| 平成15年4月10日 保育界 第344号付録[1] 日保協速報 No.1505 15.3.5 社会福祉法人 日本保育協会   全国児童福祉主管課長会議を開催  平成15年3月3日に厚生労働省講堂において、全国児童福祉主管課長会議が開催されました。予算関連事項について、運営費の改善内容は資料のとおりですが、特別保育事業費などの具体的な改善内容は20日に開催される全国保育担当者会議において示される予定です。   (保育課関係)   1. 待機児童ゼロ作戦の推進について    各地方公共団体の取組により保育所利用児童数は増加しているものの、保育需要の更なる高まりにより、都市部を中心に依然として保育所入所待機児童が多数発生しており、国においても、「仕事と子育ての両立支援策の方針について」(平成13年7月6日閣議決定)等に基づき、「待機児童ゼロ作戦」を進めているところである。  このことについては、「待機児童ゼロ作戦の推進について」(平成14年10月17日雇児発第1017001号通知)等により、待機児童解消に向けた積極的な取組をお願いしているところであるが、引き続き待機児童の解消や多様な保育需要への対応について特段のご配慮をお願いしたい。  また、待機児童ゼロ作戦等を計画的に推進していくためには、国、地方公共団体双方における密接に連携した取組が必要であることから、咋年、全国5地区において「これからのサービスの提供に関する会議〜待機児童ゼロ作戦等の推進に向けて〜」を開催し、地方公共団体の取組事例の紹介などを行ったところであるが、本年も引き続き待機児童ゼロ作戦等の推進に向けた会議の開催を予定しているのでご協力をお願いしたい。   (1)待機児量ゼロ作戦・新エンゼルプラン推進のための予算措置について (1)待機児童ゼロ作戦推進のための予算措置について ア 保育所受入れ児童数の増大について  平成15年度予算(案)においては、待機児童ゼロ作戦を推進するため、保育所運営費については、保育所受入れ児童数を4.5万人増加させる予算を計上しているところであり、また、保育所の整備についても、平成14年度補正予算及び平成15年度予算(案)において、保育所受入れ児童数の増大を図るための十分な予算枠を確保しているところであるので、待機児童解消に向けた保育所の創設、増築、分園の設置等を図るほか、新エンゼルプランに基づく多機能保育所の整備等、保育所整備について積極的な対応を図られたい。   イ 待機児童解消に向けた取組について  平成15年度予算(案)においては、待機児童解消に向けた取組として、特定保育事業の創設、家庭的保育事業の充実、送迎保育ステーションや駅前保育サービス提供施設等の整備及び認可化移行促進事業を行うこととし、そのために必要な予算を計上しているので、各地方公共団体におかれても積極的な取組を図られたい。  なお、平成15年度の子育て支援事業(地方交付税措置)において、新たに「待機児童解消に向けた取り組み」が事業対象とされたところである。(資料 総−75頁)   (2)新エンゼルプラン推進のための予算措置について  新エンゼルプラン関連経費については、低年齢児受入れの拡大を図るほか、延長保育、休日保育及び一時保育等についても必要な予算計上を行っているところである。  各地方公共団体においても、それぞれの地域における保育ニーズを的確に把握し、計画的なサービス提供体制の整備に努め、地域の需要に応えることができるよう保育施策を推進されたい。     (2)保育所入所待機児童調査について(略)   (3)待機児量ゼロ作戦の推進に向けたヒアリング号の実施について(略)   (4)保育所の整備について (1)平成15年度における保育所の整備については、待機児童ゼロ作戦の推進による待機児童解消を図るための保育所の創設、増築、分園等の整備を進めるとともに、新エンゼルプランに基づく多機能保育所等の整備を進めることとし、平成14年度補正予算及び平成15年度予算(案)において一体的な執行を図り、各都道府県市からの整備要望に応えることとしているので、新たな計画が生じる場合は事前にご相談願いたい。  また、平成14年度補正予算より、保育所において特定保育事業を行うための保育室等を整備する場合の費用を補助対象とするとともに、公立学校の余裕教室等を保育所に転用する場合と同様に、廃止される公立学校の建物を保育所に転用する場合にも補助対象とすることとしているので、各地方公共団体においては、待機児童解消のための方策として活用されたい。   (2)保育所の整備に当たっては、既存の社会資源の有効活用を図ることも重要である。特に公立学校の余裕教室等の保育所又は保育所分園への転用については、余裕教室活用促進事業の活用があるので、引き続き、各地方公共団体において、保育担当部局が中心となり、教育委員会や教育関係者等との間で十分な連携を図り、その設置促進が図られるよう努められたい。