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5. 参加者の声と今後の課題
 
 当日の議事録と分科会終了後に記入していただいたアンケートをもとに、参加者の意見を以下の4つの項目ごとにまとめ、それぞれについてスタッフの反省・今後の課題を挙げておく。
(1)グリーンマップについて
(2)総合学習に「まちあるき」「グリーンマップ」をとりいれることについて
(3)総合学習の現状と学生への注文・期待
(4)地域分科会全般(運営等)、その他
 
(1)グリーンマップについて
【参加者アンケートより】
・可能性をもっと考えるべき(4)
・アイコンを作る、地図を作る、などをどう有機的に生きたものに出来るか、学生の力量も問われる
・グリーンマップをどう展開できるのかを考えることが、本当の意味での総合学習
・マップ作りの目的をはっきりさせる必要がある
 
 
・導入としてはよい(3)
・一つの方法としてはよい(3)
・中学生地理「地域を調べる」の授業導入部に使えそう
・自分たちが暮らす地域を知るためのツールの一つとしては良い
・改めて住んでいる地域を見て感じて考えるきっかけになる
・市民から行政へ働きかける手段として良いと思った
・小学生でもやっていることを中学生がやるのは物足りないのでは(3)
・グリーンマップを初めて知り新鮮だった(2)
・大学生と中学生、地域の人や学校など、関わった人たちが知り合うきっかけになる
・現在設置されている看板(ex. 緊急避難所)が、見やすいところにあるのか、何を意見しているのか、などを確認する作業も同時に行なえると良い
・マップを作る楽しさを子どもたちに味わわせられると良い
・マップが子どもたちひとりひとりの表現となるべき
・このツールを用いてみるかどうかは子どもの判断を促してはどうか。大学生は、学習の材料提供をする立場として貢献できるように思った
【議事録より】
・グリーンマップのアイコンを全世界共通のものに統一してしまっては、子ども達の創造力、考える力を伸ばせない→アイコンづくりからはじめることができる
・マップ作りはきっかけ作りにすぎない。課題を発見するための1つの手法である。課題解決のアプローチが欠けている
・グリーンマップ作成の時間は?→1、2ヶ月でちょうどいい
・きれいなマップを作ることが重要なのではない。地域発見の手法にすぎない。
 
◎私たちは「グリーンマップ」を総合学習の導入に、「地域発見」の方法としてとりいれることの可能性を提案した。しかし、私たちの説明不足から、地図づくりが目的であるかのように議論が進んでしまった。また私たちは、導入としてのみの提案に終始し、その後の学習の可能性を具体化していなかったので、参加者から物足りなさを指摘された。グリーンマップを作ることが重要なのではなくて、それをどう活用できるかという学習の可能性を強く主張するべきだった。実際に総合学習で生徒が進めている学習テーマに即したかたちで、魅力的な展開を見出していきたい。そうすることで、グリーンマップの手段としての有用性も高まると思われる。
 
 
(2)総合学習に「まちあるき」「グリーンマップ」をとりいれることについて
【参加者アンケートより】
・大学生と中学生を地域でつなぐという発想は良い
・(この学習案は)大学生と中学生が関わるウォーミングアップと考えても良いかも
・すばらしい企画だと思う
・マップを作ること自体は良いが、それが目的ではない。どう発展させるかが問題(4)
・取り入れることは賛成。ただ、どう取り上げるか、もう少し掘り下げる必要がある。このままでは、インスタントに終わってしまうと思う。
・導入部分には良い(3)
・テーマを見つける手段としては良い(2)
・子どもたちが調べ学習をするツールとしては非常に効果的だと思う
・一緒にまちあるきをするのはとても良い
・まちを歩き、見て、発見して、話し合って、作業して・・・という過程をみんなで進める経験から、総合的に成長できる可能性はあると思う
・今の子どもは地域とのつながりが薄いので、「まちあるき」「グリーンマップ」から自分のまちについてかなりの発見があると思う
・自分のまちや、まちの人とのつながりを持てることは、子どもの成長にとって重要
・コミュニケーションのツールとしては良いが、それを考える指導のほうが重要
・学年・個人差があるので、それぞれの段階で学習の目標を設定する必要がある
・地域から、3年間にわたって学び続けるテーマを見つけ出すのは容易ではない
・発見力には個人差がある。すぐにテーマを見つける子もいれば、見つけるのにすごく時間がかかる子もいる
・中学生の視点から見つかったテーマを、大学生が別の視点へ伸ばしてあげることが出来る
・類じたことはかなりの学校で実施しているのでは?
【議事録より】
・「地域」という捉え方は?中学校区か、つくば市か、県南地域か?
・いかにして地域作りに関心をもってもらうかが重要。子どもが地域について考えるきっかけになってくれれば。(大人になってからも地域について考えるというのは重要なことである。)
・マップをつくる過程でのコミュニケーションというのも重要になってくる。
・想定される対策が不十分。グリーンマップをつくるだけでは物足りない。さらに深いところまで考えられるように。(発展性)
・外に出るときにはくれぐれも安全面の配慮を。学生と子どもたちだけで外にでていっていいものか?(ボランティアの責任の問題)
・レベルの設定が必要→容易にできてしまう子どもも出てくる
 
