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 次に、主催者を代表して、斎藤十朗日本保育協会会長が登壇。胸に白バラ、サンバイザーを着けての挨拶である。
 
主催者全員がサンバイザーを着けて登壇
 
 「本日は、お忙しい中を全国から八○○○人余の大勢の皆様のご参会をいただきまして、こどもを守る総決起大会が開催できますことを心からお礼申し上げます。また、この機会をお借りしまして、日頃、当協会の仕事にご協力いただいておりますことに改めて御礼申し上げます。
 さて、ご承知のとおり、内閣府に設置された経済財政諮問会議、地方分権改革推進会議等において、規制緩和や経済性を優先し、こどもの立場や状況を無視した提言などが続出しており、保育が今、大変厳しい局面を迎えております。このため、全国の保育関係者が一致団結してこの流れを阻止し、次代を担うこどもの保育環境を守るため、総決起大会を開催するものであります。
 近年、わが国は急速に少子化が進展しており、次代を担うこどもを安心して産み、育てることができるような社会環境を整備することが重要な国家的課題であるとの認識が定着しております。
 政府においては、新エンゼルプラン、待機児童ゼロ作戦を推進するとともに、新たに、次世代育成支援対策推進法案等を国家に提出し、次世代育成支援施策の検討を行っているころであります。
 このように、国を挙げて少子化対策を講じていかなければならない時期に、総合規制改革会議や地方分権改革推進会議においては「幼保一元化」、「保育所運営費等の一般財源化」、「保育所調理室の設置義務の撤廃」等について提言し、少子化対策の中核を担ってきた保育施策について、国の関与や規制をなくし、地方にその責任を全面的に委ねようとしているのであります。
 そもそも「幼保一元化」の問題は私が初当選した頃三〇年前からある話で、この議論は、それぞれの機能、目的が違うと言うことで決着しています。
 しかしながら、地方分権改革推進会議は、財政上の問題を最優先に議論し、運営費等の一般財源化や調理室の設置義務の撤廃などを提言し、「幼保一元化しを実現させようとしています。
 
会場は参加者でいっぱいに
 
 保育所の運営費等が一般財源になれば、地方の財政状況により保育事業が影響を受けるばかりでなく、各地域における格差を大きく作ってしまうことになるのです。また、近年、こどもの体と心の発達を育む「食育」の重要性が叫ばれ、保育における食事の果たす役割が益々大きくなる状況の中で、保育所の台所である調理室は絶対に必要であります。
 このため、昨年十月の「保育を守る緊急集会」の開催、昨年末の保育三団体合同での要望などの活動を展開してまいりましたが、未だ、この流れに歯止めをかけるに至っておりません、というよりも非常に危機的な状況に今日あるということです。
 今こそ、保育関係者がここに立ち上がり、次代を担うこどもを守るため、全力をあげて、この流れを阻止しようではありませんか。
 本日、ここで、大会アピールを取りまとめ、全国の保育関係者が心を一つにして広く社会に対し訴えていきたいと思います。引き続き、皆様方のご協力をお願いします。
 
 最後に、このたびの日本保育協会の活動に対し厚生労働省及び橋本龍太郎先生を会長とする自民党全国保育関係議員連盟の皆様方の絶大なるご支援に、深甚なる感謝を申し上げるとともに、本大会の開催に当たり御協力をいただきました全国保育協議会及び全国私立保育園連盟に対し厚く御礼申し上げて、主催者としての挨拶とさせていただきます。」
 
