日本財団 図書館


―規制改革―
総合規制改革会議が幼保一元化でヒアリング(議事要旨)
 総合規制改革会議のアクションプランワーキンググループ(宮内義彦主査:オリックス株式会社代表取締役会長兼CEO)は四月九日、幼保一元化についてのヒアリングを文部科学省、厚生労働省に対して行いました。以下、厚生労働省のヒアリングの要旨をお知らせします。
 
宮内義彦主査 幼稚園と保育所の一元化というテーマにつきまして、当会議が目指します規制改革の方向性は、単に現行制度の運用により幼稚園と保育所の併設と連携を進めるということだけではなく、同一の設置主体、同一の施設、同一の職員による運営が可能となるように、両施設に関するさまざまな制度について、その統一、一元化を考えているわけです。厚生労働省からの改善すべき制度について、特に施設設置基準の問題、幼稚園には存在しないにもかかわらず、保育所だけに調理室の設置が義務付けられている点や、保育所への入所要件の問題、現在制限されている保育に欠ける子以外の保育所への入所についても、これを認めるようにすることなど、重要な問題があると認識しています。これらの点も踏まえて参考にしていただきながら意見交換をさせていただきたいと思います。
岩田喜美枝児童家庭局長 (資料を基に説明)
八代尚宏委員 確かに現場ではいろんな工夫をして、自主的に一体的な運用をしておられるわけですけど、国のべースで法律・資格が基本的に違うし、制度が違い、現場で非常に苦労されているからこういった特区の要請が出てきている。現場にそろえて国のべースでももっと大胆に文部科学省との制度の統一を図る必要があるのではないか。またそのときに、幼稚園は基本的に市場サービスに近く、誰でも入れますという仕組みであるのに対して、保育所というのは「保育に欠ける子」という条項があります。だれが保育に欠けるかというのは政府が認定する、保育に欠ける子に対して入所を許可する、いわば過去の措置制度の考え方をそのまま引きずっているわけです。もちろん運用上は非常に柔軟なやり方をされているとは思いますが、幼稚園との一体的な運用のさまざまな制約になっているのではないか。幼保一元化の問題の背景にある「保育に欠ける子」という表現をいつまで続けられるのか。「保育を必要とする子」つまり保育サービスであるという風に、児童福祉法を改正されるにあたってそういう観点がまったくなかったのは非常に残念だ。それがなければ今後の女性の就業継続と子育ての両立のために利用者が選択できるサービスにならないのではないか。あくまで上から与えられる措置ということになってしまうのではないか。そういう観点がこの幼保一元化の問題にも表れているのではないか。
 調理室の間題もそうですが、多様なニーズがあるわけで、きちっと情報公開をした上で、それを利用者が選択できる、そういう仕組みにいけるかどうかという点であり、いろんな配慮しなければいけない点はいっぱいあって、そういう意味でも性能基準といいますか、今言われた様々な例えば離乳食の問題であるとか、あるいは何回も食事を出さなければいけないとか、そういうニーズにきちっと応えられるような別の対応がなされたとすれば、必ずしも保育所と同じ敷地内に調理室がなければいけないということはないのではないか。これは規制改革全体の考え方で、仕様規制から機能規制といいますか、きちっとした規制の目的が達成されれば、具体的な制度の形態は問わないという方向に今、全体が動いています。それによって例えば都市部においてもう少し保育所が増えるとしたらそちらのほうがはるかに重要ではないか。現実はかなりそれに近いところに来ていると思います。
 それから幼保一元化というのは、必ずしも画一的な一つの制度にして、現在よりも利用者の選択の幅を狭めるということでなく、むしろその逆で、利用者が自由に選択できるような制度にしていただきたい。今の保育所と幼稚園の仕組みというのはそれぞれの制度の成り立ちから非常に不都合があって非効率的になっている。それをもっと多様な選択ができる一つの制度にしたらどうか、決して今の硬直的な保育所の制度、硬直的な幼稚園の制度をさらに硬直的な一つの制度にしろということではありません。
