第3類(衣装、用具等の製作、人材等の確保に係わる団体又は個人)
田村恒夫(たむらつねお)氏(阿波木偶(あわでこ)の製作)
徳島県を代表する芸能である阿波人形浄瑠璃は、長い歴史と伝統を持つ人形芝居だ。明治時代には阿波人形を製作する「天狗久(でんぐひさ)」と呼ばれる名人の人形師を輩出し、その類稀な作品は見るものを惹き付けて止まなかったという。田村恒夫氏(77歳)は天狗久の流れを受け継ぎ、昭和39年以来「阿波木偶」を作り続けている。木偶とは四国地方では人形を意味する言葉で、阿波人形をこのように呼ぶ、阿波木偶は高さ130cm、重さ6〜10kgもあり、頭の製作を中心に17の行程を経て人形が完成するのに1年を要する。昭和52年には阿波木偶制作保存会を結成、次代への継承にも力を注ぐとともに、自宅工房を個人博物館として開放するなど、地域観光振興への協力も惜しまず、「人形恒(にんぎょうつね)」と呼ばれる田村氏の功績は多大である。
第4類(その他特に顕著な貢献のあったもの)
能登(のと)キリコ祭り振興協議会
石川県能登地方では、毎年7月から9月にかけて「石崎奉燈祭」「輪島大祭」「春日野キリコ祭り」を始め各地で「キリコ」と呼ばれる巨大な御神燈が神輿の渡御にお供しながら神を守り、乱舞する祭りが繰り広げられるが、これらの祭りを「能登キリコ祭り」と総称、その数は80を上回る。能登キリコ祭り振興協議会は平成9年に関係19市町村で結成、以降短かい年数にも係わらずキリコを能登のイメージとして定着させ、祭りのオープニングである「能登キリコフェスティバル」を始め、広報宣伝、旅行エージェント企画商品の助成、観客受け入れ対策等、多彩な事業展開を図り、観光誘客による能登の地域振興に寄与した力は大きい。
『地域伝統芸能奨励賞』は、その地域に伝わる伝統芸能を受け継ぐため、日頃、研鑚と努力を重ねている将来有望な新人等を発掘し、激励するための表彰制度として、平成14年度から設けています。
平成15年度地域伝続芸能奨励賞受賞者
渋谷和生(しぶたにかずお)氏(津軽三味線の演奏、普及等)
青森市出身の渋谷和生氏(33歳)は、16歳の時津軽三味線の第一人者である山田千里氏の内弟子となり、その卓越した技術と才能で、平成2年、20歳の時津軽三味線全国大会でA級チャンピョンに輝いて以来、若くして同賞を3回獲得してきた。また、山田氏とともに津軽三味線の普及、伝承等のため世界各地での民族文化交流にも参加している。
これまで弘前市を活動拠点としてライブ出演が主だった渋谷氏は、最近山田氏のもとを離れ、新たな道を歩み始めたが、絶えざる精進と後継者への育成を決して怠らない。津軽三味線の基本である伴奏に類まれな力量を持ち、昨今流行の曲引きにも才能を発揮する渋谷氏に、今後ますますの活躍が期待される。
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