5. 各種会議等への対応について
各種会議の報告等において提言されている(1)幼稚園と保育所の関係、(2)調理室必置義務、(3)保育所の運営に係る経費等の負担の在り方の各論点についての厚生労働省の考え方は次のとおりであり、これらの考え方についてご理解いただき、特段のご配慮、ご協力をお願いしたい。
特に、幼稚園と保育所の関係については、総合規制改革会議が本年2月17日にとりまとめた「規制改革推進のためのアクションプラン」において、「重点検討事項」(全12項目)の一つと位置づけられ、当会議において本年6月までの間を当面の目標として、集中的に審議を行い、答申をとりまとめることとされている。
(1)幼稚園と保育所の関係について
保育所と幼稚園は、それぞれが整備充実を図る中で、施設の共用化や資格の相互取得の促進等、地域の実情に応じた弾力的な設置・運営が可能となるよう連携を図っており、両制度の一元化ではなく、地域において全ての児童の健全育成を図る観点から、両者の連携の強化を図る方向で施策を進めるべきと考えている。
具体的には、保育所と幼稚園の連携に関する地域独自の工夫による具体的な事例の収集・紹介を逐次実施するとともに、平成15年度においては、幼稚園教諭資格所有者が保育士資格を取得しやすくするための措置を行うこととしている。
なお、4.「構造改革特区第2次提案への対応について」にあるとおり、保育所と幼稚園の一層の連携を図る観点から、構造改革特区において、一定の条件の下に保育所の保育室において保育所児と幼稚園児を一緒に保育すること等を認めることとしている。
(2)調理室必置義務について
昨今、保育所の調理室の必置規制について、その緩和を含め様々な提案等がなされているところであるが、厚生労働省としては、子どもの健やかな育成を図るという観点から、下記の理由により、今後とも調理室の必要性は変わらないものと考えている。
なお、平成15年度においては、余裕教室に保育所を設置する場合において調理室を兼用し、安全性等が確保される場合には、保育所の設置を可能とするよう措置することとしている。
・一人一人の子どもの状態に応じたきめ細かな対応
乳幼児期の食事は、生涯の健康にも関係し、順調な発育・発達に欠くことができない重要なものであり、一人一人の子どもの状態に応じて摂取法や摂取量などが考慮される必要がある。
特に乳幼児は発育の個人差・年齢差が大きく、年少の時ほどそれぞれの月齢に応じた食事の対応が発育上、栄養管理上必要であると考えられること(授乳、離乳、幼児食、除去食、病後の食事への対応、食事の回数の調整等。)、また、低年齢児については体調が変化しやすく、食事においてもきめ細かく対応することが必要であると考えられることから、柔軟かつきめ細かな対応をするため、調理室は必要であると考えている。
・「食事」を通じた子どもの健やかな育成
乳幼児期は子どもの心身の発育・発達が著しく、また、その基礎が形成される時期でもある。保育所保育指針にもあるとおり、乳幼児期の食事は子どもの順調な発育・発達に欠くことができないものである。
一方で、子どもの栄養状況の悪化や食生活の乱れといった状況に見られるように、子どもの食の状況が悪化しており、乳幼児期においても、子どもの心身の健やかな発育・発達の観点から、食事を通じた子どもの健やかな育成を図る必要性はますます大きくなってきていると考えられるところであり、調理室は必要であると考えている。
食事は、子どもの生活に関わる部分において重要な位置付けを有しているところであり、保育所保育指針、児童福祉施設における福祉サービスの第三者評価事業の指針等を参考に、食事を通じた子どもの健やかな育成にご配慮願いたい。
(3)保育所の運営に係る経費等の負担の在り方について
保育所の整備は、少子化対策の中核をなすものであり、今後の少子化対策を進めていく中で引き続き強化すべき分野の一つであることから、保育所運営費負担金等の一般財源化は適当でないと考えている。
6. 保育士関係について
(1)保育士登録について
(1)保育士登録事務について
保育士登録については、平成15年5月から申請の受付を開始し、改正法施行日(平成15年11月29日)以降、円滑に保育士登録証の交付ができるよう準備をお願いしたい。
保育士登録事務については、登録申請者の便宜及び都道府県における事務の効率化の観点から、保育団体、保育士養成施設団体等との連携・協力の下で、都道府県からの委託を受けて登録事務が行えるよう、登録事務処理センターにおいて準備が進められ、平成15年2月末に登録事務処理センターの事務所が開設されたところである。
なお、保育士登録業務を登録事務処理センターで行うにあたっては、登録事務に係る委託契約を締結することとなるが、平成15年2月の契約書の参考例等を踏まえて、円滑な準備をお願いしたい。
