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保育界(平成15年7月号)

 事業名 保育活動の推進
 団体名 日本保育協会 注目度注目度5


――子どもの健康を考える(6)――
夏の健康について
全国保育園保健師看護師連絡会 福永あけみ
 梅雨も明け、本格的な夏がやって来ました。夏は、子どもにとって、とても楽しくうきうきするものです。思い返してみれば自分の小さい頃の夏は、近くの海への海水浴でした。夏に収穫される落花生をからごと塩水でゆがき、梅干入りのおにぎりを作り、豚足の煮込みとジャガイモなどを抱え、毎日、海へと兄弟や近所の小学生以下の小さい仲間で出かけたものです。一番上が六年生というような具合でした。夏ばてという言葉がない環境でした。
 しかし今は、夏になると、暑いからと外に出たがらず、ゲームに夢中になっている子どもが多く、たまに外へ出ると、いろいろな体の不調を訴える子どもが増えています。「夏ばてしたよー」という言葉が小さくても聞かれるようになりました。
 外に出て遊ぶ事が少なく、汗をかくことを嫌い、冷房の効いた部屋に入り浸っていたり、暑さにさらされる機会が少ないと、真夏になっても暑さに慣れていないため、同じように夏ばてしやすいといわれています。夏ばてを予防するためには、暑くなる頃より前に、毎日一〜二時間運動をして汗をかくように心がけ、あらかじめ体を暑さに慣らしておくことが大切です。
 
[熱中症について]
 
 子どもは、年齢が小さいほど、大人のようにうまく体温の調節ができません。ですから、この季節はたくさん汗をかきます。この汗は、からだの熱を逃がし体温のバランスを保つ働きをしています。この調節のバランスが崩れ、体の中で発生した熱が放出されず体温が異常に上昇すると、熱中症なども起こしやすくなります(表1)。
 
大人より暑い子どもたち
 
大人より暑い子どもたち!
表1
 気温が30℃の戸外では直射日光を受ける道路の表面は、照り返しも加わって50℃〜60℃以上にもなります。そのために地面に近づくほど温度は高くなります。背の低い乳幼児ほど暑さを感じます。日陰を選んで歩くと良いでしょう。
 
《水分補給を心がけましょう》
 
 少し暑さに慣れてくると、照りつける太陽の下で、子どもたちは夢中になって遊びます。しかし、急に暑さの中で、長時間の運動をすると体温が上がりやすく、また、多量の発汗によってかなりの体液が失われるので、水分の補給が重要です。水分を取らないと脱水のために心臓に負担がかかり、また汗が十分でなくなるので体温が上がり続け、ばててしまいます。力が抜け、疲労困ぱいし、頭痛やめまいが起こり、吐いたり、失神したりすることもあります。すばやく適切に処置しないといけません。
 保育園などでは、遊びの途中に水分補給の時間を設ける工夫が必要です。午前午後に一回ずつ麦茶などを飲む時間を決めたり、いつでも飲めるように準備しておき、活動の合間、個々に水分を取れる環境を作るなどでもいいでしょう。熱中症の予防には、塩分も大切です。お相撲さんの土俵入りにあるように、塩分も用意できると筋肉に起きる痙攣なども予防できるといわれています。
 ある保育園では、看護師の発案で、午後の子どもたちのおやつの時間に、職員全員も子どもたちと一緒に緑茶を飲み、カテキンサンを毎日摂取しています。それは、風邪をひかないように抵抗力をつけ、真夏の脱水の予防にもいいということで始めたようですが、精神面でもゆとりを持て、よい効果があるということもわかり、続けているといいます。このように、意識して取り組むことが大切だと考えます。近年、紫外線による様々な弊害についても言われています。外で遊ぶときには、遮光ネットを張ってその下で遊ぶという保育園も出てきました。夏に限らず外での遊びは、つばの広い帽子をかぶるようにしたり、木陰を選んで遊ぶなどの工夫が必要です。
 
旅行の計画は
☆スケジュールはゆったりと。
・兄弟のいる場合は、小さい子に合わせたスケジュールを立てましょう。乗り物の移動は思ったよりも疲れます。
・帰宅したら、一日ゆっくりからだを休めましょう。
 
保険証 体温計
常備薬も忘れずに
 
旅行中は、食べ過ぎに注意
 旅行中は食べ慣れない食事や、いつもよりおやつを食べたり飲んだりする機会が多くなりがちです。
たえず食べ物を口にしていると、胃腸も疲れます。
おやつは時間を決めてあげましょう。
 
 
紫外線対策を
[日焼け]=[やけど]
 太陽に当たりすぎると、皮膚が赤く腫れたり、水ぶくれになったり、熱を出したりします。
 日焼けはやけどと同じです。
・海や山に出かけるときは、ツバの広い帽子や長袖のシャツを着て、直射日光を避けましょう。
・子どもの肌にあった日焼け止めクリームを使用するのも一つの方法です。
・乳幼児の外での遊びは短時間にしましょう。
 
飲み物は、水や麦茶を
 甘いジュース類や冷たい飲み物は、胃腸の働きを弱めるので、車酔いや腹痛、下痢などを起こしやすくします。水や麦茶で水分補給をこまめにしましょう。
 
