(2)貨物需要の取り込み
その次に、航空需要の取り込みということですが、貨物の形態に応じた需要の取り込みが重要ということです。まずは中国路線や韓国路線など、ベリーの部分で拾えるものはちゃんと拾ってベースカーゴ化するということ、それから、チャーターフレーターの運航ということで考えていけばいいかなと思います。あとはフレキシブルな航空貨物への対応ということで、逐次貨物だとか、シーズン物、緊急物といったものへの対応ができれば、当然利便性は高くなる。それからエクスプレス貨物の取り扱いについても同様です。
また今度、新門司に動物検疫所がオープンします。現在は博多港、福岡空港、鹿児島空港を利用しているわけですが、これができると北九州を中心に回るようになりますので、当然、新北九州空港で馬を上手に載せられないか、降ろせないかということになります。この可能性は非常に高いと考えられるわけです。
(3)新しい輸送モデル・物流ビジネスモデルの構築
それから、もうひとつのポイントですが、新しいビジネスモデルを考えていくということが不可欠ではないかということです。ビジネスモデルと簡単に言っても何をするんだということになりますが、特定の荷主、特定の事業者に特化するということもひとつの戦略です。広く浅くというよりは、一点集中でそこの荷主の貨物は確実に運べるようなシステムを組む。例えばデルコンピューターがフェデックスと組んで、中国の厦門(アモイ)からの調達出荷のシステムを作っているように、個々の会社がこういう形でパートナーを組んで出荷の体制を作るというところに、空港がうまくリンクしていくということが重要ではないでしょうか。
あとは、これは中・長期的なことになりますが、インテグレーター (※5)の進出による中継基地化というのもあります。最近、国際物流特区 (図3)ということで制度化されていますが、こういった特別な恩恵を付与することで産業を創出する、これがこれからの重要なポイントになろうということです。
図3 北九州市国際物流特区の特徴
「通関・検疫の24時間化」に係る2項目が認定 ●臨時開庁手数料の軽減による貿易の促進事業化(特例措置番号701)
→税関の執務時間外の臨時開庁に伴う手数料を2分の1に軽減
●税関の執務時間における通関体制の整備による貿易の促進事業(特例措置番号702)
→臨時開庁手数料の軽減による貿易の促進事業の実施に伴い臨時開庁申請が確実に見込まれる時間帯に税関職員を常駐
→構造改革特別区域(特定事業実施区域):門司区、小倉北区
→活性化重点区域:北九州独自の条例指定
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この国際物流特区のインパクトは大きいのではないでしょうか。これは港湾ということだけではなくて、将来的には空港も入ってくるだろう、ますます通関・検疫の24時間化というものが空港に対してもインパクトを持ってくるだろう、ということでございます。
今度、北九州市さんが活性化重点区域ということで条例を制定されていますけれど、こういった中に空港関連用地が入ってくるということになれば、メリットは大きいのではないでしょうか。現行の補助率が2〜5%、それから10億円までの土地と建物に対する補助と、あとは最高10%までの支援が出るということですから、これは大きなインセンティブになるだろうということでございます。
図4 特定荷主に特化した輸送モデルのイメージ
それから、これはイメージですが(図4)、新北九州空港を大胆に使っていくようなビジネスモデルを考えていくべきではないかということで描いたものです。ここまでくればいいなということですが、まず北九州の都市圏で貨物を集めるということと、それから九州・山口全体からどうやって持ってくるかということです。これを上手にアジアの方に持っていくというシステムを作れたらいいと思います。
(4)新たな路線誘致・企業誘致
最後に、新たな路線誘致とか航空関連の産業の創出といったものが必要なのであろうと思います。これは需要創出のための供給システム作りです。需要はあるものを取ってくるのではなくて、自ら創るということです。
それから、空港島内の施設の高度化というのが、この次のテーマになってくるのではないかと思います。そのひとつは駐車場の用地です。ここは第二種空港ですから国の管理になりますが、こういった空港用地内での航空外の多目的な活用が可能な用地、こういったところの高度化や最大活用を考える、それから隣接する空港関連用地の有効活用、この辺が産業創出のポイントになるのではなかろうかということでございます。
それから、よく言われることですが、航空貨物や、航空に関わる産業といったものの立地の促進、これは相当積極的にやらないと難しいかもしれませんが、これも需要創出の重要なポイントです。
それから、これもよく言われていますが、インターモーダル (※6)ということで、冒頭に申し上げたように、新北九州空港の優位性ということで、港湾、道路、鉄道ターミナルといったものを今後も追及していくべきだろう、やはり多様なものが選択可能だということが重要なポイントだと考えます。無理やり連携させるのではなくて、荷主側の選択の幅をどうやって広げるか、利用者サイドに立った連携を考える必要があると思います。
それから、もうひとつはGSA (※7)の設置もひとつの方法でしょう。つまり、荷物を取りまとめるファンクションを整備してやるということも、ひとつの考え方ではないかということであります。
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