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国際理解分科会
 
スタッフ:
高澤陽二郎、西巻慶一、福地健太郎、福田景子、川島遼、田山修平、辻本善信、阿木洋子、坂田澄恵
コーディネーター:
矢口典弘
スペシャルサンクス:
小笠原真紀子さん、小菅亜紀子さん、羽田野真帆さん、江崎礼子さん、冨岡紀子さん、高須栄二さん、井田仁康教授、出津正明さん
 
コンテンツ
1. 当日までの話し合いの過程
2. 授業提案内容
3. 当日の意見交換
4. アンケート集計
5. 「国際理解」分科会の今後
 
国際理解分科会報告
1. 当日までの話し合いの過程
 
―コーディネイターの視点から、僕らの分科会と授業案ができるまでを明らかにする!―
 
8月中旬フォーラムの開催日決定
9月 分科会国際理解のコーディネーターは支援委員会の矢口がやることが正式決定
 分科会スタッフの協力者を募り始める。
*コーディネーターとは?=各分科会に一人つき、分科会当日の司会をしたり、授業案や分科会を創ったりしていく上で必要な連絡を支援委員会と取り合う人。
 
第一回国際理解MT 10月3日(金) 参加者:支援委員会、Party、西巻
 「自分はこの国際理解という分野でどんなことがしたいのか、どんなスタンスでいるのか」ブレインストーミングを行なう。「世界は意外と身近なもの(特につくばでは、というもの)」「つながりと違いと自分自身(日本がどうとられているか)を知って欲しい」などの意見がでる。
第二回国際理解MT 10月17日(金) 参加者:矢口、高澤、西巻、Party 他
 高澤さん初登場!ほとんどが初対面であったため自己紹介をして終わる。時間があまりない。この分科会が今一番遅れているかもしれない。まずはパンフレットの原稿をやらねば。
第三回国際理解MT 10月20日(月) 参加者:支援委員会、西巻、福地、高澤 他
 福地君が初登場!辻本さんのPartyの、活動の体験をもとにした考えや、高澤さんの子供たちに身につけて欲しい基本的なコミュニケーションの力などの意見がだされる。国際理解に限らず生きるのに必要なコミュニケーションの力を身に付けさせることが授業の目的ではないか?また、どうやって子供たちの主体性を引き出すか?といった議論がなされた。テーマは「WE ARE FRIENDS!」に決定。
第四回国際理解MT 10月27日(月) 参加者:矢口、西巻、高澤、福地、辻本
 福地君がJICAの体験などについて色々意見を言ってくれたのはよかった。このミーティングの一つの成果は、子どもたちが国際理解の分野を自分達の問題として身近に感じてとらえてもらうことが必要だというコンセンサスが得られたことだろう。こんな夜遅くまでMTしても得られるものは案外少ないものだ。まず授業をする子どもの対象を明らかにしなければならないということになった。
第五回国際理解MT 11月6日(木) 参加者:分科会国際理解スタッフ(以下同じ)
 アムネスティから川島君がこの分科会に参加してくれることになった。閉塞感があっただけに朗報だ。アムネスティは人権問題に関して取り組んでいるから、子供たちがその辺りのことについて海外ではどうなっているのかを知るための手助けができるだろう。よい協力が得られた。辻本さん、福地君、高澤さんがレジュメで自分の考えをまとめてくる。みんなの意見を取り入れ、西巻君が授業案をまとめてくることになる。西巻君が作る授業案は、国際理解→他文化理解という流れを目指す(国籍や肌の色といった枠組み以外にも人にバイアスを持たせてしまうものはある。
 例えば「障害を持っている人はがんばって生きていてみな心が優しい」などの先入観)ことになった。そのためにはプロジェクト作業があったり、調べた学習の発表会があったりとどうしても長期的な内容になる。次回MTで検討することに。
11月9日(日) フォーラム中間報告会開催
 各分科会どうしの交流。互いの進行状況確認。国際理解の分科会は高須さんに激励の言葉を頂く。
第六回国際理解MT 11月13日(木)
 これまでに議論した子供たちに身につけて欲しい力を念頭において授業案をつくるとすると、どうしても長いスパンが必要。そこで今までのミーティングを踏まえた長期的授業プランのたたき台を西巻君がつくってきたので、みんなで検討する。新たに小菅さんがミーティングに参加することに!この分科会には女性が一人もいなかったので朗報であった。
11月16日(日) JICA国際理解教育ひろばに矢口・西巻・高澤が参加。
 「やしの実の会」の冨岡さんが今月の講師だった。「ひろば」終了後、授業案についてアドバイスを頂く。
第七回国際理解MT 11月18日(火)
 冨岡さんに参加して頂き、授業案を見てもらう。先生が授業をイメージできるようにすること、総合学習だけではなく他の教科との関連も考えること、ただ授業案に「提示する」と書くだけではなく、どんな教材をどんな風に提示するのかというところまで示せるようにしておくこと、など厳しいアドバイスを頂く。
 冨岡さんのアドバイスから、想像もできないような長期的な授業案ではなく、規模を縮小してでも先生方がイメージできるような内容を授業案として発表することにする。また、先生方が国際理解の授業で実際にすぐ使えるような教材の紹介も行なうことに。
 福地君の提案で途中休憩の時にピザを注文する。大学内でミーティングをしていたが、デリバリーで届けてくれるかなーと、皆でわくわくどきどきしていた。(30分後)電話がなる。「○○ピザですが、お客様はどちらに?」届いた!みんなで食べたピザはおいしかった。
第八回国際理解MT 11月25日(火)
 全員が集まるミーティングはこれで最後。時間がなく、ばたばたと終わる・・・
11月25日(火) 19:00〜 フォーラム前夜祭
 フォーラムを間近に控え、支援委員会と各分科会の結団式となる。参加して頂いた高須さん、ありがとうございました!
 
