分科会
Section meeting
・地域分科会
・環境分科会
・農業分科会
・福祉分科会
・国際理解分科会
・ポスターセッション
地域分科会
スタッフ:
泉水紀彦、野田幸久、小山雄資、石井邦知
コーディネーター:
佐藤良枝
アドバイザー:
野本高志さん(一級建築士・元吾妻中PTA会長・つくばシンポジウム準備委員長)
スペシャルサンクス:
安田洋平さん(エディター+ライター)
コンテンツ
1. はじめに
2. 当日までの話し合いの過程
3. 授業提案内容
4. 当日の流れ
5. 参加者の声と今後の課題
地域分科会報告
1. はじめに
地域分科会は、「つくば」や「地域」に関心のある大学生が集まり、中学校での「学習」に「地域」を結び付けることを目指してはじまりました。フォーラム当日は、学生からの学習案に対して、参加者からその問題点と可能性が指摘され、スクールボランティア活動のありかたに議論が及びました。中学校と地域と大学生。これら三者を、生徒の学習に応じてコーディネートする役割の必要性を最終的に確認しました。
2. 当日までの話し合いの過程
□経緯
【8月】 スクボラ支援委員会より地域分科会スタッフとしての参加のお誘い
【9月】 スタッフ募集、スタッフミーティング開始
【10月】 テーマ・アドバイザー決定、イベント企画案検討
【11月】 イベント企画案断念、学習案検討、フォーラム当日
□準備ミーティングでのおもな議題(話し合いの経過)
(1)地域とは何か?
・スタッフが各々考えている「地域」についての考えを共有
・中学生が知りたい「地域」とは何なのかを知っておく必要がある
・まずは自分自身が地域を知りたい
(2)大学生に何ができるか?
・大学生よりも中学生のほうが地域を知っている可能性がある
・何かを教えるというよりもいっしょに学ぶ姿勢
・つくばのいろんな力をつなげられたら魅力的
(3)いくつかの授業案
・計画的につくられた街としてのつくばの成り立ちを実際に建設に関わった人たちに聞く
↑レクチャー形式では「学び方」の学習につながらない
・中学生の視点で街をつくる(まちづくりゲーム)
・他都市との比較の視点でつくばの街を見る
・地域発見の手段としてのまちあるきとグリーンマップをとりいれた学習
(4)「まちあるき+グリーンマップ」イベント企画案の検討
・学習案として提案するにあたって、実際に中学生と活動をやってみて、その結果から今後の展開の方向と問題点を提示したい
・フォーラム当日は何らかの実践を報告する場にする
⇒時間的に制約があったこと、中学校側のニーズを把握しきれなかったことなどから、実施をあきらめる
(5)学習に「寄り添う」とは?
・何かを「教える」よりも、生徒にただ「寄り添う」ことが求められている
・グリーンマップをとりいれた学習は「内容の発見」にとどまらず、「学び方」や「まとめ方」の発見につながる→幅広いテーマに対応できる
(6)そもそものグリーンマップとは?
日本でグリーンマップを広めたライター安田洋平氏に会い、グリーンマップを用いた活動経験から学ぶ。学習案に対するコメントをいただく。
3. 授業提案内容
(1)概要
学校での「学習」と「地域」との関わり方として2つの方向性を考えた。学習のヒントを地域から得るという矢印(1)と、学習の成果を地域に展開するという矢印(2)である。(図1)
図1: 企画案コンセプト図
この「地域からの発見」・「地域への展開」を実現するためのひとつのパッケージ・プログラムとして、「まち歩き」と「グリーンマップづくり」を取り入れた学習を企画し、この学習の狙い・位置付け、およびサポート役としての大学生の関わり方について提案した。総合学習への寄与を念頭に2つのパターン(A)と(B)を構想した。
(2)対象と目的
(A)対象:総合学習をこれからはじめる段階(中学1年生など)
目的:テーマの設定にむけた興味・関心や意欲の喚起
(B)対象:学習のテーマが決まりつつある段階(中学2年生など)
目的:自分がもっているテーマの明確化、もしくは学習成果の整理
(3)方法
(A)(1)【準備】グリーンマップ用の世界共通アイコンと地図をもってまちに出る。
(アイコン例:緑の広場・空き地、星観察スポット、安らぎの場、高齢者に優しい場所、昆虫観察、紅葉の名所、車イスOK、歩行者優先ゾーン・・・など)