(2)保育士登録申請に係る周知について
ア 国における準備
登録制度の円滑な施行に向け、国においては、保育士資格を既に取得した者向けのパンフレット・ポスターを作成し、各都道府県、市町村への配布及び新聞広告による広報を3月に行う予定である。
また、保育団体、児童福祉施設団体及び保育士養成施設団体の各種機関誌への広報掲載を依頼していく予定である。
イ 都道府県における準備
平成15年2月、各都道府県の広報紙やホームページヘの掲載、貴管内市町村による広報などを依頼したところであり、登録申請について十分に周知を図り、登録事務の円滑な実施に配慮願いたい。
ウ 登録事務処理センターにおける準備
3月3日から登録事務処理センターにおいて、登録案内専用電話(0120-041943)、音声案内及びファクス(03-5485-3133)、ホームページ( http://www.hoikushi.jp)による広報を開始し、保育士資格制度の概要、保育士登録の手続等について案内を開始したところである。
また、保育士登録の手続きに必要な保育士登録申請書などがセットされた「保育士登録の手引き」については、平成15年4月末に、登録事務処理センターから児童福祉施設等に直接送付する予定である。これに係る施設名簿を作成するため、現在、各都道府県・指定都市・中核市あて照会させていただいたところであり、ご協力願いたい。
(2)保育士試験事務について(略)
7. 児量福祉施設に係る第三者評価の推進について
(1)事業の推進について
児童福祉施設における福祉サービスの第三者評価事業については、平成14年4月、児童福祉施設の第三者評価事業が公正・適切に実施されるよう、児童福祉施設の第三者評価基準や評価の方法等に関する指針を示したところであり、今後とも、第三者評価事業の実施を推進することとしている。
第三者評価事業は、新たな仕組みであり、事業の実施を通じて、評価の方法等の検証を行う必要があることから、厚生労働省も協力して、社団法人全国保育士養成協議会において、
(1)評価調査者の養成研修
(2)第三者評価事業の実施
(3)評価の方法等の調査研究
を行っている。
なお、全国保育士養成協議会の第三者評価事業については、平成14年度においては、62か所の施設(保育所61、乳児院1)から申し込みがあり、平成15年2月から実地調査を行っており、15年4月末を目処に評価結果が出される予定である。
(2)普及啓発について
第三者評価事業は、新たな取組みであることから、国や都道府県等においては、制度の趣旨等について、事業者、利用者などに十分に周知を図る必要があるため、国においては、平成14年度の第三者評価事業の実施結果を踏まえて、平成15年度においても、普及啓発のためのシンポジウムを行うことを予定している。
ついては、都道府県等においても、あらゆる機会をとらえて、第三者評価事業の普及啓発に努めていただきたい。
8. 認可外保育施設対策について(略)
9. 保育に関する情報提供について
(1)情報提供について
(1)保育に関する情報提供の必要性については、「仕事と子育ての両立支援策の方針について」(平成13年7月6日閣議決定)等において指摘等がなされており、これらについては、既に「児童福祉法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令等の施行について」(平成9年9月25日児発第596号厚生省児童家庭局長通知)のIIの4において市町村及び保育所が児童福祉法に基づいて行う情報提供の内容等について規定しているところである。ついては、再度、地域住民の立場に立った情報提供の実施についてご配慮願いたい。
(2)総合規制改革会議の第2次答申(平成14年12月12日提出)において、保育サービスに関する情報の一体的な提供の推進として、利用者による選択の利便性向上と、サービス内容の情報の促進を図る観点から、保育所と認可外保育施設等についての情報を各地方自治体がインターネット等により提供する場合には、施設の位置付けを明確にした上で、一覧性等を持たせた形で行われるよう、地方自治体に対して積極的に働きかけることが盛り込まれているところであり、これらの情報提供の実施についてご配慮願いたい。
(2)i-子育てネットについて
全国の保育所情報、市町村情報、都道府県情報及び子育て関連情報等については、財団法人こども未来財団の運営によるインターネットを活用した「i-子育てネット」として平成13年2月から情報を広く提供しており、アクセス件数も平成14年11月には約81万件となり、大いに利用されているところである。