◎総合学習に「グリーンマップ」や「まちあるき」をとりいれることについては、おおむね了解された。しかし、それは学習の導入部としてであるので、その先の学習は生徒の関心・テーマ、生徒の能力、学習の段階に応じて具体化していきたい。生徒や我が子の地域への関心を高めるということへのニーズはあるようだった。
◎グリーンマップの幼稚さを指摘する意見に全体が流され、それを参加者の総意としてしまった会の進行は反省すべき。建設的・発展的な意見に乏しく、提示案に対するあら探しに終始した印象がぬぐえない。スタッフの準備不足が祟った。
 
(3)総合学習の現状と学生への注文・期待
【参加者アンケートより】
・「総合的学習」が生まれた経緯をよく知る必要がある。社会、学校、行政等と、「総合的学習」の意味を確認し合い、その方向性、方針の合意形成を行なうことが先決。学校教育システムを良く知った上で、総合的学習が無理のないものなのか考える必要がある。
【議事録より】
・吾妻中の総合学習の場合、先生1人が10グループを見ていると言う現状。そこでは一緒になって見て、聞いて、考える存在が必要。
・1人1人テーマが異なると対応しきれないのが現状
・教師は忙しくて、スクボラについて取り組んでいくのは不可能。学生ががんばるしかない。
・総合学習と教科学習が結びつかないのは問題である
・総合学習を通して(生徒に)何の力が身についたのかを明確に。
同時に学生側もスクボラをする目的を明確にすること。
・学生には深く継続的につきあってもらいたい。
・親からの視点で言えば、大学生と関わることで子どもの視野が広がっていい
・学生は一般に言われているほどは専門知識をもっていない
→学生はお兄さん、お姉さん的な役割で。一緒に楽しむことも大切。
・事例:茨城大学付属中学校のスクボラは保護者が担当している。学生は世代が近いのでより効果的である。
・学校と学生、学校と地域、地域と学生とどのパートナーシップもとても大切
・お互いのニーズをマッチさせるコーディネーターが重要
 
◎最終的には、総合学習と地域と大学生のありかたについての議論になった。今回提案した学習案はまだまだ不十分ではあるものの、大学生への期待は学校の先生方だけでなく、地域の保護者からも寄せられた。アドバイザーの野本氏は、大学生と中学校という関係だけでなく、そこに「地域」を加えた関係の中で、スクールボランティアを進めていくことの必要性に言及されたが、お互いのニーズとできることをまずは把握することから、スクールボランティアがはじまると認識した。(今回は中学校の先生や生徒のニーズを把握できぬまま当日を迎えてしまったという反省がある)
◎今後の関わりかたとしては、生徒の学習に寄り添うことがひとつであるが、学生側の目的も明確化しておくことが参加者から指摘された。今回の学習案についてこれからの展開を具体化していくことは、スクールボランティア活動の継続性について考えていくことでもある。
◎今はボランティアとして大学生が携わっている状況であるが、この関係がいつまでも継続できるのかというのが不安に感じる。大学生も主体的になにかをできる(授業づくりとか)という状況を作ることで、ただ「寄り添う」だけのボランティアから、「やりがい」を感じるボランティアになる。グループごとの議論で、一部では総合学習のボランティアを大学の単位にしてはどうかという話が出ていたが、それもひとつの方法と考えられる。
 
 
(4)参加者の声(地域分科会全般について)
・このような会を持つことで、学生、地域、学校とも考える機会になると思う
・大学生と交流が持てただけでも良かった
・このような分野を超えた集いが出来たことは、つくばの学生の、日頃の努力の賜物。今後に期待
・この企画そのものがすばらしいと思う。スタートとして、学生と学校との関わり方の第一歩が見えてきたのでは
・フィードバックして今後につなげてほしい
・「物足りない」という意味は、今後への助言、改善点として理解できると感じた
・やってみたからわかることも多いと思うので、まず活動し、見直しし、次のステップを考えていければよいと思う
・頭の中で考えていることと、実践することの差を感じた
・総合学習を通して、生きる力、考える力を与える、サポートするボランティアであってほしい
・地域社会の一構成員となる子どもたちに、大学生ができることはもっとあると思う。いっぱい事例を作ってほしい
・「地域」ということより、学校の中に大学生が入り込む意味、効果が問われる
・「地域」というテーマのわりに、地域の人とのつながりを作っていくことや、地域社会を知っていこうという雰囲気があまり感じられなかったので、その点をより意識的に打ち出してみてはどうか
・事例報告が具体的で面白かった
・具体的な資料があってよかった
・配布資料を見てわかるところは全部読まずとも簡略化すればよかったのではないか
・途中で分科会を細分化せずに、全体で議論したほうが深まったかもしれない(2)
・グループ分けしたことで、意見が言いやすかった
・お互い意見を交換することの大切さを知った
・声が聞こえにくかった
・学校、地域のニーズが少し理解できた。が、子どものニーズは見えてこない。他の立場にある人のニーズを理解することが、ボランティアの第一歩だと思った。
 
◎今回の提案では、大学生と中学生という二者の視点から主に考えたが、保護者や地域住民、先生方といった違う視点からの見方を得られた。今後は、いかに地域も一緒に巻き込んで総合学習が出来るか、ということを考えたい。







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