 最後になりますが、「厳しい財政状況を踏まえると、就労等特段の理由もなく、保育に欠けない児童も含めて、すべての児童に対して公費負担を行う理由がない」とおっしゃっています。それは確かにそうだと思いますが、一方で保育を措置ではなくてサービスと考えると、多様なサービスに応えなければいけない。例えば働いていない専業主婦であっても保育サービスを必要とする場合もあるわけですから、そのときは今のような安い負担ではなくて、しかるべき負担をしなければいけませんが、そういう人に関してもきちっと保育所が応えられる。もちろん様々な子育て支援事業をやっていることは事実だと思いますが、そういう支援事業ではなくて、子どもが一番集まっている保育所に、専業主婦の子どもも例えば週一回くらい通うことが認められる、その場合は保育に欠けるとか欠けないとかの問題ではなくて、保育を必要とするかしないか、ただしコストは利用者が負担する、そういうサービスという方向に変えていくというお考えはないのかということです。高齢者介護についてはすでにその方向で厚生労働省自体が動いていて、介護保険でそれが実現しているわけです。なぜ児童だけが高齢者福祉の利用者と事業者との間の対等な契約のもとで、利用者が選択できるという新しい考え方にいつまでたっても変われないのかということをお伺いしたい。
岩田局長 まず保育状勢も変わってきているということについて、ご理解頂きたいと思います。最大の改正は、平成十年からでありまして八代委員のおっしゃるとおり、行政措置で行政の判断で子どもたちを保育所に入れる措置を取っていたわけでありますが、平成十年から契約の思想を導入いたしまして、市町村と利用者との間で契約を結ぶ、ですから施設を申し込むときには利用者は、どこの保育所を使いたいかということを優先順位を付けて申し込む、それを市町村で需給調整をした上で入所を決めていく。例を挙げられた高齢者と比べると、サービスその他の観点からいいますと、まだ途中の段階という評価かと思いますけれども、保育所の方も保育サービスの利用者の実態を見ながら制度的な改善を進めてきているということを申し上げたい。幼保一元化の議論というのは、私からしますと、乱暴な議論で、あたかも保育所と幼稚園の制度はやめて、一つの幼保一元に組み直そうという議論を時々耳にしますが、そうではなく、どのように子育てのニーズに柔軟に答えていくかということだと思います。
八代委員 多様なニーズに応えるということですね。硬直的な制度ではなくて。
岩田局長 多様な子育てニーズに応えるということが、一つの制度で可能かどうかはわかりませんけど、現に、社会的な資源がたくさんあるわけですから、それを旨く組み合わせて使うということがやるべき事ではないかと思います。使い勝手が悪いということがあれば、ご指摘を頂いて利用者の利用しやすいように工夫はしてきているつもりです。
 「保育に欠ける」という概念を保育サービスを必要とする者が使えるような形態にすべきではないかということについて、実は先ほど時間の都合もあって、充分ご説明できませんでしたけれども、子育て支援事業という中に一時保育というのがございます。一時保育というのは、例えば一日ある時間帯だけとか、ある曜日だけとか、恒常的に使うわけでは無いけれど、時々利用する、一時保育を利用される方は、保育に欠けるという事を要件にしておりません。ご家庭の主婦の方、例えば毎日毎日自分一人で子どもの養育をしているのが本当に疲れるということを聞きますので、そのような育児疲れの方が一週間に一回保育所を使っていただく保育所も増えてきています。
 保育所というのは、入所児童のためだけではなくて、専業主婦家庭も含めて、地域の子育てニーズにどう応えていくかということが重要だと思っています。そのために一時保育、子育て相談、育児サークルの支援とか専業主婦家庭も念頭に置いたサービスを展開しているところです。「保育を必要とする」ことと、「保育に欠ける」ということとの実態的な違いは何なんだろうという疑問がございます。保育に欠ける子どもには保育をしていますし、そうでない方にもみんな保育所で対応できるように、一時保育などのサービスなどをやらせて頂いているところです。
