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――「食育」をすすめる実践活動(4)――
子育て支援と栄養士の取り組み
仙台市支倉保育所栄養士 森幹子
 毎日の食事は心と体の健康づくりの源です。健康な心身の基礎づくりとなる乳幼児期の食事について、地域の親子を対象に調理実習や食事相談などを行っています。
 子育て支援事業を始めて五年が経過し、利用したお母さん方の口コミで輪が広まり、友だちを誘い合っての再利用が増えています。
 離乳食・幼児食講座ではグループ毎に助言者(青葉区内の保育所長・主任保育士・栄養士に協力をもらう)をおき、調理・試食をしながら食事に関するさまざまな悩みや質問を出し合える雰囲気づくりをし、そこに助言をするという形にして、成長に合わせた食事づくりをしていけるように配慮をしました。一週間後に「パートIIの会」と題して、実習当日に聞けなかったことや家庭に帰って実践してみての感想などを聞き、きめ細かい対応も試みています。
 赤ちゃん広場では、保育所で作った離乳食を食べさせてみながら個別の相談にも応じています(質問は事前に出してもらう)。
 
実施内容
 
★作ってみよう!離乳食 初期食〜移行期食までグループ毎に分かれる
離乳初期食(五〜六か月ごろ)
☆食べ物と唾液を混和して、どろどろのものを飲み込むことが出来るようになる。
・調理形態は粒のないなめらかなものとする。→ポタージュ〜ジャム状
・素材の味を大切にして、食材をそれぞれに仕上げる。
・味付けはほとんどしない。
離乳中期食(七〜八か月ごろ)
☆モグモグして、舌で押しつぶして飲み込めるようになる。
・舌でつぶせる程度の軟らかさ、大きさにする。
・調理形態はスプーンの背で簡単につぶせる硬さにする。→豆腐状
・野菜はみじん切りではなく、大きめのさいの目に切り、軟らかく煮てからつぶし切りにする。
離乳後期食(九〜十一か月ごろ)
☆歯ぐきでつぶして食べることが出来るようになる。
・歯ぐきでつぶせる程度の軟らかさ、大きさ、形にする。
・調理形態は指で押しつぶせる硬さの軟らか煮にする。→ハンバーグ状
離乳完了期食(一歳〜一歳半ごろ)
☆前歯でかみ切って歯ぐきで食べられるようになる。
・前歯でかみ切れる硬さ、大きさ、形にする。
・口の大きさに合わせた一口大にする。
移行期食(一歳半〜二歳ごろ)
☆前歯でかみ切って、奥歯ですりつぶせることが出来るようになる。
・前歯でかみ切れる硬さ、厚さ、大きさにする。
・手づかみしやすい形、大きさにする。
・スプーン、フォークが使いやすい形や大きさにする。
★作ってみよう!幼児食 五グループ編成(食物アレルギーに伴う食品の除去も含む)
お好みやき:野菜が苦手な場合の調理法。栄養価が高く主食やおやつに適する。手に持ちやすい大きさに仕上げる。
*卵の代わりにマッシュポテトを使う。
えび入りつくね揚げ:栄養価の高い豆腐を使い植物性たんぱく質を摂りやすく工夫。
 
赤ちゃん広場
 
 
作ってみよう離乳食
 
材料をよく混ぜ込んでソフトな仕上がりにする。食べやすい一口大の大きさに丸める。
*卵の代わりにパン粉を湿らせて使う。
クリームシチュー:旬の野菜を使う。手作りのクリームルーの調理法を知る。
*乳(乳類および乳由来)の代わりにコーンスターチを使う。
フルーツヨーグルトあえ:栄養価が高く手軽なおやつ。
果物の下処理の仕方と食べやすい大きさの工夫の仕方。
*乳(乳類および乳由来)の代わりに砂糖液を使ってポンチにする。
★赤ちゃん広場「離乳食を食べてみよう」
参加する月齢で 初期〜後期のたんぽぽグループ 後期〜完了期のちゅうりっぷグループに分ける。
(事前にアレルギーの有無や離乳食のすすみ具合を聞き取りしておく。)
実際に保育所で作った離乳食を食べさせて見ながら、個別の質問に答える。
年に三期行う。五月 九月 十一月
 
[参加者のアンケートより]
 
作ってみよう!離乳食
 
 同じ材料を使って違うメニューが作れる事がわかりマンネリ化を打破できそうです。
 野菜の切り方から詳しく教えていただいて、味付け、硬さ、軟らかさの目安がわかり、自分たちで作ってみて改めて調理の仕方を学んだ。
 テーブル毎に先生がついて下さってスムーズに作業ができた。
 気軽に話が聞けて不安解消になった。
 他のお母さんがどんなものをどのように食べさせているか分かり参考になった。
 試食して自分の味付けを反省しました。
 
作ってみよう!乳児食
 
 皆同じような悩みを持っていることがわかり安心しました。
 メニューに行き詰まっていたので未来が開けました。
 栄養士の先生から専門的な、具体的なアドバイスを伺うことが出来て勉強になった。
 遊び食べ、献立など日頃疑問に思っていることが聞けてよかった。
 一日の食品の目安量の資料をいただけてありがたかった。
 
赤ちゃん広場「離乳食を食べてみよう!」
 
 実際の硬さ、量を自分の舌で確かめられた。
 工夫次第で子どもが食べてくれるのが分った。
 離乳食を作るのが重荷になっていたので助かった。
 他の子の食べる量、お母さんの与え方が見られて良かった。
 アレルギーがある子の食べさせ方を教えてもらえて良かった。
 今までにないメニューだったので参考になった。
 
離乳食
 
感想
 
 「作ってみよう!離乳食」「作ってみよう!幼児食」は、食への感心の高さを示し、申し込み三〇分で募集人数に達してしまう程の人気です。参加者同士のふれあい、情報交換など和気あいあいのなか、父親の参加もあり、夫婦で育児をして行こうとする熱意に感心させられました。直接“なまの声”を聞き、研鑽を積んで市民の要求に少しでも多く応えていこうと思います。
 また「離乳食を食べてみよう」では、給食で出している離乳食を実際に食べてもらうので講話だけよりも真剣に参加している姿がみられました。大人の食事からの工夫や個人によって成長に差があるのであせらず子育てしてほしいことを伝え、楽しい時間の共有ができてよかったと思います。







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