(2)【まち歩き・グリーンマップ】街を歩きながら、場所と照らし合わせ、アイコンを地図に貼っていく。同時に発見したこと、あるいは気付いたことなどを記録しておく(メモ、スケッチ、写真等も含む)。
→地域からの発見が表現されたこの地図が「グリーンマップ」
(3)【発表】自分オリジナルのグリーンマップをみんなの前でヴィジュアルに発表することで、それぞれの興味や関心、発見を生徒間で共有する。
→新たな関心を喚起されたり、同じ興味の友達を見つけたりすることにつながる
(B)(1)【準備】自分のテーマ(視点)にもとづいたアイコンをつくる
(2)【まち歩き・グリーンマップ】アイコンと地図を持ってまちを歩き、学習していることと地域との関係を整理する。生徒の学習テーマに対応できる大学生が支援する。学習の成果を地図化し、テーマや問題意識を明確化していく。
例)
■福祉をテーマに学習→まわりにある点字ブロックや横断歩道のメロディがどうなっているかを把握する
■公園をテーマに学習→学園都市内にある公園のベンチの配置や植えられた樹種を調査する
■商業をテーマに学習→店舗業種別に商業施設の立地がどうなっているかを把握する
(3)【発表】テーマ毎に統合し、テーママップを作成する。自分の学習に関わりのある場所がリストアップされた地図をもとに、今後の学習への展望を開く。
(4)期間
・1〜2ヶ月
■まち歩きでの大学生の役割■
・大学生と中学生という異なる二者の視点からまちを見ることによって、新たな発見、より深い理解をお互いに得ることができる
・大学生は中学生に対して、まちをどのような視点で見ていけばよいのかを考えるきっかけを提供する(具体的には、事前に発問の内容、仕方を検討する必要がある)
・大学生は安全確保に留意しつつ、メモ書き・写真撮影等の手助けをする
4. 当日の流れ
□参加者23名+アドバイザー1名、スタッフ4名、議事録係1名
□分科会の流れと概要
前半は学生がグリーンマップをとりいれた学習案について発表し、事例報告をおこなった。発表はスケッチブックを用いた紙芝居形式をとった。
つづく後半では当初、参加者で吾妻中周辺のグリーンマップを実際に作ってみることで、その可能性や問題点などを議論することを計画していた。しかし、前半で学習案に対して参加者から学習としての物足りなさや学習のありかたそのものへの意見が多く出たことをふまえて、今後の課題を整理するための時間に変更した。小グループに分かれて議論し、さいごに各グループで出た意見を参加者全体で共有して終了した。
(1)コーディネーター挨拶
◎分科会の趣旨説明と発表者の紹介。人数が多かったために時間の都合上、参加者の自己紹介を割愛したが、後の討論でお互いの属性を知っておくためには必要だった。
(2)学習の提案
(1)学習のコンセプト−学習と地域を結び付ける−
(2)学習の企画案−まち歩きとグリーンマップ−
◎「地域からの発見」と「地域への展開」という学習のコンセプトを示した後に、グリーンマップとそれをとりいれた学習案を説明。提案内容が、「課題発見」の学習のみであったために、「課題解決」のアプローチが欠けているとの指摘が参加者から出た。同様の意見がいくつか出たことから、分科会後半の展開を変更した。
(3)大学生と総合学習を結び付ける&(4)実現にむけた具体策
◎多様な関心と専攻をもつ大学生は、生徒の幅広い興味・関心に対応できること、ほかの社会人に比べて時間にゆとりがあることを挙げた。具体的には、筑波大の学生団体C4によるサイト、ツクナビを例にWebを通した大学生と小・中学生との交流の可能性を提示。
(5)事例報告(つくばシンポジウム)
◎吾妻中の中学生と筑波大で都市計画を専攻する大学院生がおこなった共同学習の事例。「寄り道マップ」の作成などを通して見えてきた地域に対する中学生の視点や興味の対象を報告し、大学生による学習支援の可能性および課題(支援の継続性等)を挙げた。
(6)アドバイザーコメント・参加者全員討議
◎小グループに分かれて、グリーンマップを取り入れた学習に対する課題のほか、「地域」をテーマにした総合学習そのものの課題を参加者が出し合った(議論の内容は別掲)。小グループに分けたことで、参加者が各々の意見を述べることができ、今後の課題を項目的に挙げることはできたが、さらに全体でその先へ議論を展開したり論点を集約したりすることは十分にできなかった。
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