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学校には、
先生と生徒しかいない。
 
地域には、
いろんな人がいる。
 
学校では出会えない
いろんな人に出会える。
 
そして、
いろんなことに出会える。
 
子どもについて、
子どもの学びについて、
 
それは、
先生たちがよく知っている。
 
教科を飛び越えた
たくさんのテーマ、
 
はじめから教科の枠にはまらない
40人の生徒たちの、40とおりの関心。学び方。
 
地域には、
たくさんの「達人」がいる。
 
先生だけよりも、
地域の人だけよりも、
 
力を合わせたら、もっといい。
 
2. 学生による「すくーるぼらんてぃあ」
 
(1)学生のスクボラはなぜ必要?
 学生には、良くも悪くも保護者や地域の人とはことなり、「学生ならでは」の部分があります。全国からの寄せ集めである私達には、一見、地域や学校に関わることに必然性がないように見えるかもしれません。しかし、もっとも大切なのは、学生は「若者」であるということでしょう。近い将来、親や教師になっていき、地域社会の一員として教育をつくっていく側になる存在なのです。
 
(2)学生によるスクボラのメリット・デメリット(課題)
 
 
はじめから
万能の親なんていない。
 
はじめから
万能の先生もいない。
 
家庭で、
学校で、
子どもたちと関わりながら、
 
失敗もし、
そこから学び、
いろんな人たちに助けられながら、
 
親らしくなり、
先生らしくなっていった。
 
短い教育実習だけで
「先生」になって、
 
教育を考えたこともないまま
「親」になって、
 
子どもたちのために、
よい教育を、
 
選べるのだろうか?
つくれるのだろうか?
 
 
 
 <学校―地域>の協働と、基本的な考え方はおなじです。
 3者の関係を通じて、どのように生徒の豊かな学びをサポートするかをともに考え、支えあい、学び会う関係づくりが必要です。
 
<学校―学生>
 学校には生徒の日常があります。学校教育に関して、子どもの発達に関して、学生は素人。ましてや、その学校、一人一人の生徒に関しては、学校の先生にしかわかりません。学生は、学校や先生の教育方針やニーズを十分に理解した上で、臨む必要があります。その範囲において、子どもや先生方、また教育活動にかかわることができます。ただし、先生方と十分対話する中で、気づいたことを交流し、互いに提案・協力できる関係を目指しましょう。つねに、自己研修が必要になります。
 生徒の学習をより豊かなものにするために、学校側は教育方針やニーズを明確に伝え、必要に応じて学生に助言やサポートを与えることが必要不可欠です。そして、教育活動を豊かにするために積極的に、学生のアイディアやパワー(人手も含む)を取り入れていってほしいと思います。
 
<地域―学生>
 学校において、学生が学べる部分と貢献できる部分があるように、地域社会の中にもそのような部分がたくさんあります。地域のさまざまな場所で、地域の方々とともに活動することで学び、各自の得意分野をつくっていけるでしょう。そうして、それはまた学校で活かされていくのです。地域の方々と協力して、学校教育をサポートすることを目指していきたいです。そして、それが可能になってきたとき、積極的に地域社会にかかわり活動する学生の姿が、生徒の地域参加のきっかけとなればと願っています。
 
 
 以下にあげるのは、実際に茨城県内の大学生が行っているスクボラの団体の一例です。団体ではなく個別のものも加えれば、まだまだ無数にあるでしょう。例えば、運動部による部活指導や、英語や国際理解の学習へ留学生センターから留学生を派遣するといったスクボラの事例もあります。
<茨城大学教育実践研究会>
 1997年より活動しています。現在はいくつかの小学校において「ADHDやLDの子ども達へのサポート」「学級へ入れない子どもたちとの交流」「総合的な学習・校外学習・習熟度別学習へのサポート」などの活動を行っています。また、事前準備、反省会、討論会などの自己研修もしています。
<総合的学習支援ネットワークフラスコ>
 茨城大学付属中学校のスクールボランティア制度を、他の小中学校へ広げるための活動をしています。水戸芸術館ギャラリーと―カーと飯富小学校のコーディネートを進めていました。またwebを使ったスクールボランティア活用システムPIPETを開発、試験中。(茨城大学・筑波大学・常磐大学など)
<ボランティアサークルParty>
 「ボランティアを通し、人と人の心を結び付ける」をミッションに、海外支援や清掃活動を行っています。また下妻市上妻小学校でサタデースクールといって、月一で学生が学校の図書館を訪れ、子どもたちと遊ぶというスクボラ企画を行っています。(筑波大学)
<環境サークルエコレンジャー>
 1997年から、リサイクル市プロジェクト、牛乳パックプロジェクトなどさまざまな環境・開発問題に関する活動を行っています。その中のひとつ手中プロジェクトで、手代木中学校の総合学習の環境」分野で、アドバイザーとして活躍してきました。(筑波大学)
<学校仕事人ぴあにか>
 スクボラ支援委員会から、この6月に分離独立した団体です。現在は、土浦第六中学校二年生の総合学習をお手伝いしています。また、放課後・昼休みに「遊ぼうプロジェクト」を構想しています。「みんな楽しく!子どもの視点で!」を「ぴあにか魂」としています。(筑波大学)
 
学校教育にかかわりのない人はいない。
皆それを受けてきた。
 
いつか教員になりたいと願う若者がいる。
いつか生徒の保護者となる若者がいる。
 
現在の保護者や、
かつて保護者であった
地域の大人たちがいる。
 
誰もが、
学校教育への眼差しを持っている。
 
その眼差しを集めて、
学校と生徒を支えていく力にしよう。
 
そして、
いつか教育の創り手となる若者たちを、
育ててほしい。
 
気の長い話と、
気の早い話。
 
今まさに行われている学校教育を、
よりよくする最大限の努力を。
 
そして、
私たちが親や教師になったとき・・・
 
学校教育を支える地域の底力が、
今よりずっと強くなっているように。







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