鴨下副大臣が挨拶
 
 来賓として厚生労働省から鴨下一郎副大臣が出席。挨拶を行った。
 「本日ご参集の皆様方におかれましては、日頃から我が国の保育事業の推進に多大なるご尽力を賜りますとともに、保育所待機児童の解消に向けた対応や、各家庭の事情に応じた子どものニーズにあわせ、延長保育や一時保育など多様な保育サービスの提供のためにご努力いただいていることに対しまして、心より感謝申し上げます。
 ご承知のとおり、近年の急速な少子化の進行、家庭における子育てをめぐる環境の変化は、大変厳しいものがあり、我が国の経済社会に広く深刻な影響を与えることが懸念されています。
 このため、子どものしあわせを第一に考えつつ、少子化対策推進基本方針及び新エンゼルプランに基づき、児童や家庭に対する支援策や仕事と子育ての両立支援策を拡大するなど、幅広い分野にわたる総合的な少子化対策を推進してきております。
 さらに、政府においては、本年三月に、少子化の進行を踏まえ、もう一段の少子化対策として、「次世代育成支援に関する当面の取組方針」をとりまとめ、「地域における子育て支援」「男性を含めた働き方の見直し」などにも重点を置いて取り組むこととしており、これを具体化するため、「次世代育成支援対策推進法案」及び「児童福祉法改正法案」を提出したところであります。
 国と地方の在り方の観点から、三位一体改革の中で国の補助金の縮減の議論がなされていますが、保育所運営費等の一般財源化の問題については、少子化が進行する中で、我が国の重要な基本施策、すなわち国策である子育て支援策に関する国の関与を弱めるほか、保育所の運営、ひいては子どもの保育に影響を与えるなどの問題が懸念されます。
 
議長団により会が進行
 
 また、昨今の規制改革の議論の中で、幼保一元化問題や保育所調理施設の見直しという議論がでていますが、これらの議論は、幼保一元化という言葉が先行しているようでありますが、こどもの幸せを第一に考えた議論が進められることが必要であると考える次第でございます。
 この保育所運営費等の一般財源化や幼保一元化の問題については、今後、経済財政諮問会議において、六月下旬を目途に「三位一体改革」が取りまとめられることとなっておりますが、厚生労働省としては、従来の考え方を堅持して対応していきたいと考えております。
 保育は、我が国の将来を担う子どもたちの健やかな育成にとって欠かすことのできない重要施策であります。
 皆様方におかれましても、これまで永年にわたって培われた経験を生かして、各地域、そして我が国の保育事業の発展に引き続きご尽力を賜りますようお願い申し上げまして、私のご挨拶といたします。」
 つづいて、今回の開催にあたり全国へ参加を呼びかけるなど協力をいただいた全国保育協議会の佐藤信治会長、全国私立保育園連盟の西村良樹会長から挨拶があった。
 大会の空気はピークに達した。議長席が前列に設けられ、大島和彦栃木県日本保育協会会長と山田和子日本保育協会全国女性部長が着席。「こどもを守るメッセージ」について、各分野の保育関係者から意見発表が行われた。
 最初に、三重県の社会福祉法人フジ保育園の藤谷泰之理事長から「日本には世界に誇れる自然と、勤勉で優秀な人材がいる。子どもは国の宝だ。大切な子ども達を守るため今回の改革に断固反対」を表明。つづいて広島県の高橋英治富士保育園長は「今や全国で二〇〇万人を超える子どもたちが入園している保育園を、認可保育所機能不全論でなく、より機能強化をするには何を改善すべきかの議論が大切」と訴えた。保育士を代表して、鹿児島県の御所保育園主任保育士の福留孝子さんは「保育の質を無視し、単に量の拡充を優先した保育施策である一元化論への疑問と一般財源化は保育の質の格差と人件費の切り下げ」につながると述べた。埼玉県の優々保育園看護師の廣岡菊美さんは「満足に朝食を食べていない子どもが増え、給食は丸のみに近い。咀嚼と嚥下も未熟な子は窒息の危険があり健康に関わる専門職の配置は欠かせない。一般財源化は人的環境の悪化を招く」と訴えた。
 青森県の中居林保育園の十文字たけさん(園長の椛沢さんが代読)は、「保育園で調理をする重要な意味は『作り手の愛情』を味わう」「季節の変化や子どもの体調に合わせ工夫したりアレルギーの子への特別食などの対応は調理室があるからできる。その役割は今後益々必要とされる」と述べた。
 保育園保護者代表として、川崎市の星の子愛児園保護者新倉由美さんは「一般財源化が行われれば、先ず人件費が削られ、十分な目配りを願う親としては保育料の値上げを受け入れざるをえない。具合の悪い子を預ける日もあり、ご飯もお粥に代えてほしいなどは給食センターでは無理」と不安を訴えた。







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