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ひとつの種を蒔くために、
今わたしたちは、
畑を耕しています。
 
種の名は、
「すくーるぼらんてぃあ」といいます。
 
目指すのは、
ひろいひろい花畑です。
 
だれもその花の名を知らなくても、
みんなで水をやり、
種がこぼれる。
 
そうして、
毎年、色とりどりの花を咲かせる。
 
身近で当たり前な、
けれど大切な、
 
そんな花畑が、
野原のように
ひろがることを夢見て、
 
新たな大地を、
耕しはじめました。
 
 
 
●「すくーるぼらんてぃあ(略してスクボラ)」
 子どもたちの健やかな成長を願う地域のさまざまな人たちが、学校の教育活動をより多彩で活発なものにするために技能や時間などを提供することです。
 
   例えば・・・保護者、地域の大人たち、中学生・高校生・大学生、学校のOB・OG、NPO
  (非営利団体)など
 
●スクボラの形態
 現在行われているスクボラは以下の4つのタイプに分けられます。スクボラというとゲストティーチャーを思い浮かべる人も多いでしょう。これは、専門的な知識や技能や何らかの経験を持った人が、その時間の主役として体験談などを話すものです。ゲストティーチャーはスクボラの一形態にすぎません。この中には、従来から保護者や地域の人々によって行われてきたものも多くあり、スクボラを特別なものではなく当たり前で身近なものとして捉え直すことができます。
 
(1)ゲストティーチャー型・・・
教科指導(地域講師)、ものつくり指導、伝統芸能演示、部活動指導、ほか
 
(2)施設メンテナー型・・・
施設の補修・塗装・植木等の剪定、パソコン室の管理、保健室補助、ほか
 
(3)環境サポーター型・・・
図書室管理、図書室整理、花壇清掃・草取り、ビデオ撮影、体験活動受け入れ、ほか
 
(4)学習アシスタント型・・・
児童生徒との交流、通学安全指導、校外の巡回指導、校外学習の引率、ほか
(佐藤晴雄『学校を変える 地域が変わる』教育出版 2002年)
 
 
 現在、スクールボランティアは、全国各地でさまざまな形で進められようとしています。地方自治体や教育委員会が主導となって、あるいは学校単位で、ボランティア登録制度はいたるところ導入されています。おとなり千葉県の木更津市でも、非常に積極的にスクールボランティアを制度化しており、多くの地域の人びとが学校で活躍しています。大学生についても、行政主導で、あるいは企業や大学の主導で、学校教育に関わらせていく動きがあります。東京都杉並区などでは、行政が積極的に大学と学校の連携を図ろうとしています。
 茨城県内でも、文部科学省から委託された二つのスクールボランティア事業が動き始めています。
 
●『いばらきマナビィ・ネット』(全国・茨城県)
 文部科学省委託事業「NPO等と学校教育との連携の在り方についての実践研究」として、準備がはじめられている学習支援サイトづくり。主な活動は、(1)「学びのQ&A掲示板」(2)ゲストティーチャーの訪問のコーディネート。総合学習などでの生徒の質問に、web上で応える回答ボランティアや、ゲストティーチャーの登録と派遣、授業プログラムの蓄積などを行います。今年度は水戸市、取手市などのいくつかの学校で試験的に活用されはじめています。
 
●『放課後学習チューター制度』(全国・茨城県)
 こちらも、文部科学省の「学力向上アクションプラン」のひとつ「放課後学習チューターの配置等に係る調査研究事業」で教育委員会が行っています。全国で285の小中学校が指定され、学習支援者として放課後に大学生が派遣されています。チューターの主な役割は今のところ生徒の自習指導で、受験を控えた三年生や、勉強につまずきがちな生徒たちにニーズがあります。茨城県ではつくば市高崎中学校(筑波大学)、那珂町立木崎小学校(茨城大学)、日立市立大みか小学校(茨城キリスト教大学)が指定されています。
 
 
 「開かれたかれた学校」つくりの一つの手段として、第15期中教審答申においてスクボラは提唱されました。そこでは、子どもを教育するにあたって、単に学校だけでなく、学校・家庭・地域社会が適切な役割分担を果たしつつ、相互に連携して行われることが重要であると指摘されています。
 協力関係づくりが具体的に必要になってきた背景には、昨年度からの、「完全週休二日制」と「総合的な学習の時間」導入が特に大きいのではないでしょうか。学校の外で、子ども達を支える環境づくり。学校の中で、教科の枠を越えた幅広いテーマを、生徒の問題意識の発達を大切にしながら行うこと。どちらにも、地域の力が必要不可欠になりました。
 スクボラは、子どもたちの豊かな学びを支えるために行うものです。スクボラの関係をつくっていくとき、この視点を忘れてはなりません。この大きな目標よりも個別の利益が先行してしまえば、学校教育の目的である生徒の学びをかえって阻害することにもなりかねません。大きな目的のもとで、一致できる点を大切にしながら、両者の双方向の協力関係を築いていくことが重要です。
 







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