フォーラム開催までの経緯
スクールボランティア支援委員会 代表 松井由佳
本フォーラムは、「ぐっぴぃ」の中のスクールボランティアプロジェクトの一環として開催されました。このプロジェクトは、ぐっぴぃ事務局のメンバーだけでなく、学校教育や子ども、教職などに関心のある学生が集まり、チームとなって形作ってきました。メンバーやリーダー、組織のミッションは、活動をしていく中で変化し続けてきました。それは、様々な人にお話を聞いたり他団体のイベントに参加したりする中で視野が広がり、自分たちのやりたいこととあり方を常に見つめなおしてきた結果だと思っています。
現在、「スクールボランティア支援委員会」と呼ばれているこの組織は、以下のミッションを掲げて活動しています。
“次世代の教育を担う学生の成長”と、“学校教育の活性化”を願い、スクールボランティアを推進します。そのために、(1)学校教育にふさわしい「態度と技術」を身につけた学生の育成(2)学校と学生の適切なコーディネートを行っていきます。
この組織のこれまでの過程には、多くの人が関わり影響を与えてきました。本報告書では、企画立ち上がりの瞬間から今まで関わり、自分の進路にも大きな影響を与えてもらった身として、私(松井)の立場から書かせていただきます。彼らすべてが主人公になりうるような物語が編み続けられることを願って。
■スクールボランティアプロジェクトの発足
2002年9月、立ち上げ当初のぐっぴぃは、様々な分野で大学以外の社会と関わりをもちながら活躍している学生の集まりでした。この年は、総合的な学習の時間が小中学校で完全実施に至った年でもあり、ぐっぴぃには、個人的なつながりからゲストティーチャーとして学校に派遣された経験を持つ学生が何人もいました。
一方、友達とともに教職受験の勉強をしていた私をはじめ、教職希望の学生は、教育実習以外で学校教育に参加する機会をとても欲していました。また、教職希望でない学生も、今の自分で学校教育や子どもたちに関われることに魅力を感じていました。もっと多くの学生にぐっぴぃメンバーのような経験を広められたら、今の教育や未来の社会がもっと明るくなるという可能性を感じ、ぐっぴぃのひとつの事業としてスクールボランティアを推進することが決定していました。
しかし、まだまだ組織体制づくりの段階にあったぐっぴぃにおいて、この事業を具体的にどのように進めていくのかは考えられていませんでした。
そんな中、助成金申請の話し合いの中で、メンバーの一人から、学生が自分たちでつくった授業案を発表し、学校の先生方とのマッチングを図るコンペティションという企画案があがりました。2002年11月11日の深夜です。そんなことができるとは思ってもいなかった私は、その斬新さに惹かれて、自分のためにも中心になってやってみたいという衝動にかられました。これまでとはまったく違い、社会全体に向かって企画を発信するための作業は、とても時間のかかるものでしたが、何とか企画書を作り上げました。また、この過程で、様々な経験と思いの持ち主に出会えたことが、企画の大きな推進力になりました。
■スクールボランティア推進委員会発足
しかし、このプロジェクトはぐっぴぃの根幹の事業ではなかったので、2003年1月、できあがった企画書をもとに、メンバー募集のための説明会をし、プロジェクトへの参加を求めたところ、何人か強力なメンバーが集まりました。第一回ミーティングでは、自分たちの考えていること、やりたい活動をまとめるワークショップを行ないました。企画の実現に向けて、様々な人にお話を聞きに行き、中身について議論を繰り返しました。未来像なども考え、ぐっぴぃの中に正式に「スクールボランティア推進委員会」が立ち上がりました。もともと教育に関心のある学生が集まったこともあり、教育のあり方などについていろいろと話し合うことができました。
2003.1ミーティングの様子
■議論の時期
できあがった企画書に関しては、多くの方々からご批判も頂きました。それは、先生方や地域の方々はもちろん、学生間でもありました。実績のない学生が、特にゲストティーチャー型から学校に入るということには抵抗を感じる人が多かったのです。考えてみればそれも当然で、学生が勢いだけで教育に対する責任感なしに入っていくことが現場に混乱をもたらし、逆に教育の質の低下を招くことになりかねないのです。
2003.3土浦六中総合学習の見学
しかし、私たちの「スクールボランティア」は、自分たちなりに教育のこと、子どもたちのことをきちんと考えた上で、出来るところを自分たちの責任で分担してもらいたいというものでした。まず認めてもらうために、自分たちが創り出すひとつの形としてゲストティーチャー型授業という手段を選んだに過ぎず、今後私たちの推進していくスクールボランティアはもっと広い概念の中にあるのだということを確認しました。私たちのミッションは何なのか何度も考え直し、「学生の持つ様々なパワーとアイディアを生かしたスクールボランティアを推進し、学生を地域の資源の一つとして学校と適切に結び付けるコーディネートシステムを構築することによって、学校・学生・子どもたち・地域の活性化に貢献する」ということになりました。そんな中、本企画が日本財団の助成金申請の選考を突破したとの知らせがあり、助成金を頂けることとなりました。
■ネットワークと活動の広がり
つくば市教育委員会、茨城県教育委員会などの行政機関や、社会福祉協議会などに伺ったり、茨城大学教育実践研究会や、茨城大学付属中学校スクールボランティアネットワークの関係者にお会いしたりなど、つくば市だけでなく茨城県全域でスクールボランティアをする学生や地域の方々、先生方とのネットワークを広めていきました。自分たちで活動をしたいという思いから、メンバーと個人的につながりのある先生のいらっしゃった土浦第六中学校の総合学習で補助的な活動をするスクールボランティアをはじめることになりました。
■第一回交流会の開催
そして2003年7月、広げたネットワークを生かして、5つの団体や個人に学生スクールボランティアの事例を発表してもらい、意見交換をする交流会を開催しました。このイベントのリーダーは2年生になったばかりの矢口典弘で、組織の世代交代も考えられてきました。当日参加者は全40名のうち、教師2名、NPO関係者2名も含んだものであり、参加した学生のネットワークは本フォーラムの基盤となりました。
2003.7スクールボランティア交流会
■スクールボランティア支援委員会発足
交流会後、スクールボランティア推進委員会の中でも、実践をしながらモデルケースづくりをする「学校仕事人ぴあにか」が生まれ、イベントやネットワークづくりをする組織とは別で活動することになりました。
2003.11フォーラム懇親会
スクールボランティア推進委員会から、実践活動を除いた組織として、ぐっぴぃスクールボランティア支援委員会が新たに誕生しました。メンバーを新たにして、再びミッションを考え直し、およそ4ヶ月間の準備期間を経て、本フォーラムの開催に至りました。
もちろん、過程は過程でしかなく、結果と今後の継続が問題であることを肝に銘じて、更なる躍進を目指す覚悟でおります。あくまでも私の立場から主観的にとらえた「これまで」ではありますが、とにかく動き出したことが今回のフォーラムまで行き着いたという事実に改めて感動の念を覚えます。この過程で、皆様に負担やご迷惑をかけてしまったことも多々ありました。しかし、問題は課題として受けとめ、改善の努力を続けていくことで、今後も様々な方とのパートナーシップによる思いの実現を目指していきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
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