八代委員 どれくらいの比率で一時保育などをやっておられるのか。ショーウィンドウ的にやられてもダメなので、もっと供給が増えなければ保育を必要とする子どもに対応できないわけです。
岩田局長 一時保育につきましては、新エンゼルプランに基づいて整備を続けているところでございますが、新エンゼルプランでは、確か最終年度に三、〇〇〇か所だったと思いますけれど、計画のか所数を上回って、前倒しで平成十五年度には、四、五〇〇か所の設置予定で予算措置しています。いずれは、必要のある全ての保育所で一時保育を出来るようしていきたいと考えています。
 調理室についても施設基準ではなくて、機能基準、性能基準という考え方についてですが、ゼロ歳児や、低年齢児の食事の問題や、一日に何回も食事のサービスをしなくてはいけないということが、調理室を持たずにどういう形でできるかということを私どもは説得されておりません。もし何かそういう形でできることがあれば、検討しなくてはと思います。ゼロ歳児には一日四回補食を含めて出さなければならないということを考えると、今の調理室というのが具体的な特別な機能を持っているわけではありませんけれど、調理できる場所であればいいとなっているので、ある意味では実質的に性能基準に近いものになっているのではないかと思います。
村山利栄委員 資料に地域のニーズに応えているものと考えている、とありますが、待機児童の問題をも含めて全体で、地域のニーズに応えているとお書きになっているのでしょうか?
岩田局長 待機児童の問題は、残念ながらまだまだ大きな問題です。現在、閣議決定に基づいて待機児童ゼロ作戦ということで、平成十六年度までに全国で十五万人の子どもたちの受入増を図ろうと取り組んでおりますけれども、それぞれの地域で待機児童問題が無くなったと思っていただけるよう頑張っていますが、多分、十六年度で、この問題が解決とは思われません。先ほど申し上げましたように、今回の児童福祉法の改正の中で、待機児童の多い自治体については住民との間で約束事として、住民が参加するプロセスを経て、待機児童解消計画を作っていただくことを待機児童の多い自治体には義務づける事としています。
村山委員 待機児童の問題については答えているとおっしゃいますが、保育ママは地域にはほとんどいない。地域子育て支援センターなどはほとんどがたまたまそこにあれば連れて行けるという程度で、実際にニーズは満たしていないと思いますので、厚生労働省の認識と実際の市町村の実態面に関して大きな開きがある。
岩田局長 国の立場で見ますと、こういった様々な事業についてそれぞれ補助事業を持っておりますので、子育て支援のためにどの程度のプログラムの整備をしていると見がちなのですが、実施率で見ますとまだまだということがございます。最も一般的な一時保育については、実施している自治体が八九〇自治体、一、〇〇〇までいっておりませんので、まだまだという風に思っています。この通常国会で児童福祉法の改正の提案をいたしておりまして、こういった子育て支援事業を実施する事を市町村の仕事として児童福祉法の中で位置づけ、こういうことをひとつのきっかけとして、それぞれの地域が必要なそれぞれの子育ての支援サービスが提供できるように、公共サービスだけではない、NPOの活動やボランタリー的な活動や、企業の活動などをあわせて、それぞれの地域でこうした事業をしっかりやっていただく方向でお願いしています。
佐々木かおり委員 養護と教育と二つのことを保育園でしていらっしゃると明記されているのですが、教育のニーズというのは、いろいろな形があって親から見る教育とずいぶん違うと思います。私も保育園に子どもが行ってますけど、幼稚園に求めたいことと保育園に求めたいこと、私の周りの親の考えも非常に一元化してきて、連携でなく一つになって欲しいというニーズを実際たくさん耳にするわけです。教育という部分のニーズ、世の中のニーズということへの保育園の対応というところをどうお考えですか?