 
虫さされ
 草の多い所や夕方などは虫にさされやすく、汗のにおいにも虫は寄ってきます。身体を清潔にして長袖のシャツや長ズボンを着せるなど工夫をしましょう。
 
[夏は、寝冷えに注意しましょう]
 
 夏になると蒸し暑く、寝苦しい夜に布団をかけずにいたりしたために、夜明けのヒンヤリとした風にさらされて風邪をひいたり、おなかをこわしたりする事を、寝冷えといいます。
 肌寒いときには、布団をきちんとかけて暖かくして、眠ろうとしますが、夏は、なるべく体を涼しくしようとするので、薄着や、冷房などで、寝冷えを起こしやすくなります。また汗をかいて、ぬれた衣服をそのままにしておくと、水分の蒸発をするときに体の熱を一緒に奪ってしまうので、寝冷えをしたり、風邪をひいたりしてしまいがちです。オムツがぬれた場合も同じです。
 
《寝冷えの予防と対策》
 
1 冷房・扇風機・除湿機などを上手に使いましよう。
・寝つくまでは、冷房などで涼しくしましょう。
・寝入ったら、タイマーにして止めたり、温度設定を高めにしましょう。
・体に直接、冷気(風)があたらないように気をつけましょう。
2 寝冷えの予防と対策をしましょう。
・パジャマは、おなかが出ないように上着丈のたっぷりしたものや、上下のボタン止めのあるものにしましょう。布地は汗の吸収のよい素材のものを選びましょう。
・発汗しているときには、着替えさせましょう。寝はじめてから三〇分〜一時間後位が最も汗をかきますので、背中にタオルを入れておき、その後に抜いてもいいでしょう。
・暑い夏でも気温が下がる朝方は窓を閉めましょう。
・寝具は、冷え込んでくる明け方に、かけ直してあげましょう。
・寝相が悪い場合は、あらかじめ布団に、マジックテープをつけるなどの工夫をしましょう。
 
[夏の旅行やお出かけ時の注意]
 
 夏休み、家庭でのお出かけや、海や山への旅行を計画している家庭も多いと思います。暑さへの対策や旅行の計画は、ゆったりとしたスケジュールを心がけましょう。兄弟のいる場合は、小さい子にあわせ帰宅後は一日ゆっくり体を休められるような計画にしましよう。保険証や、体温計、常備薬も忘れずに必ず持参しましょう。親子で楽しく出かけるときには、突発的なことには、「備えあれば憂いなし」ということもあります。そのほかに必要な事はないかなど、見直しておきましょう。
 子どもと一緒に計画する楽しみも倍増し、さらに思い出深いものになる事でしょう(表2)。
 
夏を快適に過ごすには
 
[スキンケアを心がけましょう]
 
●シャワーを活用し、せっけんを使って汚れを落とすと、皮膚についた細菌と、皮膚の表面の炭酸ガスを洗い流し、蚊などの虫が寄ってこなくなります。
●虫さされやあせもなどの皮膚のトラブルは、早めに受診し、ひどくなる前に治療します。
●爪を短く切り、手はいつもきれいにしておきます。
●衣類は、きれいに洗濯し、汗をかいたら、こまめに取り替えます。
●吸湿性のよい木綿の肌着を着るようにします。(プリントのあるTシャツは、汗の吸湿が悪い)
●汗をかいたら、そのままにせず、すぐに柔らかい素材のタオルなどで拭き取りましょう。
 
[エアコンを上手に使いましょう。]
 
 日本の夏は、高温多湿が特徴です。最近は一九七〇年代と比較すると、超真夏日は三倍、熱帯夜が二倍になっているそうです。子どもは年齢が、小さいほど大人のようには体温調節がうまくできませんので、暑さで体の調子を崩さないように、冷房を上手に使って、夏を快適に過ごしましょう。
 温度の設定は、室外と室内の気温差が大きいと、その温度変化に体がついていかず、風邪をひいたりします。外気との温度差は、5℃以内が目安です。外の気温が33℃以上あるときの設定温度は、28℃位にしましょう。また、風を直接体に当てないように工夫して、羽を水平にしたり、スイング機能を利用しましょう。
 
[栄養のバランスを心がけましょう]
 
 暑いと食欲が減退します。体温が上がると脳にある食欲を促す摂食中枢の働きが抑制され、食欲を抑える満腹中枢の働きが促進されるといわれています。また、肉食をすると食後の体温の上昇が、大きいので敬遠され、清涼飲料水や麺類などさっぱりとしたもので食事を済ます機会が多くなると、栄養が不足したり、偏ったりします。
 糖質に偏り、ビタミン類やミネラルが不足しやすく、とくにビタミンB1は不足しがちになります。そこで、料理法などを工夫して、栄養が偏らないように気をつけなければなりません。
 夏は、とくに蛋白やビタミンの補給を忘れてはいけません。食欲を刺激するための香辛料なども上手に使いましょう。
 夏の暑さ対策をし、さらに暑さに負けない体作りを心がけ、楽しい夏、思い出いっぱいの夏を家で過ごし、いろいろなことに挑戦したり、経験をたくさんさせてあげることは、子どもの探究心や好奇心を育てていくことにもつながることでしょう。







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