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3.6.3 試計算の結果
 試計算の結果詳細については説明を割愛するが、不均衡な浸水により横傾斜が発生するため浸水量が増加する結果となっており、比較的に小型の船においては、船首尾に近い貨物倉浸水時の最終平衡状態はかなり厳しい状態となり、船によっては最終水線が倉口部まで達し平衡状態が得られない結果となっている。また浸水時静水中縦曲げモーメントについても、浸水量の増加により、これまでの単船側構造ばら積貨物船より大きなモーメントが発生する結果となっている。
 
3.6.4 船体縦強度に対する影響
 前述の試計算の結果によれば、二重船側化に伴う縦曲げモーメントの増加は、凡そ波浪縦曲げモーメントの15%以内となっている。(表3.6.1にCape Size BCにおける試計算結果を示す。)このため、波浪縦曲げモーメントを現行要件から15%減少させる形としなければ、現行より浸水時縦強度要件が強化されることになる。しかしながらCape Sizeより小型のばら積貨物船では、波浪縦曲げモーメントを現行要件から15%減少させた場合、現行より浸水時縦強度要件が若干緩和されることになると予想される。
 
表3.6.1 Cape Size BCにおける試計算結果
Cape Size Single Side Skin L= 280.00
B= 47.00
Alternate Homogeneous
静水中縦曲げモーメント(SWBMs)
(貨物倉のみ浸水時)
SWBMs Hog. 4,467,984 0
SWBMs Sag. -3,885,869 -6,816,106
静水中縦曲げモーメント(SWBMd)
(貨物倉+TST+BHT+DBT)
SWBMd Hog. 4,860,423 0
SWBMd Sag. -4,913,819 -7,781,155
波浪縦曲げモーメント(WIB) WIB Hog. 6,346,214 6,346,214
WIB Sag. -6,699,872 -6,699,872
曲げモーメント合計(SWBMd+WIB) BMt Hog. 11,206,637 6,346,214
BMt Sag. -11,613,691 -14,481,027
二重船測部浸水によるモーメント増加量
(SWMBd-SWMBs)
ex BM Hog. 392,439 0
ex BM Sag. -1,027,950 -965,049
モーメント増加量の波浪縦曲げモーメントに対する割合
((SWMBd-SWMBs)/WIBM)
ex Rate Hog. 6% 0%
ex Rate Sag. 15% 14%
 
 上記状況を踏まえた上で、二重船側構造ばら積貨物船の浸水時縦強度要件に適用する波浪縦曲げモーメント(Mw)を非浸水時の70%(現行のIACS統一規則S17における単船側構造ばら積貨物船に対する波浪縦曲げモーメントは、非浸水時の80%となっている。)とした場合、次のような結果となり、現行の単船側構造ばら積貨物船と同レベルの縦強度が確保されると考えられる。
 Cape Size: Mwの5%程度縦曲げモーメントが増加し、2-3%程度縦強度上の要求値が増加するものと思われる。
 Panamax: 現状維持。
 Handy: Mwの5%程度縦曲げモーメントが増加し、2-3%程度縦強度上の要求値が増加するものと思われる。
 
3.7.1 目的
 SOLAS XII章の改正提案において損傷時復原性・浸水時強度要件を策定するに際し、現行SOLAS XII章第4規則での積付け貨物倉の浸水率0.9は厳しい値である。このため、各貨物の種類により適切な値を使用することを提案することし、IACSのUR S17.2で規定されている鉄鉱石(3.0t/m3)及びセメント(1.3t/m3)に対する浸水率0.3、梱包貨物(packed cargo)に対する浸水率0を流用することとしたが、穀類に関しては参照すべきデータがない。このため、穀類貨物に対する適切な浸水率を提案することを目的とし、バルクキャリアで運送される穀物類の浸水率を測定することとした。
 
3.7.2 試料(浸水率測定のための穀物類)
 バルクキャリアで運送される穀物類として、米、麦、大豆、とうもろこしの5種類7サンプルを選定した。
 
3.7.3 試験および計算方法
 穀物の水分を含む真密度およびかさ密度(容器に入れた総容積から計算)を測定し、次式により浸水率(Permeability)計算する。図3.7.1に密度の概要を示す。
 
 
p: 浸水率(空隙体積VV/(空隙体積VV+試料体積Vg
VV: 空隙体積(総体積VT−試料固体体積Vg
VT: 総体積(空隙体積VV+試料固体体積Vg)かさ密度測定により算出する。締め固めの状態で変化する。
Vg: 試料固体体積(固体体積VS+水分体積Vw)ここでは、試料の水分を含んで真密度の測定を行っていることに注意。
ρT: かさ密度 [g/m3
ρg: 真密度 [g/m3
 
 ここで、かさ密度を計算するための総体積VTは、試料の締め固め条件により変化することから、1リットルモールドを使用し、表3.7.1に示すBC CodeのD.1.3によるプロクター/ファガベリ試験の条件により測定する。
 
図3.7.1 密度の概要
粒子密度(参考)
 
かさ密度
 







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