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環境分科会
 
スタッフ:
荒井幸恵、岩本智裕、小保方美鈴、小林芳江、石川大介、鈴木梓
コーディネーター:
湯本健太郎
スペシャルサンクス:
小野瀬昌志さん、雑木林で遊ぶ会様、矢澤容子さん、斎藤亜希子さん、荒井健太さん
コンテンツ
1. 当日までの話し合いの過程
2. 当日の流れ
3. 授業提案内容
4. 参加者の感想
5. コーディネーターの感想
6. 手代木中学校環境教育紹介
 
環境分科会報告
 
1. 当日までの話し合いの過程
 
(1)環境とは? →授業の目的
 スタッフにはさまざまな立場の人が集まったので、まずはじめに、各自の「環境」についての考えを共有しました。
・自然にはサイクルがある(生態系)。人間もその一部だ。生態系という視点から世界を見ると面白い。
・「環境に優しい」ってどういうこと?
・「今」やらなきゃいけないことを考えたい。
・本当の自然とはどういうものか知っているのか?
・自然を別物と考えてほしくない。
・きれい事ばかりでなく、現実を。
・きれいな自然だけでなく、ごみ処分場などの汚い現実を見せることも大事なのでは?
・でも、どこまで現実を伝えてよいものか?理想と現実のギャップ
・世代間のギャップ 押し付けているようで引け目を感じる。
・オゾン層の破壊、地球温暖化など、大きな問題よりも、身近にある問題に目を向けることが先なのではないか?
・価値を押し付けることはよくない。
 以上が、実際の話し合いの中で出た意見です。
 そして、スタッフの環境に対する考えの共通点から、環境教育を行なう際に、子供達に何を伝えたいのかという事をまとめていきました。その結果、今回の分科会で提案する授業では、「自然を身近に感じる。そして、自分と周りの様々なことがつながっていることを感じ、それらを大切に思う心を育てる。」ということを目的としました。
 
 
(2)授業案
 次に、授業案について考えました。
・つくばとは違う環境に住んでいる人を呼ぶ(海とか川とか)。
・同じ年代の小学生や中学生を呼ぶ。
・不登校の子たちを呼ぶ。生活、遊びとか大切にしてそう。そういう子たちの方が呼びやすいし、自然体験も違う。彼らの課題は、上の学校に進むことよりは次の社会に出て行くこと。まさに総合!
・障害を持った人が感じる自然とは?ということも知りたい。
・見える自然じゃなくて感じる自然。
・土浦六中の総合で環境をやっていたが、子どもたちはやっていることの意味がわかっていない。
・リサイクル:突き詰めて行くとほんとにやるべきか、というところまで行っちゃう。リサイクルをすることで環境に余計負荷がかかることもある。やらないよりはやった方がいいんだけど、いいとは言い切れない。でも、そういうマイナス面ばっかり言ってもだめだし。
・環境に優しい農業。「私たちが生きていく中で必要な形」を探していきたい。
・いろんな人が一緒にやる授業。
・いろんな感じ方をする人がいるのがおもしろいということで、その人の特性を特別視するのはやめよう。
 以上が実際の話し合いで出た意見です。
 いろいろな意見が出ましたが、目的である「自然を身近に感じる」という事、また、「実際に授業をやる先生や生徒に分かりやすいものである」ということ、の二つに重点をおいて、次のような授業案を考えました。
 
 校庭にあるものや生き物や空など、何かおもしろいものや好きなものを見つけて、それを1年間観察する。わからないことや不思議に思ったことなどを学生や地域の達人に訊く。
 
(3)具体的な授業案
 そして、具体的な内容を考えていきました。その中で、「雑木林で遊ぶ会」に参加しました。
 雑木林で遊ぶ会では、里山を定期的に手入れをして、維持しています。そこで子供に自由に遊ばせ、そこにあるもので、四季折々の遊びや、味覚を味わうという会です。
 私たちが参加した日は、秋の味覚を使った料理をつくりました。持ち寄った材料を使って豚汁を作ったり、そこで取れた栗を使ったお菓子や、焼き芋を食べたりしました。食後は、竹を使って、竹とんぼなどの竹細工を教わって作りました。
 
