3. 授業提案内容
分科会では、参加者皆でワークショップを行い、桜という身近にある自然を使った授業モデル案の作成をしました。話し合いの結果、学習内容が『触れる』『作る』『調べる』『まとめる』の4ステージあると判明し、この順に授業を進めていくことが望ましいという結論に達しました。
以下にワークショップの結果をまとめました。ぜひ授業計画を作るときの参考にして下さい。ただ、ここでは季節を無視してまとめているので、利用する際は他の学校行事なども加味しながら行なう時期を決定するとよいのではないかと思います。
ステージ |
触れる |
作る |
調べる |
まとめる |
テーマ |
五感をつかって自由に桜を感じてもらい、興味・関心を持ってもらう |
桜を利用してできることを考えてもらい、実際に挑戦してみる |
桜について調べてみたいことを考えてもらい、その点について思う存分調べてもらう |
桜について調べたことをまとめる |
具体例 |
・桜の下で寝転ぶ
・木に抱きつく ・木と話す ・木登りをする ・木と友達になる ・自分の桜を見つける ・花見をする ・桜を鑑賞しながら俳句を作る ・桜の今までの人生を想像して物語を作る(絵本とか)など |
・桜を使った料理を作る
・花びらでアートする ・木の皮で造形を作る ・紅葉した葉っぱでコラージュをする ・花びらで絵の具を作る ・木の皮で染色をするなど |
<材料>
桜の木に住む生き物(毛虫など)、桜の木(種類・花のつくり・樹齢・生活史など)、木の周りの土や草、世界の桜、桜が愛される理由、花や実の品種改良の歴史、その他(桜と毛虫の関係など) <手段> ・文献(本、インターネット、新聞) ・フィールドワーク(観察、見学) ・地域の人(桜について詳しい人、学生) |
・校内もしくは学校周辺の桜マップ作り
・桜のアルバム作りなど |
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4. 参加者の感想
(1)環境分科会に来ようと思った理由は?
・手代木中のPJにかかわったことがあって報告を頼まれたことと、環境教育に少し興味があったから。
・本校でも環境に関する総合的な学習の時間を実施しているから。
・環境問題をどのように教育に絡めていくのか興味があったから。
・友人が参加し、活動している事と、何か学べるのではないか、と思ったため。環境という幅の広い題材をどう扱うのかも興味がありました。
(2)分科会に期待されたことは?
・スクボラとして学生が関わる方法の具体化
・学生が総合学習に密接に関係していく方法
・どんな活動をしているのか?どんなことをねらいとして学校での活動に取り組もうとしているのか?知りたかった。
・初めてこのような分科会、フォーラムに出席をするので、期待というよりは、勉強させてもらうという意識の方が強かったです。
(3)今回環境分科会に参加されての感想
・思ったよりたくさんの人が集まって驚いた。社会人の意見は多かったが学生の意見が少し少なく感じた。またもっと現実的に授業案を詰めたかった。
・手代木中での実践は貴重である。この実践で明らかになった問題点をどう克服するか、しっかり検討し、その対応策をじっくり考えてまとめることは、これからの活動にとても有効であると思う。継続して学校の活動に関わるのは難しいので、長期的なプログラムを考えるよりは、2時間ぐらいでできる様々な環境に関する活動(アクティビティ)を開発し(もちろんこのようなプログラムのここで使えるといった視点をもって)、学校にそのメニューを提示してはどうかと考えた。
・分科会は非常におもしろかったと思いました。「桜」という題で、様々な立場の人々が意見を出しあい、授業を作成していくという形は、実際の教育現場でも取り入れていくと効果があると思いました(当然、実施しているでしょうがより強く)。希望としては、もっとスクールボランティアと総合学習との兼ね合いや難しさを教えてもらいたかったと思いました。授業案だけでなく、より具体的な援助なども知りたかったです。いろいろと勉強になった分科会でした。
・様々な人たちが来ていて面白かった。ただ内容的には少し薄い気がした。時間的なものがあったと思うがもう少し授業計画について議論したかった。
5. コーディネーターの感想
授業案に関して桜というテーマはわかりやすかったと思います。そのため、当日のワークショップでもたくさんの意見が出ました。そのため、すぐにでも実行できるものが出来ました。また、参加者のバリエーションの豊かさから、参加者全員で面白いと思えるものが出来たと思います。とくに、参加者の中にいた地域の方から、面白い意見がたくさん出されたため、地域の方と学校の関わり方が大きく示されました。
しかし、先生としては、もう少し学生の具体的な関わり方が知りたかったようで、その点は、不十分であったかもしれません。今回は、準備の時間が少なかったことから、具体的なかかわりというものは授業案の中には盛り込んでいませんでした。そして、「授業案を提案する」という学生としての関わり方を提案しようと考えたので、この点は反省点だと考えます。また、結果的に先生から大丈夫とのコメントをいただきましたが、先生の立場に立って授業案を考えるという事をしなかったという事も、反省点です。また、準備の時間の短さについて、もう一つ反省点としては、授業案の作成の過程でいろいろな意見が出たが、それを全て生かしきれなかったところです。今回の授業案自体は面白かったのですが、もう少し時間をかければ、もっと面白いものが作れたかもしれません。
当日に関しては、参加者の席への誘導において、参加者任せにしてしまったため、席順が左右で社会人と学生に別れてしまいました。意見の交換に少し影響を与えたかもしれません。しかし、逆に、立場の近い人同士で、休憩時間などは話しやすかったかもしれません。実際に、休憩時間に参加者同士に会話が生まれ、その結果、全体の雰囲気が良くなりました。
事前に全体の流れや時間配分は考えていたつもりだったのですが、当日の人数の多さに少し戸惑い、あせってしまいました。いろいろなパターンのリハーサルをきちんとしておくべきでした。また、ワークショップは時間的には、少し足りない感じもありましたが、時間を延長したところで、話が発展するというよりは、ダレてしまう気がしました。それよりも、ポスターセッションの時間としての10分くらいの間に、参加者同士の交流があり、参加者同士のつながりが出来たと思います。当日資料については、いろいろな方の協力の下、万全の準備ができました。
6. 手代木中学校環境教育紹介
概要
手代木中で総合学習の時間で環境問題を取り上げており、生徒たちがそのことについて調べ、まとめ、発表する。その手伝いをするというもので1999年から活動している。時間は向こうの都合でまちまちであり、こちらの授業とかぶることが多く、また多少距離があるためなかなか満足のいく参加はできていない。
内容
2000年 1回目
前半 環境に関するクイズとオリジナル劇を発表
後半 テーマに分かれての分科会
2回目 分科会第2弾
3、4回目 生徒たちの発表会に参加
2001年 前半 環境問題を考えるクイズ
後半 石鹸と合成洗剤の見分け方について実験を行い、それについての討論
2002年 生徒たちの研究発表をきき、アドバイスやコメントをした。
2003年 研究内容や進め方について個別アドバイス
問題点
<運営に関して>
・先生との連絡が不十分。
・時間が合わない。
・引継ぎが難しい。
<授業に関して>
・ネットや文献でただ調べたという感じで知識中心になっている。完全には理解されていない。
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