方法は、東京都八王子私立保育園協会主催の保育研修で調査を実施した。調査は平成十二年七月、十一月、平成十三年三月の三回であった。調査用紙の配布は、七月の研修会の際と、十一月の研修会の事前に行った。十一月の研修会で、二回の調査の結果を報告し、小グループによる事例検討を行った。二月の研修会では、心理士による具体的な援助の事例報告を行った。
 第一回の調査では、調査用紙を七八園へ配布し、三〇園から六六事例の回答を得た。調査は、気になる子ども(障害児、専門機関で療育を受けている子どもを除く)の特徴十六項目について、該当するものに丸をつけてもらった。
 第二回の調査では、六六事例について、子どものようすと保育者の対処について回答を依頼した。回収率は四七%(三一事例)であった。調査用紙は、保育者の対処に対すると、事例の変化に関する項目とからなる。各項目につき、「あてはまる」から「あてはまらない」まで五段階で評価してもらった。
 その結果、第一回の調査では、保育者が気になると捉える子どもの特徴について、クラスター分析により、消極性(「母子分離ができない」など)、発達の進度(「ことばを話すことや理解することに遅れや不自然さを感じる」など)、衝動性(「ルール(規制)や大人の指示に従わないことが多い」など)の三つのクラスターが見いだされた。
 第二回の調査から、保育者がどのような対処を行っていたかについて、クラスター分析を行ったところ、直接的援助(「気になる子どもの気持ちを理解しようとした」など)、間接的援助(「子どもの変化を前向きに捉えた」など)、事例検討(「心理学や医学の専門家に相談した」など)の三つのクラスターが見いだされた。事例の変化も同様に検討し、日常生活での変化(「子どもの気になるようすに改善があった」)、対人関係での変化(「集団での活動にとどこおりなく参加できた」など)、子どもの成長に関する変化(「子ども自身の発達・成長が感じられた」など)、家庭との連携での変化(「家庭との信頼関係が築けた」など)の四つのクラスターが見いだされた。
 研修の場を利用して調査を行ったことから、「気になる子ども」とその家族の実態が明らかになり、研修参加者全体で問題を共有することができた。調査結果のフィードバックと小グループでの話し合いにより、保育実践に活かされる研修効果の可能性が示唆された。
(庄司順一)
「保育と保健」第九巻一号 二〇〇三年一月、五〇〜五二頁、「医療機関併設型の病児保育室−開設後二年を経て」東川幸嗣(八尾徳洲会総合病院)他
 
 病気の回復期にある保育所入所児童を一時的に預かることにより、親の子育てと仕事の両立を支援する乳幼児健康支援一時預かり事業(病児保育)は、新エンゼルプランにおいても重点的に整備すべき事業として位置づけられているが、積極的に利用されているとはいい難い状況にある。本調査研究は、利用促進策と利用状況との関係を実証的に把握、分析することにより、利用活性化に向けた施策のあり方について検討を行ったものである。以下、本研究の概要を紹介する。
 八尾徳洲会総合病院では、平成十一年十二月に病院内に医療機関併設型の病児保育室を開設したが、開設以来平成十二年七月に小児科外来横に移転するまでの八か月間と、平成十三年度の一年間の利用者について比較するとともに、外来患者の保護者に病児保育に関するアンケート調査を行った(H12・11)。
 開設当初は、小児科病棟のデイルームを利用しており、隔離室はなく、風疹などの伝染病児を受け入れることはできなかった。定員四人、保育時間は九時〜十八時、保育料五〇〇〇円、平均利用者○・四人/日であった。平成十二年八月に小児科外来診察室横に隔離室を二つ備えた病児保育室を開設。利用者が少ないため、外来患者の保護者(一〇〇人)を対象にアンケートを行った結果、利用したいと思っている人が約六割いるにも関わらず、実際に利用している人は一割にも満たなかった。その理由として、保育時間、保育料についての問題が浮きあがった。
 平成十三年四月、八尾市の委託事業となり乳幼児健康支援一時預かり事業として補助を得て、保育開始時間を八時、保育料が三歳児以上二〇〇〇円、三歳児未満三〇〇〇円と減額が可能になり、利用者は平均二〇九人に増加した。
 このような増加は、病児保育室利用者の潜在的な需要が多いことを示唆する。また、病児保育室が公的な補助を受けられたことにより、利用の条件を改善することができ、低迷していた利用者を飛躍的に増加させることができた。病児保育に対する需要は今後益々増加すると考えられるが、利用の活性化を図るには、公的な支援の充実、利用者の利便性を追求したサービスの改善などを行う必要がある。
 施策の計画的推進とその効果に対する検証システムの確立が、現在重要な課題となっている。本研究は正に施策効果に対する検証的研究であり、今後このような研究が多方面で積極的に行われることを期待したい。
 
