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秀句
素うどんに老舗の意地が生きている 埼玉 岩田柳堂
 
手打ちうどん春のリズムで老母が打つ 福岡 木庭好秋
 
満願の旅はうどんでしめくくる 石川 浜中鉄嶺
 
選者吟
旅帰り家のうどんにホッとする 兵庫 奥田みつ子
 
選評
 四八七六句の御投句有難うございました。圧倒的に多かったのは「素うどん」続いて「手打ちうどん」でした。「うどんは代用食」と食糧難時代を思い出させる句や、今流行の「セルフうどん」もありましたが、同想句が非常に多く一字一句違わない句もございました。私なりに幅広くいろいろな「うどん」から数多くのドラマを頂戴いたしました。土地柄のお遍路さんと「うどん」の句の最後を飾って、満願の句を最優秀句に頂きました。
奥田みつ子
 
「平野」
茨城 植木利衛 選
自由化の波に震えている平野 栃木 横地耕児
 
減反の歴史見てきたこの平野 新潟 齊藤和子
 
知恵と物生んだ水辺の大平野 山梨 小池浮月
 
まほろばは平野一面そばの花 山形 加藤テル子
 
さぬき富士さぬき平野と握手して 兵庫 前川千津子
 
草に寝て大平原の鼓動聞く 愛知 村井勢津子
 
沈む陽がサボテン平野を赤く染め アメリカ 相良昭子
 
通勤圏などと平野へ街が伸び 広島 畑垣よみこ
 
平野にはホラ虫図鑑花図鑑 香川 高橋四シ子
 
少年の求めるものが無い平野 香川 池内かおり
 
小間切れにされて平野が売出され 埼玉 新井良夫
 
穀倉の平野見下す露天風呂 岩手 菅原知良
 
関東平野ビルの上から陽が昇る 熊本 島田まさこ
 
春うらら平野をたどる花へんろ 大分 野田清博
 
北国の平野に夢が捨ててある 大阪 与三野 保
 
パノラマで写す平野の花畑 北海道 野崎麗舟
 
関東平野日本も広いなと思い 山梨 佐野越子
 
チューリップ平野に彩を競い合う 広島 平井みずき
 
讃岐平野池の文化に支えられ 香川 京和文男
 
減反の平野泡立草が群れ 栃木 大河原信昭
 
四季問わず讃岐平野に鈴が鳴る 香川 小野多喜栄
 
野焼きした昔をしのぶハイウェー 千葉 高橋敬三
 
讃岐平野大師の風に癒される 東京 手塚正夫
 
トンネルを抜けると春の大平野 岐阜 大久保卓次
 
転作の平野ハウスはいつも春 広島 問可圧子
 
田植だな讃岐平野に水渡る 香川 大野 勝
 
合戦のロケで平野に鬨の声 千葉 滝川ひろし
 
村長さんの名前を忘れない平野 大阪 小池しげお
 
立ち上がる気力をくれた野の広さ 鳥取 西原艶子
 
穀倉の平野育てて来た大河 和歌山 森下順子
 
雪解けがつぶやきながら行く平野 滋賀 小林勝一
 
我が町は讃岐平野のど真ん中 香川 亀山廣子
 
春うらら雲雀の歌を聞く平野 香川 金森白峰
 
産廃の山が平野に聳え立つ 東京 小坂恭一
 
出稼ぎに津軽平野の深い雪 愛媛 忽那道子
 
開拓碑平野の物語を聞こう 北海道 大橋政良
 
住み馴れた平野に遺伝子を残す 兵庫 長浜澄子
 
人間が境界線をひく平野 島根 奥田勝子
 
湯が湧いた讃岐平野のど真ん中 香川 村上佳津子
 
遍路旅さぬき平野が混んでいる 岡山 新田すすむ
 
佐賀平野国際色の熱気球 福岡 古賀絹子
 
麦秋の平野夕日と遍路笠 鹿児島 増田鬼祥
 
なんたっておらが平野の旨い米 大分 渋谷節子
 
耕運機蟻のごとくに見る平野 長崎 草野朴春
 
満天の星につながる大平野 静岡 露木一然
 
一斉に北の平野は花開く 熊本 山長岳人
 
まなうらに故郷の平野を巡らせる 秋田 草薙 晃
 
この国の農を案じている平野 東京 小泉戸牟
 
語り継げさぬき平野に池二万 香川 浜口博司
 
観光の平野に眠る古戦場 香川 加藤俊一
 
豪族の墳墓平野のど真ん中 愛媛 山内クリヱ
 
米あまりやがて売られてゆく平野 青森 小田原千秋
 
草の香で胸いっぱいになる平野 和歌山 古久保和子
 
ラベンダーの風に抱かれている平野 大阪 北村賢子
 
川音の優しくなってから平野 愛媛 鶴崎尚子
 
減反で平野の石碑風化する 徳島 橋本あきら
 
雪解けで十勝平野が目を覚ます 徳島 鎌田昭吾
 
平安の雅残している平野 愛媛 合田繭子
 
春からは全力投球する平野 鳥取 中原汲香
 
バス停めて牛も横切る草千里 宮城 堀江茂元
 
青田刈り平野も人も病んでいる 宮城 仁多見千絵
 
空中散歩の気球が春を呼ぶ平野 長崎 福海十亥
 
一面の沃野見おろす開拓碑 愛媛 井原みつ子







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