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3. 当日の意見交換
 
 中心となった議論を報告する
 
1)農薬の功罪についてどう教育するか
 
農薬→悪いイメージで固定
教育はどうあるべきか??
現実→農薬を使った農業が主流
農薬は使わざるを得ない状況(農薬については色々な意見、状況があるが今回はこの概念で議論が進んだ)
 
A: 先生方の引出しの範囲で行なえばよい。家庭菜園(自分たちで作ってたべられればいい程度)の実習を行なってあとは見学による知識補充。
 
B: この授業案で生徒たちに課題を自ら発見させるのはかなり困難である。教師が課題設定してやる必要がある。その場合どう農薬を位置付けるかが重要点。
 
 
2)職業としての農業を伝えるには教師の知識不足が問題?
 
農家の技術:専門的
農業教育:専門家の必要性
 
A: 農家の技術は真似できるようなものではない。学校教育でナスを立派に育てることは無理。
(しかしまねさせたい!!職業としての農業を知ることに意味がある!!)
B: 失敗してもいい。教師も一緒に学ぶことが出来る。
C: 農業高校や専門家(たとえば農家)との連携の可能性はあるが、総合学習とは生徒主体であって教師がすべてのカリキュラムを設定するものではないのでこの授業案自体に問題がある。
 
3)総合学習のあり方
 
教師の立場→導いてあげる人
 
  導き方1: カリキュラムの設定をし、テーマを与えてやる。知識を与えてやる。
  導き方2: 生徒が関心を持ったもののコーディネートをしてやる。テーマ設定はあくまで生徒の仕事。教師は生徒が壁にあたったときのヒントを与えてもらえる場所を紹介してやるのが仕事。
 
総合学習は生徒主体であるが、教師の関わり方によってパターンがあるようだ。
 
今回の授業案は1の立場をとる。
テーマ:ナス栽培を通して農家の栽培工夫を知る
農業への関心をある程度絞る
・栽培工夫
・流通(野菜の規格)
 
これらは先に教師が提示してやらなくては生徒自身では見つけることが困難な問題。
 
2の立場からは受け入れにくいものとなる。
 
4. 反省点
 
 農業分科会では今後改善していくために、あえてよくなかった点を上げてもらった。
準備:
情報共有をしっかりする。
発表者側の情報開示(今回は一人でこなしていたので特に自分だけ情報を保有してしまうことがあった。)
スタッフ間の情報共有(発表者に重複して質問することがあった。)
当日:
進行がうまく行き過ぎてもう少し交流する時間を持っても良かった??
フォーラム後:
農業で打ち上げすればよかったかなぁ・・・
また、今後この企画での経験を生かして新しいことを自分で企画したい。(模索中)
 
5. 発表者の感想と今後の目標
 
 今回のことで私の構想の甘さを思い知った。そして総合学習の困難さも知った。生徒自身にテーマをつけさせるスタンスではこの授業案は成立しないのはもともとわかっていたが、栽培上の問題点が浮かび上がった。学校教育の中では栽培管理が追いつかない。では、どうやってより現実的な農業教育が可能となるだろうか。今後はここを焦点に考えていきたい。
 作り直した授業案はライズ学園で採用してもらえる方向なので農業教育の構想を膨らませたい。ライズ学園は少人数なので公立学校とは違う趣になるだろうが、今のところ久松さんが助言してくださった家庭菜園レベルを採用し、その中でいかに農業上の工夫を伝えられるかを考えることにする。最終的には公立学校規模にも通用するレベルに仕上げたい。
 準備や当日の展開については、私はほぼ一人で進めてきたため、かなり動きやすく、コーディネーターの真木さんも私を理解してくれる人だったのでとてもやりやすかった。準備段階からサポートしてくださったスタッフの方々には迷惑をかけることもあったかと思うが、私個人にはなんの障害も感じられなかった。とても感謝している。
 すばらしい企画に参加できて本当に良かった。今回に終わらずまた2回、3回と続くことを願う。







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