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少年の瞳に返るクラス会 愛媛 越智靖子
 
疑問符に絡む瞳の好奇心 北海道 七草吉子
 
澄みきった瞳は嘘を許さない 兵庫 山口光久
 
約束はとても破れぬつぶらな瞳 兵庫 池田恵美子
 
まばたきを知らぬこけしの瞳が哀し 山形 安部笙児
 
あどけない瞳真実突いてくる 埼玉 岩瀬恵子
 
ドラフトの瞳に明日が炎えている 高知 竹村温夫
 
瞳を入れた日からだるまの妥協癖 青森 菊池ふみを
 
汚れなき瞳に心透かされる 愛媛 清水佐代子
 
澄み切った瞳弁護の手が挙がる 石川 酒井路也
 
笑ってる瞳の奥にある打算 石川 紺矢はじめ
 
澄み切った瞳に明日の風が見え 長野 山岸弘明
 
嘘の無い瞳に戻る調べ室 栃木 刑部鬼子
 
赤ちゃんの澄んだ瞳に癒される 奈良 安達孝風
 
ひた向きな瞳に射られ口ごもる 愛知 内田拮泰
 
明眸の奥で女が策を練る 宮城 佐藤一三四
 
凍りつく心を溶かすつぶらな瞳 神奈川 神戸みず帆
 
泣かせてはならぬ世界の子の瞳 兵庫 近藤敦子
 
とぼけても妻の瞳が見抜いてる 福岡 陶山嵐玉
 
温かい瞳と瞳で垣根低くする 大阪 海老池 洋
 
鹿の瞳に癒されている古都の春 兵庫 黒嶋海童
 
CMの犬の瞳がつい買わせ 新潟 山本 実
 
牛の瞳の涙見ましたせりの朝 香川 吉田久美恵
 
対戦へ瞳が燃える面構え 茨城 齊藤恭悦
 
立ち直る勇気瞳が燃えている 新潟 小島 仁
 
きらきらと花と瞳の鬼ごっこ 宮城 中村たか子
 
百万ボルトの君の瞳にしびれたい 香川 福井おさむ
 
腕白の瞳キラキラ憎めない 香川 増田美智子
 
親の背は無垢な瞳の道しるべ 福島 笹 一平
 
少年の瞳が語る不登校 熊本 中川しのぶ
 
叱ってる瞳の奥にある温み 栃木 柳岡睦子
 
Uターン瞳を癒す山や川 茨城 植木紀子
 
暖かい瞳に出逢う過疎の町 鳥取 土橋睦子
 
秀句
ふと怯むいつか子供でない瞳 愛媛 日浅 静
 
背信の瞳太陽まぶしすぎ 愛媛 竹内いつみ
 
妥協癖ついて瞳が濁りだす 愛媛 浅木邦子
 
選者吟
乳ねだる瞳菩薩に見えてくる 東京 鈴木国松
 
選評
 投句数四八七六句ということから、同想句も多く、このためご遠慮願った句もあることを諒承願いたいと思います。
 秀句の一は、突如子の成長に驚くという子を持つ親への警鐘の句として、二句目は、一読明快ながら人間の良心を太陽との対比で捉えた発想に、三句目は、生き抜くための妥協を是認しながらも反省を忘れぬ心情に、私の心が引かれたものです。
鈴木国松
 
「うどん」
兵庫 奥田みつ子 選
さぬきの風手打うどんの香りする 広島 平井みずき
 
生きのいいうどんだ脈を打っている 和歌山 川上大輪
 
善人の顔でうどん屋はしごする 香川 矢野としみ
 
パスタよりうどん日本を主張する 広島 西永美智枝
 
鮨うどんお国自慢を移民祭 アルゼンチン 倉田文太
 
素うどんで語る未来がたのもしい 香川 内久保勝子
 
うどん喰い天下国家の息子達 埼玉 原 崇雄
 
素うどんの箸が政治につきささり 青森 岩間夢都
 
うどん屋で総理に聴かせたい話 愛媛 合田遊月
 
百選の水でうどんのお持て成し 山口 今村カヨ子
 
名物のうどんいい水湧いている 青森 石手洗花山
 
テレビ局うどん談義で通の舌 茨城 綿引順菊
 
うどん打つ技も仕込んで嫁に出す 愛媛 古手川 光
 
おうどんが好きで讃岐の嫁になり 香川 幸田佳月
 
お食い初めうどんとろりと桃の花 兵庫 亀岡哲子
 
離乳食ウドンが跳ねる児の笑顔 沖縄 久貝むらさき
 
母と子の童話ぬくめるかけうどん 福岡 古谷 清
 
すいとんとうどん平和の食べくらべ 長野 友部一男
 
ラーメンとうどんに分かれ三世代 福岡 池田茂代
 
扇子の箸小さんのうどん美味しそう 熊本 柿山陽一
 
日本の顔でうどんを食べている 大阪 前田咲二
 
カーナビが讃岐うどんの味を知る 大分 北山年正
 
うどんツアー讃岐を食べる気で出かけ 香川 横山小観
 
うどんマップ旅の予定を狂わせる 香川 兜 はなえ
 
仲間待つ讃岐うどんも私も 香川 川西青蝶
 
ネクタイのどれもうどんの染みがある 香川 平井 都
 
手打ちうどん得心の行く舌の先 愛知 三輪かずえ
 
音を立てうどんすすって消す涙 大阪 井本健治
 
リストラの腹をうどんで温める 長野 武田香風







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