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2)プログラムの検証
 本事業では、昨年度からの「交通・環境学習プログラム」の教材と進め方を検討し、和泉市立緑ヶ丘小学校および和泉市立芦部小学校と協働して作成して授業を実施した。
 社会環境に配慮する行動をしなければならないという動機が形成され、自分たちで何ができるかを考え、様々な実践項目が提案された(表II-1-7)。
 プログラムの検証に際して、本年度のプログラム改良の方針などに着目して検証を行うと、表II-1-8に示すとおりである。
 また、現場の先生、子どもたちの感想は、次のとおりであり、今回開発、実施した学習プログラムは、子どもたちにとって非常に喜ばれたという意味では、評価できる。
担任の主な感想
・校区の空気を測る調査を行ったことで、子どもたちが校区を歩き、様々なものを発見することができたと思う。
・子どもたちが提案した実践項目については、授業で実践段階に入る前に自主的に実践を始めたメンバーもでてきた。行動の強い動機付けがあったと評価できる。
・子どもたち同士で、協力し合いながら調査器具を設置していた。(塾や用事で設置することができない子どもの代わりに行ったりしていた)
子どもたちの主な感想
・「校外に出て調査を行ったこと」を非常に喜んでいた。
・“空気がきれいと思っていた場所”がNOx調査結果をみて“空気が汚れていた”のでびっくりしていた。
 
表II-1-7 子どもたちが提案した実践項目
 
表II-1-8 プログラムの検証
検証の視点 評価 課題・留意点
1ヵ月程度のショートプログラム ・概ね1ヵ月(6校時)で終了することができた. ・「空気を測る場所を探しに行きましょう」では, 校区の広さや調査地点にみあう授業時間を想定する必要がある(今回, 2校時を要した).
子どもたち・保護者の負担 ・単純な計算の反復や複雑なワークシートを避け, 調査を実施したため, 負担が少なかった.
・保護者の協力を得ることができた.
・家庭に協力してもらうために, 説明会やプログラムの通信などを発行し, 充分なコミュニケーションを図る工夫が必要である.
子どもたちが興味を持って取組めるカリキュラムの構築 ・「校外に出て調査を行ったこと」で, 子どもたちが楽しく, 興味を持って取組むことができた. ・年間計画のなかで, プログラムを位置付けるカリキュラムを構成する必要がある.

・導入部で, 子どもたちが取り組もうという気になるような動機形成が必要である.
ワークシートの工夫 ・今回, 使用したワークシートは使いやすい(空白部分が多く, 自由に書き込めるため). ・芦部小学校では, みんなで話し合った結果をワークシートに記入していたため, 子どもたちの個別の感想などが書かれていない.

・子どもたちの個別の感想などを書くことができるワークシートを作成する必要がある.
交通・環境学習プログラムのねらい ・実施した授業は, 概ね想定した成果を得ることができた. ・「総合的な学習の時間」において, ”子どもの自主性を尊重する”としたときには, あらかじめ計画されたカリキュラムで授業を実施することは主旨に反するとの考え方がある. 一方で, 子どもたちの自主性を尊重するあまり子どもたちに任せきりなると, 授業の計画性や教科学習との関連性がなくなるので, 授業の目標やねらいを明確にする必要があるとの考え方もある. したがって, 「総合的な学習の時間」で本プログラムを導入する際には, 学校としての全体計画や年間学習目標などのなかで位置づけて取組むことが必要である.

・本年度実施した課題発見プログラム「私たちのまち空気を調べよう」は, ”クルマの使い方を考えなければならない”という動機を容易に形成することが可能であるが, 必ずしも直ちに実践プログラム「かしこいクルマの使い方」や「ふだんの交通を工夫しよう」などの交通にかかる実践をしようとするとは限らない.
プログラムの進め方   ・実践校へのアプローチの時期の関係上(5月), すでに環境学習の年間計画が決定している「総合的な学習の時間」に対して本プログラムの導入を検討したため, カリキュラムの構成や授業計画の検討に際して時間と工夫を要した.

・本来的には, 「総合的な学習の時間」における年間計画検討時に, 本プログラムを考慮する必要がある.
 
(5)効果の持続性の検討
1)概要
(1)目的
 昨年度の総合的な学習の時間における「かしこいクルマの使い方」プログラムを学習した子どもたちを対象に約1年経過した現在でも「かしこいクルマの使い方」に対する意識が持続しているかを評価することを目的とする。
(2)実施対象
 対象校:和泉市立緑ヶ丘小学校 6年生(3クラス)
(3)調査対象者
 昨年、「かしこいクルマの使い方」プログラムを取組んだ児童(現6年生)とその家族(6年生以上)を対象とする。ただし、協力を得られる子どもを対象とする。
(4)調査項目
 昨年度の“交通行動についてのアンケート調査”を用い、効果の持続性についての検証を行う。
(5)配布・回収状況
 昨年、「かしこいクルマの使い方」プログラムを取組んだ児童(現6年生)とその家族(6年生以上)にアンケート調査票を配布した。
 また、アンケート調査に協力を得られた児童および家族は、表II-1-9に示すとおりである。
 
表II-1-9 配布・回収状況
(単位:人, %)
  H14回収数 H15配布数 H15回収数 H15回収率
事前 事後
学年 児童 129 130 138 64 46.4%
児童以外 354 354 347 188 54.2%
不明       44  
合計 483 484 485 296 52.0%
注)本来はパネル調査として、分析すべきであるが、名簿の対応等が困難であったため、断面分析をした。







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