11月29日(土) フォーラム本番!
 ・・・こうした過程を踏まえできた授業案が下記です。ご覧下さい。
 
2. 授業提案内容
 
対象:
中学2年生
授業の目的:
自分とは違う文化と触れ合う「きっかけ」をつくること。そのために、「世界に生きる同年代の子どもたち」を通して、より身近に国際理解をしてもらおうというねらい。
準備するもの:
「世界に生きる同年代の子どもたち」の資料、(写真、書籍、記事、TV、映画etc.)、大きい模造紙、ポストイット×生徒の人数分、ワークシート(高澤が参考例を用意)
授業案:
「総合的な学習の時間」×2時間=100分
 
時間 指導内容 指導上の留意点
導入
20分
・(事前準備)「国際理解」に関わる新聞記事、本、TVなどの資料を何でもいいから一つ持ってくることを事前に宿題にする。
・隣の生徒と、お互い持ってきた資料がなんであるかを説明しあう。
・「今度はみんなで共有しよう」というようなことを言い、一人一人、資料の内容を表すキーワードをポストイットに書いて、大きい模造紙に貼ってもらう。
・ざっと「こんなものがあるね」と、概観したのち、「先生はこんなものを持ってきました」といい、本題に入る。
・宿題は、後でみんなに見せることになるから、と一言言っておく。
・2人1組で説明しあう時間は2、3分。その間、クラスをまわって生徒の様子をみる。うまく進まないところに介入。
・キーワードとは、例えば、ワールドカップのビデオを持ってきた生徒がいたら「ワールドカップ」や「サッカー」と書ける。トルコの自爆テロの記事なら、「テロ」とか「争い」など。
本題
60分

(1)(2)
30分
(3)
30分
・事前に準備しておいた資料を使う。
(1)写真・絵・記事などを見せて、「この子どもたちは何しているの?」「ここはどこだろう?」などの問いかけを使い、その場面を紹介していく。
(2)資料と、生徒たちの生活を比較させる。「この授業風景とわたしたちの授業とはどう違う?」「子どもたちの遊びは違う?同じところはある?」など。※(1)(2)がそれぞれ終わるたび、ワークシートに記入させる。
例1: モンゴルの子どもたち(辻本)Partyで行った活動をもとに。(※例を実際にやってみます)
例2: 世界で生きる子どもたち(高澤)
PEACE BOATの体験と資料を生かした授業。
(3)「種明かし」―資料の具体的説明
・資料選びの際、ネガティブなもの、問題意識ばかり煽るようなものでなく、違う国の人も同じように楽しく生きていることが示せる内容のものを選ぶ。例1、2を参考。
・(1)(2)では、子どもたちへ問いかけ、反応されたとき、その子を指して、「どうしてそう思うの?」を聞く。
・(1)(2)で子どもたちにいろいろ考えさせたあと、(3)で「種明かし」。そこがどんな国で、どんな生活が営まれていて、どんな政治的・歴史的背景があるかを教師が紹介。
・具体的なデータを持ってくると効果的。例えば、人口、面積、教育水準、経済力(GDPなど)、その国の法律の抜粋など。
まとめ
20分
(1)導入で作成した模造紙に戻る。「そこで生きる子ども達の姿」を意識しながら、もう一度資料を見直してみる。
(2)生徒の資料を見ながら、世界に対するポジティブな見方とネガティブな面の両方に触れる。
(3)結論としては、
・世界には様々な文化がある。どんな人も、自分たちと同じところがあり、また違うところを持っている。
・すぐそばにいる友達だってそう。ひとりひとりが実は違う“文化”を持っている。ということが言えるが、オープンアンサーで。
(4)最後にワークシートに感想記入。
(1)「世界にはいろんな人がいるよね。自分たちと違うところもあって、同じところもある。さて、そんな世界をもっと広くみてみよう。みんなはこんなに調べてきてくれた。」という感じで展開。
(2)例えば、「A君は、朝鮮人学校と日本の高校とのサッカーの交流の記事を持ってきてくれた。こうやって楽しんで、交流を深めるのはいいよね。」「Bさんは、9月11日の被害者が書いたメッセージを持ってきたよ。」と、異文化との触れ合いの楽しさと摩擦という両義性に注目。
(3)子どもたちとの話し合いにまかせる。
 
本題中の具体例1:  〜モンゴルの子どもたち〜
 授業の導入としてモンゴル50番小学校から送られてきた絵画と手紙の資料を提示、その国の文化や日常の暮らしを、みんなに想像して考えてもらう。
 
Q. 絵を見てここがどこの国か考えてみよう
・・・馬がいっぱいいますね
・・・草原が広がってる
A. モンゴルです
モンゴルは国土の大部分が草原
昔は草原で遊牧をして暮らしていました。
 
 
Q. モンゴルの7年生の男の子からの手紙。感想を話し合ってみよう。
・・・何語だろう
・・・太陽を黄色で描いてるね
・・・7年生ってなんだろう
・・・バスケットや普通のスポーツもするんだ
A. モンゴルの学校では普通小・中・高がくっついています。だから、中学1年も7年生になるんだ。みんなの趣味は自分達とよくにていたね。他はどうだったかな?
 
 
Q. こっちは日本語で書いてますね。
・・・どこで習ったんだろう?
・・・モンゴルでもポケモンしてるんだ
A. そうですね、実は日本との交流は他にもたくさんあるんです。これを機会に、日本と他の国地域との関わりを調べていくのも面白そうですね。







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