(参考:「余裕教室は夢のスペース」(学校の余裕教室がすてきな保育所に(http://www.i-kosodate.net/special/index.html )) また、保育所の木材の活用に関しては、「保育所木材利用状況調査研究事業報告書(木のぬくもりを保育所に)」が作成されており、保育所で木材利用を計画する際の参考資料とされるよう周知をお願いしたい。   (3)なお、近年、保育所において仮設物の建築資材にシックハウスの化学原因物質が含まれていたなどの問題も報告されたところであり、また、過去においては、アスベスト除去工事における問題も発生しているので、保育所の設置計画や建設に当たっては、十分な配慮をお願いしたい。   (5)保育所運営費について(別紙のとおり、24、25)   (6)多様な保育需要等への対応について (1)特別保育事業等の改正について  保育所における特別保育事業については、待機児童ゼロ作戦や新エンゼルプラン等に基づきその推進を図ってきたところである。  平成15年度予算(案)においては、国の役割として計画的に実施すべき事業について重点化を図り、必要な予算を計上しているところである。  各都道府県・指定都市・中核市においては、管内市町村及び保育所が地域における多様な保育需要に対する積極的な取組が図れるよう、特段の配慮をお願いしたい。  主な改正内容は次のとおりである。   〔待機児童ゼロ作戦関係〕   ア 特定保育事業の創設  親の就労形態の多様化(パートタイム労働者の増大等)に伴う子どもの保育需要の変化に対応するため、3歳未満児を対象に週に2、3日程度、又は午前か午後のみ必要に応じて柔軟に利用できる保育サービスを創設する。  具体的には、パート就労者が、必要な日時について月極で継続的に利用できる仕組みとすることとしている。 ・対象児童数 11,100人 ・補助単価(月額) 週2日程度 18,500円            週3日程度 26,300円   〈特定保育事業のイメージ図〉   イ 送迎保育ステーション事業の拡充  現在実施している保育所入所児童を保育所に送迎する事業に加え、 ・放課後児童を夜間受入可能な保育所などに送る事業 ・日中の子育て支援事業に送迎バスを活用することの容認 を行い、地域の需要に応じて市町村が創意工夫ある取組が行えるようにすることとしている。   ウ 家庭的保育事業の充実  保育者の居宅において少人数の乳幼児の保育を行う家庭的保育事業について、子どもの保育需要に応じた保育サービスの提供を行うため、保育時間や保育日数の条件を緩和するとともに、提供するサービスに応じた事業区分を設けることとした。  また、新たに地域の保育所が市町村の委託を受けて家庭的保育者と一体的な事業の実施を可能とするとともに、連携保育所が支援する家庭的保育者数が3人未満の場合にも事業対象を拡大した。(資料29頁)   (ア)家庭的保育事業   
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| 保育時間及び保育日数の区分 | 児童1人当たり月額 |   
| 1日概ね9時間及び1週5日以上 | 74,800円 |   
| 1日概ね9時間及び1週3〜4日 | 49,900円 |   
| 1日概ね6時間及び1週5日以上 | 49,900円 |  |    (イ)家庭的保育支援事業 i)家庭的保育事業を一体的に実施する保育所   
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| 家庭的保育事業の 実施保育者数
 | 保育所1か所当たり年額 |   
| 1〜2人 | 580,000円 |   
| 3〜10人 | 1,524,000円 |  |    ii)連携保育所   
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| 支援する 家庭的保育者数
 | 保育所1か所当たり年額 |   
| 1〜2人 | 484,000円 |   