岩田局長 保育所は保育所保育指針に基づいて運営いただいています。保育所保育指針は養護の側面と教育の側面と両方兼ね備えていますが、三歳児以上の教育の側面は、幼稚園の教育要領とまったく同じです。ですから到達すべき教育の水準は幼稚園も保育所も同じです。ただ幼稚園は短い午前中の時間にやりますので、カリキュラムを作っておられる。時間割を作っておられる幼稚園もあると聞いていますが、保育所の場合には長い時間、八時間、九時間、十時間の中でそれをやりますので、教育の仕方は必ずしも一緒じゃない。保育所ももちろん時間割を作って、机に向かっている時間もありますけれど、保育所は長い生活の時間の中で教育という要素を入れていくということで、手法が違うと思いますが、到達点は同じです。幼稚園の教育要領を変えるときには、厚労省の職員も行って議論に参加し、その逆の場合も文科省から参加いただいて、教育要領と保育所保育指針というのは、教育の面では同等の内容になるようにしています。
佐々木委員 幼稚園の担当の方は、三歳から上の幼稚園は学校で、保育園とは全く違う、保育をしているだけでなくて教育する場所であるというのも大きな違いの一つに挙げていますが、保育園側から見た場合はそういうことは一切なく、三歳から六歳までは、今の制度の中では違いがありますけれども、内容的には同じと考えていいのですか。
岩田局長 歴史を振り返って見ますと、昭和二〇年代、三〇年代は確かに教育的な側面は弱かったようです。そのころも幼保一元化の議論にあったのですが、その時に議論となったものは、就学前の子どもにいかに均質な教育を与えるかというものでした。昭和四〇年に初めて保育所保育指針が出来まして、このころから養護と教育をあわせて保育所で取り組んで来ましたので、今日においては教育という側面から見て、保育所が劣っているということは決してありません。
佐々木委員 三歳から六歳に関してだけ、制度が二つあって、名称が二つあることの矛盾はお感じになりませんか?
岩田局長 幼稚園でやっている教育は、就学前ですから長い時間やれるものではなく、一方、保育所の方は教育のニーズも満たさなければいけないわけですが、それと同時に親に代わって、家庭に代わって子どもが育つ生活の場でありますから、幼稚園があれば保育所がいらないとか、その逆とかにはなりません。
佐々木委員 三歳から六歳に関しては、時間数などによって教え方が違うと理解しましたけれど、それは多様化ということで、二四時間ニーズの人もいればいろんなニーズがあることかと思うのですが、制度上で時間が違うだけで名称が違ったり、制度が違ったりするという必要性はないように思います。それはサービスの差であって、何々園は四時間で、何々園は八時間でやりますということは、個々のサービスやニーズによって対応する園ごとの違いであって、法律、制度、名称上今のように二つある必要がなくなってくるかと思うのですが。
岩田局長 保育所は保育所がなければ子どもが育たないという状況にいるお子さんの問題だと思うのです。保育に欠けるというのは言葉がよくないかもしれませんが、保育に欠けるというのはそういうことだと思います。それと親が就学前の子どもに教育を与えたいとうことで選ぶ施設というのは、単に同じものの時間の長い短いだけでの差であるとは考えていません。
福井秀夫専門委員 調理室の同一敷地内基準について、調理室の栄養面と衛生面について、前回、栄養面は保育所敷地内になくても大丈夫だと思うというご答弁があって、残った論点は、調理室を見せることがちゃんとした大人になるための条件だというご主張は変わっていないというご答弁がありました。今日の資料には調理室はなぜ必要かということについては書かれていないが、見解が変更になったということですか?
岩田局長 「食事を通じた子どもの健やかな育成」という考え方は、前回申し上げたことを要約しています。
福井専門委員 資料からは読めなかったのですが、これは調理室を見せたり、においをかがせたり、調理室の方が話をするという意味ですか?そこについても前回ご議論があったのですが、それはやっていない保育園がある、そういう指導をやっていない実態がある、通達とか基準を設けているわけではないとのご答弁でしたが、その後何か調査されましたか?
