3.3 海象条件および航路の調査
3.3.1 海象条件の調査
洋上におけるバラスト水交換時に船体に作用する荷重の長期予測を実施するためには, 想定海域の有義波高と平均浪周期, 船体と波の出会い角, およびそれらの発現頻度を知る必要がある。これらの中で, 有義波高, 平均波周期などの波浪に関するデータは, 観測ブイ, 一般船舶通報あるいは衛星観測の結果などを利用して得ることができる。
本分科会では, GEOSATによる観測データをもとにして, 北太平洋の特定の地点における有義波高の超過確率を試算した。また, 日本〜オーストラリア航路および日本〜北米西海岸航路上の波浪の統計的特性値を推算した。日本とオーストラリアの間を実際に航海した船の航路に沿って, 波浪の統計的特性値(ある確率を超える有義波高の値)を推算した結果の一例を, 図3.2に示す。図には, 確率として10%, 50%および90%がとられており, また, 参考のために, 船舶が実際に運航した9月の有義波高の平均値を, 航路に沿って(図中の番号は変針点)併せ示している。また, 実際にバラスト水交換を行っているニューギニア近海の特定の海域における有義波高の超過確率も求めている。
図3.2 日本〜オーストラリア航路における有義波高の超越値
実際のバラスト水の交換事例について, その回数や交換場所などを調査した。日本〜オーストラリア航路で実際にバラスト水交換を実施している場所は, 鉱石運搬船ではニューギニア島東側を通る航路, 一方, 石炭専用船とチップ船ではニューギニア島の西側を通る航路であることが分かった。
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