特に、保育所情報についてはアクセス件数が最も多く、常に新しい情報の提供が求められている。ついては、平成14年10月1日付け事務連絡で各地方公共団体及び保育所において最新情報への更新をお願いしているところであるが、引き続き情報の更新についてご配慮願いたい。
なお、インターネットによる情報提供の必要性は今後も増大、多様化するものと考えられ、必要な情報を順次追加登載するなど改善を図っていきたいと考えているので、ご意見など随時ご連絡願いたい。
(保育対策個別改善事項)
1. 平成15年度保育所運営費の改正について(案)
(14年度予算額)407,140百万円⇒(15年度予算案)422,035百万円
(1)入所児童の受入れの拡大
待機児童ゼロ作戦を推進するため、新エンゼルプランと合わせて保育所の受入れ児童数を約5万人増加させる。
195.5万人 → 200.0万人
うち低年齢児
64.4万人 → 67.4万人
(2)加算単価関係
ア 主任保育士の専任加算
対象施設の拡大【10月実施】
特別保育等複数実施保育所 定員46人以上 → 全施設
1施設年額 3,064,393円 → 3,000,654円
イ 入所児童処遇特別加算
対象施設を特別保育等実施保育所に重点化(詳細別紙)
ウ 施設機能強化推進費(総合防災対策強化事業)
対象施設を特別保育等複数実施保育所に重点化(詳細別紙)
エ 除雪費
1施設年額 1,580円 → 1,550円
オ 降灰除去費
1施設年額 141,120円 → 140,910円
カ 児童用採暖費
5級地 |
4級地 |
3級地 |
2級地 |
1級地 |
1,140円 |
960円 |
590円 |
380円 |
190円 |
|
キ 夜間保育所特例加算
○事務費
1施設年額 2,233,475円 → 2,214,581円
○事業費
・3歳未満児 1施設年額 4,749円 → 4,706円
・3歳以上児 1施設年額 6,332円 → 6,275円
(3)保育単価関係
ア 業務省力化等勤務条件改善費の改善
○直接処遇職員
職員1人年額 293,900円 → 289,000円
イ 年休代替要員費の改善
○直接処遇職員
職員1人年額 122,400円 → 120,000円
ウ 職員健康管理費
常勤・非常勤職員 4,251円 → 4,234円
エ 嘱託医手当・嘱託歯科医師手当
1施設年額 182,650円 → 179,010円
オ 非常勤調理員賃金
職員1人年額 1,674,731円 → 1,674,714円
カ 一般生活費
・3歳未満児
児童1人月額 9,656円 → 9,569円
・3歳以上児
児童1人月額 6,538円 → 6,479円
(4)保育所徴収金基準額表(案)について
平成15年度保育所徴収金基準額表は、階層区分、基準額ともに14年度と同様の予定。
(別紙)
入所児童処遇特別加算の改正について(案)
実施要項通知「児童福祉施設(児童家庭局所管施設)における入所児童(者)処遇特別加算費について」(平成2年6月7日児発第475号の6)を以下のように改正する。
○保育所については、特別保育事業等のいずれかを実施する保育所とする旨を追加する。
施設機能強化推進費の改正について
実施要項通知「児童福祉施設(児童家庭局所管施設)における施設機能強化推進費について」(昭和62年5月20日児発第450号)を以下のように改正する。
○保育所については、特別保育事業等を複数実施する保育所とする旨を追加する。 とする
特別保育事業等
(1)延長保育実施保育所及び延長保育自主事業実施保育所
(平成12年3月29日児発第247号本職通知「特別保育事業の実施について」に定める要件に適合するもの及びこれと同等の要件を満たして自主事業として実施しているもの。ただし、平成12年3月29日児保第9号厚生省児童家庭局保育課長通知「「特別保育事業の実施について」の取扱いについて」の1の(6)の(1)中ただし書きに定める場合を除く。)
(2)一時保育促進事業実施保育所及び一時保育自主事業実施保育所
(平成12年3月29日児発第247号本職通知「特別保育事業の実施について」に定める要件に適合するもの(対象児童は、事業開始月(年度当初から事業を開始する場合は、4月又は5月)における平均対象児童が1人以上いること)及びこれと同等の要件を満たして自主事業として実施しているもの。)
(3)乳児保育促進事業実施保育所
(平成12年3月29日児発第247号本職通知「特別保育事業の実施について」の別添3乳児保育促進事業実施要項中3に定める要件により承認されたもの。)
(4)乳児が3人以上入所している保育所
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