岩田局長 今、経済的に豊かな社会でありながら、子ども達の食の問題は危機的な状況にあると思います。それは、本当は家庭の問題かもしれませんが、家庭に代わって、子どもを養育する保育所の仕事としても非常に重要であると考えています。平成十四年度から開始しました、保育所サービスの第三者評価制度というのがありますが、この第三者評価制度の中には、食育の観点からの評価基準もございまして、子どもに食の大切さを教える、食を一緒に楽しむ、そのことを通じて子どもの体の発達だけでなくて、心の発達、対人関係をつくりあげていくという重要性については、第三者評価基準の中で取り上げているところです。
福井専門委員 おっしゃっていることは、全く同感です。ただここの論点は食事の重要性とか食育の重要性ということではなくて、同じ敷地内に調理室がなければ食事の重要性をちゃんと教えられないから、ちゃんとした大人になれないという御主張があったから、敷地内に調理室があるということと、食事の重要性を園児に伝えるのは別の論点ではないかということが一貫した議論の争点だったのです。
岩田局長 食育をしっかりやっておられる保育所の例を伺いますと、園庭で作った野菜を使って料理をするとか、その野菜を使っておかずができている事を子どもに見せるとか、あるいはおやつを作るときに、後で加熱をすれば衛生上の問題がないということで、うどんを子どもにこねさせたり、一緒に作ったりしている。食事を作る過程に子どもの年齢に応じて参加させることなどをしている。
福井専門委員 最後にまず離乳食があるから保育園では調理室がないと、という論理ですか?
岩田局長 離乳食とか、特に問題と思いますのは低年齢児です。
福井専門委員 これは低年齢児用、あるいは離乳食を外から運んで来るのだと何でまずいのですか?
岩田局長 離乳食というのは、食物の繊維をすりつぶすわけで、赤ちゃんを育てられた方は皆さんご存じだと思いますが、本当に衛生面に気をつけながらやるわけです。ですから毎回ベビーフードでもいいというような立場なら・・・。
福井専門委員 作った離乳食を、そんなに時間がかからないで、栄養価が壊れないうちに運んでくることもできるのです。給食センターとかからあまり離れていない保育園であればそこから運んでくることができれば、それでいいわけでしょう。
岩田局長 学校給食センターを活用したいから、調理室は要らないのではないかということですが、特区提案をされた自治体のすべてにおいて、やはり離乳食は無理だと言っておられます。
福井専門委員 二番目の夜間保育とか昼食、おやつ、夕食とか、複数回の食事ということですが、これも複数回数運べれば問題ないのではないか。要するに複数回提供できる敷地外のまともな給食施設があればいいのではないか、という点について教えていただきたい。
村山委員 実態面でゼロ歳児保育を受け入れている保育園というのは、そんなに多くはないはずで、ゼロ歳児をやっているから離乳食が必要だという論調になるかと思いますが、それならゼロ歳児をやっていないところではいいんではないですか。
 もうひとつは、この規制ができた時点というのは恐らく冷凍冷蔵庫がついた車であるとか、給食センターであるとか、デリバリーサービスとかクリーンルームとかといった技術がないときにできた問題であって、今、テクノロジーが多様化していく中で、老人食とか病院食でも違ったメニューをつくれる技術がある中で、これを押し通すことに意味があるのですか。
岩田局長 ゼロ歳児ですけれども、確かに数年前まではあまり一般的でなかったかもしれません。今、待機児童もゼロ歳児が多いということで受け入れを進めていただいております。全国八、五九〇か所(平成九年度のデータ)の保育所でゼロ歳児保育をやっています。全体が二万二〇〇〇か所ですから、まだ半分にはいっていません。都市部を中心に普及しています。
 それから外部搬入をすべて認められないかというと、これは勉強してみたいと思っています。ですがゼロ歳児を含めて一歳、二歳を含めて、体調が悪くなければ、今日は下痢していると思ったらおかゆに代えるわけです。それは家庭でやっているようにすべての保育所でやっています。そう考えたときにすべてのケースについて外部搬入で済むとは思えないのです。