「小児の精神と神経」第四二巻四号 二〇〇二年、三二一〜三三一頁、「乳幼児虐待事例における再統合の現状と課題」山崎知克、帆足英一
 
 親子分離した虐待事例では、親子関係の再統合を図るための取組みが重要な課題となるが、本稿は、筆者らが所属する乳児院に一時保護委託された被虐待児の内、関係機関による虐待ネットワークにおいて、再統合が検討された五事例を分析し、再統合の問題点と課題について報告したものである。以下、その内容を要約する。
 母親が虐待者であったのは一事例のみで、他は父親が虐待者であった。子どもに対するリスク評価では、全事例とも三歳未満であり、危険回避能力は期待できない上、いずれも養育が難しい子どもと判断された。親へのリスク評価では、ほぼ全事例の両親において、虐待を積極的に認める発言はなく、養育能力も低いと判断された。家族へのリスク評価では、全事例とも核家族であり、援助を期待できるキーパーソンは不在。また、夫婦が不仲で疎通性に問題が認められた。
 両親に対する治療面接が実施されたが、虐待ネットワーク会議において、「面接による進展があり、養育能力がある」と判断されたのは、二事例の母親のみであった。また、虐待者とその家族が、被虐待児を家庭で養育していくことが可能と判断されるまでに改善された事例はなく、数か月〜一年程度の乳児院在籍期間での治療面接では、再統合に必要な家庭機能の歪みを改善していくことは非常に困難であった。
 また、経済的問題や父親の状況などから、母親への育児援助が困難となるなど、関係機関の連携による援助を推進しても、生活環境に関わる問題解決を短期間に図ることは非常に困難であった。
 これらの結果を踏まえ、筆者は、次のような課題提起と提言を行っている。
(1)関係機関共通のリスク評価尺度が存在していないことや、両親が転居した場合に援助の継続が難しいなど、地域ネットワークの未成熟さがあること。(2)子どもと親に対する見解が関係機関の間で相違することによる障害もあること。(3)再統合の決定は、親の面接内容からだけではなく、親子の交流場面を評価した上で、慎重になされるべきであること。(4)子どもと親に対して、治療と援助を提供できる専門機関(乳幼児ホーム、虐待ケアセンターなど)の新たな整備が急務であると考えられること。
 親子再統合に向けた取組みは未だ緒についたばかりであり、本稿からも読み取れるように、困難を伴うことも事実である。今後、本稿のような臨床研究が活発に行われ、知見が集積されていくことを期待したい。
 
「保育学研究」第四〇巻二号、二〇〇二年、「保育者の蓄積的疲労徴候を過重にする要因・軽減する要因」田中昭夫(島根大学教育学部)
 
 福祉・教育ニーズの多様化・困難化に伴い、保育者の精神的健康についても研究が行われるようになってきたが、本稿では、保育サービスにおける今日的状況及びストレス要因の分析を踏まえ、保育者の健康管理のあり方について具体的な提案を行っている。以下、その概要を紹介する。
 本研究の目的は、第一に蓄積的疲労徴候を引き起こすストレス源として「子どもへの否定的感情」「保護者への否定的感情」「仕事への多忙感」を、ストレス反応を和らげる要因として「ソーシャル・サポート」「保育者効力感」を想定し、こうした諸要因がストレス反応としての蓄積的疲労徴候を悪化させたり、軽減したりする要因となりうるかどうかを検討すること、第二に多様な保育サービスが求められるようになった今日的状況を調査し、その中で保育者の蓄積的疲労徴候に影響を及ぼす諸要因を分析することにより、保育者の健康管理を図るための手がかりを得ることである。
 このため、島根県内の幼稚園、保育所計一九八園の保育者(六二八人)を対象に、自己評定方式による質問紙調査を実施。重回帰分析の結果から、次のようなことが明らかになった。(1)「多忙感」「子どもに対する否定的感情」がストレス源となっていること。(2)「保育者効力感」は、精神的疲労を軽減する要因となっていること。(3)ソーシャルサポート(個人的生活や仕事へのサポート)に関して、一般的疲労感は「個人的生活のサポート」が、精神的疲労感については「仕事へのサポート」や「個人生活へのサポート」がそれぞれの疲労感を軽減する効果をもっていること。
 人口統計学的変数の影響としては、幼稚園教諭の疲労感がより高いという予想外の結果が得られた。これは、勤務時間(幼稚園の方が勤務時間が長い)、保育サービスのあり方(幼稚園における預かり保育や園庭の開放など新サービスの導入)などが影響していることが示唆された。
 これらの結果を踏まえ、本稿では、蓄積的疲労徴候や多忙感の軽減を図るうえで、園内での相互のソーシャルサポート、保育者としての自己効力感の増進を図ることが重要であること、特に新たな子育て支援のメニューを導入しつつある幼稚園では、チーム保育の導入など必要な人員の確保に努めることや、新たな子育て支援に対応した自己効力感を高め、保育への熟達化を保障するために園内外における研修の機会が保障されることなどを提案している。本研究では、「子どもへの否定的感情」がストレス源であることが示唆されたが、このような感情を引き起こす背景についても明らかになることが期待される。(才村純)







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