| 3〜10人 | 1,236,000円 |  |    〔新エンゼルプラン関係〕    新エンゼルプランに基づく各事業については、着実に推進を図ることとしており、延長保育、一時保育などの一部事業については、取組状況を踏まえ、さらに目標値を超えた予算を計上している。  なお、休日保育については、件数払い方式に移行し、効果的な事業の実施が図られるようにすることとしている。 ・補助単価 基本分(年額)630,000円<利用児童数概ね3人以上>    加算分(日額)1,800円<利用児童数4人目〜 >   〔その他の保育サービス関係〕   ア 乳児保育促進事業については、限られた財源の中で、効果的な事業を実施していくために、ベテラン保育士の確保など乳児保育の実施条件が厳しい民営保育所に補助対象を限定することとしている。  また、乳児保育環境改善事業については、乳児保育の実施にあたっての設備的な条件は整ってきたことから廃止することとしている。   イ 保育所地域活動事業については、次の改正を行うこととしている。 (ア)分園推進事業の拡充  従来の保育所分園推進事業に加え、継続的な使用が確保される公共的施設の空き部屋等を一時保育等に活用できるよう補助対象事業を拡大 ・補助単価   
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|  | 初度設備分 | 経常分(年額) |   
| 保育所分園 | 100万円 | 120万円 |   
| 一時保育等 | 50万円 | 60万円 |  |    (イ)小学校低学年児童の受入れの拡充  夜間保育所において、小学校低学年児童を概ね22時まで受け入れている場合の加算の創設 ・加算単価(年額)50万円   (ウ)メニュー事業 ・「地域における異年齢児交流事業」及び「保育所退所児童との交流」を統合 ・「地域の子育て家庭への育児講座」及び「子育て・仕事両立支援事業」を統合   ウ 産休代替保育士費等補助金については、介護保険対象施設及び支援費対象施設を補助対象から除外することとしている。 (実施要綱案32頁)   (2)障害児保育事業の地方交付税による対応について  障害のある子どもへの保育所における対応については、適切な環境の下で他の子どもとの集団生活を通して健全な発達が図られるよう、障害児保育事業により必要な補助を行ってきところである。  本事業については、昭和49年度の創設以来相当の年数が経過しており、また、保育所における障害児の受入れは広く実施されていることから、市町村において、これまでの事業の蓄積も生かしながら、地域の実情に応じた取組が行えるよう、平成15年度から地方交付税及び地方特例交付金により対応することとしている。  障害のある子どもに対する適切な保育環境の整備は、今後とも重要な課題であり、国としても引き続き、障害児保育担当保育士研修を実施していくとともに障害児保育の環境を整えるために追加的・臨時的に生じる設備の設置等に必要な経費の補助を行っていくこととしている。  指定都市・中核市においては、こうした趣旨を踏まえ、引き続き障害児保育の積極的な取り組みが行われるようお願いしたい。また、都道府県においては、管内市町村に対する助言をお願いしたい。   2. 保育所への入所の円滑化の見直しについて    保育所への入所の円滑化については、「保育所への入所の円滑化について」(平成10年2月13日児発第73号・児保第3号)により、実施されているところであるが、先般、会計検査院より、当該制度の実施に関し改善の処置要求がなされたこと、また、財務省からも保育所入所の円滑化について適正化を図ることとして平成15年度予算(案)の内示があったことを受け、以下の内容により上記通知の改正を行ったところであるので、各地方公共団体においては、保育所における保育の実施が適切に行われるよう、ご配慮願いたい。  なお、入所の円滑化は、待機児童対策として大きな役割を果たしてきているが、待機児童対策は、入所の円滑化だけでなく、保育所整備をはじめとしたそれ以外の施策を含めて、総合的かつ計画的に展開されるべきものであり、こうした施策展開を図るに当たって、入所の円滑化が適正に運用されるよう、必要な見直しを行ったものである。   (1)定員内保育  保育の実施は定員の範囲内で行うことが原則であることについて、再度周知徹底を図った。 (2)定員の見直し  改正前の通知において定員の見直し等に積極的に取り組むこととしていた基準を明確化した。  具体的には、定員を超えている状況が恒常的に亘る場合の「恒常的に亘る」とは、「過去の3年度間常に定員を超えており、各年度の年間平均在所率(当該年度内における各月の初日の在所人員の総和を各月の初日の認可定員の総和で除したものをいう。)が120%以上の状態」であることとした。  なお、平成16年度以降の当該基準については、平成15年度の見直し状況を踏まえ、再度検討を行う予定であるので、ご留意願いたい。 (3)定員変更の留意点  定員の見直しは地域の保育需要を適切に把握した上で行われることが重要であることから、定員の見直しに当たって都道府県知事は、あらかじめ地域の保育需要の見通し等に関し、市町村長の意見を求めることとした。  また、定員の見直しは、保育所運営費の一般分保育単価表の定員区分に見合って行われる必要はなく、また、定員を増員した後に地域事情の変化により定員を減員する必要が生じた場合においても、柔軟に対応するようお願いする。   