宮内主査 まだいろいろご議論があろうかとおもいますけど、時間を大きくオーバーしましたので。私の感想を申し上げるのもどうかと思いますが、こういう規制を二つの省でなされている本当の意味合いは何なのだろうかと。ただいまの厚生労働省のお話は、非常に説得力のある面もございましたけれども、実態としては待機児童というのが非常に多く、保育と無関係にいるのが現実である、そういう現実を踏まえて、今日のご説明でいいのかと、これは引き続きご議論させていただきたい点です。
 
委員席(総合規制改革会議会議室)
 
 
 
 ☆いわゆる新型肺炎、SARSに関する動きが続いています。四月末にはマレーシアで東南アジア諸国と日中韓の保健大臣会合が開かれ、坂口厚生労働大臣が出席しました。報道各社の関心も高く、多くの随行記者とともに、私も随行をさせていただきました。これは対岸の火事でない、というのが一言で言えばその時の印象でした。
 その後もご存知のとおりいろいろなことがあった訳ですが、こうした未知の脅威に立ち向かうには、周到な準備をするということはもちろんですが、それと同時に、対策を柔軟に見直すための体制を作っておくということが大切なように思います。あらゆる事態を想定しつつなおかつ予期しない事態は起きるということ、それで当り前なので、そこまで対応できる構えをとることが求められています。厳しいですが、それが私ども厚生労働省の仕事というものなのだろうと思います。
 ☆さて、月刊「厚生」六月号のご紹介です。今回の特集は医療安全の取り組みについてです。医療事故についての国民の関心はここ数年特に高くなっていますが、これは医療技術が進歩し、昔は考えられなかったような高度な技術が医療現場で使われるようになってきたということだけでなく、医療における患者の関わり、意識といったものが近年大きく変化してきたということにもよっていると言えるでしょう。そうした意味で、医療安全というのは、今後の我が国の医療におけるサービス提供のあり方、医師と患者の関係のあり方など、大きな裾野を持った「医療のあり方」を考え直す重要な切り口の一つであると言えるのではないでしょうか。今回の特集では、厚生労働省における取り組みをご紹介すると共に、座談会や外部の方々の寄稿も通して、幅広くこの問題の現在を考えていただけるようにしたいと思っています。
 インタヴューは女優の酒井美紀さん。麻薬・覚せい剤撲滅キャンペーンのキャラクターを務めていただいているご縁でのインタヴューとなりましたが、それだけでなく、女優、歌手、声優としての幅広いお仕事について面白いお話をいろいろうかがうことができました。この麻薬・覚せい剤撲滅キャンペーン、「ダメ。ゼッタイ。」普及運動と言った方が今や通りが良いかも知れません。六月はこの「ダメ。ゼッタイ。」運動の月でもあります。
 ☆もう一つ、今回は特にお知らせをしたいことがあります。毎月こうしてご案内をさせていただいている月刊「厚生」ですが、七月号からは誌面を一新し、月刊「厚生労働」として生まれ変わることとなりました。
 一昨年の省庁再編以後も、厚生労働省の広報誌は「厚生」と、それに旧労働省の広報誌でありました「労働時報」の二本立てで発行して参りました。これをこの度一本化し、「厚生労働」の新誌名の下に発刊することとなったものです。行政のタテ割りではなく国民の関心・ニーズに即した記事構成を心がけ、これまで以上にわかり易い、かつメリハリのきいた誌面としたい、扱う幅は広くなりますが、それによってむしろ密度の濃い情報をお届けできる誌面としたいと考えておりますので、是非とも引き続きご購誌をお願いしたいと存じます。
 これを機会に私ども、月刊「厚生」のこれまでの長い長い歴史をふり返ってみました。戦後の復興期、高度成長期、その後と、世の中の移り変わりにしたがって誌面や記事にも特色があり、昔の「厚生」を引っくり返していると暫し時の経つのを忘れました。今回六月号ではそのごく一部をご紹介する頁を設けています。ごらんいただき、そして新たな「厚生労働」にご期待いただければと思います。
(厚生労働省 大臣官房広報室長 樽見 英樹)
 
 雑誌「厚生」年間購読料・八、二〇八円(送料込)お申し込みは、中央法規出版(株)電話〇三−三三七九−三八六一新しい「厚生労働」も同じです。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION