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諫言・苦言(93)
保育所の存在と目指すべき方向
 小泉内閣の発足以来、構造改革なくして景気回復なしの政治スローガンの下、社会保障、社会福祉の制度改革が進められており、保育制度もその例外ではない。改革の大きな柱は民間参入による競争の原理の導入と公費補助の見直しである。社会福祉のような事業が市場原理にそのままなじむとも思えないし、公費補助をなくすことは保育サービスの質が大幅に低下することになる。
 現在のように男女共同参画型社会を大きな社会政策とする中で家庭の養育機能が低下し、一方で少子化がどんどん進む状況では保育制度にかかる経費については、ある程度の国民理解は得られるはずである。そのためには、認可保育所が国民のニーズに的確に対応出来ており、国民生活になくてはならない存在になっていることが基本となる。もしそうでなければ、時代の力に押し流されてしまうことになる。
 保育関係者は今こそ足許を見つめ直し、時代のニーズに合った保育サービスをしているのか、又、基礎構造改革により導入された利用者本位のサービス体制になっているのか再点検する必要がある。
 現在の認可保育所に求められる機能としては次の四つにまとめることができる。そしてどの保育所もがその役割を果たすことが求められる。各々の機能についての課題を整理してみる。
(1)子どもの健全育成
(2)就労と育児の両立支援
(3)子育て支援
(4)地域福祉への貢献
 「子どもの健全育成」については、保育方針が明確に示され、全職員がそれを共有すると共に、保育を受ける個々の子どもの個性に応じた保育を実践し、二十一世紀に生きる力を培うことである。又、利用者が選択する時代にあっては質の高い特色ある保育メニューを提示すると共に、利用者の満足度を高めることが必要である。
 「両立支援」については、現在大きな政治課題となっている待機児の解消に努めると共に、女性の就労形態の多様化に対応できる保育時間や日・祝日保育の実施、勤務時間中における預けている子どもの発熱への対応も保育所に期待されている。また、長時間保育を受けていた卒園児の学童保育は長年生活してきた園に戻るので子どもの情緒安定にもなるし、時間帯もニーズにあったものになる。
 「子育て支援」については、これまでは保育所機能としておまけ的なものであったが、平成十年の児童福祉法の改正で本来機能となり、今後もその重要性が言われている家庭の養育機能が低下していく中で、今後保育所の評価はこの役割の質が問われるものと思われ、保育園としては対応する職員の資質の向上に努める必要がある。
 「地域福祉への貢献」については、二十一世紀福祉の基本的枠組として地域福祉の推進が必要とされているだけでなく、保育所への民事参入が進む中、公益法人としての存在意義を問われるためにも取り組むことが求められる。これからの実践は事業計画にも取り入れ、地域住民にも見えるようにする必要がある。
 
 以上述べたように、保育所の果たしている機能は国民生活にとってなくてはならないものとなっている。制度改革においては、あるべき論だけで制度を守ろうとするのではなく、国民の保育ニーズに応えた実践をし、質の高いサービスを提供することが制度を守ることにつながる。その実践はどのような経営環境になろうと保育所として生き延びる大きな力となる。
(夢井仁・フリーライター)
 
 
 
 
個別援助の進め方
福井県総合福祉相談所 天谷泰公
 
はじめに
 
 相談における援助方法は、一対一で行う個別的なものと集団で行うものがあります。それぞれ様々な技法がありますが、今回は個別援助の進め方について取り上げます。
 援助の展開過程(ソーシャルワーク)は基本的に、(1)受理、(2)調査、(3)診断、(4)治療・処遇という流れで進んでいきますが、以下、より具体的な内容に沿いながら説明していきます。
 
場所と時間
 相談の受け付け方法は面接と電話に大きく分けられ、相談相手の顔が見える見えないという違いはありますが、基本的には同じ対応が必要です。
 まず相談を受ける場所を決める必要があります。会話の内容が関係者以外には聞こえないような他から区切られた場所が必要です。個室が一番望ましいのですが、衝立で事務室の一角を区切ったり、専用机を少し離れた場所に置くというような方法もあります。また電話相談の場合事務室内の他の職員が側にいるところで聞くということもありますが、この場合は他の職員が相談を受けている人の邪魔にならないような配慮をすることが必要です。
 相談時間は一般的に四〇分から一時間程度が適当といわれています。これより長くなると、緊張感が保てず会話に集中できなくなったり内容が拡散したりするという弊害が出ることがあります。相談の持っている本来の機能が損なわれるということです。
 
あいさつ・自己紹介、相談者の確認
 
 相談者が顔見知りの場合を除き、「相談」も対人関係におけるコミュニケーションの一つですから「あいさつ(自己紹介)」から始まります。相談担当者の名前とどのような仕事をしているか簡潔で具体的な説明が必要です。例えば、「こんにちは、保育士の○○です。子育て相談を担当しています。」というような説明です。また、言葉遣いや表情・態度も重要な要素です。初対面で相談者に与える印象は非常に大きなものがありますから、相談者の意欲を低下させるような言動をしないよう気をつけることが大事です。
 次に相談者は誰かを確認することが必要です。複数で相談に来た場合、誰が主たる相談者であり、残りの人は相談者とどういう関係にあるかを確認することが重要です。場合によっては席を外してもらうという対応をしなければならないこともあります。
 電話相談の場合、相談者の確認が困難なことがよくあります。そんな時は無理に確認する必要はありません。匿名性が電話相談の重要な特質ですから、名前を名乗らないから相談できるということもあるわけです。そのことを弁えながら相談を受けていくことが大事なので、自らを名乗った場合や素直に答えてくれた場合だけ確認できると思っていた方がいいようです。
 
相談内容(主訴)の確認
 
 次に相談に移るわけですが、相談を受ける時の基本的態度は前回説明しましたので省略します。とにかく先入観なしで相談者の訴えを聞く(傾聴)ことから始めます。そしてその言い回しや気持ちに沿いながら訴えをまとめていき、それをその都度相談者に返し、確認していくことです。
 結果、相談者はどんなことで悩んでいる(あるいは、気になっている、理解できない等々)のか、その事についてどう対処し、現在どのように思っている(感じている)のか、そして、今後どうしたい(どうして欲しい)のかということを理解する必要があります。
 以上、ここまでが「受理」という段階です。
 
必要に応じて調査をする
 
 受理面接の結果、事実確認や情報収集の必要性が認められた場合、調査をすることになります。調査方法は大きく分けて、電話等による聞き取りと訪問面接等による実地調査がありますが、基本的には保護者の同意のもとに行うことが必要です。
 調査において大事なことは、どのようなことについて、どこへ何を調査するかということです。例えば、市町村の保健センターに3歳児健康診査の結果のなかで「言葉の発達状況」について問い合わせするとか、療育機関に通っている場合、担当者に「療育の目標」を聞きに行くといったようなことです。また、相談者に再度確認することが必要となる場合もあり、何度か面接を繰り返すといったこともあります。どちらにしても、自分で納得できるまで行うことです。
 以上が「調査」の段階ですが、保育所における相談では調査を行わないでもよい場合が多いと考えられます。その場合、「調査」を飛ばし「受理」からすぐ「診断」に移ります。
 
診断:見立て
 
 子育て相談における「診断」というのは、「精神発達遅滞」や「自閉症」といった医学的治療に直結するような診断ではありません。どちらかというと、何らかの問題やちょっと気になることに対してどう対処するかというものが多く、しかも児童の状態や親子関係によって異なってくるようです。例えば、「“指吸い”を止めさせるにはどうしたらよいか。」という相談に対して「指吸いを止めさせる必要性は余程のことがない限りない」や「指吸いを止めさせるにはこうしたらよい」あるいは「お母さんが指吸いについて心配することはよくない」等々、面接や調査の結果によって異なった助言・指導をすることになります。
 つまり、「指吸い」という問題に対して、「指吸い」とはどういう症状でどう対処したらよいかを理解したうえで、この相談者にはどのように答えたら子どもや相談者にとって一番よいのかということを総合的に判断していくということです。これが「診断・見立て」ということです。
 しかし、このような慎重な判断を要する相談は比較的少なく、具体的対応を助言することで簡単に解決するものが多いようです。
 
助言・指導・治療
 
 最後に相談に対する処遇を決定することになりますが、多くの相談は一回の助言や指導で終結します。しかし、継続的に面接をつづけながら治療(カウンセリング)や指導を行う必要性がある相談もあります。また、保育所では対応が困難と判断された場合は専門機関を紹介する(他機関紹介)ことになります。どの処遇方針にしても、相談者の状況に配慮した慎重な対応が求められます。例えば、心配症のお母さんに対して不安を掻き立てるよりも、まず安心を与えるような助言を行い、そのうえカウンセリングの手法を使いながら継続的にかかわっていくというようなやり方です。このように、相談者が常に安心できるようなかかわり方が、相談においては基本となります。
 
お知らせ
 
◎子育て相談研修会〈基礎編〉
内容 保育関係者・児童福祉関係者を対象に、施設等で行う育児相談を2回に分けて学ぶ入門編。
日時 第1回 5月31日(土) 10時〜17時 基本的な技法
第2回 9月6日(土) 10時〜17時 他機関との連携
料金 各6000円
会場 こどもの城研修室
講師 山崎美貴子(神奈川県立保健福祉大学)
山田美和子(元全国社会福祉協議会)
◎子育て相談研修会<応用編>
内容 保育関係者・児童福祉関係者を対象に基礎編で基礎的なことを学んだ後、専門的に学びたい方の研修会。
日時 第1回目 平成15年6月14日(土) 14時〜20時
第2回目 平成15年10月25日(土) 14時〜20時
第3回目 平成16年1月10日(土) 14時〜20時
料金 30000円(他テキスト代)
会場 こどもの城研修室
講師 (基礎編と同じ)
問い合わせ先
こどもの城保育研究開発部
〒150-0001 渋谷区神宮前5-53-1
TEL 03-3797-5669
FAX 03-3797-5676
 
 
 
 厚生労働省は四月一日付人事異動を発令した。雇用均等・児童家庭局関係〈児童福祉〉については次のとおり。( )内は前職。
 
▽総務課児童福祉調査官 東泰秀(総務課課長補佐)▽書記 鈴木健吾(総務課総務係長)▽総務課課長補佐 田中誠(家庭福祉課課長補佐)▽同課虐待防止対策室室長補佐 倉林良男(家庭福祉課虐待防止対策室長補佐)
▽同 疋田理津子(健康局総務課保健指導室保健指導専門官)▽総務課課長補佐 長田浩志(滋賀県健康福祉部健康福祉政策課長)▽家庭福祉課課長補佐 上村雅規(育成環境課課長補佐)▽同課母子家庭等自立支援室室長補佐 豊口良二(家庭福祉課児童扶養手当監査官)▽育成環境課課長補佐 杉上春彦(母子保健課課長補佐)▽保育課課長補佐 中村寛(家庭福祉課上席児童扶養手当監査官)▽母子保健課課長補佐 石井祥治(九州厚生局保健福祉課長)▽家庭福祉課上席児童扶養手当監査官 関谷和義(保育課保育サービス指導官)▽同課児童扶養手当監査官 押切宣裕(国立武蔵野学院庶務課長)▽同 川島延哉(社会・援護局障害保健福祉部企画課障害福祉監査官)▽総務課児童福祉専門官 相澤仁(家庭福祉課児童福祉専門官)▽家庭福祉課児童福祉専門官 梶原敦(北海道岩見沢児童相談所指導援助課長)▽同課母子家庭等自立支援室女性保護専門官 高橋幸成(東京都福祉局子ども家庭部育成課課務担当係長)▽保育課保育需給対策官、保育係長併任 太田和男(総務課児童相談係長)▽同課保育指導専門官 角田雄三(大阪府健康福祉部児童家庭室主査)▽母子保健課母子保健指導専門官 三枝清美(三重県立看護大学助手)▽書記付管理係長 川岸直樹(総務課主査)▽同予算係長 百瀬秀(育成環境課児童手当管理室財政第一係長)▽総務課総務係長 齋藤賢純(家庭福祉課総務係長)▽同課調整係長 齋藤晴美(母子保健課母子保健係長)▽同課児童相談係長 元木重幸(愛知県高浜市幼育センターこども課副主幹)▽同課統計係長 川田貴史(大臣官房統計情報部社会統計課)▽同課虐待防止対策室調整係長 青木健(家庭福祉課虐待防止対策室調整係長)▽同擁護係長 石川正文(書記付)▽同課主査 結城圭輔(書記付)▽同 稲田征之(社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課)▽家庭福祉課総務係長 度会哲賢(保育課総務係長)▽同課予算係長 渥美友徳(家庭福祉課扶養手当係長)▽同課指導係長 尾高雅行(家庭福祉課措置費係長)▽同課措置費係長 芝海太介(家庭福祉課)▽同課母子家庭等自立支援室母子係長 浅沼茂樹(家庭福祉課母子係長)▽同扶養手当係長 松永孝昌(総務課主査)▽育成環境課総務係長 杉原広高(家庭福祉課予算係長)▽同課予算係長 上井正純(書記付管理係長)▽同課企画法令係長 梶川一成(法務省大臣官房人事課服務係主任)▽同課健全育成係長 村本利成(育成環境課主査)▽同課育成環境係長 千孝幸(社会・援護局援護課審査室支払管理第一係長)▽同課子育て支援係長 時末大揮(大臣官房会計課)▽同課児童手当管理室財政第一係長 渡邉秀樹(保険局医療課主査)▽保育課総務係長 藤田智夫(保育課予算係長)▽同課予算係長 里平倫行(書記付予算係長)▽同課地域保育係長 西浦啓子(保育課)▽母子保健課総務係長 坂本信明(総務課調整係長)▽同課予算係長 佐久間信一(社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課身体障害児福祉係長)▽同課母子保健係長 久保安孝(母子保健課)▽家庭福祉課 梅本裕司(関東信越厚生局総務課)▽同課母子家庭等自立支援室 香取徹(大臣官房人事課)▽育成環境課 阿南尚登(国立病院九州医療センター事務部会計課)▽同課児童手当管理室 日野原玲子(大臣官房地方課)▽同 山口真司(大臣官房統計情報部企画課)▽同 伊藤大泰(保育課)▽保育課 加藤浩子(大臣官房統計情報部人口動態・保健統計課)▽同 山本裕之(社会・援護局障害保健福祉部企画課)▽同 常金志信(香川県土木部土木監理課)▽総務課 高橋伸明(滝川市)▽同 後藤史子(千葉県)▽育成環境課 中尾真悟(社会・援護局障害保険福祉部)▽保育課 工藤哲史(横浜市)▽同 三矢次郎(静岡市)▽母子保健課 本田浩子(東京都)▽関東信越厚生局統括監視・監査指導官 安沢勝秀(総務課児童福祉調査官)▽近畿厚生局健康福祉部保健福祉課長 為石摩利夫(家庭福祉課課長補佐)▽出向〈農林水産省〉 森本哲也(母子保健課長補佐)▽大臣官房人事課課長補佐 田村悟(書記)▽国立埼玉病院事務部会計課長 国府田聡(家庭福祉課児童扶養手当監査官)▽医政局総務課医療安全推進室医療安全対策専門官 新野由子(母子保健課母子保健指導専門官)▽国立武蔵野学院庶務課長 渡利賢司(母子保健課総務係長)▽関東信越厚生局健康福祉部児童扶養手当監査官 田口雅之(母子保健課予算係長)▽大臣官房統計情報部社会統計課国民生活基礎調査室企画開発係長 井戸木賢(総務課統計係長)▽出向〈社会保険庁〉 立石康幸(育成環境課予算係長)▽出向〈法務省〉 西田淳二(育成環境課企画法令係長)▽社会・援護局援護企画課外事第一係長 佐竹知足(育成環境課健全育成係長)▽社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課障害児施設係長 棒智宏(保育課地域保育係長)▽同企画課手当係長 中森秀樹(保育課)▽大臣官房会計課 胡内敦司(育成環境課児童手当管理室)▽大臣官房総務課 加藤明子(育成環境課)
 
三月三十一日付異動
 
▽辞職〈心身障害者福祉協会総務部長就任予定〉 高橋吉則(保育課課長補佐)▽同〈大阪府健康福祉部家庭支援課課長補佐就任予定〉 坂本正子(総務課児童福祉専門官)▽同〈東京都児童相談センター相談処遇課児童福祉担当係長就任予定〉 坂本靖(家庭福祉課虐待防止対策室女性保護専門官)▽同〈埼玉県健康福祉部子ども家庭課副主幹《子育て支援担当》就任予定〉 小峰弘明(保育課保育指導専門官)▽同〈香川県立斯道学園主査就任予定〉 船場一郎(家庭福祉課指導係長)▽同〈社会福祉・医療事業団基金事業部振興第一課長就任予定〉 松村隆(育成環境課総務係長)▽同〈心身障害者福祉協会企画研究部〉 山田貴巳(保育課)▽同 宇佐美岩夫(関東信越厚生局統括監視・監査指導官)▽復帰〈北海道〉辻倫憲(総務課)▽同〈千葉県〉後藤佳苗(家庭福祉課)▽同〈高浜市〉都築真哉(育成環境課)▽同〈松本市〉忠地智司(育成環境課)▽同〈浜松市〉唐澤晃宏(保育課)▽同〈横浜市〉竹下幸紀(保育課)▽同〈熊本市〉深川春美(母子保健課)▽同〈東京都〉田中良明(母子保健課)▽同 中嶋俊恵(書記付)▽同 横山和紀(育成環境課)
 
写真:中能生保育園
 
 この原稿は四月一日に書いている。新年度の始まりには、緊張が伴うから不思議。そろそろ、この国にも春が来てほしい。少なくとも私たちは前向きに生きていきたいと思う。
 かつて宮沢賢治は「社会が幸せにならない限り、自らの幸せはない」と語り、私も社会福祉に携わるものの信条と重ね合わせたことがあったが、この言葉と同じ程度に「自らが幸せにならなければ、他者に幸せを分けられない」ということも大切なことではないかと思っている。つまり社会福祉とは、小さなこと、身近なところから実践を組み立てていくことではないだろうか。
 こんなことを考えたのは他でもない。「社会福祉における医療との連携」というタイトルを掲げると、直ぐに「制度論」を考える人が多いからである。前回「福祉の世界」から保健や医療が離れてしまったのは、「必要から考えることを忘れ、制度から考え行動する」ことの弊害であると述べた。すなわち、「制度」は必要に対応するための「道具」に過ぎないのに、あたかも「制度」を命令者であるかのようにすることこそが問題なのである。
 規制改革論者は、私たちが「規制」という「制度」に依存して自らの安定を図っていると批判する。私たちは必要性からこそ「規制」を語らなければならない。それは、自らの近くにある必要を感得し、それに対応し実践することこそが出発点になる。
 実はこのことは「福祉の世界」に限られたことではない。現在の日本経済の問題も、他者依存、他人の評価依存、そして「制度」依存に依るところが大きいように思う。制度を直せば世の中が良くなるという考え方は、深いところで社会主義という中央集権主義に繋がるもの。私たちは、自らの前向きな実践の中にこそ、答えを見出だす道が開かれていることを信じるべきなのではあるまいか。







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