 
授業案
例1: 桜にまつわる学びんぐ
・桜折るバカ梅折らぬバカ 〜諺から学ぼう〜
・樹に触れる 感触は?色は?
・桜の種類 日本には何種類くらいの桜があるのか?それは同じ花の形・色?
・桜の1年 次の年の花をつけるまでの仕事。理科の先生や植物に詳しい人にきく。
・桜は樹 桜から発展させて、樹木一般の役割。光合成や治水、動物の住みか。リラクゼーション。森は海を育てている。など。
・桜の歴史 日本に最初からあったのだろうか?
・さくらんぼはなる?
・毛虫 桜の樹には、なぜ毛虫が多い?虫と樹の関係
・桜餅 ひな祭りころに桜餅を食べることが多い。桃の節句なのに。和菓子屋さんに聞いてみよう。つくってみよう。
 
例2: グリーンマップ
 学区内や、家のまわりにどんな植物や生き物がいるのか。地図に記入。
タンポポの種類と分布。など。在来種の減少と外来種の増加に気付くかも。何年かあとに比較もできる。
 
例3: 季節の行事
 端午の節句やお月見など、季節の行事が行われなくなっている。お月見は秋のみのりを喜んだり、その季節の盛りのものを供えたりしている。古いものを見直し、行事を通して自然と人が深く関わってきたことを学ぶ。
 
 そして、今回の授業案のテーマには、どこの学校にでもある身近な「桜」をとりあげました。
 
(4)授業案の作成
 四季の変化に合わせた、一年を通じた授業案を考えました。そして、授業の切り口として、考えやすいように、既存の教科(算数・国語・理科・社会など)から考えてみました。実際にスタッフの中でワークショップを行い、概要を作り、当日に、参加者ともう一度ワークショップを行い、色々な立場の方の意見を聞きながら、授業案を完成させるということにしました。
 また、学生の環境教育への参加の具体的事例として、環境サークルエコレンジャーの手代木中での活動や、Naごみ、100筑を紹介することしました。これにより、学生にも出来ることがあるということを、知ってもらい、先生が実際に授業案を考えるときの選択肢の一つに、学生というものを加えてもらうことを狙いました。
 
2. 当日の流れ
 
(1)自己紹介
 まずは、参加者どうしがお互いのことを知ってもらいました。名札はつけていますが、本人の口から説明されることで、理解もしやすいと考えました。また、アイスブレークの意味も込めたので、名前の紹介だけでなく、時間を長めにとって詳しく紹介してもらいました。
 そして、当日は、実際に環境にかかわる活動をされている方から、学校の先生や教育委員会の方、そして学生、と色々な立場の人がバランスよく参加されました。
 最後に、エコレンジャーの紹介をして、その流れで、実際の活動事例(手代木中・Naごみ・100筑)を紹介しました。
 
(2)休憩
 一人ずつ自分の活動の紹介や、参加理由を聞くので、少し時間がかかるため、休憩を入れました。
 自己紹介の効果のためか、参加者同士で会話をして、雰囲気はよくなりました。
 
(3)授業案の発表
 まずは、目的・発表者の考え方を伝えました。そして、ワークショップに入りました。
 事前に予想していたより多くの参加者がいたため、意見のまとめ方について、参加者を二つか三つのグループに分けようという意見が出て、発表者の中でもめてしまいました。しかし、結局はそのままの形式にしました。ホワイトボードに模造紙を張り、自分で張りに来てもらうようにしました。
 まとめは、張り出された意見一つ一つについて、地域の方、学校の先生、学生とそれぞれの立場からさまざまな意見が出ました。こちらから指名することがなくても自然と意見が出て、交わされ、時には笑いもこぼれる和やかな雰囲気の中でワークショップは進みました。そして、意見が出て行くうちに、自然と全体的にまとまっていき、最後は、小学校の先生に実際的な話を聞き、まとまりました。







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