3. 保育所の規制緩和について    保育所については、増大する地域の保育需要に柔軟に応じられる体制を整備するため、従前より所要の規制緩和措置を講じており、各地方公共団体においてご協力いただいているところであるが、待機児童の増加等地域の事情を踏まえ、より積極的な対応をお願いしたい。 ・定員の弾力化※ 4月:定員の+15%まで、5月〜:定員+25%まで、10月〜:定員+25%超まで受け入れ許容 ・設置主体制限の撤廃 学校法人17件、NPO8件、株式・有限会社20件、個人18件等計77件(H12.3〜H14.10) ・賃貸方式の許容 土地貸与106件、建物貸与44件(H12.3〜H14.10) ・小規模の保育所の設置促進 保育所分園111件(H10.4〜H14.3) 20〜30人規模の保育所32件(H12.3〜H14.10) ・公設民営方式の促進 公設民営型保育所406件(H14.8累計) うち、公立保育所の運営委託282件  公有財産の民間貸与124件 ・待機児童の多い地域における設備基準の弾力化 園庭は付近の広場や公園(駅ビル等の保育所は屋上)で可 0、1歳児を受入れる場合の1人当たりの部屋面積を明確化 ・短時間勤務保育士の導入の拡大 保育士定数に占める割合に係る規制(従前保育士定数の2割)を撤廃    また、従前の保育所の設備基準の有する安全性の水準を前提としつつ、保育所設置に係る多様な選択肢を認めるものとして、近年における保育所をビル等に設置する事例の増加や建築・防災技術の向上等を踏まえ、下記の内容により保育所の防火・避難基準を緩和することを内容とした児童福祉施設最低基準の一部を改正する省令(平成14年厚生労働省令第168号)を制定し、同省令は本年1月1日より施行しているところである。これについては、「児童福祉施設最低基準の一部改正について」(平成14年12月25日雇児発第1225008号)によりお示ししているところであるので、ご留意の上、今後の保育所の設置促進にご協力願いたい。   ・保育室等2階設置の場合における準耐火建築物の許容(従前耐火建築物) ・保育室等2階以上設置の場合における階段等に係る規制の緩和 ・スプリンクラー等設置の場合における調理室の防火区画制限の撤廃    なお、認可外保育施設指導監督基準についても、児童福祉施設最低基準の改正に準じ、改正を行ったところであり、「「認可外保育施設に対する指導監督の実施について」の一部改正について」(平成14年雇児発第1225009号)によりお示ししているところであるので、十分留意されたい。   4. 構造改革特区第2次提案への対応について    構造改革特区に関する地方公共団体等からの第2次提案(平成14年11月7日〜平成15年1月15日の間に募集)において、保育所の入所要件の緩和、施設設備基準の統一、資格の統合等の保育所と幼稚園との関係に係る提案がなされ、厚生労働省として以下の対応を行うこととしているが、これについては、本年9月(予定)からの構造改革特別区域計画の認定申請の受け付け開始を踏まえ、今後、必要な法令改正・通知発出等を行うこととしているので、ご留意願いたい。 (1)保育の実施に係る事務の教育委員会への委任  保育の実施に係る事務の効率的な実施が困難であると認められることから児童の福祉に関する機関との密接な連携の下に当該事務を効率的に実施するために特に必要がある嚇合には、市町村の権限に属する保育の実施に係る事務を、当該市町村に置かれる教育委員会に委任することを可能とする。   (2)保育所の保育室において保育所児と幼稚園児を合同で保育することの容認  共用化指針に基づき設置された施設において、一定の条件を満たす場合、原則として、定員の範囲内で保育所の保育室において、保育所児と幼稚園児を保育することを認めることとする。一定の条件とは、具体的には、(1)保育所児と幼稚園児を合同で保育する保育室は、幼児(保育所児・幼稚園児)数の合計により児童福祉施設最低基準(面積・職員配置)を満たしていること、(2)この場合、職員は、保育士資格と幼稚園教諭免許を併有し、保育士及び幼稚園教諭を兼務していること、(3)保育内容は、保育所保育指針と幼稚園教育要領に沿ったものであること、であり、これらの条件を満たす場合、原則として、定員の範囲内で保育所の保育室において、保育所児と幼稚園児を合同で保育することを認めることとする。   (3)私的契約児の弾力的な受け入れの容認  他施設を統廃合した自治体において、保育所の定員内での私的契約児の受入れが困難な場合には、これを理由とした保育所の定員改定を可能とする。   
 ※2.のとおり適切な運用が図られるようご留意願いたい。 |